【国際】RobecoSAMとGRI、投資家と企業のマテリアリティ目線が一致しているか調査

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 国際的なサステナビリティ報告基準策定のGRIと、ESG投資格付機関大手のRobecoSAMは5月3日、企業と投資家のマテリアリティ目線が一致しているか否かを調べた報告書「Defining What Matters: Do companies and investors agree on what is material」を共同で発表した。アルミニウム製造世界大手のアルコアが設立したアルコア財団が調査資金を寄付した。報告書では、企業と投資家の目線は概ね一致していると結論づけた。  調査ではまず、GRI G4のマテリアリティ特定手法と、RobecoSAMが推奨しているマテリアリティ特定手法の比較を実施。企業が自社のマテリアリティを把握するために使われているGRI G4の分析マトリックスでは、横軸を企業にとって与える社会・環境・経済的なインパクトの大きさ、縦軸をステークホルダーの関心度合い、各イシューをプロットしてマテリアルな課題を特定する。一方、投資家目線が主体のRobecoSAMのマテリアリティ特定手法は、よく軸にインパクトの大きさを、縦軸に発生確率を置いており、より財務的なインパクトを計測しやすいものとなっている。報告書ではGRI G4の手法を「報告のためのマテリアリティ」、RobecoSAMの手法を「財務マテリアリティ」と名付け、差異を明確にした。  その上で調査では、それぞれ2つの手法を通じて、鉱業、金属業、電力事業の3つのセクターの合計129社が発行しているサステナビリティ報告書を読み解き、企業自身が認識しているマテリアリティと、各セクターへのファンドマネジャーが重視しているマテリアリティが一致しているかどうかを確認していった。結果としては、電力事業では多少の乖離が見られたものの、両者はほぼ一致していた。このことから、GRI G4のマテリアリティ特定手法が、投資家目線からも有効であることが示された。また、投資家目線から見た場合、企業のサステナビリティ報告に関する課題としては、情報開示事項が経営戦略とどのように結びついているかを明確にすること、機会とリスクに関する分析をより詳細に説明することをを挙げた。  マテリアリティ特定には一義的なベストな手法は存在しない。例えば、航空会社は昨今化石燃料からの代替エネルギーを模索しているが、空港付近に住む住民の視点では毎日の騒音が最も大きな関心を寄せているかもしれない。RobecoSAMの手法は投資家目線に主眼をおいたマトリックスとなっているが、GRI G4のマトリックスでは、投資家は一(いち)ステークホルダーに昇華され、他のステークホルダーの関心度合いとともに縦軸に表現されている。そのため、GRI G4のマトリックスで投資家目線を重視するか否かは、企業がどのステークホルダーを重視して縦軸を設定するかにかかってくる。この場合考え方は2つある。1つめは、既存の投資家の視点を重要なステークホルダーとして認識する方法だ。投資家からのインタビューなどを通じて投資家の関心事項を縦軸に強く反映させればいい。もうひとつは他のステークホルダーの関心をより尊重して縦軸を設定し、そこから抽出されるマテリアルな事項に理解を示す株主を新たにつけるという方法だ。欧米のグローバル企業の中では、この観点から最近「株主の多様化」「企業も株主を選ぶ」というような主張が増えてきている。 【参照ページ】New RobecoSAM study reveals GRI Standards fit for investmentgrade disclosures 【報告書】Defining What Matters: Do companies and investors agree on what is material

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ステークホルダー

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ステークホルダーとは? ステークホルダー(Stakeholder)とは、ある企業の意思決定や活動に関わる全ての利害関係者のことです。金銭的な利害関係をもつ株主などの投資家や顧客だけでなく、従業員・債権者・取引先・地域社会などを含み、広義には社会全般を意味します。 このように広域にわたるステークホルダーは、あらゆる面において企業の意思決定や活動に関わり、各ステークホルダーの利害や関心事項は企業自身の業績や活動自体に重大な影響を及ぼすため、企業にとってはステークホルダーのニーズを把握することが非常に重要となります。そこで企業は、彼らの意見を意思決定や活動に反映するために、ステークホルダー・エンゲージメントを実施しています。(詳しくは、用語集の「ステークホルダー・エンゲージメント」を参照。) マルチステークホルダー・プロセス(MSP) 上記のように「ステークホルダー」は様々な主体を意味しますが、3者以上のステークホルダーが対等な立場で議論し、合意形成などの意思疎通を図るプロセスのことを「マルチステークホルダー・プロセス(MSP)」といいます。MSPは、持続可能な発展に関する議論の中で提唱された概念です。1992年の地球サミットでの「アジェンダ21」で採り上げられた、持続可能な発展の実現に不可欠なプロセスを具現化するものとして生み出されました。MSPの最大の条件の一つは、各ステークホルダーが平等に参加し、意見を表明するという点です。このプロセスにより、対話を通じた信頼関係の醸成、意思決定の社会的正当性の確保、主体的行動の促進、二者間で利害対立がある課題の解決などが可能になると指摘されています。 近年、サステナビリティに関してはCSRが世界規模で注目を集め、多くの企業がCSR活動に取り組み、それを社会にPRしています。MSPはさらに、企業主体ではなくステークホルダーとの双方向の対話を通じて意思決定を進めることで、CSRの限界を超えてサステナビリティを実現する公共ガバナンスとして期待されています。 参照URL ステークホルダー -KPMG CSR・サステナビリティ用語集“ステークホルダー” –ミツエーリンクス マルチステークホルダー・プロセスの定義と特徴 –内閣府 マルチステークホルダー・プロセスの定義と類型 –内閣府国民生活局企画課 CSRを考える―マルチステークホルダーの時代― -日経CSRプロジェクト

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2016/03/20 辞書

【国際】GRI、ステークホルダーごとのサステナビリティデータ活用方法を公表

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 サステナビリティ報告に関する国際ガイドラインのGRIと国際NGOのオックスファム・オランダは6月9日、多様なステークホルダーごとのサステナビリティデータの活用状況についてまとめた報告書"Informing decisions, driving change"を公表した。同報告書では、市民団体、投資家・情報ベンダー、企業、政府・規制機関、メディアという各ステークホルダーがサステナビリティデータをどのように活用し、どのように成果を上げているかについて成功事例と共にまとめられている。  GRIは、現在世界の大手企業の間でサステナビリティ報告が普及したことでサステナビリティに関するデータは年々莫大に増加しているものの、各ステークホルダーはそれらのデータを十分に活用しきれていないと指摘している。特に喫緊のサステナビリティ課題を多く抱える開発途上国においては、サステナビリティ報告の過程で得られるデータを最大限に活用することで多くの恩恵を受けることができるとしている。  報告書の中でまとめられている各ステークホルダーの主なデータ活用状況は下記の通りだ。 市民団体  企業らにプレッシャーを与える市民団体らは特に開発途上国において重要な役割を果たしており、市民団体はサステナビリティデータを活用することで自身のビジョン達成に向けたより効率的な活動が可能になる。市民団体は具体的なデータを提示することで企業のアカウンタビリティとパフォーマンス改善を促し、問題を広く一般の人々に訴えかけることも可能になる。また、ひいては自身の活動成果の測定にも役立てることができる。 投資家・情報ベンダー  投資家および投資家に情報を提供するベンダー、格付機関などにとってもサステナビリティデータは重要な役割を果たしている。比較可能な形で収集されたデータは、ベンチマークの提供により企業間のパフォーマンス改善に向けた競争を促し、投資家に対してはよりサステナブルな投資意思決定を助け、よりサステナブルな会社に光をあてることを可能にしている。 企業  企業は自社および他社のサステナビリティデータの両方を、サプライヤーの選定からKPIの設定に至るまで組織内・外の意思決定に役立てることができるとしている。また、組織内部へのメリットとしては、企業の経営陣に対してデータを提示することで、サステナビリティパフォーマンスを改善するよう働きかけることができる。 政府・規制機関  政策立案者らは政策や方針策定の際にますますサステナビリティ要因を考慮するようになってきている。政府や規制機関らは、自身のサステナビリティパフォーマンスデータを示すことで管理区域の企業に対して事例を提供することができる。また、サステナビリティデータを活用することで管理区域の進捗状況をモニタリングし、パフォーマンスを改善することができる。 メディア  メディアは健全な民主主義の実現と持続可能な発展において大きな役割を担っており、メディアがサステナビリティに関する課題を良い方向に持っていくためには、信頼できるデータにアクセスできる必要がある。また、メディアはデータを用いて問題を世間の明るみに出したり、第三者としてパフォーマンスランキングを公表したりすることもできる。  また、GRIはそれぞれのステークホルダーが抱える課題についても提示している。政府や規制機関に対しては、ガイドラインをベースとしつつも様々な開示オプションを用意するなど報告者の助けとなる方針策定や中小企業の支援、データの報告組織に対してはデータの正確性や信頼性の確保とコンテクストの配慮、そしてデータの利用者に対してはコンテクストへ注意を払うことと客観的な視点を意識するようにアドバイスしている。また、GRI自身に対しては、テクノロジーを活用したデータへのコンテクスト付与と、キャパシティ向上を課題として挙げている。  現在世界が抱えるサステナビリティ課題を解決に導くためには、各ステークホルダーがサステナビリティデータを最大限に活用し、自身の活動や意思決定に役立てることが必要不可欠だ。サステナビリティ報告のデジタル化も進み、より膨大なデータが蓄積され続けている現代では、このビッグデータをどうポジティブインパクトの創出に活用できるかが明暗を分けることになりそうだ。同報告書ではステークホルダーごとの成功事例も数多く掲載されているので、興味がある方はぜひ確認して頂きたい。 【レポートダウンロード】Informing decisions, driving change 【参照リリース】The Role Of Data in a Sustainable Future 【団体サイト】GRI 【団体サイト】Oxfam Novib

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【TED】マイケル・サンデル対マイケル・ポーター 〜社会正義とCSVとは〜

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 今回ご紹介するのは、ハーバード大学の教授で著書『これからの正義の話をしよう』でおなじみのマイケル・サンデル氏と、ハーバード・ビジネス・スクールの教授で、CSVの提唱や著書『競争の戦略』で有名なマイケル・ポーター氏の討論動画だ。  それぞれの主張は同日に開催されたTED「Why we shouldn’t trust markets with our civic life」(マイケル・サンデル氏) およびTED「Why business can be good at solving social problems」(マイケル・ポーター氏) で明らかになっており、世界を代表するマイケル同士の対談とあって注目を集めた。 両者の基本的な立場はこうである。 マイケル・サンデル氏  市場原理がいたるところに登場した結果、現代社会はもはや「市場社会」と化してしまっており、日常に現れる全てのものに値段が付く現状を憂慮すべきだという。  現在たとえば、それが裁判の公聴の整理券獲得のためであれ、テーマパークの順番待ちであれ、お金を払うことで自ら順番を待つ必要はなくなっている。刑務所ですらお金を払うことで部屋をアップグレードできるのだ。  そのような市場社会に我々が不安を感じる理由は以下の2つだとしている。 1.資産の有無による不平等が発生するから 2.市場原理を導入することで物事の本質が失われるから  まず(1)について、お金で手に入るものが贅沢品に限られれば不平等はさして問題でないものの、市場社会においてそれは保険や教育など豊かな生活に不可欠なものにまで顕在化してきている。すべてが自由市場化することは、文字通りお金がモノを言う社会を指し、市民生活に不安感を与えているという。  そして(2)とは、すべてのものに値段がつくことで、それぞれの事柄が持つ意味合いを変えかねないということである。具体的には、成績を向上させることを意図して、子供に「本を一冊読んだら$2」といったモチベーションを与えた場合、目的は成績向上ではなくお金になってしまい、本を読むという行為を完遂するために薄い本を読み出し、結果的に成績は伸びないという。つまり、このようにお金が介在することにより本来的な意味が失われてしまうということが日常生活に現れることを危惧しているというわけだ。 マイケル・ポーター氏  一方、ポーター氏はNGOや慈善活動が社会に与えることのできる規模の小ささに焦点を当て、資本を基に大規模改善を図ることのできる経済主体としての企業の在り方を提唱している。  現在、我々は温暖化や大気汚染など様々な社会問題を抱えている。それに対してNGOらが取り組んでいるが資本規模的に大きな成果を出せずにいるという。そこで同氏が着目したのが、企業の事業活動を通した社会問題解決である。今まで社会問題への取り組みというのは企業にとってコストであり、利益とトレード・オフの関係になる慈善活動としての位置づけに甘んじてきた。しかし、実はこれはトレード・オフでないだけでなく、社会問題に真剣に向き合うことで利益に繋がることがわかってきているという。たとえば労働環境を整え事故発生率を抑えるためにかけたコストは事故による補償や悪評といったコストより低く、これにより「劣悪な労働環境」という問題を解決するといった例がこれに当てはまる。  同氏はこれをCSVと呼び身を切る社会貢献とは別物として紹介している。 (詳細は『【戦略】CSRからCSVへ? 〜CSV、CSR、サステナビリティ、CR、SRの違い〜』へ) 経済的・社会的価値の創造主体としての“ビジネス”を打ちたて、NGOや政府と協力することこそ、これからの社会問題に対峙に必要だという。 両者の問題認識  市場経済の浸食を危惧するサンデル氏と、市場の可能性を標榜するポーター氏。一見すると両者は対立するように見えるが、実はそうではない。  本動画でサンデル氏が言明しているように、同氏が危惧しているのは市場原理が日常生活にまで入り込み、自由市場の下にすべての事柄に値段がつけられる社会であり、市場経済そのものはむしろ【ツール】として利用するべきだとしている。これはポーターが提唱するビジネスによる経済的・社会的価値創造を否定しているわけではない。  もちろんポーター氏が主張する“ビジネス”による社会問題解決とは、市場経済を利用したものであるため、それが市場社会にまで及んでいる場合はサンデル氏に非難されるべき対象になるといえよう。しかし、今回ポーター氏が提唱したCSVとは「日常のすべてのものに値段が付けられた社会」を条件に行われることではなく、社会問題を解決する【ツール】として企業活動という市場経済を利用しているに過ぎない。例えば、サンデル氏は、文化的・精神的なものにまで市場経済という得体のしれないものが一方的に「価格付け」することを大きく危惧している様子があるが、ポーター氏のCSVのもとでは、価格付けとはむしろステークホルダーとの関係性を通じて形成され、その中には社会的価値や環境的価値が含まれていくだけでなく、市民・地域社会の価値観もその中に包摂されていく。企業活動がモチベーションとするコストメリットとは、そのような多様な価値観の中で形成された「価格」によって行われていくため、サンデル氏の懸念は、ポーター氏のアイデアによってむしろ解消していくとも言える。  今回、両者の対談を経て、行き過ぎた市場経済は市民生活を苦しめ得るが、市場経済は上手く使うことで現代社会が抱える問題の解決に寄与し、市民生活の豊かさにも貢献することが改めて明らかになった。「正義とは何か」で著名なサンデル氏との対話によって、CSVの哲学もより磨き上げられたのはないだろうか。

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2015/03/18 事例を見る

【アメリカ】サステナビリティ実現の鍵は「協働」と「経営層の関与」

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経営層の96%がサステナビリティ課題の解決には協働が必要であり、86%が企業のサステナビリティ活動においては経営陣が大きな役割を担うべきだと考えている。そんな興味深い調査結果が明らかになった。 ボストンコンサルティンググループ(以下、BCG)および国連グローバルコンパクトは1月13日、MIT Sloan Management Review(以下、MIT SMR)上で、企業のサステナビリティ活動においては競合企業やサプライヤー、政府、NGOなど他のステークホルダーとの協働および経営層が果たす役割が極めて重要だとする調査レポート”Joining Forces: Collaboration and Leadership for Sustainability”を公表した。 同レポートは113ヶ国、3795名以上の企業経営者・管理職層らを対象とする調査に基づくものだ。レポートによれば、サステナビリティ関連のパートナーシップに参画している企業の経営層の61%が、サステナビリティ活動の成功において「協働」は非常に効果的だという認識を示している。一方で、協働は未だ一般的な取り組みとはなっておらず、調査回答者の90%が協働の重要性を認識しているものの、実際に自社が積極的に他のステークホルダーと協働していると回答した割合は47%しかなかった。 MIT SMRの編集責任者で同レポートの共著者でもあるDavid Kiron氏は「協働は未だに一般的ではないものの、協働を実践している企業においては、変革に向けた戦略的な結果がもたらされているケースがますます増えてきている」と語った。また、「報告されている協働の半分以上が、事業を展開している市場の根本的な変化を目指しており、それ故にサステナビリティ活動は断片的なプロジェクトではなく、サプライヤーや顧客から政府、学術機関まで企業全体のエコシステムを巻き込んだものになってきている」と付け加えた。 また、同レポートでは協働に関する企業の経験曲線も示されている。現在1~3のサステナビリティ活動を協働している組織の中で、協働プロジェクトはとても上手く行っていると回答した割合は43%だったのに対し、50以上の協働を経験した組織は95%が上手く行っていると回答したという。 さらに、サステナビリティ活動を成功させるための鍵として経営陣が関与する重要性も指摘されている。回答者の86%が経営層は企業のサステナビリティ活動において大きな役割を担うべきだと考えているにも関わらず、実際に自社のサステナビリティ課題に対して経営層が適度にまたはそれ以上に積極的に関わっていると回答した回答者の割合は42%しかいなかった。 この差異は実際の活動パフォーマンスにも影響を与えており、経営層がサステナビリティに積極的に関わっていると認識されている企業においては、回答者の67%が協働は大きな成功をもたらしたと評価している一方で、そうではない企業の場合、協働が良い結果をもたらした、と回答した割合は半分以下だった。 国連グローバルコンパクトのエグゼクティブディレクターで同レポートの共著者でもあるGeorg Kell氏は「企業活動や投資活動が地球の隅々まで行き渡ったことで、企業はより複雑な不確実性やESGリスクに直面するようになってきている。汚職、気候変動、差別といった課題の多くは一つの組織による取り組みだけで対処することはできず、これまでにはない形で複数の企業が協働して取り組むことが決定的に重要となる。企業らは、共同で声を上げ、リスクや資源を共有することで、企業と社会の双方に利益をもたらす、変革力のある解決策を提供できるようになることに気づき始めている」と総括した。 自社のサステナビリティ活動で成果を上げるためには、協働の価値に対する経営層の理解を深め、いかに他のステークホルダーと有機的な連携を築くことができるかが鍵を握ると言える。レポートの詳細は下記から確認可能。 【レポートダウンロード】Joining Forces: Collaboration and Leadership for Sustainability 【企業サイト】Boston Consulting Group 【団体サイト】United Nations Global Compact 【企業サイト】MIT Sloan Management Review

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【イギリス】サステナビリティ報告を価値創造に結び付けるための鍵は透明性

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「多くの企業が、サステナビリティ報告書の作成に費やしている時間や資源に見合った価値を報告書から生み出せていない。」そんな最近の傾向に警鐘を鳴らしたのは、ロンドンに本拠を置くサステナビリティ戦略コンサルティング会社のSustainAbilityだ。 SustainAbilityは昨年12月に公表した”See Change How Transparency Drives Performance”というレポートの中で、現状多くの企業がサステナビリティ報告から大きなインパクトを生み出せていない点を指摘しており、現状を改善するためのポイントとして”Transparency(透明性)”の重要性を説明している。 同レポートは、SustainAbilityが約500名以上のサステナビリティ専門家へのサーベイおよび50以上のインタビューを通じてまとめたものだ。サステナビリティ報告におけるTransparency(透明性)の重要性を説明するとともに、透明性を実現し、報告から価値を生み出すためのポイントとしてMateriality(マテリアリティ)、Externalities(外部性)、Integration(統合)の3つを挙げており、それぞれのポイントにおける現状の課題および改善に向けた道筋を示してくれている。 例えば、マテリアリティの特定については、現状だとGRIやIIRC、SASBなど様々なガイドラインがそれぞれ独自の視点から異なる定義を行っているため混乱が発生している点や、マテリアリティ特定プロセスが戦略立案のためではなく報告書に掲載するコンテンツ決定のためになっている点、財務の観点から見たマテリアリティとの一貫性に欠けている点、など様々な課題があるとしたうえで、それらの課題をどう乗り越えていくべきかについて具体的なステップや企業の事例と共にポイントが紹介されている。 SustainAbilityは、企業価値を向上させるサステナビリティ戦略を立案・実行し、サステナビリティ報告をその価値創造プロセスとして機能させるためには、まずは自社にとってのマテリアリティを正しく特定し(Materiality)、次にマテリアルな課題がもたらす外部性およびその外部性が生むインパクトを測定し(Externalities)、その上で戦略的に優先順位づけされた課題を自社の企業戦略に統合する(Integration)必要があり、その一連のフローを通じて企業の透明性(Transparency)が担保されてはじめて持続可能な価値創造ができるとしている。 現在はデジタル化の影響やステークホルダーからの要望もあり報告に向けて収集するべき情報の量も莫大に増えており、かつソーシャルメディアなどステークホルダーとコミュニケーションをとるための新たな手段も次々に生まれているなど、効果的なサステナビリティ報告を実践する難易度はより高まってきている。そのようなタイミングだからこそ、改めてサステナビリティ報告の本来の意義に立ち返って現状を見直してみる価値は大きい。 自社のサステナビリティ報告書がもたらしているインパクトに疑問を感じている方や、より本質的な価値創造の観点から現状の報告活動を見直したいという方にとっては、同社のアドバイスが参考になるはずだ。興味がある方はぜひ下記からダウンロードして一読して頂きたい。 【レポートダウンロード】See Change How Transparency Drives Performance 【企業サイト】SustainAbility

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【アメリカ】企業戦略の要としてますます重要さを増すCSOの役割

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米国サンフランシスコに本拠を置くサステナビリティ・CSR人材専門のサーチファームのWeinreb Groupは10月27日、CSO(Chief Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者)に関する最新動向をまとめたレポート、”The Evolution of the Chief Sustainability Officer”を公表した。 同レポートによれば、CSOの責任範囲はここ数年で大きく変化しており、組織内部のプログラム管理にとどまらず、経営戦略や製品イノベーション機会の特定、企業内外におけるサステナビリティへの取り組みの指揮など、より企業戦略の要となる役割へと変わってきているという。今回のレポートの調査対象となったのは、米国に本社を置く上場企業にてCSOという肩書で働いている36人のエグゼクティブだ。 また、彼らがCSOに任命された際の平均勤続年数は約10年間で、86%のCSOは社内から抜擢されているという。Weinreb GroupのCEOを務めるEllen Weinreb氏は「今日では、CSOはサステナビリティを事業のあらゆる側面に拡大しており、特にイノベーションおよび外部ステークホルダーからのフィードバックが成長と価値創造につながっている」と語る。また、同氏によれば「この3年間で、CSOに占める女性の割合が2011年の28%から2014年の42%へと52%も増加している」とのことだ。 同レポートによると、この3年間でCSOの役割には大きく下記5つの変化が起こっているという。 組織全体としての利益 CSOの役割は単なる環境・社会活動の実行だけでなく、ステークホルダーと株主に同時に利益と価値を生み出すことに重点が置かれるようになってきている。 イノベーション 従来とは全く異なる基準が求められるサステナブルな製品や製造プロセスへの需要に答えるために、CSOはイノベーションの最先端にいる必要がある。 ステークホルダーとのコミュニケーション CSOは様々なチャネルを通じて積極的に自社のサステナビリティへのコミットメントを伝えることに従事する必要があり、従業員など内部ステークホルダーだけではなく、顧客やメディアといった外部ステークホルダーに対してもサステナビリティ課題に関するコミュニケーションをとることが重要な役割となっている。 組織全体へのアクセス 組織内のヒエラルキーに関わらず、CSOはあらゆる階層の業務に関わり、部門横断で働くことが求められている。事業横断で従業員と協働するところから自社の核となるビジョンや戦略に影響を及ぼすところまでシームレスに動く必要がある。 チームスポーツ CSOとしての成功は、組織全体を通じて複数のチームを注意深く指揮しながらエンゲージメントできるかどうかにかかっている。CSOはサステナビリティを事業のあらゆる側面に統合することで、各事業責任者にサステナビリティ目標達成に向けた権限を与えている。 上記のように、CSOに期待される役割は環境・社会活動プログラムの企画・運営だけではなく、より戦略性と協働性が高い業務へとシフトしてきている。 サステナビリティの企業戦略への統合からイノベーション機会の特定、組織内外ステークホルダーとのコミュニケーション、目標達成に向けた社内全体の巻き込みなど、CSOへ課せられる期待はとても幅広く、その一つ一つが大きなものだ。 また、こうしたCSOの役割の高度化とともに、CSOの女性比率が上がってきている点も興味深い。同レポートは下記からダウンロード可能。 【レポートダウンロード】The Evolution of the Chief Sustainability Officer 【企業サイト】Weinerb Group CSOに関するおすすめ記事 CSO(Chief Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者)とは? 【戦略】サステナビリティ(CSR)部門責任者の責任と役割

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