【アメリカ】スターバックス、コーヒー農家に100万本のコーヒーの木を提供へ

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 米スターバックスは9月28日、高品質なコーヒー産業を支援するという同社のコミットメント拡大の一環として、新たにコーヒー農家に対して100万本のコーヒーの木を提供する取り組みを開始すると発表した。  2016年9月まで、米国内の店舗で販売されているコーヒーパックが1袋売れるたびにコーヒーの木を1本植樹するという"Starbucks One Tree for Every Bag"キャンペーンを展開し、コーヒーの木に損害を与える病原菌の影響により高品質なコーヒーの生産が困難となった農家に対して新たなコーヒーの木を提供する。  スターバックスはパートナーのSustainable Management Serviceと協働し、まずはメキシコ、グアテマラ、エルサルバトルのコーヒー農家の支援から開始する。現在同社は世界で6か所の農家支援拠点を設けており、2015年内にインドネシアのスマトラ、2016年にはメキシコと新たに2拠点増やす予定だ。  同社はこれまでにも同様の農家支援プログラムを展開している。スターバックス・メキシコはTodos Sembramos Café(We All Grow Coffee)と呼ばれるコーヒーの木再生プログラムを実施し、18万本以上の病原菌耐性のある木をチアパスの60以上のコーヒー農家に提供し、コーヒー豆の品質および収穫の安定性を維持するためのトレーニングを実施してきた。2年目には更に36万本のコーヒーの木が寄付される予定となっており、合計50万本を超える支援が行われる予定だ。  現在スターバックスは30以上の国からコーヒーを調達しており、同社の規模が高品質なコーヒーを調達できる理由となっている。そのため、同社はコーヒー産業全体の供給の安定性や農家の生活向上に対する投資は自社の社会的責任と位置付けている。  これまでにスターバックスは7000万米ドル以上をコーヒー豆の倫理的な調達のために投資し、コーヒー農家のコミュニティ支援、気候変動の影響低減に向けた援助、長期に渡る安定した収穫量の確保や農家の生活安定に向けた支援に取り組んできた。今後も世界最大のコーヒー小売チェーンとして持続可能なコーヒー産業の実現に向けた取り組みが期待される。 【参照リリース】Starbucks Distributes One Million Coffee Trees to Farmers 【企業サイト】Starbucks (※写真提供:Sergey Kohl / Shutterstock.com)

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【インタビュー】CSRアジア赤羽氏「日本企業の課題は『報告』」

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 今、世界のサステナビリティ・CSR業界ではアジアに対する注目度が急速に高まっています。環境から人権にいたるまで多くの社会課題を抱えるアジアでは、2013年のインドのCSR義務化、2014年の中国と米国のCO2削減に関する歴史的合意など各国の政策的後押しに加え、社会課題を事業機会と捉えて積極的にサステナビリティ活動を展開する多国籍企業や地場企業が急速に増えているのです。  このような状況を踏まえ、日本企業はアジア、そして世界の中でどのように存在感を出していくべきか。今回はアジア最大のCSR戦略コンサルティングファーム、CSRアジア東京事務所の代表を務める赤羽真紀子氏に、これまでのCSR担当者としての自身の経験から見てきたアジアや世界、そしてアジアのCSRの現状、日本企業の課題などについて詳しくお話を伺ってきました。 CSRアジア東京事務所代表 赤羽真紀子氏インタビュー:日本企業の課題は「報告」 Q:まずは赤羽様のこれまでのご経歴をお伺いしたいと思います。どのようなきっかけでCSR分野に関わるようになったのでしょうか?  私はもともと大学時代から環境分野、特に企業の環境対応に興味を持っていました。しかし、当時はちょうど1992年のリオの地球サミットではじめて「生物多様性条約」についての話が出たような頃です。「生物多様性」という言葉自体が非常にマイナーですし、まだ「CSR」という言葉もなく、日本でも環境対応といえば工場の環境対策ぐらいしか取り組んでいなかった時期でした。  そんなこともあり、大学卒業後は直接環境やCSRに関わる仕事ではなく、当時はまだ少なかった女性総合職として金融機関に入社しました。入社後は支店配属となり、顧客対応や事務手続きなど幅広い仕事をしていました。  しかし、入社後3年ほどしてから、もともと興味があった企業の環境対応について本格的に学ぼうと思い、アメリカへの留学を決意しました。アメリカでは環境学の分野で生物多様性について学べたらと思っていたのですが、当時は専門の研究室がなかったので、生物学の研究室に入りました。環境やCSRといった分野に本格的に関わり始めたのはそれからとなります。 Q:アメリカではどのようなご経験をされたのですか?  私が行った大学は学部全体でも日本人が一人しかおらず、最初は言葉も通じない環境の中で差別のような扱いを受けることもあり、とても苦労しました。しかし、その後に学部生のティーチングアシスタントを任されるようになり、そのときの経験はすごく役に立ちました。彼らの実験を毎週1度受け持つことになったのですが、私が生徒たちの成績をつける立場に変わった瞬間、周りの反応が大きく変わったのです。  アメリカは移民社会で、アジアや中東系の移民の子供たちは皆医者になって立身出世するという選択肢を狙います。医者になるためにはメディカル・スクールに行かなければならないのですが、そのためには大学で優秀な成績を収めなければいけません。そこで彼らにとって重要になるのが、私が担当していた生物学の授業の成績だったのです。  生徒たちは少しでも私からよい成績をもらおうとすごく媚びてくるようになり、これまでの言葉もあまり通じず冷たく対応されていた環境ががらりと変わりました。このとき、アメリカで移民が生き抜いていくためには厳しい競争を勝ち抜ける必要があり、その背景には根強い学歴社会があることを実感しました。「自由の国」アメリカの裏の側面を見た気がして、どのような社会にも外からは見えない課題があることを知りました。 Q:環境以外にも様々な学びがあったのですね。そしてその後、スターバックスに入社をされました。  アメリカでは企業の環境対応について勉強していたので、日本に戻ってきたら企業に就職したいと思っていたのですが、就職活動はうまく進みませんでした。そのため、しばらくはアルバイトをしながら、やがてとある環境庁の外郭団体で仕事を見つけ、そこで1年ほど環境ニュースレターの発行や学会誌の編集などの仕事をしていました。ある日、新聞の求人広告を見ていたらスターバックス コーヒー ジャパンが新たに環境関連の人材を募集していることを知り、応募してみたところ、自分の変わった経歴に興味を示してくださり、拾って頂けました。 Q:スターバックスではどのような仕事をされたのでしょうか?  スターバックス コーヒー ジャパンでは、ミッションとして最初から環境のことをやってくれと言われました。当時は広報室が環境と社会貢献をやっていたのですが、私のミッションは新たに環境専門の部署を立ち上げるということでした。  そのときはISO14001の取得や、牛乳パックのリサイクルの仕組み作りなどを行いました。牛乳の紙パックをトイレットペーパーにリサイクルして店舗で使うといった取り組みですね。日本では牛乳パックが個人用も業務用も同じ小分けのサイズしかなく、大量の廃棄パックが出るのです。他には資材の見直しなどにも取り組みました。 Q:スターバックスでは環境活動の推進にあたり苦労されたことはありましたか?  私がいたころのスターバックス コーヒー ジャパンでは、店舗で働く若い世代の社員は環境意識も高く新しい取り組みに対する受容度も高かったのですが、中途採用で入社してきた中間管理職層などはコストや負担が増えることはやりたがらず、とにかく「店舗の負担を増やすな」という要望が強くありました。    そのため、店舗側のオペレーションが増えるような環境手順の導入には抵抗もかなりありました。こうした社内の抵抗を解消するためには、対話しかありません。管理職の人たちは現場のことをよく分からずに反論していることもあるので、現場に直接行って話をすることもよくありました。  しかし、もちろん経営陣は環境の取り組みを推進したがっていましたし、若い社員も盛り上がってくれるので、上と下からの圧力により、2年間ぐらいすると中間管理職の人たちの態度も徐々に翻ってきました。決して意図していたわけではないのですが、CSR活動を社内浸透させる際には、上と下の両方から攻めるというのが効果的だと感じました。 Q:CSRを社内に浸透させる上での大事なポイントですね。そしてその後セールスフォースに移られるわけですが、何かきっかけがあったのでしょうか?  日本での部署立ち上げにあたり、セールスフォース・ドットコムから声がかかったのがきっかけですね。セールスフォースはCSRの一環としてNPOやNGOに対して無料で自社のデータベースを提供しているので、NGOの人々の間では知名度も高い会社ですし、新しいチャレンジができるかなと思いました。  セールスフォースでは、日本での部署立ち上げに関わった後、アジア・パシフィックのCSR担当としてシンガポールに行きました。当時のシンガポールではCSRといえば寄付とボランティアぐらいでしたので、社員研修などを積極的に進めつつ、地域のニーズに合ったCSRをしていこうと考えました。 Q:シンガポールはどのような社会課題があり、どのようなCSRプログラムを展開されたのでしょうか?  シンガポールは一人あたりのGDPがアジアで一番高く治安も良い国なので、一見すると外からは大きな問題があるようには見えにくいのですが、中に入ってみると実は様々な社会課題を抱えていることが分かります。  たとえばシンガポールは日本よりももっと明確な学歴社会で、小学校、中学、高校、大学と進んでいく中で一度でもコースを外れてしまうと、もう復活することはできません。そのため、青少年の層は大きなストレスを抱えています。それ以外にも高齢化の問題もありますし、貧富の差もあります。また、シンガポールは多民族国家ですが、国の経済は中華系の人々を中心に回っているため、マレー、インド、アラブ系などの移民が出世しづらいなどの問題もありました。  そこで、セールスフォース・ドットコムでは地元のNPOと協働し、シンガポール のマイノリティの高校生に対する職業体験プログラムを企画して展開しました。問題意識がないと勉強もやる気になれないと思ったので、社会に出ると自分たちはどうなるのかを伝えたうえで、ビジネスプランづくりやプレゼンテーションなど、より実践的で考える力を身につけるプログラムを作成しました。 Q:その後、CSRアジアの東京事務所を設立されたのですね。どのような経緯だったのでしょうか?  CSRアジアの東京事務所は2010年の4月末に登記し、正式にキックオフしたのがそれから3か月後の7月でした。今からちょうど5年前ですね。もともとCSRアジアとの出会いは、セールスフォース時代にシンガポールの社員のCSR研修を依頼したのがきっかけでした。  当時はアジアのCSRは世界と比較しても遅れていて、CSRアジアのような組織は他にありませんでした。そのため、こうした組織があるのは面白いなと思っていたのに加えて、CSRアジア創業者のリチャード氏の話も直接聞いて興味を持っていました。  そこでCSRアジアのサミットに参加を申し込んでみたのですが、そのときちょうど妊娠が重なってしまい、サミットに参加できなくなってしまいました。しかし、CSRアジアの方がチケットを次回の参加までとっておいてくれたので、それから2年後にようやくそのときのチケットでサミットに参加してみたら、そこで衝撃を受けました。  何に驚いたのかというと、アジアにおける日本のプレゼンスが、産休前よりもさらに薄くなっていたのです。日本の状況自体は産休前と後であまり変わっていなかったのですが、私が休んでいたたった2年の間に、アジアのCSRは大きく進化していました。これまでは日本がアジアの経済を牽引していると思っていたのですが、もうそうではなくなっていると実感しました。  実際にCSRアジア自体も、私が出会った頃はまだ拠点は香港とシンガポールだけでしたが、産休中にバンコクや中国などいろいろなところに拠点ができていました。しかし、日本だけはありませんでした。  私はこの状況を見たとき、このままだと日本は「日の沈む」国になってしまう気がして、自分には何ができるだろうかと考えました。そして、CSRであれば日本のプレゼンス向上のために何かできることがあるかもしれないと考え、CSRアジアのリチャード氏に「日本でもし拠点を作りたいのであれば、手伝えるよ」と伝えておいたのですね。  そうしたらサミットが終わった数か月後に彼から連絡が来て、日本での事務所立ち上げを依頼されました。彼が来日して打ち合わせして、その3ヶ月後の2010年7月にCSRアジアの東京事務所が立ち上がりました。 Q:アジアの日本でのプレゼンスの低さがきっかけとなり、立ち上げにつながったのですね。  そうですね。私の中では日本を何とかしなければまずいという思いがありました。たった数年間で他のアジア諸国とは大きな差が開いていたのです。CSRアジアのイベントでも、参加者500人中、日本人はいつも10人程度。スピーカーにいたっては40人中、1人か2人ぐらいしかいません。日本の経済規模を考えれば、この割合はどう考えても低いと思います。こうした問題意識もあり、先日も日本企業のCSRをもっと海外の人々に知ってほしいと思い、CSRレポートの英訳サービスをオープンしました。 Q:CSRの側面から見た、アジアと日本の違いは何なのでしょうか?  アジア諸国の場合は政府の力が社会課題に追いついておらず、それを企業も分かっているので、それであれば資金も実行力も持っている企業が社会課題の解決主体となるべき、という考え方が前提にあります。インドやインドネシア、中国といった国々は人口も多く社会課題も溢れているので、そうした暗黙の了解がある点がまず日本とは違います。  日本の場合、アジア諸国と比較すれば政府がしっかりと社会課題に対応しようとするマインドを持っていますし、これまでも政府に頼ることで何とかなってきたので、社会課題の解決をするのは政府だろうという考えが未だに根強いと感じます。例えば待機児童の問題を一つとってみても、企業内保育所をどう増やすかではなく、行政がなんとかしろという議論が先にくるのが日本です。そのため、日本企業のCSRはあくまで本業のプラスアルファであって、企業自らが社会課題の解決に関わろうとすることはあまりないのかなと感じます。  アジアで主流なのは、企業やビジネスがいかに社会課題を解決するかという点です。企業は利益の追求するのが本分ですが、利益が得られるのであれば社会善のために動いてよいというのがアジアの考え方なのです。彼らには社会課題をどうCSRで解決するかという共通した考えがあり、例えばサプライチェーンをどうするかといった自社に関わるところだけではなく、もっと広く大きな社会課題そのものを向いているように感じます。  特に最近では農業や鉱業なども含めた一次産業に関わる地場企業は、NGOからのプレッシャーもあり、しっかりとCSRをやっている印象があります。これらの産業は環境に影響を及ぼしやすいですし、人も使いますし、先住民の土地の権利なども関係してくるため、きちんとした対応が求められるという背景があります。インドネシアなどは数年前までは厳しい状況でしたが、最近になって大きく変わってきています。  日本企業もグローバルに事業を展開している以上、やるべきことはあると思っています。日本ではアジアのような喫緊の社会課題が身の周りにないため実感しづらいという点はあるかもしれませんが、ひとたび外に出てみれば政府がいろいろとやってくれるのは日本だけだということに気づくはずです。 Q:CSRにおける日本企業の一番の課題は何だと思いますか?  CSRを戦略策定、活動、評価、報告といったフェーズに分けるとすると、一番の課題は「報告」だと思いますね。例えば、中国企業や米国企業などのCSRレポートは、伝え方、見せ方がとても上手だと感じます。  活動内容自体に目を向けてみると日本企業のほうがしっかりやっていると感じることもあるのですが、日本企業は概して伝え方が控えめで、120%ぐらいできていないと「やっています」と言わない傾向があるように感じます。「これからやります」でもいいので、情報はどんどんと積極的に出していくべきですね。  最近では会社の評価はウェブサイトやCSRレポートなど公開情報だけで評価されることも多くなっていますので、英語で積極的に情報発信をしていかないと、せっかくの良い取り組みも伝わりません。 Q:海外から日本企業に対する関心はあるのでしょうか?  もちろんあります。日本の存在感は薄まっているとはいえ、日本企業がどんな取り組みを行っているかはみんな関心を持っています。CSRアジアの海外オフィスからは、日本企業の取り組みに対する質問がよく東京事務所に来ています。日本企業は環境技術や品質管理も優れていますし、福利厚生プログラムもしっかりしていて従業員の忠誠度も高いので、なぜそうした取り組みができるのか、海外の人々も知りたいのです。でも、そうした問い合わせが頻繁に来るということは、裏を返せば日本企業の情報が彼らには届いていないからだとも言えます。  日本企業はまだ最新情報の発信も日本語だけに限定されており、英訳版も忘れた頃に出てくるというケースも多いのですが、グローバルに事業を展開する以上は海外の思考回路に合わせる必要があると思います。少なくとも英語の思考回路で伝えることは重要でしょう。また、仮に自社ではグローバルに事業を展開していないとしても、ほとんどの日本企業はサプライチェーンを通じて海外企業と何らかのかかわりを持っているわけですから、その意味では日本だからよい、という言い訳は通じないと考えたほうがよいでしょう。 Q:アジアではこの企業のCSRレポートは優れているといった事例はありますか?  例えば、シンガポールに拠点を置く世界最大のパーム油企業、ウィルマーのレポートなどはしっかりしていますね。他にも、香港のキャセイパシフィック航空や、シンガポールのシティ・デベロップメンツ・リミテッドなどは参考になると思います。 ウィルマー:"Sustainability Reports" キャセイパシフィック航空:"Sustainable Development Report 2013" シティ・デベロップメンツ・リミテッド:"Sustainability Reports" Q:最後に、日々CSR推進に取り組まれている日本企業の方々にメッセージがあればお願いします。  繰り返しになりますが、日本企業は他のアジア企業と比較すると、「活動をやっている割には伝わっていない」ということが言えます。  海外からの日本企業の情報が欲しいというニーズは強く感じていますので、ぜひ自信を持って自社のことを伝えて頂ければと思います。CSRアジアでは、そうした日本企業と海外をつなぐ役割を果たしていきたいですね。 Q:ありがとうございました。 編集後記  「日本企業に足りないのは報告」。CSRアジアの赤羽氏はそう明確に指摘します。「活動の内容自体は他のアジア企業にも引けをとらない」「海外は日本企業のことを知りたがっている」という同氏の言葉には勇気づけられますが、一方で相手に伝わる報告ができなければ、いくら良い活動をしていたとしてもそれが評価されることはないのが現実です。  評価のための活動ではありませんが、優れた報告は優れたフィードバックをもたらし、優れた戦略策定、活動のサイクルへとつながります。その意味で、CSR活動全体の質を向上させる上で報告の質向上を起点とすることは有効です。  英語、中国語など多言語の情報発信はもちろんですが、今ではその中身も問われるようになってきています。ただ単純に日本版を翻訳していればOKということではなく、海外の文脈、ニーズにあった内容、表現となっているかという点も鍵を握ります。  これまで企業のアジア・パシフィックのCSR担当として、そしてCSRアジアのコンサルタントとして世界と日本企業のCSRの現場を見てきた赤羽氏からのリアリティのあるメッセージを、どこまで強く認識し、実際のアクションに変えていけるのか、私たち一人一人の意識と行動が問われていると感じました。

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2015/08/03 事例を見る

【アメリカ】スターバックス、農家向け融資プログラムに3千万米ドルを追加投資

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 米コーヒー大手のスターバックスは6月22日、コーヒー産業のサステナビリティ向上を目的として展開している倫理調達イニシアチブの"Global Farmer Fund"プログラムにおいて、2020年までに更に3千万米ドルの追加資金を投じると発表した。  今回の投資は同プログラムが開始した2008年の2千万米ドルのコミットメントに続くものだ。非営利融資団体のルート・キャピタルやフェアトレード・アクセス・ファンドらと協働のもと、世界中のコーヒー農家に融資される。スターバックスは同プログラムを通じてこれまでに既に8か国、62の組合、4万人以上のコーヒー農家を支援してきた。  スターバックスが初めて農家向け融資を行ったのは2000年で、ルート・キャピタルと共にメキシコ、チアパスのEl Triunfo生物保護区におけるプロジェクトに融資した。同プロジェクトは農場経営者に対して主に短期の信用貸付を行うものだったが、現在では農家らへの融資は中長期を含むものへと進化しており、農学や農地再生、インフラ改善などの支援により気候変動への対応に必要となる農業経営の安定性をもたらしている。これらの取り組みはコーヒーの品質やサステナビリティ、そして特にコーヒー産業全体の利益向上に直接的につながっている。  スターバックスの取締役副社長を務めるCraig Russell氏は「今回の新たな投資は、世界中の農家の支援に対する我々の断固たる姿勢を示すものだ。資本へのアクセスを提供することで、農家はインフラに対する戦略的な投資を行うことができ、そしてそれは彼らおよびコーヒー産業の将来に向けて現在の複雑な状況を管理するために必要となる安定性を提供する」と語る。  2015年、スターバックスは99%のコーヒーが倫理的な形で調達されたことを認証した。過去15年以上に渡り、同社はコーヒー栽培・製造における環境、社会面のベスト・プラクティス実践に向けて一連の厳格なメソッド開発に取り組んできた。これまでに4大陸で100万人以上の農業経営者や従事者が同社のC.A.F.E(Coffee and Farmer Equity)プラクティスの恩恵を受けている。また、同社の倫理調達プログラムではコスタリカに中心拠点となる農場を購入したほか、ルワンダ、タンザニア、コロンビア、中国、コスタリカ、エチオピアの6か国に支援センターのネットワークを構築している。  スターバックスの収益の源泉でもあるコーヒー豆の安定調達や高品質を維持するためにはコーヒー農家のサステナビリティが欠かせない。融資を通じた農家の経営支援は同社のサステナビリティを支える核でもある。 【参照リリース】Starbucks,More Than Doubles Global Farmer Loan Commitment to $50 Million by 2020 【企業サイト】Starbucks Coffee Company 【参考サイト】Root Capital (※写真提供:NorGal / Shutterstock.com)

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【ランキング】BrandZ「最も価値のあるグローバルブランド トップ100」に学ぶ業界別の代表的サステナビリティ

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 市場において競争に勝ち抜いていくための競争。マーケティングの権威と言われるマイケル・ポーター・ハーバードビジネススクール教授は、競争戦略の基本として、コストリーダーシップと差別化を提唱し、その概念は今や広くビジネス界に浸透しています。差別化とは、提供する財・サービスを他社のそれとにはない「付加価値」をつけるということ。企業が多種多様な「付加価値」を提供することで競争力を獲得しようとしています。この「付加価値」のあり方は様々です。価格や製品・サービス特性という付加価値もあれば、温室効果ガス排出量が少ないなどといった環境配慮型の経営方針も、一つの付加価値と言えます。  サステナビリティと付加価値。植林活動などがサステナビリティの代表事例だと思われていた時代には、両者は無関係だと思われていましたが、今やこの二つは密接に結びついてきています。事実、サステナビリティ戦略の目的を「付加価値の獲得」としている企業は多く、その戦略の策定に「クライアント・消費者」が最も影響を及ぼしていると認識されていることが、EY新日本サステナビリティ社とGreenzbiz社の合同調査によって明らかにされています。  「消費者」からの視点から、世界のブランドをランキングした代表的なものに、Millward Brown社が発表している“BrandZ Top100 Most Valuable Global Brands (最も価値のあるグローバルブランド トップ100)”があります。世界中の企業のブランド力を定量化しランキングにしたものであるため、マーケティング専門家の間では広く認知されています。今回はこのランキングで上位に入った企業がどのようにサステナビリティ戦略と「付加価値」を結びつけようとしているのか、その実態に迫ります。 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成) BrandZ 業界別上位企業とその対応 アパレル 自動車 ラグジュアリー トイレタリー 小売 ビール ファストフード ソフトドリンク 金融(銀行・保険) 石油・ガス テクノロジー 通信 アパレル (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者にとって情報を得るチャネルは、店舗だけでなくオンライン検索にまで拡大しました。消費者は、かつてないほどの膨大な情報を収集し、数ある商品の中から自分が最も価値を感じるものを選ぶようになってきています。上位を獲得した企業は、自らが選ばれるための付加価値のひとつとして、サステナビリティの分野でも凌ぎを削っています。  アパレル業界の主なサステナビリティ戦略は大きく分けて2つです。 サプライチェーンの改善 衣服に使われる資源のサステナビリティ向上  例えば、サプライチェーン改善のために、ナイキはサステナビリティの分野への関心が高く、長期的良好関係を築けるサプライヤーに調達先を限定しています。また、H&MはILO(国際労働機関)の定める国際労働基準および国連児童権利条約に基づいてCode of Conductを作成し、日々サプライヤー工場を訪問し、親密な関係を構築しています。(※1)さらに、これら2社だけでなくユニクロブランドを持つファーストリテイリングも2020年までに自社製品の製造工程すべてにおいて有害化科学物質を全廃することを約束しており、サプライチェーン改善に取り組んでいます。(※2)  資源のサステナビリティ向上の分野では、H&MはBetter Cotton Initiative(コットンのサステナビリティ向上に取り組む国際NPO)の活動に積極的に取り組んでいます。同社は2010年時点でオーガニックコットンを世界で最も多く利用した企業となり、2020年までに持続可能なコットンの調達を100%にするという目標を掲げています。2013年時点での進捗は15.8%で、毎年着実に比率を高めています。  ナイキのCSO(最高サステナビリティ責任者)・H&M担当社へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】ナイキが語る「サステナビリティ」と「イノベーション」 【スウェーデン】H&Mの考えるサステナビリティとファッション 自動車 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  自動車の売上高は、米国や中国では好調なものの、ヨーロッパの経済低迷が尾を引き、不況前の水準には戻っていません。また、各自動車の製品クオリティは全体的に向上している一方、ブランドとしての差別化は徐々に難しくなってきています。  自動車業界の主なサステナビリティ活動は大きく分けて2つです。 製品性能の改善 サプライチェーンの改善  現在、自動車メーカー各社は、エンジンの性能の向上に努めており、稼働効率や温室効果ガス排出量ともに以前と比べ改善されてきています。しかしながら、排ガス規制や燃費向上に関する規制は年々厳しくなっており、製造工程も含めたサプライチェーン全体での取組が求められるなど、社会からの要求レベルは上がっています。実際、気候変動対策の情報開示を求める機関投資家らによる国際イニシアチブのCDPが発表している報告書では、(1)自動車の走行中の温室効果ガス排出量、(2)次世代車両技術への取り組み、(3)製造時の温室効果ガス排出量 の3つの基準で各社が評価付けされています。(※3)  また、自動車メーカーにおけるサプライチェーン改善には、製造工程で発生する温室効果ガスの削減だけでなく、サプライチェーン上の人権問題も関わります。例えば、トヨタやフォードはガイドライン(The Automotive Industry Guiding Principles to Enhance Sustainability in the Supply Chain)を策定しています。同ガイドラインはサプライチェーン全体を通じて、社会、環境面の改善に取り組み、持続可能な形で成長を実現していくという高い基準のコミットメントを明確に示しており、特に倫理・環境・人権・労働に焦点が当てられています。(※4)  自動車業界各社が上記のような活動を行う中、特にBMWはBrandZの自動車業界で2位にランクインするだけでなく、ダボス会議で発表されている「世界で最も持続可能性のある企業100」でも総合6位を獲得するなど、サステナビリティの分野においても先進的企業だといえます。活動内容としては前述のものに加えて、ドイツのハンブルグ市の交通インフラに関するサステナビリティ向上プロジェクト(※5)や、アルミニウムのバリューチェーン全体におけるサステナビリティ向上を目的とする国際イニシアチブなどに参画しており(※6)、自社の事業に関わるサステナビリティ分野で広くリーダーシップを発揮していることが伺えます。 ラグジュアリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  ラグジュアリー業界は中国やブラジル、ロシアなどの景気停滞を受けて、ほとんどのブランドがブランド価値を下げる結果となりました。特に中国の影響は大きく、売上の1/3をアジア・パシフィック地域が占めているプラダなどは前年比で大きく収益やブランド価値を下げています。  さらに、ミレニアル世代はラグジュアリーブランドを「高い」と感じており、謙虚でサステナブルな生活を望む彼らのニーズに合致しづらくもなっています。MSL Groupの調査結果によると、ミレニアル世代の多くは、企業に対し消費者が社会的な課題に関われるようにしてくれることを望んでいることがわかっています。  ラグジュアリーブランドが全ての客層をターゲットにしているわけではないとはいえ、ミレニアル世代の経済圏は決して無視できるものではなく、サステナビリティ活動が新たな活路になることも考えられます。  そのようなラグジュアリー業界において、中心となっているサステナビリティ活動はサプライチェーンの改善です。例えば、グッチを抱えるファッション・コングロマリットのケリングは、自社およびグループ全体のサプライチェーンにおける環境への影響を計測し、金銭的な価値に置き換える自然資本会計を導入しています。(※7)それにより事業活動に対する理解を深め、環境負荷を減らすだけでなく原材料の調達リスクを含めたサプライチェーンの変化に対応することを可能にしています。  他にもジュエリーを取り扱うティファニーは、CSO(最高サステナビリティ責任者)を設置するだけでなく(※8)、ダイヤモンド産出国への積極的な投資によりサプライチェーンの健全性を維持する傍らで現地雇用の創出、スキルトレーニングなどを通じて地域経済にも貢献しています。同社はジュエリー業界の中でも珍しくダイヤモンドや貴金属を供給する鉱山の多くと直接取引を行っており、2013年には100%のダイヤモンド原石の調達を自社の目が行き届く採掘場所から行うことを実現しました。(※9)  一方で、ルイヴィトンをはじめ数多くのラグジュアリーブランドを抱えるLVMHグループやエルメスは、大手アパレル企業がサプライチェーン上で講じている有害物質除去・水質汚染対策の取り組み状況を評価した、グリーンピース・イースト・アジア公表のオンラインプラットフォーム「Detox Catwalk」で、コミットメント不足という評価をされてしまっています。(※10) トイレタリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  トイレタリー業界のグローバル大手は、製品性能そのものだけでなく、消費者および従業員の幸福といったサステナビリティ活動に本格的に取り組み始めています。  この理由は消費者の目が成熟してきていること、ミレニアル世代の存在、ソーシャルメディアの影響力の高まり等様々ですが、より崇高なビジョンを掲げることが製品の差別化に繋がっていると言えるでしょう。  そのためブランド各社、これまで理想像とされてきた美ではなく、健康やナチュラルさ、内なる美などを強調するようにもなってきています。消費者の選択性が強くなっていることや中国・ブラジルの成長鈍化などを受け、業界全体のブランド価値は昨年比2%しか伸びていませんが、消費者の目が成熟していることはサステナビリティ展開の追い風となると言えるでしょう。  トイレタリー業界は市場ニーズも相まってサステナビリティ活動が多岐にわたっています。 サプライチェーン改善 ダイバーシティの尊重 再生可能な原料の利用 再生可能エネルギーの利用 温室効果ガス削減 サーキュラーエコノミーの推進(廃棄物ゼロ&リサイクル) コミュニティ支援  例えば、ロレアルはSharing beauty with allというプロジェクトを実施し、全サプライヤーを社会・環境面での実績で評価することを宣言。結果として2014年末には2004年比で57%ものCO2削減に成功しています。また同プロジェクトでは再生可能エネルギーにも取り組んでおり、2020年の目標達成に向けて邁進しています。(※11)また、障がい者採用も積極的に行っており、社会に対して新たな機会を創出しています。(※12)CSR担当者向けITツールも積極導入しサステナビリティレポート作成に取り組んでいます。(※13)  「ダブ」ブランドの商品を持つユニリーバは、サステナビリティ戦略を積極展開していることで世界的に有名です。2010年にUnilever Sustainable Living Planというプロジェクトを開始、2020年までにビジネス規模を2倍にしながら環境負荷を減らし、社会にポジティブインパクトをもたらすことを目指しています。その達成に向けて同社は、サプライヤーやコミュニティの支援、貧困の撲滅に取り組むべくNGOと協力し気候変動への対応を呼びかけるキャンペーンや、リサイクル促進のために消費者家族に向けたキャンペーンを展開しています。  2015年現在、ユニリーバが調達する農作物原材料の55%以上は持続可能な形で調達されており、2020年までに100%持続可能な調達を実現するという目標を半分以上到達しています。さらに、同社は工場ネットワーク全体で非有害廃棄物の埋め立てをゼロにするという目標を達成したほか、2008年と比較して製造時にエネルギーから生まれるCO2排出量と水消費量をそれぞれ1トンあたり37%、32%削減することにも成功しています。(※14)  こうした試みもあって、サステナビリティ分野のアドボカシーNPOのセリーズが5月に発表した大手食品会社らの水リスク対応力を評価したランキングでユニリーバは1位を獲得したほか(※15)、国際NGOのオックスファムが3月に公表した大手食品・飲料企業10社の食糧課題・サステナビリティへの取り組み状況を評価したランキングにおいても1位、サステナビリティ分野のコンサルティング企業のSustainly社に公表した「ソーシャルメディア・サステナビリティ・インデックス」でも1位を獲得しています。(※16)  ユニリーバが全業界的に先進的であるために、同業者でサステナビリティ活動に遅れをとっている企業は何から始めればいいかを戸惑うかもしれません。そういった場合、まずはサプライチェーンの改善から取り組むべきだと言えます。サプライチェーンの見直しは、リスク管理になるだけでなく業務効率の向上も期待できるため、部門を超えて理解が得やすく、また数値的な効果も比較的見えやすいからです。  ユニリーバCEO、副社長そして、「ニベア」ブランドを持つバイヤスドルフ社のCorporate Communications & Sustainabilityを統括する副社長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【イギリス】ユニリーバのCEOが語るサステナビリティへのコミットメント 【イギリス】サステナビリティ目標の達成に向けてユニリーバが導入した新たな仕組みとは? 【ドイツ】世界を代表するスキンケアブランド「NIVEA(ニベア)」を支えるサステナビリティ戦略 小売 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  Alibabaの登場により、業界全体のブランド価値が急成長しているのが小売業界です。興味深いことに業界トップを走る二社はどちらもeコマースであり、実店舗を持っている企業ではありません。以前は価格、選択の幅、利便性のそれぞれがトレードオフであったものの、現在はこれらのeコマースを通し全ての便益を享受できるようになりました。来る高齢社会に向けてeコマースの存在は必要不可欠なものとなっていくでしょう。  小売業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 再生可能エネルギーの利用 再生可能な材料の利用 サプライチェーン改善  たとえば、アマゾンは国際NGOのGreenpeaceによる抗議活動を受けて、昨年11月にクラウドサービス部門、AWS(Amazon Web Service:アマゾン・ウェブ・サービス)に使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達するという誓約を発表し、大きな一歩を踏み出しました。(※17)しかし、その透明性については疑問視されており、風力発電によって生み出された100メガワットの電力を購入する計画を発表したものの、AWSがいまだ再生可能エネルギー比率が2%しかなく、これからの取組みに期待が寄せられます。(※18)  他にも、サステナビリティ先進企業として知られるIKEAは、自社および自社製品のサステナビリティ向上を通じて消費者の毎日の生活をより持続可能なものにするというビジョンの下、再生可能エネルギー投資を加速しており、その具現化が進んでいます。(※19) また同社は、LED技術を活用した省エネの追求やリサイクル可能な材料を利用することで、自社製品のサステナビリティを担保しつつ、手頃な価格を維持しています。(※20)  同じく実店舗を保有するウォルマートも、サプライヤーと協働によりサステナブル素材でできた商品の開発をしています。(※21)それだけにとどまらず、3月にサステナブルな商品だけを集めたオンラインショップを開設し、より一層の意気込みを見せています。(※22) ウォルマート会長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】「消費者はサステナビリティのためにより多くを支払うか?」に対するウォルマート会長の答え ビール (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国と南米の消費量の増大により、消費者からのブランド価値が向上しています。ミレニアル世代はビールの味において、間違いのないものよりも新感覚を欲しており、ビールメーカー各社はブランド内の商品ラインナップの拡充や、他社買収・ブランド開発による新ブランドの確立などの対応を迫られています。  それぞれのビールブランドには固有のアイデンティティーがありますが、時折クラフトビールの方がメジャーブランド以上に巧みなストーリーテリングでアイデンティティーの確立に成功しています。  そういったストーリーテリングとしての役割をも果たすのがサステナビリティ活動です。ビール業界が主に展開しているのは次の2つです。 サプライチェーンの改善 水の利用効率の改善  例えばハイネケンはストーリーテリングを通して同社のサステナビリティに対する取り組みをより多くの消費者に知ってもらおうと、ソーシャルメディアなどを活用したユニークなデジタルキャンペーンを展開しています。同社は2020年までに主要な原材料の50%を持続可能な調達にすることを宣言しているほか、新興国の水のサステナビリティに向けてUNIDO(国連工業開発機関)と協働で解決に取り組んでいます。(※23) 実際にハイネケンが行っているストーリーテリングの詳細は以下をご覧ください 【オランダ】ハイネケンが仕掛けるユニークなデジタル・サステナビリティ・ストーリーテリング ファストフード (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  マクドナルドの事件を受け、食の安全への関心が一層の高まりを見せています。ヘルシーかどうか、サプライチェーンは倫理的か、環境への責任を考えているか、そういった関心ある消費者にとってファストフードは不充分だと感じられてきています。  消費者の期待に応えるため、ファストフード企業各社も材料の調達からメニュー、店舗での経験価値を検討し直しています。ファストフード業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 サプライチェーンの改善 コミュニティ支援 ダイバーシティ  例えば、食の安全性に関する事件に揺れたマクドナルドは、今年3月に抗生物質を使用していない鶏肉のみの調達、rbSTと呼ばれる人工成長ホルモンが投与されていない牛の低脂肪ホワイトミルクと無脂肪チョコレートミルクを提供など、原材調達に関する新たな方針を発表しています。(※24)  他にもスターバックスは、CSRを単独の行動ではなく企業のDNAそのものとしており、水不足に対処するため水の供給源をカリフォルニア州からペンシルヴァニア州に変更するなど節水に取り組んでいます。(※25)また恵まれない若者を対象に就業プログラムを提供するなど地域コミュニティにも貢献しています。  ダイバーシティに関しても退役軍人を採用するだけでなく、アメリカ国内で白人警官による黒人射殺事件が発生した際には、顧客に手渡すカップに “Race Together”というメッセージを書き、消費者間における人種問題についての会話を促すキャンペーンも実施しています。(※26)  さらに、対内的には従業員の学位取得プログラムの学費の全額をスターバックス社が負担するなど従業員にも細やかな対応が見られます。(※27) ソフトドリンク (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者が人工甘味料を避けるようになり、ダイエットコークやエナジードリンクの消費量はあまり増えていません。長きにわたりコーラが人気であった中国やインド、メキシコ市場にも健康や肥満への問題認識が高まってきています。市場ニーズに応え、メジャーブランドは商品ラインナップの拡充や製品工場の見直し、生産工程におけるカーボンニュートラルなどに取り組み始めています。  ソフトドリンク業界が主に行っているサステナビリティ活動は次の2つです。 水の利用効率の改善 コミュニティ支援  たとえば最大手のコカ・コーラは2020年までの水資源保護目標を掲げ、進捗状況を公開しています。(※28)同社は世界自然保護基金(WWF)とパートナーシップを締結し、この水資源保護にグローバルに取り組んでいます。(※29)  また同社の持つロジスティクスを活かし、「100万人の就学児童に安全な飲料水を届ける」というプロジェクトも展開。(※30)それだけでなく医療インフラが整っていない地域に住む人々に対して、自社の物流やサプライチェーンを活用して医薬品や医療用品を届ける「ラストマイル・プロジェクト」をも展開し地域コミュニティの支援にも貢献しています。  さらに技術革新により世界初の100%植物性由来のペットボトルを開発することにも成功し、環境・社会面への正の影響の向上、食品の安全性に対する悪影響の回避というコカ・コーラの基本原則の下、強固なブランドを築き上げています。(※31)  コカ・コーラの地域コミュニティ支援の詳細は以下をご覧ください 【アフリカ】コカ・コーラ、アフリカで医薬品を供給する「ラストマイル・プロジェクト」を10ヶ国へ拡大 【アラブ首長国連邦】1ヶ月で200万人が視聴。コカコーラが始めた新キャンペーン”Hello Happiness” 金融(銀行・保険) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  グローバルに展開する銀行は、世界を不況に陥れたことが明らかになり、依然として社会から厳しい目で見られています。他方、ローカルに展開する銀行は、世界的な金融危機の際に、悪事に加担していないとみられたことからグローバルバンクと比べて社会的信用力が高いとされており、現在業界全体での成長性はローカル銀行の方が高くなっています。  また、保険業界は、提供するサービスのコモディティ化を避ける取り組みを展開しています。また、中国では生命保険は急成長している業態で、中国の保険会社らが牽引し業界全体での成長率は高くなっています。  金融業界が長期的な視点に基づく投資として主に取り組んでいるサステナビリティ活動は以下の3つです。 ESG投資 グリーンボンド リスク管理  ESG投資としてはUNPRI(国連投資原則)に署名し、今まで特殊な資産運形態とみなされていたESGを、通常のアセット運用でもリスク管理のひとつに加えていく動きが加速しています。また、気候変動の原因となる温室効果ガスの主たる排出元セクターに対する投資を長期的な観点からリスクと認識し、再生可能エネルギーファンドへの出資も大きなトレンドです。  グリーンボンドの発行分野では、例えば、モルガン・スタンレーは昨年10億円規模のグリーンボンド案件に関わるなどで貢献しています。(※32)  またリスク管理としては、ERP(統合リスク管理)やバーゼルⅢで検討されている銀行の資産健全性の強化などが挙げられます。  ESG投資に関する詳細は以下をご覧ください。 【金融】世界と日本のSRI・ESG投資最前線 石油・ガス (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  アメリカのシェールガス革命や中国の景気の減速を受けて原油価格が低下したため、上流ビジネスである石油の採掘は控えられるようになっています。このような事態を受けて業界各社は、比較的利益率の低い下流ビジネスの製油所やガソリンスタンドの見直しに注力する結果となりました。  資源が直接収益に繋がる石油・ガス業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動は温室効果ガス排出量の削減です。  たとえば英国エネルギー大手のBPは4月の年次総会で低炭素経済の実現に向けた事業の変革を促すための株主提案であるResolution 25を可決しました。この決議案の中には、温室効果ガス排出削減マネジメントによりCDPのパフォーマンスバンドでA評価を獲得することや、ポスト2035シナリオに向けたアセットポートフォリオのレジリエンス強化、低炭素エネルギーのR&Dや投資戦略策定などが含まれています。(※33) テクノロジー(消費者・法人向け) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  テクノロジー業界は、競争と移り変わりが激しく、それぞれのブランドにとって消費者を安心させロイヤリティを高めることがより重要となってきます。BrandZ総合ランキングのトップ4は全てテクノロジー企業が占めており、その影響力の高さが伺えます。  テクノロジー業界はそれぞれの企業の提供しているサービスが多岐にわたりそれぞれの企業が強みを活かしたサステナビリティ活動を展開していますが、主なものは次の3つです。 サプライチェーン改善 再生可能エネルギー ビッグデータを活用したサステナビリティ活動のサポート  例えば、アップルはサプライヤー19カ国633施設での監査及び3万人の従業員に電話インタビューを実施し、サプライヤー規範に則したサプライヤーのみと契約を継続しています。実際2014年時点で規範に違反する18社との契約を解除しています。(※34)それだけでなく、同社は初めて有害物質のポリ塩化ビニル(PVC)と臭素化難燃剤(BFRs)を外部ケーブルも含む全製品から取り除いた企業でもあります。(※35)  また、同社は国際NGOのGreenpeaceの抗議活動を受けて再生可能エネルギーへの投資も行っており、太陽光発電所や再生可能エネルギー100%のデータセンターの建設などが進められています。(※36)アップルに並び業界を代表するグーグルも風力発電ファンドを組成し、再生可能エネルギーへの投資を進めており、グリーンインターネット化が推進されています。(※37)  SAPはToyota Info Technology Center USA、VeriFoneと共同でドライバーのガソリンスタンド探しをシンプルにするプロジェクトを推進し、無駄なエネルギー消費の削減に取り組んでいます。これら3社はそれぞれの技術を活かし、車両の位置やルート、燃料レベルなどの情報収集、POSソリューション、テレマティックスデータを統合しソリューションを提供しています。(※38)  IBMは食品大手のMarsと提携しグローバルサプライチェーンにおける食の安全の確保に取り組んでいます。(※39)同じく食に関わるものとしては農業のサステナビリティ向上のためにビッグデータ解析ソリューションを提供もしています。(※40)さらには、市民一人一人から寄付されたコンピュータの空き容量を集め、仮想スーパーコンピュータを創りだし、科学者に気候変動関連オープンデータ分析のために無料で提供するといったプロジェクトのコーディネートも行っており、自社の強みをサステナビリティに活かす好事例といえるでしょう。(※41)  これらテクノロジー企業を代表するアップルの環境イニシアチブ担当副社長、SAPのサステナビリティ責任者へのインタビューおよびオラクルのサステナビリティ戦略に興味のある方は以下をご覧ください。 【アメリカ】アップルはどのようにサステナビリティ先進企業になったのか? 【アメリカ】SAPのサステナビリティ責任者が語る、統合報告とサステナビリティ戦略 【アメリカ】オラクルのサステナビリティ戦略 通信 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国やインドでのスマートフォン利用者の拡大を受けて、通信業界では巨大市場を押さえるためのM&A等が進んでいます。またIoTへのインフラ投資といった将来への投資機会にも恵まれています。一方でインターネット・プロバイダーがネット回線での通話を可能にするなど新たな競合の参入という事態にも直面しています。  そのような通信業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動はエネルギー利用効率の改善です。  たとえばAT&Tはエネルギー効率化や省エネを目指しIoTを推進しています。しかし一方でIoTの進展は、電子廃棄物の増加という新たな問題を生むことを危惧されてもいるのも事実です。(※42)また同社は、ダイバーシティの促進に積極的なことでも知られ、ダイバーシティがビジネスにもたらす利益について周知することを目的とする組織DiversityIncからも、ダイバーシティへの取り組みに積極的な上位50社に選ばれ、見事トップ10入りを果たしています。(※43)  他にもVerizonはアメリカ国内において教育水準の低い24の地域の教師に対し、モバイル通信記述を活用した教育メソッドを提供し、地域コミュニティに貢献しています。(※44) 総論  今回のBrandZのランキングは中国の景気減速を示しつつも、中国企業の台頭を明確に示すものとなりました。市場のグローバル化に伴い、新興国企業がグローバル市場での新たなプレーヤーとして登場するなど、今後製品性能や価格戦略による差別化はますます厳しさを増していきます。  その中、BrandZに選定されている企業の投資パフォーマンスは2006年からの10年間で102.6%上昇しています。これはS&P 500の63%、MSCIの30.3%よりはるかに高く、消費者視点でのブランドがいかに企業にとって重要なものかを物語っています。  そのBrandZにランクインする各業界トップ企業のサステナビリティ戦略を参考にすることで、より現実的な路線でそれぞれの企業が自社の事業領域の中でどのように責任を負い、またその責任を全うするためにどのような行動をしていくべきかが見えてくるでしょう。

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2015/06/18 体系的に学ぶ

【アメリカ】スターバックス、カリフォルニア州の節水対策としてEthos Waterの調達拠点を州外へ

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 米国スターバックスは5月7日、カリフォルニア州で深刻化している水不足を受け、同社の商品であるEthos Waterの調達・生産拠点を州外へと移転させることを発表した。同社は今月から半年間にわたり、Ethos Waterの生産をペンシルベニア州にあるサプライヤーに移転させると同時に、西海岸における同商品の流通分を確保するために新たなサプライヤーと水源を検討するとしている。同社はこれまでにも節水キャンペーンに積極的に取り組んできており、グリーンビルディングの導入や節水の推進により、同社のカリフォルニア州における水使用量を26%削減してきた。  スターバックスのグローバル責任・公共政策担当副社長を務めるJohn Kelly氏は「我々は記録的な干ばつに見舞われているカリフォルニア州を支援し、責任を果たすことを約束する。店舗における水使用量を25%以上減らし、Ethos Waterの調達・生産拠点を州外へと移転させる今回の意思決定は州政府・自治体と共に節水対策を活性化していくための一歩だ」と語った。  2005年にスターバックスに買収されたEthos Waterは、水をめぐる人道的危機を改善すべく、きれいな飲料水へのアクセスができない数億人の人々に対してサービスを提供している。2005年以降、スターバックスはコーヒー産地であるアフリカ、インドネシア、ラテンアメリカ諸国における浄水へのアクセス向上、衛生改善および衛生教育に1200万米ドル以上を投資してきた。  世界的にリスクが高まりつつある水問題。水不足により水の安定調達が難しくなれば、それはコストや調達リスクとして事業運営に深刻な影響を及ぼしかねないことを考えると、カリフォルニア州に事業拠点をもたない企業にとっても今回のスターバックスの動きは決して他人事とはいえないものだ。 【参照リリース】Starbucks Moves Quickly to Find a New Source for Ethos Water Outside California 【企業サイト】Starbucks (※写真提供:Kritchanut / Shutterstock.com)

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【アメリカ】スターバックス、アリゾナ州立大との提携により米従業員の大学授業料を全額負担へ

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 米スターバックスは4月6日、昨年6月に始まったアリゾナ州立大学との提携による奨学金制度の規模を拡大したと発表した。対象となるのは米国の従業員で、アリゾナ州立大学のオンライン学位取得プログラムの学費の全額をスターバックス社が負担する。なお、学位取得後にスターバックスに残る義務はなく、奨学金の返済義務もない。  スターバックスは上場企業としてのCSRの一環としてこの奨学金制度を開始。奨学金を通じて従業員の将来のキャリアにおけるチャンスを広げることを目指している。これまでは同社が負担する学費は大学3、4年次に限られていたが、今後は米国で働く従業員は定時制、全日制を問わず全額奨学金を受けながらアリゾナ州立大学のオンライン学位プログラムを通じて4年制大学の学位を取得することができるようになる。  「誰もがアメリカンドリームを見るチャンスを持っている。しかし、残念ながら多くのアメリカ人、特に不利な状況に置かれた若者は、大学の学費が払えない。また、奨学金の返済に追われている人も多い。4年制大学の学費全額を負担することで、我々は従業員に人生における大事な道具を与えています。成功への道を国民みんなに与えることで、この国はもっと強くなる」とスターバックスCEOのHoward Schultz氏はコメントしている。  アリゾナ州立大学のオンライン学位取得コースで取得できる学位は49種類。今まで約2000人がこの制度を利用しており、スターバックス社は2025年までに25,000人以上に学位を取得させる目標だ。そのための投資額は10年間で2億5000万ドル以上に上る。  アリゾナ州立大学は世界のランキングで100位以内に入っており、オンライン学位プログラムの質にも定評がある。 学長のMichael Crow氏は「この学位取得プログラムを通じて、革新的な企業が先進的な考え方の大学と協力すれば、どんなことが成し遂げられるかを示せたと思っている」と述べ、より多くの人々に高等教育の機会を提供できると喜んでいる。  また、米国教育省長官Arne Duncan氏もこの取り組みを高く評価。「このような革新的な戦略があれば、より多くの学生が教育を受ける機会を得られます。他の企業、大学にも取り組んでもらい、高等教育を手の届くものにしていきたいです」と、期待を寄せている。  返済義務のない奨学金で働きながら学位を取得できる夢のような制度として評判となっているスターバックスの取り組みだが、同社がここまで積極的に従業員支援に取り組む背景には、米国小売業の労働市場における昨今の競争激化がある。今年の2月に時給制で働く従業員の最低賃金を38%上げると発表したウォルマートを筆頭に、小売・飲食大手各社が労働条件の向上に取り組む中、従業員に対するキャリア支援や福利厚生の充実はCSRの観点だけではなく優秀な人材を採用、維持し続けるという観点からも重要性を増しつつある。 【参照リリース】Starbucks and ASU Offer Four Years of College with Full Tuition Coverage 【企業サイト】Starbucks (※写真提供:Bocman1973 / Shutterstock.com)

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【カナダ】スターバックス・カナダ、恵まれない若者を対象に就業プログラムを開始

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(画像元:Deymos Photo / Shutterstock.com) カナダでは今、16歳から24歳までの若年失業率が国全体の失業率の2倍以上の高さとなっており、大きな社会問題となっている。就業機会だけではなく、就業機会を得るためのスキルすら得られない若年層が増えてきているのだ。そこで立ち上がったのがスターバックスだ。 スターバックス・カナダは6月12日、バンクーバー、カルガリー、トロントにおいて、各地のNPOと協力し、恵まれない境遇にある若年層に対し、キャリア開発の一環として同社の従業員向け研修プログラムを提供すると発表した。 同社は本プログラムに対して今後3年間で84万ドルを投入する予定だ。最初の1年間で、ホームレス、里親がいない、中毒からの回復途中、高等教育を十分に受けられていない、教育費用を賄う金銭的余裕がない、精神的疾患に悩まされている、といった様々な事情を抱えた134名の若者に店舗での業務を担当してもらう。その業務体験を通じて若者らが、将来の就職先を見つける、あるいは進学のために学校に戻ることができるよう支援するのが狙いだ。 スターバックス・カナダの地域広報部部長を務めるLuisa Girotto氏によれば、同プログラムは「困難な生い立ちを抱えた若者たちに、『希望』というプレゼントを与えるもの」だという。 スターバックスは、バンクーバーに1号店となる店舗のオープン以来ずっとカナダの若者支援を行っており、現在では、従業員の60%を若年層が占めている。また2009年以降は、若年層のビジネス実務知識取得や社会道義心の育成を支援している若年組織に対し、スターバックス財団を通じて総額79.4万ドルのStarbucks Youth Leadership奨学金を提供している。 バンクーバーが位置するブリティッシュ・コロンビア州南部では、過去10年間で350人以上の若者がバリスタブログラムを修了しており、そのうちの80%が進学あるいは就職に成功している。就職した者の中には、スターバックスに正社員として採用された者もいる。 バンクーバー、カルガリー、トロントにそれぞれの拠点を置くNPOのPacific Resources Community Society、Wood’s Homes、The Yonge Street Missionらもスターバックスの取り組みを高く評価しており、今後も協力関係を強化し、若者の支援をさらに充実したものにしたいと意欲を見せている。 スターバックスは、カナダの大学生に対する調査において、「最も理想的な企業」に選出され、「働きがいのある会社」としても4年連続で1位を獲得するなど、若年層からの支持も高い。 【企業サイト】Starbucks Canada 【団体サイト】Pacific Resources Community Society / Wood’s Homes / The Yonge Street Mission

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【アメリカ】Green America、スターバックスに対しGMOで育った牛のミルクの使用停止を求めデモを展開

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スターバックスの消費者およびNPO活動家らは5月29日、ワシントン州シアトルで大手コーヒーチェーンのスターバックスに対してGMO(遺伝子組み換え作物)飼料により育てられた牛のミルクの使用停止を求めるデモを行った。 デモを主導したのは米国の消費者擁護団体Green America(グリーン・アメリカ)で、今回のデモは動物飼料として使用されるGMOに関する可視性と消費者意識の向上を目的とするGMO Insideキャンペーンの一環として、シアトル市内のチャイナタウンにあるスターバックス店舗で行われた。 シアトルはスターバックス本社が拠点を構える同社の象徴とも言える場所で、地元の消費者やシアトル在住の同社幹部らの注目を集めるのが狙いだ。 Green Americaのフード・キャンペーンディレクターを務めるNicole McCann氏は、「スターバックスは毎年大量の牛乳を購入するグローバル企業であり、乳製品のサプライチェーンの動向を左右する力を持っている。スターバックスの従来のオペレーションはGMOや工場式農場、殺虫剤などに基づく有害な食物システムを支えてしまっており、人間や動物、植物、環境に悪影響を与えている。しかし、我々は、スターバックスにはまだ改善の余地があり、消費者もそれを望んでいることを知っている」と語る。 今回のキャンペーンは、遺伝子組み換え飼料で育った牛から作られる乳製品をはじめ、畜産品に含まれるGMOに対する消費者意識の向上を目的としており、Green America、Food Democracy Now!、Organic Consumers Associationらの協力のもと、スターバックスのCEOを務めるHoward Schultz氏に対する署名は既に8万名以上も集まったとのことだ。 ここ数年、米国では反GMOキャンペーンが加熱している。例えばスナック菓子によく使用される高果糖コーンシロップなど、遺伝子組み換え食品に対する消費者の意識はますます敏感になってきている。その一方で、米国では畜産業がGMO動物飼料の最大の購入者の一つとなっていることはほとんど知られていないのが現状だ。 乳製品はそれ自体がGMOによって作られているわけではないものの、家畜が摂取するGMO飼料の影響を少なからず受けることになる。 CAFOs(Concentrated Animal Feeding Operations:集中家畜飼養)で育てられる牛に与えられるトウモロコシ、大豆などの穀物飼料のほとんどはGMOであり、これらの作物は土地と水質を劣化させ、人間や家畜に健康被害をもたらす可能性がある。 食の安全性に対する意識の高まりを受けて、サプライチェーンに多大な影響力を持っている大手小売りチェーンや食品メーカーに対する消費者やNPOからの圧力は日増しに高まってきている。 ただ、これらのステークホルダーからの圧力は社会課題に対して強い変革力を持つ企業に対する期待の裏返しとも言える。ステークホルダーの要求に真摯に対応し、自社製品やサプライヤーの透明性を高め、積極的に問題解決に取り組んでいくことができれば、企業にとっては新たな信頼獲得の機会ともなる。スターバックスの今後の対応にも注目していきたい。 【参考サイト】GMO Inside 【NPOサイト】Green America 【企業サイト】Starbucks

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【アメリカ】スターバックス 「CSRは単独の概念ではなく、企業DNAそのもの」

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米Starbucksの広報担当役員Corey duBrowa氏は、ジョージワシントン大学政策管理大学院が開催したウェビナーでスピーチを行い、受講生に対して同社におけるCSRの意義について「スターバックスにとってCSRは、CSRという単独の活動ではなく、企業DNAそのものだ」と力説した。Corey duBrowa氏によると、スターバックスではCSRというテーマで議論がされることはないという。同社では、むしろ常に企業の価値や原則に関する話し合いが行われており、その議論から社会的に責任をもつための製品、オペレーション、ブランドづくりが生み出されている。「社会的な良識を組織に根付かさせる方法は、オペレーション、サプライチェーン、ガバナンスについての包括的なチェックを行うこと。その結果、全ての事業運営に良識が反映されるようになる」「会社全体が社会的に責任を持つことで、臆することなく社外に対してメッセージを発信できるようになる」Corey duBrowa氏はそう語った。2008年からの金融危機に際し、スターバックスは企業理念の源泉に立ち戻ることで、政府が推進する雇用創出プログラムを推進したり、企業の政治献金を抑制する運動にも参加してきた。このような大胆なプログラムは、CSRとは何かというを考えることではなく、自社の価値は何かという根本的な議論を常に問い続ける組織文化から生まれたという。Corey duBrowa氏は、このような活動にスターバックスが参加することのメリットについて、「活動はスターバックスと米国社会の双方にとって利益があるのです。市民は意義のある会社を支持したいということを私たちは知っています。」と説明する。日本にはCSRと事業経営を分離して考える傾向がまだ強い。「CSRのために何をするか?」という問いが存在することがその証左だ。一方で、生産、流通など各現場においては、常日頃から省エネを進めるなど意識は高い。CSRのためのCSRではなく、CSRを企業経営と融合させるためには、あえてCSRという言葉遣いをせず、それぞれの業務分野の意思決定や改善において、CSR的な要素を取り入れてチェックをしていくという姿勢が必要なのかもしれない。【企業サイト】Starbucks

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