【イギリス】英国規格協会、世界初のサーキュラーエコノミー規格「BS8001」発表

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 英国の標準化機関、英国規格協会(BSI)は6月1日、サーキュラーエコノミーに関する規格「BS8001:2017(Framework for implementing the principles of the circular economy in organizations)を発表した。同規格は、企業や個人がサーキュラーエコノミーの目的である経済、環境、社会に資する資源の使い方を検討するためのガイドライン。サーキュラーエコノミーに焦点を当てた規格として世界初。  サーキュラーエコノミー実現の重要な鍵を握るのは、商品、部品、素材の使用率と価値を全ての使用ステージにおいて高めることにある。使用後や廃棄後の資源をいかに回復または再生産かが重要となる。BS8001はサーキュラーエコノミーの定義から入り、組織がサーキュラーエコノミーを推進する手法についての大きなフレームを提示している。  BS8001では、サーキュラーエコノミーを考える上で6つの分野(イノベーション、スチュワードシップ、価値の最大化、透明性、コラボレーション、システムシンキング)に規格を区分し、各分野において組織がサーキュラーエコノミーに近づくのに必要な手順を紹介している。また、システムシンキングとは組織や個人など個々の主体の意思決定が全体の意思決定にどのような影響を及ぼすか考慮することを指す。例えば、第一の手順として、特定の組織におけるサーキュラーエコノミーの意義の明確化等が挙げられている。  また、BS8001は、認証規格ではなく、幅広いタイプの組織に活用してもらうため、対象とする組織規模や業種、法人形態、場所、サーキュラーエコノミーの推進度合いは特に定めていない。  BS8001は、策定過程において、大学研究者やNGOだけでなく、マークス&スペンサーやロールスロイスなど英国企業からの意見も収集。実用しやすい内容・言葉遣いとなっている。また、サーキュラーエコノミー導入のカギを握る効果測定、責任と保険、ロジスティクス、素材など重要度の高い詳細項目については個別のガイドライン内容も含んでいる。同様に、関連の深いリース、シェアリングエコノミー、リマニュファクチャリングについても特筆している。  今回の英国規格は、任意のガイダンス規格であり、すぐに参照する企業が増えるわけではない。しかしながら、サーキュラーエコノミーではEU加盟国では政府の重要政策にもなっており、他の政府や産業界、個別企業などが自主的に参照するところも出てくるだろう。世界初のサーキュラーエコノミー規格が出来た意義は大きい。 【参照ページ】Ground-breaking British Standard for the ‘circular economy’ launched

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【アメリカ】ペプシコ、「ニュー・プラスチック・エコノミー」にコアメンバーとして参画

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 飲料世界大手ペプシコは5月17日、プラスチック・パッケージのリサイクル等を推進する国際イニシアチブ「ニュー・プラスチック・エコノミー」にコアメンバーとして参画すると発表した。「ニュー・プラスチック・エコノミー」は、英国のエレン・マッカーサー財団が主導している活動。企業、政府、NGO、学者、市民が一体となって、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方に従って、プラスチック・パッケージを循環可能なものにしていく取組を推進している。  ペプシコは以前から、2025年までに全てのプラスチック・パッケージを生分解可能またはリサイクル可能な素材に変えるという目標を掲げており、今回の「ニュー・プラスチック・エコノミー」コアメンバーへの参画はその取組の一環。イニシアチブの中で他社と知見を共有することで、目標の実現を目指す。  同社は、「ニュー・プラスチック・エコノミー」コアメンバーへの参画以外でも、 2017年3月から、バイオテクノロジー企業の米Danimer Scientificと生分解可能な樹脂フィルム素材の開発で協力 ペプシコ財団を通じて、包括的なリサイクル支援基金Closed Loop Fundを設立し、1億米ドルを投入。路上ゴミのリサイクル等も含め米国のリサイクル率を向上 ペプシコ・リサイクリング・イニシアチブでは、米国の義務教育課程、大学、地域社会と協力し、リサイクル率向上のためのプログラムや啓蒙活動を実施。2010年より、4,000校以上とパートナーシップを結び空き缶や空きボトル9,300万をリサイクル。同校に対して合計100万米ドルをインセンティブと支給。 などの活動を実施している。 【参照ページ】PepsiCo joins New Plastics Economy Initiative as Core Partner

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【スウェーデン】H&M財団、第2回Global Change Award発表。アパレルのサーキュラーエコノミー

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 アパレル世界大手H&Mの財団であるH&M財団は4月6日、アパレル産業のサーキュラーエコノミー(循環型経済)を推進する「Global Change Award(GCA)」の2016年度受賞者を発表した。GCAは2015年に始まり、今回が2回目。同時にH&M財団は、アクセンチュアと共同で、持続可能なアパレル業界の将来に関する「トレンド・レポート」も発表した。  第2回GCAは2016年9月から、アパレル業界のサーキュラーエコノミーを実現するための事業アイデアの公募を実施。130か国からおよそ3,000のアイデアが集まった。その中から、3月27日から4月2日までのオンライン投票で受賞者を選抜。受賞者にはH&M財団より総額100万ユーロ(約1.2億円)が支給され、さらに今後1年間、H&M財団、スウェーデン王立工科大学、アクセンチュアが協賛するアクセラレーター・プログラムに参加し事業化を進めていく機会を得る。 Global Change Award(GCA)2016 受賞者 Grape Leather(イタリア 賞金30万ユーロ):ワイン生産から出る廃棄物をフェイク・レザーに転換 Solar Textiles(米国・スイス 賞金25万ユーロ):ナイロン素材を、水、太陽光、工場廃棄物のみで生産 Content Thread(米国・英国 賞金15万ユーロ):洋服生地そのものにスキャン可能なサプライチェーン情報を埋め込み Denim-dyed Denim(オーストラリア 賞金15万ユーロ):使用済ジーンズを新品ジーンズの染色に活用 Manure Couture(オランダ 賞金15万ユーロ):牛の排泄物に含まれる成分から洋服生地を生産 【参照ページ】Five innovators awarded for ideas that help create a waste-free fashion industry

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【5/17@東京 セミナー】環境省担当者に聞く「世界のサーキュラー・エコノミー動向」

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『環境省担当者に聞く「世界のサーキュラー・エコノミー動向」~21世紀の 企業の競争力の源泉にするために(2017年5月17日開催)』  日本にはもともと「循環型社会」「循環型経済」の先頭を走ってきたという自負がありましたが、しばらく前から、新たな循環型経済への動きが、主に欧州で活発化してきました。EUの政策の中心の1つに据えようという産官学一体の動きも出てきており、注目すべきは、単なる環境政策ではなく、「産業政策」としての位置づけでの国家的な注力が増えていることです。  環境の側面からも歓迎すべき動向ですが、この「21世紀の企業の競争力の源泉」に対する日本の政府や産業界、企業の認識はまだ低いのが心配です。また、「循環を可能にする技術」への力点も大きなポイントであり、日本企業としても必ず押さえておくべきテーマの1つであると考えています。  そのような問題意識から、今回は、欧米を中心に注目されつつあるサーキュラー・エコノミーについて枝廣より簡単な解説をさせていただいたあと、環境省で廃棄物・リサイクル対策の担当をされている井上 雄祐さまをお迎えし、3月末に視察に行かれた欧州のサーキュラー・エコノミーに関する動向や内情について、最新情報をお話しいただきます。  サーキュラー・エコノミーの最新の動向を学び、自社の今後の取り組みや方向性に対する意味合いを考えていきたいと思います。  奮ってのご参加、お待ちしております。 【概要】 ◆日時:2017年5月17日(水)13:30~17:00予定 ◆会場:調整中(主催者から個別にご連絡いたします。) ◆参加費:8,200円(税込/おひとりさまあたり) ◆対象:人事・環境・CSR・IR・調達・経営企画ご担当者さま ◆主催:イーズ未来共創フォーラム(有限会社イーズ) ◆詳細はこちらから↓ http://www.es-inc.jp/network/forum/2017/nwk_id008977.html 有限会社イーズ 事務局 館岡 info-partner@es-inc.jp

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2017/04/13 行動する

【アメリカ】100%リサイクル可能なカーペットが誕生。大手モホークとDSM-Niagaが協働

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 米国第2位のカーペットメーカー・モホークは1月、100%リサイクル可能なカーペットを発表した。カーペットは、通常、複数の繊維素材で多層的に編み込んでいくためリサイクルが非常に難しい。カーペットをリサイクルするためには、構成している繊維をひとつひとつばらばらにしていく作業が必要となり、その作業に多くに人件費や工程コストがかかるためだ。モホークはこの難題を、オランダの化学メーカーDSMと同国でリサイクル可能なカーペット製造を研究してきたNiagaの合弁会社「DSM-Niaga」との連携によって解決した。  DSM-Niagaが2016年11月16日、カーペットの100%リサイクルを可能にする新たな素材「Niaga® technology」の量産が可能になったことを発表した。このテクノロジーは、カーペット製造に必要な複数素材構成を、全て単一のポリエステル素材のみで生産できるというもの。単一素材の加工のみで複数素材が実現してきた複雑な機能を備えることができるため、カーペットが廃棄された際に繊維を解きほぐすことなくそのまま再利用ができる。また再利用の性能も優れており、廃棄カーペットから同質で同量のカーペットをそのまま製造できるため、資源をほぼ無限に再利用できる。EUを中心に現在「サーキュラーエコノミー」という資源を無駄にしない循環型社会というコンセプトが生まれているが、今回のNiaga® technologyはまさにそれに資するものとなる。原料であるポリエステルは原油由来の物質だが、再利用することで原油採掘を削減することもできる。  Niaga® technologyは製造過程でも優れている。積層加工プロセスにおいても、水を一切使わず、またエネルギー使用量も95%削減できる。従来のカーペットには、人体への悪影響のおそれがあるラテックスやPVC(ポリ塩化ビニル)、瀝青も一切使用しなくて済む。DSMとNiagaは2014年に「DSM-Niaga」を設立して以来、この技術の開発に勤しんできた。  モホークは、このNiaga® technologyを、新たなカーペットブランド「Airo」に用いた。Airoは、今年1月にロスアンゼルスで開催された「International Surface Event(TISE)」の中で商品発表がなされ、その場で製品デザイン・イノベーション賞を受賞。DSM-Niagaが開発した技術が、カーペット大手モホークとの協働を経て、結実した。 【参照ページ】DSM-Niaga ready for commercial scale production of 100%-recyclable carpets 【参照ページ】The First 100% Recyclable Carpets Are Here

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【オランダ】INGバンク、アジアの持続可能な社会に向け資金提供プログラム「SFC Asia」を開始

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 金融世界大手オランダのINGグループの銀行部門、INGバンクは11月22日、アジア地域を対象に、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)、再生可能エネルギー、社会インパクトの3つのテーマに関するプロジェクトに資金と専門家サービスを提供する新たなプログラム「Sustainable Finance Collective Asia(SFC Asia)」を開始すると発表した。  INGバンクは、今後アジアでこれら3つのテーマが拡大していくと見越し、今回のプログラムをスタートさせた。SFC Asiaには、ファンディング(資金提供)パネルと専門家パネルの2つの委員会を設置し、この2つの委員会の承認を得たプロジェクトに対し資金と専門家サービスを提供する。ファンディング・パネルは、INGバンクの他、クレディ・スイス、オランダ開発金融会社(FMO)、国連開発計画(UNDP)の社会インパクト基金が構成メンバーとなり、デット(融資や社債)、株式、信用保証など様々な種類の資金提供を検討する。一方の専門家パネルは、コンサルティング会社Atkins Acuity、Clifford Chance法律事務所、サステナビリティ・コンサルティング企業Sustainalyticsなど社会や環境の分野の専門家で構成される。  採択されるプロジェクトは、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)、再生可能エネルギー、社会インパクトの3つのうちのいずれかをテーマとするものでなければならない。対象となるプロジェクト規模は、前2つのテーマでは最低1,500万米ドルから。社会インパクトをテーマとするプロジェクトは、500万米ドル以上であれば信用保証提供の対象となる。資金提供額には上限はなく、プロジェクト毎に個別に判断される。採択されたプロジェクトには資金提供以外にも、専門家パネル構成機関からの専門的なサポートが受けられる。  プロジェクトの募集は、12月からプログラムのホームページ上で開始する。 【参照ページ】Financing your sustainable activities 【プログラム】Sustainable Finance Collective Asia(SFC Asia)

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【ハイチ】HP、ごみ埋立場で生計を立てる貧困層を支援。リサイクルフロー確立を同時に目指す

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 電子機器世界大手HPは9月21日、ハイチのごみ埋立現場で生じている社会問題の解決に乗り出すことを発表した。ハイチのごみ埋立場では、貧困層の子どもたちがリサイクル可能な製品を収集して生活のための貴重な財源となっていると同時に、不衛生で危険な現場での作業のため健康不安も抱えている。HPは、健全なサーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現するために、ごみ埋立場でのリサイクル品収集に従事している子供や親に対して教育機会を提供するとともに、より正式な形でリサイクル利用していくオペレーションを構築していく。  今回の取組は、今年9月にニューヨークで開催されたイベント「クリントン・グローバル・イニシアチブ(CGI)」の中で発表された。取組にはHPの他にも、靴製造大手のティンバーランド、アパレル製品のリサイクルに取り組むThread International社、ハイチでの活動を展開するNGOのTeam Tassy、プラスチック製品リサイクルNGOのACOP(Association des Collectors des objets en Plastic)が共同参加する。クリントン・グローバル・イニシアチブはクリントン元米国大統領が2005年に始めたイベントで、社会問題を解決するためのアイデアをシェアしている。  具体的内容としては、今後3年間、ハイチのTruitier埋立場の子どもたち200人以上に奨学金を支給し、教育の機会を提供すると同時に、健康や安全に関する講習会も開催する。また親に対しては就業訓練の場を提供するとともに現地の起業家に30万米ドル以上を資金提供する。HPはさらに、同埋立場から回収されたペットボトルを購入することを決定し、同社のインクカートリッジにリサイクル原料として使用していく。同社はすでに1日100万本以上のペットボトルをリサイクル原料として用い、年間で30億個以上のインクカートリッジを生産しており、今回そのオペレーションをハイチに拡大する。 【参照ページ】HP partners with Thread International, Timberland to help Haitian children, families 【イベント】CGI 2016

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【イギリス】世界初のサーキュラーエコノミー修士課程、クランフィールド大学が開講

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 英国のクランフィールド大学は3月8日、世界初となる「サーキュラーエコノミー修士」を2016年10月に開講すると発表した。正式名称は、「サーキュラーエコノミー:テクノロジー・イノベーション・マネージメント」。エグゼクティブ向けのパートタイムコースで、授業はキャンパスでのレクチャーとウェビナー(オンライン・セミナー)との組み合わせで行われる。エレン・マッカーサー財団がこのプログラムをバックアップする。  このプログラムは、工学と環境科学を融合させた学際的な内容となっている。従来の「take(調達)・make(製造)・dispose(廃棄)」というビジネスアプローチを、より持続可能なアプローチへと転換させるのが狙いだ。資源を修理・再利用・再生できる経済モデルを強化し、資源や製品を最も価値ある形で有効活用する方法を追求していく。  エレン・マッカーサー財団の試算によると、ヨーロッパ全体でサーキュラーエコノミーを実現した場合、毎年1.8兆ユーロ相当の経済的メリットがあるという。この分野でも英国ではシェリングエコノミーの可能性が議論されており、ソーシャルメディアの利用による個人間の金融、ネットによる人材募集、個人間の住宅や部屋の貸し借り、自家用車の共有や音楽・ビデオのストリーミング、この5つの分野だけでも2025年までに90億ポンド相当の収益につながるという。Airbnbのビジネスモデルや、中古車の部品を再利用するGMの取り組みなどもこのプログラムの中で扱われる予定だ。  クランフィールド大学は、エレン・マッカーサー財団がサステナビリティやサーキュラーエコノミーの先進校に指定する「パイオニア大学」の一つで、他にも協働事業を展開している。すでに、社会的イノベーションや起業機会の創出に注力する「RECODE」プログラムを提供しており、ビッグデータをサーキュラーエコノミーに活用する方法を学術関係者、メーカー、政策担当者そしてエンドユーザーと共に進めている。「パイオニア大学」の他の5校は、英ブラッドフォード大学、英ユニバーシティカレッジロンドン、米アリゾナ州立大学、米ロチェスター工科大学、蘭デルフト工科大学。 【参照記事】World's first circular economy Master's launched by Cranfield 【団体サイト】Ellen MacArthur Foundation

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【北アイルランド】循環型経済への移行は13,000以上の雇用を創出。WRAP調査

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 循環型経済の推進は環境だけではなく雇用にも好影響をもたらす。そんな興味深い研究結果が示された。持続可能な資源活用を推進する英国のNGOのWRAPは9月30日、北アイルランドの循環型経済に関するレポート、"Job Creation in the Circular Economy – Increasing Resource Efficiency in Northern Ireland(循環型経済で雇用創出:北アイルランドの資源効率化促進)"を公表した。  同レポートによると、北アイルランドが循環型経済に移行した場合、食料・飲料、バイオリファイリング(再生可能資源のバイオマスを原料にしたバイオ燃料や樹脂などを製造するプラントや技術)、バイオエコノミーなど多様な分野において新たな13,000以上の雇用を創出できるという。また、同レポートでは 循環型経済においては、製造業の発展を可能にする再生可能エネルギーやスマートグリッドの役割も雇用創出を実現する上で重要な要因となるとしている。  今回のレポートは、北アイルランドの労働市場および経済の活性化に向けた方策としての循環型経済の可能性について理解を深めることを目的としている。金属や化学物質などの資源を家庭・産業廃棄物から摘出する新たな方法を探索している研究者や企業らによるネットワークのReNEW(Resource innovation Network for European Waste)およびWRAPが協働で作成した。  北アイルランドの環境大臣を務めるMark H Durkan氏は同レポートの公表にあたり、「循環型経済の構築は、経済と環境の双方をWin-Winの関係にする。天然資源の回収、再利用、修理、再製造、リサイクリングは時代の要請に応じる行動だ。循環型経済は環境に優しく、この地域の主要な分野で一旦使用された貴重な資源を再利用し、経済成長を促すことができる」と述べた。  また、同氏は「伝統的な経済モデルとしての作る、使う、捨てるから脱却し、減少している天然資源や価格の不安定さが増大しているエネルギーコストについて現在我々が直面している脆弱性が改善される」と語り、政府、企業、地域が連携して循環型経済によってもたらされる絶好の機会を活かし、経済を促進するために協働することが必要だと強調した。  同レポートが示す通り、循環型経済の推進は環境負荷の軽減や資源保護だけではなく新たな雇用を生み出し、経済成長のドライバーとなりうる。世界全体で経済モデルの大幅な転換が迫られる中、政府や企業はどのように新たな機会を見出していくかが問われている。 【レポートダウンロード】Job Creation in the Circular Economy – Increasing Resource Efficiency in Northern Ireland 【参照リリース】More than 13,000 jobs could be created if Northern Ireland moved to a circular economy 【団体サイト】ReNEW 【団体サイト】WRAP

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【戦略】欧米CSRの最前線 〜Sustainable Brands 2014参加レポート〜

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世界の先進企業のCSR・サステナビリティマネジメント事例が共有されるカンファンレンス、Sustainable Brands。毎年、世界約10都市で開催されており、私も今年10月に開催されたアメリカ・ボストン、11月に開催されたイギリス・ロンドンの会に参加してきました。カンファレンスは通常、2日間にわたる各企業のプレゼンテーションと、別日程1日で催される少人数のワークショップで構成。30社ほどの企業がプレゼンテーションを行い、会場にはコーポレート・サステナビリティ分野の関係者300人ほどが集います。欧米では今、何がホットな話題となっているのか。ボストン、ロンドンの2回分のイベントをダイジェストでご紹介します。 Sustainable Brands New Metrics '14 in Boston Sustainable Brands New Metricsは、サステナビリティ分野の中でも「測定」「データ管理」「定量マネジメント」「レポーティング」というMetrics(尺度・測定)にスポットを当てた特別イベント。今年からマサチューセッツ工科大学(MIT)のスローン経営大学院のサポートを得てパワーアップしました。 環境・社会分野のデータ収集 欧米先進企業の特徴は、環境・社会に対するアウトプットを本業の成果指標の中に組み込んできているということです。データ収集の点でも様々な進化を遂げてきています。従来、データ計測が進んできた環境分野に対し、遅れが指摘されてきたのがソーシャル分野。ここにきて、NPOやIT企業が中心となりソーシャル分野のデータ測定インフラが整備されつつあります。 フェアトレード認証の民間団体Fair Trade USAは、フェアトレードの実施状況に関する情報を、一次産品の製造現場に従事する生産者自身から収集する体制を構築。フェアトレードの履行を確実にするとともに、生産者の生活の改善度合いを測定する手法を実現しました。オーガニック茶ブランドで全米一の売上を誇るHonest Tea社は、Fair Trade USAからの認証を獲得することで、自社製品のブランドを確実にするとともに、社会に対する正のインパクトをKPIとして測る運用を開始しています。 米国のITスタートアップであるSourceMap社は、製品のサプライチェーンを可視化して把握できるウェブツールをリリース、紛争鉱物などサプライチェーン上の課題に対する状況把握が進むことが期待されています。 オランダと米国に本拠地を置くサステナビリティ・コンサルティング企業大手のPRè Sustainability社は、商品開発の分野で社会問題へのインパクトを測定していくためのガイドライン、"Handbook for Product Social Impact Assessment"を最近リリース。すでに欧米を代表する企業であるAkzoNobel, BASF, BMW, L'Oréal, Marks&Spencer, Philips等が同社のコンサルティングのもとでガイドラインを本業の事業管理に取り入れています。 一方、環境分野のデータ測定も高度化しています。IT世界大手のHP社は、生物多様性の分野で存在感を発揮する国際NGOのConservation Internationalと提携し、ビッグデータマネジメントを環境測定分野に応用するプロジェクトをスタート。プロジェクトでは、世界17ヶ所の熱帯雨林で275種の生物を常時モニタリングするデータ測定インフラを構築し、190万枚の画像や400万種類の環境データを含む合計3テラバイトの常時データ測定を実現。実社会の複雑なデータを統合して分析・予測できるツールとしては世界に類をみない規模と精度だと言います。このプロジェクトはHPが掲げる環境への貢献だけでなく、HP社自身のR&Dとしても価値を発揮しているとのことです。 データの報告 データ報告の分野での注目は、やはり統合報告<IR>、そして米国で浸透しつつあるSASBの動きです。<IR>に関する企業報告では、<IR>ガイドライン作成にも加わったNovo NordiskやSAPがプレゼンテーションを担当し、同社においてはすでに<IR>がCXOレベルの経営サイクルの中心に据えられており、これなしでは経営管理の議論が成立し得ない次元まで来ているという共有がありました。一方、多くの企業が抱える課題、<IR>が曖昧なガイドラインでしかなく何を作ればいいのかわからない、については、「曖昧なものになってしまったことには、議論に参加していた我々にも責任があり、申し訳ないと感じてる。他社への範を示すためにも、弊社内で統合報告のあり方を進化させ、産業界をリードしていく責任を果たしたい。」と反省と抱負を吐露していました。また、財務・環境・社会という膨大なデータをグループ各社から収集するという難題をどう克服しているのかについては、「環境・社会に関するデータは、従来各部署から予算データを報告してもらっていたフローをそのまま踏襲している。報告ツールは、ある部門からはエクセルだったり、ある部門からはERPだったりと、柔軟に対応している。社会・環境の社内報告のために特別なツールを導入してはいない。」という回答でした。 SASBについては、企業だけでなく、金融業界からの参加者からも注目が集まっていました(SASBについては「【レポーティング】SASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)を徹底解説」で詳しく紹介しています)。 投資家からの発表セッションもありました。UBSやBloombergからのプレゼンテーションでは、投資家内でESG格付の重要性が年々増加していること、ESG考慮が企業の中長期的な成長と密接にリンクしているという内容が強調されていました。また、ESG格付が様々な団体によって設立されている中、業界全体を束ねる団体であるGISRからは、ESG格付自身の認証制度を整備しているという報告がありました。業界のネットワーク組織であるGISRには、金融業界からはUBS、ドイツ証券、モルガン・スタンレー、アセットマネジメント世界大手のBlackrock、情報大手のBloomberg、コンサルティング業界からは大手のCeresやSustainAbility、デロイト・トーマツ、事業会社からはP&G、マクドナルド、ボッシュ、民間団体からはGRI、SASB、CDP、BSR、Oxfamなどが参加しており、業界を牽引する知が結集しています。 事業へのデータ活用 収集してきたデータを、どのように商品開発に活かすのか。この問いに対する事例も紹介されていました。会場から大きな喝采を集めたのは、ホテル予約の世界大手TripAdvisor社。ホテル業界に対するグリーンホテル化(環境に配慮したホテル経営)への啓蒙という事例です。耳目を集めたポイントは「グリーンホテル化の取組は、当初は大きな事業になるとは考えもしなかった」というプロジェクト開始時点での内部事情です。社内からは「本当に宿泊客はグリーンホテルに泊まりたいと思っているのか?」と懐疑的な見方が噴出、さらに肝心のホテル業界自身からは「我々の経験上、グリーンホテル化は宿泊客増加に寄与しない。無駄な試みだ。」と大反対を受けたと言います。そんな逆風の中、TripAdvisorは、自分たちの企業理念の遂行のため、とりあえずスタートさせてみようという姿勢で、画面上のホテル検索をする際にグリーンホテル度合いで絞り込める機能を搭載します。結果として得られたのは、想定以上にこの絞り込み機能を使う人が多かったというデータ。このデータを武器に、TripAdvisorはホテルに対しグリーンホテルに関する情報開示を要求していきます。今やグリーンホテルの情報開示を渋るホテルから「御社のグリーンホテルへの取組のせいで自社の集客力が減ってきている。どうしてくれるのか?」という非難も浴びる程までに。そのような非難について同社は「だからグリーンホテル化が大事だと言っているのです。情報を開示してください。」と強気を貫いています。このグリーンホテル化を呼びかけられる力強さの背景には、TripAdvisor社の事業モデル自体が関係しているようです。TripAdvisor社のホテル予約サービスは、直接ホテルと契約しているのではなく、ExpediaやHotels.com等ホテル予約サイトのメタ価格比較サイトという形式をとっており、ホテルとは直接の利害関係はありません。ホテルはどの予約サイトを選ぼうとも、結果的にTripAdvisorの影響を受けることとなります。TripAdvisorはこのような自社の「立ち位置」を理解した上で、ホテル業界への強気の啓蒙を推進しているのです。 Sustainable Brands 2014 London CSR経営で注目を集めるイギリス。Sustainable Brandsは西欧地域でのカンファレンス実施国として以前からロンドンを会場とし、参加者はフランス、ドイツなどヨーロッパ各地から集まるイベントになっています。 サステナビリティと事業経営の一体化 ロンドン会場で目立ったのは、サステナビリティやCSRを「ついでにやるもの」ではなく、事業経営そのものに統合している企業事例の報告でした。前回のボストン会場でも報告を行った化学業界世界最大手の独BASFは、環境・社会ファクターをもとに事業や製品のポートフォリオの組換えまでを実施している事例を紹介していました。同社では、自社が定める環境・社会目標に対し製品の到達度を測り、Accelerator, Performer, Transitioner, Challengedの4段階に分類、Acceleratorの割合を増やして、Challengedの割合を減らすことに経営資源を集中させています。環境・社会を経営の中心に据えるBASFの考えの背景には、「社会・環境に寄与する商品ほど顧客に支持されていくはずだ」という根本的な思想があります。経済界の需要を先取りし、自社のブランドとポジショニングを際立たせる尺度として、社会・環境要素を大々的に取り入れているのです。 アルコール飲料世界大手のHeinekenは、同社のセンセーショナルなテレビCMを紹介していました。内容は、ダンスクラブを舞台とした実験について。いまいちなDJのもとではダンスクラブの客が盛り上がらず気晴らしにビールの購入数が増えるのに対し、優秀なDJの日には客がダンスに集中しビールの購入数が少なくて済む。この"Dance more, Drink less"というキャンペーンは、Heinekenにとってどんなメリットがあるのでしょうか。 一見、Heinekenの売上を傷つけかねないこのキャンペーン。なぜHeinekenの上級経営ボードは承認したのでしょうか。プレゼンターの説明は、「このキャンペーンにより短期的に売上は落ちるかもしれない。だが、長期的な視点に立つと、人々の幸福を最重要と考える同社の姿勢を顧客に示すことで、強い企業ブランドを構築できる」というものでした。会場からも"Heinekenはそこまでやるのか"という驚きの眼差しが集まっていました。 サーキュラーエコノミー ロンドンではサーキュラーエコノミーに対する取組事例も豊富に紹介されました。サーキュラーエコノミー(Circular Economy)とは、日本語にすると循環型経済。一見すると非営利団体の活動のように見えますが、企業自身の取組です。自社製品の素材の有効活用を進めていこうという経営戦略のことを指し、今年に入り、マッキンゼー・アンド・カンパニー社からも"Moving toward a circular economy"という提唱があり、製造業を中心に注目されている概念です。 サーキュラーエコノミーの推進については、複数の企業から発表がありました。アルミニウム総合メーカー世界大手のNovelisは、同社製品を顧客から回収し再利用していく比率を2015年までに80%に高めることを経営目標として掲げ、顧客からの資源回収及び再利用を活用した製造方式へ転換するための設備投資へと大きく舵を切っているとのこと。また、電子部品大手のPhilipsは、製品の「修理・商品の再利用・素材の再利用」を高めていくだけでなく、さらにサーキュラーエコノミーを徹底するために事業モデルを「製品販売からサービス提供へ」とシフトさせていると言います。具体的な事例としては、ニューヨークの駐車場のケースがあり、電球を売るのではなく、「灯り」というサービスを提供する契約を駐車場と交わすことで、より耐久性が高く廃棄が少ない電球を開発するインセンティブを同社内でも高めているとのことです。 社外からの圧力 サステナビリティ経営が推進される要因には、企業の自助努力だけではなく、社外からの圧力もあります。Greenpeaceは、近年「IT企業のクリーンエネルギー促進」をターゲットとし、FacebookやAmazonなどの電力消費量や再生可能エネルギーによる電力シフトを独自調査し、成績の悪いAmazonに対しネガティブキャンペーンを張っているという報告がありました。同団体は、ネガティブキャンペーンとして動画やパンフレットなどをインターネット上で拡散させ、さらにCEOに対してレターを送って直接改善を迫るということまで手がけています。 気候変動に対する警鐘とガイドライン作成で有名なCDPは、最近は水問題に大きな関心を寄せているようです。CDPは、水汚染によって工場が活動停止に追い込まれた事例などを取り上げ、企業のサプライチェーンにとって水問題が死活問題となっていると断言していました。 今後のSustainable Brands開催 次回以降のSustainable Brandsの開催予定は、来年3月にタイ・バンコク、4月にスペイン・バルセロナ、5月にトルコ・イスタンブール、6月にアメリカ・サンディエゴ、8月にブラジル・リオデジャネイロ、9月にアルゼンチン・ブエノスアイレス、10月にアメリカ・ボストン、12月にマレーシア・イスタンブールが計画されています。 文:サステナビリティ研究所所長 夫馬賢治

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2014/11/13 体系的に学ぶ
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