private 【国際】「サプライチェーン部門にサステナビリティ担当者を置く企業が急増」GreenBiz報告書

Facebook Twitter Google+

 米サステナビリティ・メディアGreenBizを運営するグリーンビズ・グループは2月5日、環境評価機関世界大手英Trucostはと協働して世界のサステナビリティ・環境ビジネスの最新動向をまとめた報告書「States of Green Business 2018」を発表した。同報告書は2年毎に発行し今回が9回目。前回2016年と比べ、サステナビリティ報告書をする企業割合や、サプライチェーン上のサステナビリティ対応に社員を配する企業が大きく増えていることがわかった。同報告書発行は、米SCジョンソンが資金提供している。  同レポートは毎年、S&P500の採用企業米500社と、S&P Global 1200の採用企業グローバル1,200社について、Trucostの環境パフォーマンス・データを用いて動向をまとめている。Trucostは、企業が環境データを開示していなくても、独自のライフサイクル・アセスメント(LCA)モデルを用いて、企業自身とサプライチェーンの双方の環境データを算定。現在、世界の時価総額の99%を占める14,000社のデータを保有している。  同レポートによると (more…)

» 続きを読む

【国際】GRI、中小企業のサステナビリティ報告に関する報告書発表。課題と提言整理

Facebook Twitter Google+

 サステナビリティ報告国際ガイドライン策定GRIは6月5日、中小企業(SME)のサステナビリティ報告に関する課題や提言をまとめた報告書「Empowering Small Business」を発表した。世界の企業の95%を占める中小企業の取組が、社会全体にとって重要と位置付け、現状分析を行った。分析対象の国は、アルジェリア、バングラデシュ、チリ、コロンビア、コスタリカ、デンマーク、フランス、ガーナ、インドネシア、モルドバ、オランダ、ペルー、ルーマニア、南アフリカ、スウェーデン、スイス、トルコ、ベトナム、ザンビア。  今回の分析には、国連環境計画(UNEP)とGRIの内部グループ「Group of Friends of Paragraph 47」の参加国であるブラジル、デンマーク、フランス、南アフリカ、スイス、オーストリア、アルゼンチンも協力。また、同プロジェクトは、スイス経済省経済事務局(SECO)が資金拠出する「Competitive Business Program」の一環として行われ、対象国選定はSECOやGroup of Friends of Paragraph 47参加国の意向により決定した。  同報告書は、各国では大企業向けのサステナビリティ報告に関する法規制が定めってきているが、中小企業は対象外となっているケースが多いと分析。その背景については、中小企業の報告負担を減らそうとする意図だけでなく、中小企業が法制度整備議論に招かれていないため、望ましい中小企業向けルールが確立させてないという要因も言及した。  今後の提言では、サプライチェーン透明化によるインセンティブ付け、各国での報告ガイダンス整備、特定イシューに絞った報告制度の確立、国連ビジネスと人権指導原則の国別アクションプラン(NAP)に則した原則導入を示した。また中小企業へのインセンティブ付けでは、助成金支給による財務援助、認証制度導入、能力開発支援、銀行からの動機づけ、国際ガイドラインの活用等を挙げた。 【参照ページ】Incentivizing sustainability reporting by SMEs through policy: a primer

» 続きを読む

【ランキング】2018年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」

Facebook Twitter Google+

※2019年度版は【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能性のある企業100社」へ  毎年恒例の世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)が、2018年は1月23日に開幕しました。ダボス会議の目玉のひとつは、サステナビリティの観点で世界各国の企業を評価する"Global 100 Most Sustainable Corporations in the World" (Global 100 Index)のセッション。ここで発表された結果は、カナダの出版社Corporate Knights社によって「世界で最も持続可能性のある企業100社」(ランキング)として発表されます。早速、2018年の顔ぶれを見ていきましょう。 Global 100 トップ10 順位 企業 国 業界 1 ダッソー・システムズ フランス IT 2 ネステ(Neste) フィンランド エネルギー 3 ヴァレオ フランス 自動車 4 Ucb ベルギー 医薬品 5 アウトテック フィンランド 建設 6 アムンディ フランス 金融 7 シスコシステムズ 米国 ハードウェア 8 オートデスク 米国 IT 9 シーメンス ドイツ 電機 10 サムスンSDI 韓国 電機 (出所)CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成  昨年に引き続きトップ10入りしたのは、 シスコシステムズ シーメンス の2社のみ。上位ランキング企業が大幅に入れ替わった背景には、ランキング評価手法の変更があります。詳しくは後述しますが、今年は新たな評価項目として「グリーン商品売上」が追加。ヴァレオ等、売上に占めるグリーン商品の割合が高い企業がランキング上位に浮上しました。その結果、トップ10のうちフランス企業が3社入り、韓国SDIが近年では初のトップ10入りを果たしました。  また、日本でも知名度の高い企業やSustainable Japanでしばしば取り上げる企業も多数、11位から100位の間にランクインしています。 13位 メルク(米国 医薬品) 15位 ピアソン(英国 出版) 19位 フィリップス(オランダ 電機) 21位 本田技研工業(日本 自動車) 24位 オーストラリア・コモンウェルス銀行(オーストラリア 金融) 26位 インテル(米国 半導体) 30位 ドイツ取引所(ドイツ 金融) 34位 アストラゼネカ(英国 医薬品) 35位 ノキア(フィンランド ハードウェア) 36位 BNPパリバ(フランス 金融) 37位 イーライリリー(米国 医薬品) 38位 ストアブランド(ノルウェー 金融) 39位 ABB(スイス 電機) 43位 アプライド・マテリアルズ(米国 半導体) 44位 武田薬品工業(日本 医薬品) 45位 シュナイダーエレクトリック(フランス 電機) 46位 新韓フィナンシャルグループ(韓国 金融) 47位 ケリング(フランス アパレル) 50位 ネスレ(スイス 食品) 53位 グラクソ・スミスクライン(英国 医薬品) 55位 積水化学工業(日本 化学) 57位 H&M(スウェーデン アパレル) 59位 NVIDIA(米国 IT) 60位 ダイムラー(ドイツ 自動車) 61位 ディアジオ(英国 食品) 62位 BTグループ(英国 通信) 63位 シンガポールテレコム(シンガポール 通信) 64位 ノバルティス・ファーマ(スイス 医薬品) 66位 クリスチャン・ハンセン(デンマーク 化学) 67位 コカ・コーラ・ヨーロピアン・パートナーズ(英国 食品) 68位 日産自動車(日本 自動車) 69位 テキサス・インスツルメンツ(米国 半導体) 70位 アーステッド(デンマーク 発電) 71位 アリアンツ(ドイツ 金融) 72位 レノボ(中国 ハードウェア) 74位 TSMC(台湾 半導体) 75位 メットライフ(米国 金融) 77位 HP(米国 ハードウェア) 79位 ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(米国 ハードウェア) 80位 ナショナルオーストラリア銀行(オーストラリア 金融) 81位 GE(米国 電機) 83位 アクゾノーベル(オランダ 化学) 84位 ロレアル(フランス 化粧品) 85位 アクサ(フランス 金融) 86位 ノルデア銀行(スウェーデン 金融) 89位 カナダ帝国商業銀行(カナダ 金融) 90位 ルノー(フランス 自動車) 91位 シンジェンタ(スイス 化学) 92位 ジョンソン・エンド・ジョンソン(米国 医薬品) 93位 ポスコ(韓国 鉄鋼) 95位 ユミコア(ベルギー 化学) 96位 ヴェスタス(デンマーク 電機) 98位 キャピタランド(シンガポール 不動産) 100位 シティ・ディベロップメント(シンガポール 不動産)  日本からは、本田技研工業、武田薬品工業、積水化学工業、日産自動車の4社が入りました。2015年まで毎年数を減らしていた日本企業は、2015年の1社から2016年と2017年は4社。2018年も4社を維持しました。武田薬品工業は3年連続でランクイン。日産自動車は1年ぶりにカムバックしました。一方、昨年ランクインしていたシスメックス、アステラス製薬、日本電気は外れました。 Global 100 地域別社数ランキング 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 ヨーロッパ 44 59 55 49 52 53 59 59 北米 21 14 20 31 32 27 25 22 アジア・太平洋 31 23 18 18 15 18 14 14 中南米 3 [...]

» 続きを読む

【EU】欧州委員会、機関投資家の受託者責任やESG投資の課題や方向性に関する意見を広く募集

Facebook Twitter Google+

 欧州委員会は11月13日、今年7月に「持続可能な金融についてのハイレベル専門家グループ(HLEG)」が公表した中間報告書を基に、アセットオーナーと運用会社のフィデューシャリーデューティー(受託者責任)やサステナビリティ、ESG投資の課題や方向性について、広く意見募集を行うインターネット調査を開始した。2018年1月22日まで国籍問わず誰でも意見表明できる。 【参考】【EU】持続可能な金融についてのハイレベル専門家グループ(HLEG)、中間報告書発表。改革案示す(2017年7月18日)  今回の調査では、フィデューシャリーデューティーの明確化や修正がどのようにサステナビリティやインクルージョンの分野への投融資を促進させるか、サステナビリティに寄与する意思決定を投資家や機関投資家の受益者が行うためには何が必要なのか、主要なESG機関投資家はどのようにESG要素を戦略に組み込んでいるかを把握しようとしている。  今回の調査は、HLEGが今後具体的な改革案を法規制化していく際のインパクト測定のために実施されている。 【参照ページ】Public consultation on institutional investors and asset managers' duties regarding sustainability 【調査】Consultation document: Institutional investors and asset managers' duties regarding sustainability

» 続きを読む

private 【金融】サステナビリティ情報開示と株価シンクロニシティの関係。ハーバード大准教授ペーパーを読み解く

Facebook Twitter Google+

 非財務情報の開示と金融市場への影響についての著名な研究者であるジョージ・セラファイム・ハーバード・ビジネス・スクール准教授を中心とする研究チームは6月7日、サステナビリティ情報の開示と株価に関する新たなワーキングペーパー「Stock Price Synchronicity and Material Sustainability Information」をハーバード大学のウェブサイト上で発表しました。セラファイム准教授は、過去にも、サステナビリティ情報開示と信用リスクとの関連性を示すペーパーを発表していましたが、今回は、サステナビリティ情報開示と株価に関する発見を報告しています。  サステナビリティ情報開示と株価の関連性については、これまでも「開示が進んでいる企業の方が株価が高い」「サステナビリティ・アクションを起こしている企業の方が株価が高い」など様々な研究結果が発表されています。今回セラファイム准教授らが着目したのは、「株価シンクロニシティ」という分野。「株価シンクロニシティ」は、比較的新しい金融学の分野で、株価変動が市場全体の変動とどのように関連しているかが研究されています。一般的に株価に影響を与える情報には、企業固有の情報(Firm-specific information)と市場全体の情報の2種類があります。最近の研究では、先進国よりも発展途上国のほうが、企業株価が市場全体の株価に左右されることが多い、すなわち「株価シンクロニシティ」が高いことがわかっています。今回のワーキングペーパーでは、サステナビリティ情報開示に積極的な企業が「株価シンクロニシティ」を低くできているかについて分析がなされました。  セラファイム准教授らは、分析にあたり、サステナビリティ報告ガイドラインの中でも、投資家目線で開示項目が推奨されている米SASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)のガイドラインに着目。米国上場企業1,133社が2007年から2014年までの間に開示し、ブルームバーグに掲載されいてる情報を分析対象としました。ブルームバーグは、様々なソースからサステナビリティ情報の収集を行っていますが、SASBが業種ごとに「マテリアル」と定めた全ての項目が掲載されているわけではありません。しかし、今回の分析では、ブルームバーグ掲載情報のみが分析対象となり、企業ごとにESG開示スコアを算出し、スコアと「株価シンクロニシティ」の回帰分析をなされました。  回帰分析の結果は、 (more…)

» 続きを読む

private 【アメリカ】スターバックス、2016年度サステナビリティ報告書発表。長期目標を上方修正

Facebook Twitter Google+

 コーヒーチェーン世界大手米スターバックスは4月24日、同社の2016年度(2015年9月28日から2016年10月2日まで)のサステナビリティ報告書「2016 Global Social Impact Report」を発表した。同社のサステナビリティ報告書発行は2002年に開始。今回が16回目。昨年までは「Global Responsibility Report」と呼んでいたが、今年から「Global Social Impact Report」に名称を変えた。今年の報告書では、同社が掲げた来た2020年目標の内容を改訂し、さらに高い目標を掲げたことを公表した。  スターバックスは、経営戦略の中にサステナビリティを統合させていることで有名な米国企業。昨年、米国でサステナビリティ社債(使途をサステナビリティ目的に限定する社債)を540億円発行したのに続き、 (more…)

» 続きを読む

【オランダ】フィリップス、金利がサステナビリティ目標達成度に応じて変動する融資で16銀行と合意

Facebook Twitter Google+

 総合電機大手オランダのフィリップスは4月19日、金利が同社のサステナビリティ目標の毎年の達成状況に応じて変動する10億ユーロの回転信用枠(リボルビングローン)を設定することで、16銀行と合意に達したと発表した。回転与信枠とは、融資手法の一つで、一定の与信限度枠(今回のケースは10億ユーロ)であれば、事前に設定した最低支払額(ミニマムペイメント)を支払うだけで割賦借入を受けられるというもの。ミニマムペイメントの金額は通常、残高に対する低率や定額で設定するが、今回発表のものは、企業のサステナビリティ目標の達成状況によって変動する。  この特殊な回転信用枠のスキームを開発したのオランダ銀行大手ING。また融資を提供する銀行はINGの他、オランダのABNアムロ、ラボバンク、英HSBC、ドイツのドイツ銀行、フランスのBNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル、スイスのUBS、米バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン、モルガン・スタンレー、日本のみずほ銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループ、中国の中国工商銀行(ICBC)の全16行。  同社は、サステナビリティ目標として、2025年までに年間30億人の生活向上、2020年までに5年間のサステナビリティプログラム「Healthy people, sustainable planet」を通じて事業でのカーボン・ニュートラル(二酸化炭素純排出量をゼロにすること)達成、環境関連製品・サービスが売上に占める割合を70%以上、サーキュラーエコノミー関連ビジネスが売上に占める割合を15%以上にする、などを掲げている。また、ここでの「環境関連製品・サービス」とは、省エネ、包装、有害物質、重量、サーキュラーエコノミー、製品寿命などの分野で環境インパクトを改善できるものを指す。また、「サーキュラーエコノミー関連ビジネス」とは、30%以上再生素材を使ったプラスチック容器など、同社が定めるサーキュラーエコノミー基準を満たすものを指す。  ミニマムペイメント決定要素となるサステナビリティ目標の達成状況判断については、ESG評価機関大手サステナリティクス(Sustainalytics)が実施する。 【参照ページ】Philips couples sustainability performance to interest rate of its new EUR 1 billion Revolving Credit Facility

» 続きを読む

【アメリカ】マッキンゼー・パートナー、「サステナビリティは企業価値評価に影響を与える」

Facebook Twitter Google+

 コンサルティング世界大手マッキンゼー・アンド・カンパニーは3月17日、昨年12月に同社ニューヨークオフィスのティム・コラー・パートナーと、元同社アソシエイトパートナーで現在FCLT Globalのリサーチ部長を務めるジョナサン・ベイリー氏が行った対談の内容を公表した。対談のタイトルは「When sustainability becomes a factor in valuation(いつサステナビリティは企業価値評価要素となるのか)」。重要性が高まるサステナビリティ経営において、マッキンゼーの視界が垣間見られる内容となっている。  対談に参加したコラー氏は、日本でもベストセラーとなっている企業価値評価(バリュエーション)に関する専門書「企業価値評価」の著者。企業価値評価分野で世界的な権威の一人だ。今回の対談は、ベイリー氏の質問に対し、コラー氏が企業価値評価におけるサステナビリティの意義という観点から回答する構成となっている。  まずコラー氏は、過去何百年に渡る企業価値評価の歴史において、一貫してキャッシュフローが重要となってきたという前提を提起。サステナビリティも企業キャッシュフローに影響を与えるという点から重要になるという見方を示した。そのため、サステナビリティがもたらすキャッシュフロー影響に対しての対応方法を長期視点から検討するのは経営者の責務だとした。また、経営者に比べ投資家は企業に関する情報インプットが遅れることが多く、市場での企業価値評価はしばしば反応に時間差があるとも話した。コラー氏は、石油ガス産業における「座礁資産」の考え方を例に挙げ、投資家はサステナビリティが企業キャッシュフローに与える影響が明確になった場合には、敏感に企業価値評価に反映するという最近の動向を紹介した。  続いてベイリー氏は、企業財務の視点から企業経営者がサステナビリティなど長期目標を統合させていく上で重要となるものは何かと質問。コラー氏は、企業経営者が陥りやすい考え方として、意思決定の際に「何かをしなかったらどうなるか」ということを無視しがちであるということを挙げた。すなわち、企業経営者は、経営計画や経営戦略を検討する際に、手なりのベースライン(基準シナリオ)を設定し、そこからの改善プランというものを追求していくが、そもそもベースラインの立て方に問題がるということだ。コラー氏は、このことを具体例を挙げて解説している。例えば、ある経営者は、売上増加策のため、競合商品以上に顧客支持を獲得できるようサステナビリティ施策を打つということがある。しかし一方、そもそも安全性や環境影響を削減する措置を取らなかった場合にベースラインのキャッシュフローが低下するということを見落としがちだという。  またコラー氏は、投資家と企業経営者の間のコミュニケーションのあり方について、現状では投資家向けの情報開示が、いわゆる定形文句の羅列になってしまってことが多いことや、企業は何か不祥事などの問題が起こってからしか対応をしないことが多い現状を残念だとした。一方、好事例としては、先進的な消費財メーカーの中に、サプライヤーに特定の調達基準を満たすよう要求していることを積極的に開示する企業が出ていることなどを紹介した。  企業の情報開示については、コラー氏は、投資家が投資判断においてより良いESGデータを求めるようになった大きなトレンドを指摘。投資家は投資先決定において1ヶ月以上もの時間をかけて企業分析をしており、マテリアリティ(重要性)の高い要素を見極めることにますます大きな関心を示しているとした。また、投資家の目は、企業の開示データ量よりも、企業にとって今後何が重要となり、キャッシュフローを左右する要因は何で、それにどう対処するのかを企業経営者が語れるかどうかにあるとした。  これについてベイリー氏は、しばしば「CEOはセルサイドのアナリストから(サステナビリティ関連の)トピックについて全く質問されたことがないと言っている」という声があることを踏まえ、サステナビリティに関する投資家と企業経営者のコミュニケーションは、通常の四半期決算報告会ではなく、1対1の個別ミーティングの中で質疑されることが多いことを紹介。コラー氏も同様に、四半期決算報告会と1対1ミーティングのアジェンダは異なることが多く、サステナビリティに関する議論については1対1ミーティングの重要性が高いとした。またコラー氏は、投資家から1対1ミーティングの依頼を獲得するためにも、積極的に情報開示することが重要だとも話した。  最後にコラー氏は、長期投資家の声として、企業経営者が四半期決算報告会の場でも長期的に重要だと考えるテーマについて話すことを期待していることを紹介。セルサイド・アナリストが聞きたいことを推察しながら話をするのではなく、経営者自身が本当に重要だと考えることを話すべきだとした。 【参照ページ】When sustainability becomes a factor in valuation

» 続きを読む

【アメリカ】ハーバード大教授「都市のサステナビリティにはソーシャルエコロジー解明が必要」

Facebook Twitter Google+

 ハーバード大学ヘンリーフォード二世社会科学スクールのロバート・サンプソン教授は、1月6日発行の米国科学アカデミー紀要(PNAS)の中で、論文「Urban sustainability in an age of enduring inequalities: Advancing theory and ecometrics for the 21st-century city」を発表し、都市のサステナビリティのためには格差是正と環境の関係に焦点を当てた「ソーシャルエコロジー(社会の生態系)」の視点が重要だとの見解を示した。  都市化に伴う環境問題に対処する上で講じられてきた従来型のアプローチは、都市のエコシステムや物理的なインフラの持続可能性を促進することが中心となっていた。さらに、ビッグデータの出現とコンピュータ機能の急激な進化により、都市を一つの単位として電力、エネルギー、水、交通等の多様なシステムを連動させる「スマートシティ」という概念も大きな関心を集めている。それらはとても重要だが、持続可能な都市を目指すには、さらに都市の社会的構造に根差している不平等や不平等が及ぼす影響を組み合わせて考える必要があるというのが、サンプソン教授の主張だ。  論文で指摘している不平等とは、経済的な不平等だけではない。特定の地域に住む人々の社会からの離脱、孤立、分断の多くは、人種的な不平等とも関連し、それが暴力的な問題にも繋がっていると教授は述べている。それらは社会構造を腐敗させる要因となり、都市のサステナビリティを破壊してしまっている。日本でも知られている「割れ窓理論(Broken Windows Theory)」では、工場等の割れ窓を放置することがさらに重い犯罪を誘発してしまうことを示しており、公共の場の荒廃が私的な倫理観の荒廃を引き起こしてしまうことを伝えている。一方今回のサンプソン教授の議論によると、私的な倫理観の荒廃もまた、公共的な社会インフラを荒廃させてしまうことを示している。  調査から明らかになったのは、重度の貧困地域で生活している人々は通報をあまりしないということ。当該地域では、自治体当局の職務権限が信用されておりおらず、不信感の表れとして「法的なシニシズム(冷笑主義)」に繋がっているのだという。ここでの冷笑主義とは、社会風習や既存の価値感への懐疑的な態度と受け取れる。当該地域では、健康問題やその他の持続可能性に関連する調査への回答も少なく、行政と住民との信頼関係が崩れている。このような状況下では、持続可能な都市づくりは見込めない。  その一方で、ボストンの高級住宅地ビーコン・ヒルの住民は、落書きについて他の地域よりも多く通報している。通報が多いことは、必ずしもビーコン・ヒルの住民がより社会的な関心が強いことを意味しない。またこの地域で落書きが多いというわけではない。サンプソン教授は、過去に落書きを通報したところ行政が対応してくれたという成功体験があったために、落書きの事例を通報する頻度が高いのではないかという仮説を立てている。  サンプソン教授は、これまで行政が取得してきたデータが、社会の実態把握のために活かされてこなかった現状を嘆いており、今後はデータをもとに、要因を特定し、理論的な枠組みを構築していく「エコメトリクス」という手法が必要だと提言している。サンプソン教授は、活用できるデータ例として、落書きの通報の他、建物の状態、ゴミ不法投棄、ネズミの侵入などを挙げている。  都市のサステナビリティを進展させるには、スマートシティ等の技術的なアプローチと共に、不平等の削減、市民と行政の間の交流、強固で長続きする地域社会のネットワークを構築しなければならない。そのためには、地域におけるソーシャルエコロジーの解明が重要だというのが本論文の主張だ。 【参照ページ】To advance sustainability, fight inequality, researcher says 【参照ページ】Urban sustainability in an age of enduring inequalities: Advancing theory and ecometrics for the 21st-century city 【論文】Urban sustainability in an age of enduring inequalities 【イニシアチブ】Boston Area Research Initiative

» 続きを読む

【フィリピン】証券取引委員会、コーポレートガバナンス・コード改正。サステナビリティ情報開示強化も盛り込む

Facebook Twitter Google+

 フィリピン証券取引委員会(SEC)と世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が策定したフィリピン証券取引所の上場企業向けのコーポレートガバナンス・コード改訂版が1月1日発効した。今回の改訂版には、取締役会の責任強化、株主保護の強化、財務及び非財務情報の開示強化などが盛り込まれている。フィリピンのコーポレートガバナンス・コードも日本と同様「Comply or Explain」ルールに基づくもの。遵守しない原則がある場合は、毎年提出が義務付けられている「コーポレート・ガバナンス報告書」の中で、遵守しない原則とその理由を説明しなければならない。今回の改訂版については、フィリピン証券取引所の上場企業は全て2017年5月3日までに遵守項目を示す「Manual on Corporate Governance」をフィリピン証券取引委員会に提出しなければならない。  フィリピンのコーポレートガバナンス・コードの歴史は古く、初めて同コードが制定されたのは2002年。背景には、1998年に世界銀行が社会開発や金融機関支援のためフィリピンに約30億米ドル融資をしたことをきっかけに、世界銀行がコーポレート・ガバナンス強化を要求したことがある。その後、コーポレートガバナンス・コードは度々改訂され、現在では全部で16原則で構成されている。今回の改訂では、G20やOECD加盟国が定めるコーポレートガバナンス・コードや、ASEANコーポレートガバナンス・スコアカードを参照し、国際基準レベルを意識したものとなっている。改訂の内容としては、取締役3名以上もしくは取締役の3分の1以上を社外の独立取締役とすることを求めるガバナンスの向上が盛り込まれた。また、非財務情報やサステナビリティに関する情報開示についても、GRIやIIRC、SASBなどを参照しつつサステナビリティ報告を強化していくことや、貧困、格差、失業、気候変動など世界的課題に対して貢献する役割を果たしていくことも謳った。  国際金融公社とフィリピン証券取引委員会は、投資環境や規制分野での幅広い提携を結んでおり、今回のコーポレートガバナンス・コード改訂もその提携作業の一環。国際金融公社はその他30ヶ国以上でコーポレートガバナンス規制策定の支援を実施している。  【参照ページ】PHILIPPINES REVISES CORPORATE GOVERNANCE CODE FOR PUBLICLY LISTED COMPANIES 【コーポレートガバナンス・コード】CODE OF CORPORATE GOVERNANCE FOR PUBLICLY LISTED COMPANIES

» 続きを読む
ページ上部へ戻る