【アメリカ】連邦控訴裁、ネスレとカーギルのアフリカでの児童奴隷控訴を受理。13年以上の長期裁判

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 米サンフランシスコの第9巡回連邦控訴裁判所は10月23日、マリ人の元児童奴隷3人がネスレ米国法人と米カーギルを訴えた裁判の控訴を受理した。同裁判は、もともとは2005年7月14日に起こした集団訴訟が発端で、13年以上たった今も裁判が続いている。  同裁判の原告は、マリ人の元カカオ農園児童奴隷3人と人権NGOGlobal Exchange。被告は、当初はネスレ米国法人、カーギル、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)の3社だったが、2016年にADMは被告から外れている。元児童奴隷3人は、誘拐され、コートジボワールのカカオ農園で毎日12時間から14時間強制労働を強いられ、勤務時間外は施錠された部屋に監禁された上、虐待を受けたと主張している。同農園は、ネスレ米国法人、カーギル、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)のカカオ調達元企業であり、原告側は3社の責任を求めて訴えていた。  原告側の訴訟理由は、外国人不法行為請求権法(ACTA)、拷問被害者保護法、米国合衆国憲法、カリフォルニア州違反。一方、米最高裁判所は2013年、「Kiobel対シェル」裁判で、海外での人権侵害案件では米国との連関性を示さなければならないと判断しており、今回の裁判でも長年、この点が争点となっている。  2005年7月に起こしたカリフォルニア州連邦地方裁判所での一審は2010年9月、米国との連関性が認められないとして原告敗訴の判断を下した。原告側は控訴。連邦控訴裁判所は2013年12月控訴を受理。2014年9月に、奴隷は普遍的に禁止されており、企業便益のために活用することは認められないと一審判決を破棄、原告勝訴の判断を下した。被告側は連邦最高裁判所に上告。連邦最高裁判所は2016年2月、控訴審判決を破棄し、原告側が敗訴した。  その後、原告側は2016年7月、カカオ農家にコスト削減を要求するとともに、カカオ農家を資金及び技術面で支援する決定をネスレ米国法人とカーギルの米国本社で行ったとする証拠を持ち、再度訴訟を開始。2017年3月、連邦地方裁判所は米国との連関性は認められないと棄却。原告側は控訴。そして今回、米サンフランシスコの第9巡回連邦控訴裁判所は判事の全会一致で受理を認めた。裁判所は、ACTAが要求する米国との連関性があると判断した。  ネスレは今回、同社は児童労働問題に対する明確なポリシーをすでに掲げており、世界的にも取り組んでいると主張。今回の訴訟は、児童労働問題への対処に真摯な企業を標的にしていると控訴裁判所の決定を批判した。カーギルはノーコメント。

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【コートジボワール】世界初のカカオがらバイオマス発電所建設。米貿易開発庁が資金援助

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 コートジボワール政府と米貿易開発庁(USTDA)は7月2日、カカオがらを利用した世界初のバイオマス発電所をコートジボワール南西部のディヴォに建設すると発表した。発電設備容量は60MWから70MW。カカオがらはカカオから豆を採取した後に残る廃棄物。実現すれば、二酸化炭素排出量25万tの削減効果がある。  同発電所は、同国のエネルギー大手Société des Energies Nouvelles(SODEN)が運営者となる。発電所建設では、USTDAが996,238米ドル(約1.1億円)資金援助する。米エネルギーRecast Energyがフィージビリティスタディを実施する。コートジボワールのカカオがらの年間廃棄量は2,600万t。同国の設備容量は2.2GWだが、経済成長により電力需給が逼迫している。  USTDAは、その他同国の電力状況改善のため2件のプロジェクトに対する資金援助も決めた。まず、同国エネルギー大手Kokumbo Energiesが計画するガニョアのバンダマ側流域での水力発電所建設に999,135米ドル(約1.1億円)を拠出する。Kokumbo Energiesは、アフリカでのインフラ投資を専門とする英投資会社eleQtraの子会社。米Knight Piésold and Coがフィージビリティスタディを実施する。もう一つは、政府とSociété des Energies Nouvellesが進める送配電ロス削減プロジェクトに733,780米ドル(約8,100万円)拠出する。 【参照ページ】USTDA Announces Re-Opening in Côte d’Ivoire to Support Ivoirian Economy and Infrastructure Development

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【コートジボワール】フェアトレードUSAと仏PUR Projet、農家のカカオ生産改善・森林保護で連携

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 米フェアトレード認証NGOフェアトレードUSAと仏ファアトレード推進企業PUR Projetは3月7日、コートジボワールでのフェアトレード農林業新興でパートナーシップを締結した。カカオ生産により森林の85%が消失した同国で、現地コミュニティ主導での持続可能なカカオ生産を推進する。コートジボワールは世界のカカオ生産の39%を占める。  両者の連携プロジェクトでは、森林保護区でのカカオ生産を防止するため研修や監視活動を展開。プロジェクト推進に必要なインフラや能力開発も行う。またカカオ生産農家のカカオ農業への依存度を挙げ収入の多角化も図る。  ファトレードUSAは1998年設立。当初はフェアトレード認証の国際NGOフェアトレード・インターナショナルの構成メンバーだったが、方向性の違いにより2011年に脱退している。PUR Projetは、農業生産現場改善や生態系保護事業を40ヶ国以上で実施。現地社会を巻き込む手法で成果を上げている。   【参照ページ】Fair Trade USA and PUR Projet Tackle Deforestation in Cocoa Supply Chains New Fair Trade Innovations Support Farmers, Consumers and Businesses

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【国際】世界カカオ財団と企業21社、コートジボワールとガーナの熱帯雨林保護・再生で協働

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 カカオ産業のサステナビリティ向上を目指す世界カカオ財団(WCF)は11月16日、気候変動枠組み条約ボン会議(COP23)の場で、新たなイニシアチブ「Frameworks for Action」の設立を発表した。世界のカカオの3分の2を生産するコートジボワールとガーナでカカオ栽培による熱帯雨林伐採を食い止め、国立公園を守る。熱帯雨林を保護することで大気中の二酸化炭素を固定化するにもつながり気候変動緩和にも貢献できる。  過去10年で、コートジボワールでは約210万ha(青森県と秋田県の足した面積)、ガーナでは82万ha(兵庫県の面積)の熱帯雨林が消失。その結果、コートジボワールではかつて国土の25%が熱帯雨林だったが、現在は4%未満にまで激減している。コートジボワールとガーナの熱帯雨林消失のうち4分の1がカカオ生産によるとものとみられている。カカオ生産により熱帯雨林破壊が進む背景には、現地のカカオ生産農家の間で、熱帯雨林を焼き払った土地でカカオを栽培したほうが実りが良いと信じられているという事情がある。 【参考】【西アフリカ】カカオ栽培により熱帯雨林が大規模消失。メーカー・流通企業の課題多い(2017年10月1日)  このままのペースで熱帯雨林破壊が進めばカカオ生産は持続可能でなくなってしまう。すると現地のカカオ農家の所得や雇用にも大きなダメージを与えることになる。そのため、熱帯雨林破壊を伴わない持続可能なカカオ栽培が、カカオを原料とするチョコレート産業を中心に大きな経営課題になっている。  今回のイニシアチブに参加するのは、チョコレート世界大手米マース、米モンデリーズ・インターナショナル、米ハーシー、米ギタード、米Blommer Chocolate Company、スイスのネスレ、スイスのバリーカレボー、ベルギーのゴディバ、伊フェレロ、仏Cemoi、デンマークのToms International、日本の明治、ニュージーランドのWhittaker's、カナダのCococo Chocolatiers、食品商社世界大手米ゼネラル・ミルズ、米カーギル・カカオ&チョコレート、シンガポールのオーラム・カカオ、スイスECOM Group、農業大手仏Touton、英小売大手セインズベリー、スイス育苗大手Tree Globalの21社。参加企業で世界のカカオ流通の80%以上を占める規模。  コートジボワールとガーナの両政府も、熱帯雨林地域の土地利用状況地図の更新やカカオ農家や地域社会の経済状況把握等、森林保護管理制度の向上をすでに開始している。今回のイニシアチブは、企業がカカオ流通の認証・モニタリング制度や衛星画像解析等を導入し、サプライチェーンの透明性を上げることで、政府の取組を後押しする。さらに政府と協働し、国レベルの透明性向上フレームワークなどの構築も支援していく。企業アクションの検討では、現地の農家やコミュニティと十分に対話していく方針も確認された。同時に企業はフレームワークに沿う具体的アクションの結果と進捗状況を毎年開示していくことでも合意した。  今回のフレームワークでは、「森林保護と再生」「持続可能なカカオ生産と農家の生活基盤整備」「コミュニティ・エンゲージメントと社会的インクルージョン」の3つを主なテーマとして掲げている。 森林保護と再生:国立公園や国立保護区の保護、都市部の緑地化、特にカカオ農家の侵入によって荒らされた森林保護区の再生 持続可能なカカオ生産と農家の生活基盤整備:持続可能なカカオ生産の集約化と生産性・農家の収入を増加させるための生産の多角化 コミュニティ・エンゲージメントと社会的インクルージョン:コミュニティ全体を巻き込み農家に社会的なセーフテティネットを提供 【参照ページ】Two-thirds of Global Cocoa Supply Agree on Actions to Eliminate Deforestation and Restore Forest Areas

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【西アフリカ】カカオ栽培により熱帯雨林が大規模消失。メーカー・流通企業の課題多い

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 深刻化する西アフリカの森林破壊の主要因が、チョコレート産業のカカオ栽培にあることがわかった。英紙ガーディアンが9月13日報じた。現在、世界で生産されているカカオのおよそ約70%は、シエラレオネからカメルーンまでの地域で、約200万人の農家によって生産されている。とりわけコートジボワールとガーナは、世界第1位(174.1万トン)と第2位(89.7万トン)の生産地。コートジボワールでは、かつて国土の25%が熱帯雨林だったが、現在は4%未満にまで激減している。  ガーディアン紙の記者がコートジボワールのティア山にある国立熱帯雨林保護区を現地調査をしたところ、熱帯雨林はほぼ消失し、カカオの木以外は、ほぼ切り倒されていた。現地農家は、カカオ栽培のために熱帯雨林を「少しずつ焼いた」と語っており、典型的な無管理の焼畑栽培の状態。新たに焼畑をした地域がカカオ豆がよく育つと農家の間で信じられており、それにより次々熱帯雨林が焼かれていっているという。  国立保護区の年間森林消失率は近年倍増。コートジボワールとガーナの保護区外では消失は4倍にもなっている。チョコレート世界大手のマース、ネスレ、モンデリーズ・インターナショナル、ゴディバや、カーギル、バリーカレボー、オーラム等の食品流通企業も、コートジボワールでカカオ豆を調達している。企業らは、今年6月に共同声明を出し、森林破壊と森林劣化を終息させることを約束。今後、実効性のある具体的な取組内容が打てるかに注目が集まっている。フェアトレード豆のの調達なども有効だが、フェアトレード認証が乱発されており、真にフェアトレードになっていないという批判もある。また、国立保護区を管理する州政府当局でも、賄賂の実態が報告されている。  ティア山の熱帯雨林破壊が深刻化したのは2004年。内戦により社会混乱が続く中、管理がなされなくなっていった。その他の地域でも、近年、破壊が拡大しているという。チョコレートによる森林破壊の調査報告書を発表した国際環境NGOマイティ・アースは、腐敗により当局による管理強化は期待できないため、食品企業や流通企業による原産地の透明性確保やトレーサビリティが重要だと指摘している。    2013年から2014年のチョコレート製品の消費量は、欧州が181.2万t、米国が77.5万t、中国が7万t。日本は中国の2倍以上の16.5万t。チョコレートはこれまで、現地労働者の人権等の問題指摘が多かったが、企業は環境破壊についても責任を求められてきている。 【参照ページ】Chocolate industry drives rainforest disaster in Ivory Coast 【報告書】Chocolates’ Dark Secret

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【国際】英皇太子、チョコレートメーカー世界大手を招集。森林破壊撲滅に向けた共同趣旨書発表

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 英国チャールズ皇太子は3月16日、世界カカオ基金(WCF)、Sustainable Trade Initiative(IDH)と共同で、チョコレート産業に関する国際会議をロンドンで開催した。チャールズ皇太子は、2004年にサステナビリティ情報開示の推進機関The Prince’s Accounting for Sustainability Project(A4S)を立ち上げ、国際統合報告評議会(IIRC)を2010年にの設立する際にも尽力するなど、この分野に非常に関心が高い。  ロンドンで開催された国際会議には、チョコレート世界大手のハーシーCEO、バリーカレボーCEO、マース社長、カーギル・ココア&チョコレート社長、オーラム・ココアCEO、ネスレのチョコレート部門グローバルヘッド、フェレロ執行役員、モンデリーズ副社長など12社の代表者が参加。共同で「カカオと森林イニシアチブ(The Cocoa and Forests Initiative)設立に関する共同趣旨書」を発表した。共同趣旨書には、企業、政府、市民社会が一体となってカカオ豆生産による森林破壊と森林減少を抑止することが謳われている。詳細な枠組みについては、今年後半にドイツ・ボンで開催されるCOP23で発表される。  共同趣旨書には、最初の注力地域として、コーボジボワールとガーナを挙げている。森林破壊の問題を論じる際には、最大の要因として家畜、特に大量の穀物を必要とする牛の飼育、パーム油、大豆、木材が挙げられる事が多い。しかし近年、チョコレートの世界的な需要拡大が、特にカカオ豆の最大の生産地であるコートジボワールとガーナにおいては、森林破壊の要因となっている。コートジボワールは、森林面積が半減しており、ガーナの熱帯雨林面積も当初の約4分の1にまで削減したと推計されている。チョコレート産業は年間で300万tのココア及びチョコレート製品を製造し市場規模は1,000億米ドルにも成長しているが、世界自然保護基金(WWF)やRainforest Rescue等のNGOは、今後チョコレート産業が土地管理を慎重にしなければ、長期にわたるカカオの収穫量減少リスクがあると警鐘を鳴らしている。  チョコレート業界では、以前はカカオ豆よりもパーム油と森林破壊の関連性が問題視されていた。2010年代初めには国際環境NGOグリーンピースはキットカット等人気のあるチョコレートのメーカーを激しく攻撃。以後、批判の対象となった企業は、パーム油の生産管理を強化し、数年後にはネスレやフェレロはグリーンピースから賞賛されるほどに改善された。そして続いて対象となってきているのがカカオ豆生産と森林破壊のつながりだ。  米食品大手のマ-スは、森林破壊を抑止するためにいくつかの対策を講じている。その1つはカカオ豆生産者と共に森林保全と持続可能な農業実践を併行しつつ、収穫量を増やすためのプログラム「森林複合経営(agroforestry)の展開。WWFはマ-スのこの取り組みを支援している。  クラフトフーズから分社化し、キャドバりー、ミルカ、トブラローネ等のブランドを有する米モンデリーズも、2012年からガーナ、コートジボワール、インドネシア、ドミニカ、インド、ブラジルの6ヶ国を対象として、独自の森林破壊抑止およびサステナビリティの促進プログラム「ココア・ライフ」を実践。2015年後半からは、コートジボワール政府がココア生産での森林破壊ゼロのために取り組んでいる国連主導の「REDD+」プログラムに参加するとともに、西アフリカ沿岸国で26,000の小規模カカオ豆生産者に対して森林破壊を伴わない生産性改善を指導している。  巨大な企業の寡占状態にあるパーム油生産とは異なり、カカオ豆生産は何百万という小規模農家が生産を担っている。そのため、カカオ豆生産現場の改善のためには、持続可能な農法、女性エンパワーメント、土地修復など幅広い目標を多くの関係者に伝えていく必要がある。カカオ豆に従事している労働者は、1日約1ドル米ドルで厳しい労働を強いられている人々も多く、人権や健康面での改善も重要となる。  今回の国際会議には、当事国であるコートジボワールやガーナの政府関係者も招集された。イニシアチブを進めるには、両国政府からの支援も必要だが、両国とも汚職などの問題も抱えている。国際NGOのトランスペアレンシー・インターナショナルが発表した2016年版の腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index)によると、176か国中、コートジボワールは108位、ガーナは70位。しかし、業界が長期的に生き残るには、腐敗の問題も克服しながら、生産現場の改善に努めていく他には選択肢はない。 【共同趣旨書】Collective Statement of Intent The Cocoa and Forests Initiative 【参考ページ】Mars, Nestlé, Mondelēz Pledge to End Deforestation in Cocoa Supply Chain 【参考ページ】世界カカオ豆需給推移:日本チョコレート・ココア協会 【参考ページ】Mars, Deforestation Prevention Policy 【参考ページ】Mondelez International to Lead Private Sector Action in Côte d'Ivoire's Program to Combat Deforestation 【参考ページ】Corruption Perceptions Index 2016

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【アメリカ】カーギル、国際カカオイニシアチブが開発した児童労働監視システムを導入

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 食品世界大手カーギルは2月7日、国際カカオイニシアチブ(ICI)と協働し、両者が共同で取り組んでいるコートジボワールでの児童労働撲滅プログラムを拡大していくことを発表した。コートジボワールにあるカーギルのサプライチェーン全体で、児童労働の関与を監視するシステム「児童労働監視改善システム(CLMRS)」を導入する。  ICIは、カカオ農園から児童労働を撲滅するため、食品メーカー、米国政府、ILO、労働組合、NGO、消費者団体などが2002年に共同で設立した組織。発足当初からカーギルも同イニシアチブに参加している。ICIは、2016年9月から、カーギルに原料を納品している農家の中から「優秀農家」を選抜し、農家の生活や経営データを携帯電話を通じて収集しながら、児童労働の危険性を伝えるプログラムを実施。今回カーギルが導入する監視システムも、ICIがカーギルとの協働の中で開発してきたもので、運用をカーギルが企業内部で実施できるようにすることで、カーギルの事業活動の中に組み込むことを目指す。ICIは、他の食品メーカーにも、CLMRSの導入を呼びかけている。 【参照ページ】Cargill and the International Cocoa Initiative on a journey to improve the lives of children

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【アフリカ】世界カカオ財団、カカオ生産者に対する金融支援と高品質カカオ苗生産の支援事業を発表

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 カカオ産業のサステナビリティ向上を目指す世界カカオ財団(WCF)は10月26日、米国政府の「Feed The Future」イニシアチブと連携し、「African Cocoa Initiative II」事業を立ち上げたことを発表した。世界カカオ財団には、EUや米国農務省、米国労働省、世界銀行、ビル・メリンダ・ゲイツ財団や世界各地のカカオ産業支援団体などが加盟する世界的な組織。今回立ち上げる「African Cocoa Initiative II」事業では、今後5年間にわたり、カメルーン、コートジボワール、ガーナ、ナイジェリアのカカオ農家を対象とし、金融サービス提供と高品質カカオ苗生産の分野に1,200万米ドル(約13億円)を資金提供する。この事業は、世界カカオ財団が推進する「カカオ・アクション」戦略の一端を担うものとなる。  今回の発表は、コートジボワールで開催された世界カカオ財団の総会で行われた。開催国コートジボワールのDaniel Kablan Duncan首相は、同国のカカオ産業政策を発表。2020年までに地元のカカオ生産の半分を現地で加工し、チョコレート生産を現地で行う取組などがその内容。チョコレート産業は、カカオの段階は原料は安く、チョコレートに加工されると高く販売でき、中間利潤が大きい。現地でチョコレート製造まで行うことで、カカオだけを販売するよりカカオ農家には利益が残ることとなる。  総会では、同財団が2014年に開始した「カカオ・アクション」戦略の年次報告も行われた。この戦略は、カカオ農家とその家族が経済的に自立でき、高度な農業を行える農家を育成し、カカオ産業を中心とする地域コミュニティの生活のの質向上を目指している。戦略は、ガーナとコートジボワールの30万人を最初の対象として定め、チョコレートまたはカカオ製造世界大手9社の自発的協力の基に「カカオ・アクション」戦略に沿う現地生産を展開し始めている。参画している9社とは、チョコレート世界大手ハーシーズ、マーズ、ネスレ、モンデリーズ、フェレロや、カカオ世界大手バリーカレボー、カーギル、オーラム・インターナショナルなど。日本のチョコレートメーカーや商社からの参加はない。総会ではその他、サステナビリティ、森林伐採、女性生産者への金融支援、森林伐採、農家の世代継承、カカオに関する科学の将来動向、農場再生のための農家への資金提供などが話し合われた。 【参照ページ】Global Cocoa Sector Meets in Côte d'Ivoire to Explore New Directions for Sustainability Efforts 【機関サイト】World Cocoa Foundation

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【スイス】ネスレ、「キットカット」で世界初となる100%持続可能なカカオによる生産を実現

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 スイスの食品大手、ネスレは2月8日、同社の主力製品ブランドである「キットカット」が、カカオ農家の生活向上およびカカオ豆の品質向上を目的とするネスレカカオプランの取り組みを通じ、世界で初めて100%持続可能なカカオのみを使用して製造されるグローバル菓子ブランドとなったことを発表した。  ネスレ製菓部門の責任者を務めるSandra Martine氏は、「ネスレは、キットカットが100%持続可能なカカオで生産された世界で初めてのグローバル菓子ブランドになることを誇りに思う。ネスレでは、我々はブランドの製造を可能にする人々と環境を守るシステムの一部であるということが極めて重要だ。社会的責任はコートジボワールの農村、そして我々の製品の品質にとって必要不可欠なのだ」と語った。  今回の発表に際し、社会派のYouTubeパーソナリティ、Louis Cole氏がコートジボワールで撮影された動画シリーズに出演し、ネスレカカオプランの3本の柱について説明している。ネスレが掲げる3本の柱とは「農業者に利益をもたらす農業経営」「農業者の社会的状況の向上」、「ネスレの製品の材料をより高質でサステナブルなものにする」というものだ。  ネスレはこの目標の実現に向けて、カカオ農家に対してより耐性のある苗を供給し、高度な農業実践に向けたトレーニングなども提供しながら、農家の人々の長期にわたる利益とサステナビリティを支援している。同社は2016年までに12万トン、2017年までに15万トンを同プランに基づくカカオにすること、そして全ての協力企業に児童労働モニタリング・改善システムを適用させることを目指している。  これまでの取り組みとして、ネスレは2014年に同プランに基づいて91,801トンのカカオを生産し、45,833人のカカオ農家にトレーニングを提供し、17の学校を新築・改築した。また、2014年8月には公正労働協会(FLA)が初めてコートジボワールにおけるネスレのカカオサプライチェーンに関する報告書を発行し、ネスレはその中で行動規範の一層の遵守を指摘されたが、同社はこれを受けて児童労働モニタリングおよび改善システムをさらに14協力企業に適用し、合計で22企業まで拡大させた。2015年には目標としていた同プランを通じたカカオ10万トンの生産を達成している。  今回もうひとつ注目されるのは、世界を代表するコードジボワール出身のサッカー選手、ディディエ・ドログバ氏がYouTubeに登場し、健康と教育に関して恵まれない立場にあるコートジボワールの人々を支援するディディエ・ドログバ財団とネスレとの新たなパートナーシップを発表していることだ。ネスレは現在までに1万人以上の子どもと若者とに教育支援を提供しているが、さらなる展開としてこの財団のためにドログバ氏の故郷、Gagnoa地域で国営の学校を建設する。同氏は「私の財団とネスレとのパートナーシップを誇りに思う。コートジボワールでの教育や子どもたちの生活に継続的な変革をもたらすだろう」と語る。  日本でもなじみのある「キットカット」において、ついに100%持続可能なカカオによる製造が実現された。CSVの先進企業として常に食品業界のサステナビリティをリードしてきたネスレが、また一つ大きな目標を達成したことになる。事業を通じて地域社会の発展を支える同社のような取り組みが、今後さらに業界全体へと広がっていくことを期待したい。 【参照リリース】KitKat hits 100% sustainable cocoa goal in world first 【企業サイト】Nestlé 【参照サイト】Nestlé Cocoa Plan (※写真提供:MAHATHIR MOHD YASIN / Shutterstock.com)

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【イギリス】ユニリーバ、工場から埋立地への廃棄物ゼロを達成

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消費財大手のユニリーバは1月28日、同社の抱えるグローバル工場ネットワークから埋立地へと送る廃棄物をゼロにする、という同社の主要なサステナビリティ目標を達成したと発表した。 今回ユニリーバは世界67カ国にまたがる240以上の工場という非常に大きな規模での廃棄物ゼロを実現することに世界で初めて成功した。この発表と時期を同じくして、同社はDow Jones Sustainability Index 2014(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス2014)への選出を基にして先日SRI格付会社のRobecoSAM社が発行した2015年度版のサステナビリティイヤーブックでもゴールドメダルを授与されている。埋立地への廃棄物ゼロという目標は同社のサステナビリティ戦略においてとても重要な地位を占める目標の一つだった。 同社によれば、廃棄物削減に向けた取り組みの中で、排出される廃棄物を有効活用する方法が様々に考え出されたという。例えばコートジボワールでは、廃棄物が低コスト建築の建材として使用され、インドでは有機性廃棄物を堆肥として地域での野菜栽培に使用されているとのことだ。また、同社のアジア最大の工場がある中国の安徽省では、廃棄物をレンガや敷石として使っているという。 また、同社は廃棄物の削減により2億ユーロのコスト削減、数百の新たな雇用を生み出すことにも成功した。さらに、エジプトでは製造ラインから出る廃棄物をリサイクルし、身体障害を持つ従業員が臨時収入を得られるプログラムなども実施されたという。 ユニリーバは以前から工場から廃棄物を出さないことには力を入れて取り組んできたが、「埋立地への廃棄物ゼロ」という目標が2012年にUnilever Sustainable Living Plan(ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン)目標に加えられて以降、「廃棄物ゼロ」という意識を従業員一人ひとりが常に持ち続けられるように、特に力を入れてきた。 「埋立地への廃棄物ゼロ」を達成すべく、同社は4つの「R」アプローチ、「生産拠点での廃棄物を減らす、無害な残存物を再利用、回復および再生する(Reduce、Reuse、Recover、Recycle)」というアプローチを取り入れており、この取り組みにより発送に使われる包材から従業員食堂からでる残飯まで、工場のオペレーション全てを見直すようになったという。 同社サプライチェーン責任者であるPier Luigi Sigismondi氏は「今回の目標達成は、我々の組織全体の意識改革の集大成であり、今後の継続的なビジネス成長を示すものだと言える。各従業員がそれぞれの持ち場で実に画期的な発想で廃棄物ゼロに取り組んできた。我が社がパートナー企業と共に目標を達成できたことを大変誇りに思う。しかし、これで終わりではない。『廃棄物ゼロ』の取り組みをさらに推し進め、サプライヤーや顧客と共に、『廃棄物ゼロ』のバリューチェーンを目指していく。この取り組みを更に広く展開することで、より持続可能な未来を作っていくことに尽力していく」と述べた。 サステナビリティ分野のリーディングカンパニーでもあるユニリーバがまた一つ大きな目標を実現した。グローバルサプライチェーン全体を通じた廃棄物削減の取り組みにより環境負荷を大幅に削減するのみならず、地域社会における雇用の増加やオペレーションコストの削減、従業員によるイノベーション促進など様々な成果を上げている点が同社のサステナビリティ戦略の優れている点だと言える。今後の活動に引き続き注目だ。 【リリース原文】Unilever achieves zero waste to landfill across global factory network 【企業サイト】Unilever

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