【アフリカ】コカ・コーラ、アフリカで医薬品を供給する「ラストマイル・プロジェクト」を10ヶ国へ拡大

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米コカ・コーラ社は6月23日、USAID(United States Agency for International Development:米国国際開発庁)、世界エイズ・結核・マラリア対策基金、そしてBill & Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ財団)と共に、医療インフラが整っていない地域に住む人々に対して、自社の物流やサプライチェーンを活用して医薬品や医療用品を届ける「ラストマイル・プロジェクト」の適用範囲を、今後5年間でアフリカ10ヶ国まで広げると発表した。 「ラストマイル・プロジェクト」は官民協働によるPPP(Public Private Partnership:官民パートナーシップ)として現在タンザニアとガーナで展開されており、コカ・コーラ社が自社の物流・サプライチェーン・流通・マーケティングノウハウを活かしてアフリカ政府と協働することで、アフリカの僻地に暮らしており、もっとも医療サービスを必要としている人々「ラストマイル」まで、命を救う医薬品・医療用品を届ける取り組みを行っている。 今回の発表によればUSAIDからの強力な支援に加え、協力パートナーからの2,100万ドル以上の投資が予定されているとのことだ。「ラストマイル・プロジェクト」は次の実施予定地域としてモザンビークを挙げており、他の7カ国でも交渉が進められている。 米コカ・コーラ社CEOを務める Muhtar Kent氏は「アフリカは85年以上の長期に渡り、我々のビジネスにおいて重要な部分を担ってきた。我々はアフリカの人々がより健康で活動的な暮らしができるように支援することをコミットしている。ラストマイル・プロジェクトは現在のところ大きな成功を収めており、今後もパートナーと共により多くのコミュニティ、国々に支援を広げていきたい」と語った。 また、タンザニアの医薬品供給庁長官を務めるCosmas Mwaifwani氏は「ラストマイル・プロジェクトによって我々はよりプロフェッショナルな事業を実行できるようになり、医薬品に関わる計画、流通そしてマネジメントの改善につながった。このプロジェクトのおかげで、タンザニア全域において、重要な医薬品を安定的に供給することが可能になった」と述べた。 なお、「ラストマイル・プロジェクト」を持続可能なプロジェクトにするために、Yale’s Global Health Leadership Institute(イェール・グローバル・ヘルス・リーダーシップ研究所、ADP(Accenture Development Partnerships:アクセンチュア開発パートナーシップ)、GETF(Global Environment & Technology Foundation:地球環境技術財団)もそれぞれ独自の専門ノウハウを提供している。 コカ・コーラ社はボトラーやサプライヤーも含め、アフリカでは最大規模の従業員を抱える企業だ。多くの従業員の生活を支える企業として事業慣行や労働慣行に対する社会的責任を果たす必要性はもちろん高いが、それと同時にアフリカは同社にとって今後最大の成長が見込まれるマーケットでもあり、年々同地域の売上比率も上がってきている。 将来の成長性を見越して早くからアフリカ地域に暮らす人々の生活向上を支援し、結果としてコカ・コーラのブランドを揺るぎないものにするという同社の取り組みは優れたコミュニティ投資の事例の一つだ。また、自社の物流ノウハウやサプライチェーンを活用して医薬品を届けるという、自社の強みを活用したプロジェクトを展開している点も参考になる。 この「ラストマイル・プロジェクト」を支援している世界エイズ・結核・マラリア対策基金では同社の取り組みをビデオで紹介しているので、興味がある方はぜひ見て頂きたい。 【インフォグラフィック】Project Last Mile 【企業サイト】The Coca-Cola Company 【参考サイト】USAID/The Global Fund/Bill & Melinda Gates Foundation (写真提供:meunierd / Shutterstock.com)

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【カナダ】SPONSORIUM、航空業界のスポンサーシップ・コミュニティ投資トレンドを発表

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近年、企業によるスポンサーシップ活動が世界中で拡大し続けているが、特に航空業界でその傾向が顕著なようだ。スポンサーシップとは、企業やブランドが売上向上やブランド認知向上を目的として特定のイベントや活動に対し資金やリソースを提供することを指す。 カナダのSPONSORIUM社が毎月発行している「SPONSORIUM Report」の最新5月号によれば、航空業界の主要ブランドによるコミュニティ投資活動の量はここ2年で39%も増加したとのことだ。同社はスポンサーシップとコミュニティ投資のためのオンライン管理ソフトウェアを世界50カ国以上の企業に提供しているリーディングカンパニーだ。 SPONSORIUM Reportはスポンサーシップとコミュニティ投資の状況をインフォグラフィック形式でまとめたレポートで、トピックは毎月異なり、5月末までの集計データに基づく最新号は航空業界に限定されたデータとなっている。 同レポートによると、昨年航空会社各社に求められたコミュニティ投資額の平均は83,763ドルで過去に同レポートが集計したどの業界の金額よりも多かったという。また、そのうち環境面に焦点を当てた活動の割合は14%増加したとのことだ。 SPONSORIUM社が提供するスポンサーシップ・コミュニティ投資のための分析ソフトウェアPerforMind™(スポンサーシップやコミュニティ投資がブランドにもたらすROOを数値として測定できるツール)によれば、航空会社のケースではフェスティバル・フェアが最も高いROOを示すといい、他の業界と比較して平均7%ほど高いスコアだという。 ※ROO(Return on Objectives):プロジェクトの目的に対するリターン。ブランド認知向上のためのキャンペーンやイベントなど、ROIを図りづらい取り組みの成果を図る際に用いられる指標 5月版のレポートは2013年に145ヵ国で実施された5万件以上のイベントやパートナーシップに関するデータを基に作成されている。これらのデータはPerforMind™により収集されており、世界中の250以上の企業・ブランドが自社のスポンサーシップやコミュニティ投資活動を評価するために同ソフトウェアを利用している。 航空業界はCSRやマーケティングの領域でも先進的な取り組みを進めている企業が多い反面、CO2排出量など環境負荷の軽減や安全対策、騒音対策、コミュニティとの調和など、常に責任ある事業慣行が求められる業界でもある。ぜひ今後も積極的な活動に期待したい。 【参考サイト】SPONSORIUM Report 【企業サイト】SPONSORIUM

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【エルサルバドル】クリエイティブ社とマイクロソフト、共同で25,000人の青少年を支援

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昨今では急速なITインフラ整備に伴い、IT教育、アクセシビリティ向上への取り組みなどグローバルIT企業による開発途上国へのコミュニティ投資の流れが加速している。 マイクロソフトとクリエイティブ・アソシエイツ・インターナショナル(以下、クリエイティブ社)は6月12日、共同でエルサルバドルの若者に対してソフトウェアや技術訓練の提供を始めることで合意した。若者のギャング化を食い止める事が狙いだ。 具体的には、エルサルバトルにある77か所の青少年地域センターと交流のあるクリエイティブ社のネットワークを利用して、マイクロソフトが教育ソフトウェア導入済みのパソコン800台を支給することになっている。 今回のプロジェクトにより、約25,000人の若者が恩恵を受ける計算だ。地元のベンダーと協力しながら情報技術者の育成なども行う予定で、支援総額は294万ドルとなる。マイクロソフトは創造的で将来可能性のある若者育成を行うユース・スパーク・イニシアチブを通してこのプロジェクトを支援する予定だ。 マイクロソフトエルサルバドルでゼネラルマネージャーを務めるGracia Rosi氏は、「エルサルバドルの開発を最大化するために、様々なタイプの機関と相互協力をすることが重要だ。今回のように我々は、USAID(United States Agency for International Development:米国国際開発庁)が推進する取り組みに積極的に参加しなければならないと考えている。IT分野の職業訓練などを通し、エルサルバドルの若者が夢に向かって努力できる環境作りを我々はサポートしなければならない。」と述べた。 一方のクリエイティブ社CEO、Charito Kruvant氏も「マイクロソフト社の参画は、ギャングが蔓延るエリアに住む若者に対して多大なる好影響を与えるだろう。若者の犯罪を防止し、若者により安全で明るい未来を作るための役割を与えてくれる同社のサポートに我々は感謝している」と今回の合意に期待を寄せる。 クリエイティブ社による「エルサルバドルの暴力・犯罪防止プログラム」はアメリカ政府の国際開発部門から資金が提供されており、凶悪犯罪に対処するためのコミュニティ、自治体や国家機関の能力を改善することを目指している。同社は若者が安心してITや英語の教育を受けられる環境を中米内の115か所の若者地域センターに提供しており、米国政府と共に働く女性が運営する企業としては2番目に大きな組織だ。 今回の事例に限らず、マイクロソフトは自社のソフトウェアやトレーニングプログラムなどを通じて積極的にコミュニティ投資を行う企業として有名だ。ローカルコミュニティにネットワークを持つ企業やNPOと提携しながらプログラムを展開するケースも多く、こうした活動を通じて将来の顧客基盤形成につなげている。 【企業サイト】Creative Associates International 【企業サイト】Microsoft

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【アメリカ】ホテル世界大手Wyndham Worldwide、ヒスパニック系団体からダイバシティー企業として表彰

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ホテル業界世界大手のWyndham Worldwide社は、ヒスパニック企業責任協会(HACR)からヒスパニック系市民に対するダイバーシティーに貢献する企業として表彰された。同社が同賞を受賞するのは昨年に続き2回目。HACRは、毎年独自の企業包接性指数というものを用いてヒスパニック系に対するダイバーシティーを測定、評価している。対象項目は、雇用、調達、寄付、ガバナンス等多岐にわたり、ヒスパニック系社会に対して企業がどれだけ貢献しているかを定量的に算出している。その定量スコアが高い企業が、今回のWyndham Worldwideのように表彰されている。Wyndham Worldwide社自身は、ヒスパニック系からの点稼ぎに走っているわけではない。ホスピタリティ産業の雄として、LGBT(ゲイ・レズビアンなど)や女性コミュニティからも事業姿勢を高く評価されている。同時に表彰された個人部門賞でもWyndham Worldwide社の社員が選ばれており、HACRの他の加盟企業に対してアドバイザーとしての役割を務めている。【企業サイト】Wyndham Worldwide

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【6/4 シンガポール】CSRアジアがコミュニティ投資フォーラムを開催

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CSRアジアでは、6月4日(水)、シンガポールにてコミュニティ投資フォーラムを開催します。 昨年に続き、今年のコミュニティ投資フォーラムでも、「企業とコミュニティのパートナーシップ構築」に焦点をあて、パートナーシップにおけるインパクト・アセスメントの重要性や今後の展望、また事例や成功例についてお話します。 戦略的コミュニティ投資の分野で過去10年以上に渡り豊富なプロジェクト実施経験のあるCSRアジアが、皆さまの実務に役立つ情報を提供いたします。戦略的コミュニティ投資をすでに実施されている方、実施方法を検討されている方、これから始められる方など他社の事例を聞き、他の実務者との意見交換ができるチャンスです。どうぞご参加ください。 また、コミュニティ投資フォーラムの後、6月5日(木)、6日(金)の二日間にわたり、効果的なパートナーシップを構築するためのスキルが学べる研修も実施します。(使用言語は英語) 詳細、お申し込みはこちら(英語)から。 【企業サイト】CSRアジア

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2014/05/09 行動する

【日本】第1回東洋経済CSRセミナーが開催、CSR担当者ら90名が集まる

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4月16日、東洋経済新報社CSRプロジェクトチームの主催で「第1回東洋経済CSRセミナー」が開催され、企業のCSR部門担当者らを中心に約90名の参加者が集まった。 東洋経済新報社では毎年独自のCSR調査を基にCSR企業総覧を発行しており、CSR企業ランキングも発表している。同社は、CSR調査が第10回目という節目を迎える今年に、新たにCSRプロジェクトをスタートした。今回のセミナーはその第1回目となる。 セミナーのテーマは「企業の社会貢献について考えよう」。当日は2部構成で、前半はCSRアジア日本代表の赤羽真紀子氏による基調講演。後半は赤羽氏に加えてCSRコンサルタントの安藤光展氏、グリー株式会社広報室CSR担当の狩野明香理氏がパネラーとして加わり、東洋経済新報社「CSR企業総覧」編集長、岸本吉浩氏によるモデレートでパネルディスカッションが行われた。 ここでは当日の内容の中でも特に印象的だった内容をいくつかご紹介する。 第1部:基調講演「企業の社会貢献活動は社会的責任なのか?」 第1部では、CSRアジアの赤羽氏が「企業の社会貢献活動は社会的責任なのか?」というテーマで講演を行った。 赤羽氏は通算10年以上に渡り様々な業種の多国籍企業のCSR担当としての経験を持ち、企業の環境対応と社会貢献事業に関しては、スターバックスコーヒージャパン、セールスフォースドットコム、日興アセットマネジメントの各社で関連部署立ち上げを手がけた経歴を持つ。 社会貢献活動はCSRなのか? 赤羽氏は、CSRアジアでは社会貢献をCSRの一部とみなしているものの、単なる慈善活動だけではCSRとは言えず、慈善活動からコミュニティ投資への転換が必要だと訴えた。また、コミュニティ投資にあたってはミレニアム開発目標などの国際的なアジェンダの解決に貢献するような活動へ取り組む重要性や、コミュニティ投資の評価の必要性について語った。 同氏によれば、2009年に日本企業のCSR報告書に「ミレニアム開発目標」という言葉が出ているかどうかを調査したところ、5%ほどの企業しか掲載していなかったとのことだ。現状のままだと海外から日本企業は国際的なアジェンダに対する興味が薄いと感じられかねないという。 また、同時に社会貢献活動ほど効果を明確に測定することが重要だとしたうえで、大事なのは活動の「インプット」「アウトプット」ではなく、その活動を通じて生まれるコミュニティへの「インパクト」や企業への「リターン」だと訴えた。実際に多国籍企業におけるコミュニティ投資においてはこれから開拓しようとする市場に対して積極的にコミュニティ投資を行い、市場のプレゼンスを高めようとする事例が多いという。 企業はコミュニティ投資など社会貢献活動に対する説明責任があり、活動の継続性と改善のためにも効果の測定は必要だと強調した。 変わりつつあるアジアのCSR主題 また、同氏はアジアにおけるCSRの問題意識の変化にも触れた。2013年のCSRアジアの調査によれば、アジアにおいては「サプライチェーンと人権」の問題が優先順位のトップとなっており、次いで「コミュニティ投資と共有価値の創造」が2位に上昇してきたという。この2項目への関心の高まりとともに、「気候変動とエネルギー問題」は優先順位を下げている。 そして、「CSRに影響を与えるのは誰か」という問いについては、2008年~2009年まではアジアにおいてCSRを先導していた「政府・政治家」がトップとなっていたが、2010年以降の調査ではNGO・市民団体がトップを維持しているという。また、3位に上がってきた「ソーシャルメディア」や6位の「従業員」の存在も無視できなくなってきていると付け加えた。 CSR担当者の悩みとその解決策 講演の後半は、実際に企業のCSR担当者として現場で苦労しながらCSRに取り組んできた赤羽氏が、自身の経験を基にして参加者に具体的なアドバイスを提供した。 「どうやって優先順位をつけたらよいか分からない」「社員がうまく巻き込めない」「うちの会社らしい活動が見つからない・社会のニーズが分からない」といったCSR担当者が抱えがちな悩みに対して、非常に具体的かつ論理的なアドバイスが提供され、参加者の共感を得ていた。 特に、多くのCSR担当者が悩んでいると思われる「社員の巻き込み」については、経営層・中間管理職層・社員層ではアプローチを変える必要があるとしたうえで、特に経営トップにCSRへの理解がない場合には社員から活動を浸透させていくボトムアップ型のアプローチが効果的だと共有した。 赤羽氏によれば、社員は、実は「社会と関わりたい」という願望を持っており、そうした社員の「向社会性」に目を向けて、まずは共感してくれそうなキーパーソンから巻き込んでいくことが有効だという。 また、優先順位の決定や自社らしい活動を見つけるための方法として、ステークホルダー・エンゲージメントの重要性も語られた。ステークホルダーの話を聞けば地域や企業にとっての課題がよく分かり、結果として取り組むべき課題のマテリアリティ分析が可能になるという。 CSR実務経験者ならではの具体的かつ分かりやすいアドバイスに、参加者は最後まで真剣に耳を傾けていた。 第2部:パネルディスカッション「社会貢献をCSRとしてどう位置づける」 第2部では、「社会貢献をCSRとしてどう位置づける」というテーマで、CSRアジアの赤羽氏に加えてCSRコンサルタントの安藤光展氏、グリー株式会社の狩野明香理氏がパネラーとして加わり、「CSR企業総覧」編集長の岸本吉浩氏によるモデレートでパネルディスカッションが行われた。ディスカッションのテーマは下記の4つ。 企業の社会貢献は何が問題なのか? どのようにテーマを選び、どのように進めているか? 社会貢献の企業内での展開について 外部との連携はどのように進めていけばよいのか? いずれもCSR担当者が日々ぶつかる課題や悩みに直結する問いばかりだが、安藤氏は日々企業のCSR担当者の悩みを解決する外部コンサルタントとしての立場から、狩野氏は実務担当者の立場から、それぞれ非常に参考になるアドバイスを惜しみなく提供していた。 ここでは各トピックについて簡単にディスカッションの内容をご紹介しておく。 企業の社会貢献は何が問題なのか? CSRコンサルタントの安藤氏は、企業の社会貢献における問題として「効果測定」「トップの理解」「社内浸透」の3つを挙げた。また、社内浸透が進まないのは従業員に対するメリットが提供できていないからで、従業員と「価値の目線を合わせる」こと、CSRに参加したくなる仕組み作りをすることが重要だと訴えた。 グリーの狩野氏は、社会貢献活動が目に見える利益を生まない以上、活動に対する否定的な意見を持つ人が出るのは当然だとしたうえで、それでも「事業の健全かつ安定的な継続」「愛社精神の育成」「自社のブランドイメージ向上」という3つの観点から社会貢献活動は企業にとって有効だと主張した。 また、社内からの否定的な意見に対しては、CSR担当者はそうした批判を受け止めたうえでそれをどう活動に活かしていくか、どういう形なら望ましいのかを考えてアウトプットに落としていくことが重要だと語った。 そして、赤羽氏は、CSRを推進する上で最後に重要になるのは「コミュニケーション」だと述べた。会社は色々な人間の集まりなので、色々な考えがあってしかるべきであり、そのうえで前に進むために重要なのは「コミュニケーションがとれているかどうか」だという。特にボトムアップのアプローチは有効で、経営陣(=頭)では分からないことも、ボトムの社員(=体)で感じることもあるので、ボトムから積極的にコミュニケーションを図り、社内で理解者を増やしていくことが重要だと語った。 どのようにテーマを選び、どのように進めているか? CSR活動のテーマ選定に悩みを抱えている企業も多いと思うが、グリーの狩野氏によれば、同社では「経営理念やミッションステートメントに合致するかどうか」「経営課題のソリューションとなるかどうか」という2つの大きな視点からテーマを選定しているという。 前者については、経営理念との合致がなければ「なぜその活動をやるのか」という疑問に対する説明ができず、その意味でも本業との親和性が重要だと述べた。また後者の事例としては、社内交流、社内活性化などの経営課題を解決する手段としてのCSRプログラムが社内で評判を得ているとの事例を共有した。 狩野氏によれば、いずにれせよ最も大事なことは、その活動をやる意味について社内外に説明できるストーリーがあるかないかだという。 また、安藤氏はテーマ選定の軸として「SROI(Social Return on Investment:社会的投資収益率」という考え方を紹介した。SROIは、社会貢献活動によって生まれるアウトカム(受益者の変化)を数値化する手法で、コミュニティ投資の効果測定にも共通する点がある。数値化という視点は重要であり、それが企業がCSRに取り組むメリットを理解してもらう材料になると述べた。 そして赤羽氏は、CSRのテーマ設定において、日本企業と外資企業における違いにも触れた。日本企業では社会貢献の歴史が長い場合、社会貢献のミッションステートメントが冗長な傾向にあり、それがそのまま英訳されて海外に伝わっているので、何だかよく分からないという印象を持たれているという。 一方、アメリカ企業などは自社の社会貢献ミッションを3単語などコンパクトにわかりやすく伝えているという。日本企業は冗長なミッションをもう少しコンパクトにして、広がってしまった対象領域をもう少し整理したほうがよいとアドバイスした。 また、外資系企業の日本支社の場合は、日本市場における課題は何か、ということを考えなければいけないが、その難しさについても触れられた。日本は他のアジア諸国と比較すると格差も小さく環境技術も進んでおり、行政サービスも手厚いため、取り組むべき社会課題を見つけるのが難しいという。そうした日本が持つ固有の社会的背景もテーマ選定を難しくしているのではないかという議論も出た。 社会貢献の企業内での展開について 社会貢献活動を企業の中で広げていくにあたり、グリーの狩野氏は日々心がけている点として下記3つを挙げた。 活動の可視化・見える化 経営陣の参加・理解 部署横断かつ個人的な関係構築 活動の可視化としては、ポスターや映像作成、SNSや広報ブログなど様々な手段で情報を発信し続けることだ大事だという。また、部署に関わらず様々な人とランチに行くなど積極的に社内コミュニケーションを図り、自分の共感者を少しずつ増やしていくことが重要だと述べた。 外部との連携はどのように進めていけばよいのか? 企業にとっては、NPOなど外部組織との連携もCSR活動を効果的に展開していくうえで重要となる。外部との連携について、CSRコンサルタントの安藤氏は、NPOと連携する際の与信調査については、設立年月日など表面的な情報ではなく代表者や事務局長など「その人自身を評価する」という姿勢が重要だとアドバイスした。 また、CSRアジアの赤羽氏は、企業がNPOと連携するのは相互補完的な関係を構築できるからであり、連携して何かに取り組んだからといってすぐに効果が出ることはあまりないので、長期的な視点で考えていくことが必要だと述べた。 総括 今回は記念すべき第1回目となる「東洋経済CSRセミナー」だったが、第1部・第2部ともに非常に濃密な情報共有が行われ、参加したCSR担当者は実務に活かせる多くの気づきを得られたのではないか。第一線で活躍するCSRコンサルタントや現場担当者からのリアルな話を聞くことができ、質疑応答においても活発な議論が交わされるなど、とても有意義な意見交換の場となっていた。 当記事では紹介しきれなかったが、当日は他にもコミュニティ投資に関する具体的なフレームワークやCSR担当者の課題別解決手法など、すぐに実務に活かせる有益な情報が数多く共有されていた。今後、同セミナーは隔月で開催していく予定とのことなので、次回の開催にも期待したい。今後の開催予定については下記ページから。 【企業サイト】東洋経済CSRセミナー・日本橋CSR研究会 【関連サイト】CSRアジア 【関連サイト】CSRのその先へ(安藤光展) 【関連サイト】グリー株式会社CSR

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【4/8】CSRアジアがオンライン研修「コミュニティ投資の戦略立案と効果測定」を開催!

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CSRアジアでは、2014年4月8日(火)日本時間11時から13時まで、オンラインによる研修「コミュニティ投資の戦略立案と効果測定」を実施いたします。 この研修では、CSRアジアが独自に開発したコミュニティ投資スコアカードの過去の使用例の紹介、国際的な水準に基づく効果の測定について、また、事業地のニーズにあったコミュニティ投資の特定、社員ボランティアの役割など、ケーススタディを用いながらご説明します。 講師は、豊富なコミュニティ投資のアドバイス経験をもつ、CSRアジアのシニア・マネージャーのメーベル・ウォンが担当します。 詳細・お申込みはこちら(英語)まで なお、研修は英語となります。 【企業サイト】CSRアジア 【詳細ページ】オンライン研修「コミュニティ投資の戦略立案と効果測定」

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2014/03/31 行動する

【アジア】東京で「CSRアジア東京フォーラム2014」が開催

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2月25日、東京都港区の電通ホールで「CSRアジア東京フォーラム2014」が開催され、企業のCSR担当者や行政担当者、NGO・NPO関係者など多くの参加者が集まった。 CSRアジアは2004年に香港でイギリス人のリチャード・ウェルフォード氏によって設立されたCSRコンサルティングファームで、香港、東京以外にもバンコク、クアラルンプール、シンガポール、ジャカルタなどに拠点を置き、今年で創設10周年となる。 午前の部では、CSRアジア創設者で会長を務めるリチャード・ウェルフォード氏による挨拶に始まり、ミャンマー・マンダレー・テクノロジー創設者のゾウ・ナイン氏、アディダス・グループ中国でCSR総括責任者を務めるサブリナ・チャン氏による講演が行われた。 ゾウ・ナイン氏は「CSRとコアビジネスの統合」というテーマで、ミャンマーにおける自社のCSRの取り組み事例について共有した。。同氏によれば、ミャンマーでは2008年5月に起こったサイクロン・ナルギス(死者15万人・被害者数2,400万人)をきっかけにCSRという概念が徐々に広がり始めたとのことだ。 ミャンマー・マンダレーテクノロジーはミャンマーにおけるGIS(Geographic Information System:地理情報システム)のリーディングカンパニーで、サイクロンの発生後、災害対策のためのGISトレーニングプログラムを政府関係者や企業、NGO関係者などに向けて開始し、既に500人以上が受講しているという。 このプログラムの利点は、短期・週末開催・リーズナブルな価格設定・企業が提供するGISデータが提供されるなど、他にはない独自性にある。GISデータは一般的には軍事用途で使用されることなども多く、こうした災害対策活動も一見したところ政府や行政の役割のようにも思えるが、同氏は、ミャンマー政府は災害対策以外にも様々な政治的問題や優先事項を抱えており常に多忙なため、政府の代わりに企業が積極的に自社の強みを活かして社会のニーズに応えていくことが重要だと訴えた。 続いてアディダス・グループ中国のサブリナ・チャン氏が登壇し、同社のサステナビリティ戦略についてサプライチェーンの話を中心に講演を行った。アディダスはドイツに本社を置くスポーツ用品メーカーだが、製品の多くは中国のサプライヤーによって製造されている。そのため、中国国内におけるサプライヤーの労働慣行や環境への取り組みが非常に重要となる。 同社では厳しい監査基準を設けてサプライヤーの労働環境改善を実施しているほか、中国の水処理分野における環境への影響削減の取り組み、サステナブル製品の販売など、グローバル本社が統括する一貫したサステナビリティ戦略に基づいて様々なCSR活動を展開している。 サブリナ・チャン氏からは、同社は2015年までに15%の環境フットプリント削減という目標を掲げているが、その目標を達成する上では各国のニーズに沿った製品展開・製造ラインを設けることが逆にハードルになること、サステナビリティ報告を中国語に対応したことで中国国内における同社のCSR評価が大きく向上したこと、コミュニティ投資への取り組みについてなど、実務を担当する同氏ならではの具体的な事例が数多く共有され、参加者の多くが真剣に耳を傾けていた。 そして、午後の部では会場を2つに分けて合計6つの分科会が行われた。CSRアジアからは会長を務めるリチャード・ウェルフォード氏により「共通価値の創造(CSV)」「企業による社会課題解決のためのパートナーシップ」というテーマで、コミュニティ投資責任者を務めるメイベル・ウォン氏により「戦略的なコミュニティ投資」というテーマでそれぞれ講演が行われた。 また、富士ゼロックス株式会社にてCSR部推進グループ長を務める渡辺美紀氏は「アジアでのCSR調達」について、午前にも講演したゾウ・ナイン氏は「ミャンマーで成功するCSRと日本企業への期待」、サブリナ・チャン氏は「中国におけるコミュニティ投資のインパクト測定」についてそれぞれ講演を行った。 CSRアジアのプレゼンターからは戦略や効果測定などに関する体系的な理論や考え方が中心に共有され、事業会社のプレゼンターからはより具体的な事例や取り組み、現状抱える課題などが中心に共有された。 CSVを実現するための戦略フレームワーク、企業とNGOの連携、コミュニティ投資とその効果測定の方法、CSR調達と現状の課題など、いずれの分科会も非常に実務に近く興味深いものばかりで、盛りだくさんのプレゼンテーション内容に参加者からも質疑応答が絶えなかった。 今回のフォーラムは、企業のCSR担当者にとってはアジアの最前線で活躍する経営者やCSR責任者の具体的なエピソードや苦労、事例を生で聞くことができる非常に貴重な機会となった。 次回の「CSRアジアサミット 2014」は9月16日、17日にタイ・バンコクで開催される。昨年にバンコクで開催されたサミットでは31の国や地域から約450名が参加し、世界中からCSR関係者らが集まった。CSRアジアサミットはアジア最大級のCSRに関する国際会議であり、アジアの最新CSRトレンドや先進企業のグッドプラクティスを知り、世界各国のCSR担当者のネットワークを構築する絶好の機会だ。興味がある方はぜひ参加をおすすめしたい。 【企業サイト】CSRアジア 【イベント】CSRアジア東京フォーラム2014

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2014/02/27 最新ニュース
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