【インタビュー】ファーウェイ Holy Ranaivozanany氏「事業成長を支えるグローバルCSR戦略」

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 携帯電話基地局など通信関連機器で世界第2位のシェアを誇り、スマートフォンでは世界第3位のシェアを誇る、中国発のテクノロジー企業があるのをご存じだろうか?それが、今や世界のICT業界を代表する1社となった、ファーウェイ(華為技術有限公司、以下「ファーウェイ」)だ。  中国の深圳に本拠を構えるファーウェイは、1987年の設立以降、積極的な研究開発投資を武器に事業を急拡大させ、現在では世界170以上の国と地域で事業を展開し、160以上の国籍にまたがる17万人以上の従業員を抱えるグローバル企業へと成長している。  2015年の売上高は約3,900億元(約7.2兆円)に達する見込みであり、世界のICT通信インフラを支える企業として世界人口の約3分の1にサービスを提供している。2005年には日本にも進出し、ファーウェイ・ジャパンを設立。現在760名以上の従業員を抱えている。  そんなファーウェイはCSRを事業戦略の核に据えており、従業員が全額出資しているプライベートカンパニーでありながらも自主的に非財務情報開示を継続しているなど、アジアを代表するサステナビリティ先進企業としても知られている。  同社は「Bridging the Digital Divide(デジタル・デバイドの解消)」「Ensuring Stable and Secure Operation of Network(安定性・安全性の高いネットワーク運用のサポート)」「Promoting Green Environment(環境保護に向けたイノベーション)」「Seeking win-win development(相互に利益のある発展の追求)」という4つをCSR戦略の柱に据えて、世界各地でテクノロジーを強みとする革新的なCSRプロジェクトを展開し、コミュニティ投資を行ってきた。  中国発のファーウェイがこの短期間でどのようにグローバル企業へと成長し、その成長を同社のCSR・サステナビリティ戦略がどのように支えてきたのか。そしてそれを実現するために、グローバル、ローカルの双方において社内ではどのようなCSRマネジメントが行われているのか。その秘密を探るべく、Sustainable Japanでは1月18日に開催されたCSRアジア主催の「CSRアジア東京フォーラム2016」に参加するために来日したファーウェイのグローバルCSR責任者、Holy Ranaivozanany氏にインタビューを実施した。  Holy氏はフランスの通信事業者大手、オレンジで組織開発や人材育成、マーケティングなどに携わった後に2011年にファーウェイに入社。現在では同社のグローバル全体のCSRを統括する責任者として活躍している人物だ。フォーラムの講演では同社のコミュニティ投資の取り組みについて、グローバル全体としての戦略とローカルプロジェクトの事例をバランスよく交えながら解説し、改めてファーウェイのCSR推進力の高さを力強く印象づけるとともに、参加者らに多くの気付きを与えていた。  インタビューではHoly氏が強調していたグローバルとローカルにおけるCSRマネジメント推進のポイントを中心に話を伺った。 ファーウェイ Holy Ranaivozanany氏 インタビュー ポイントは、グローバルにおける一貫性とローカルにおける重要性 ―世界中で多くのCSRプロジェクトを展開しているが、ローカルに最も適したプロジェクトはどのように決定しているのか?  CSRプロジェクトの決定にあたっては、企業としての戦略と地域にとっての優先順位を整合させる必要があります。我々はグローバルにおける一貫性を非常に重要視しており、実施する全てのプロジェクトはCSR戦略の4つの柱のいずれかに関連している必要があります。  加えて、我々はグローバルだけではなくローカルの視点も大事にしており、その地域にとって重要な課題は何かという点を重視しています。それを理解するためには、ローカルレベルのCSRトレンドや優先順位の高い課題を教えてくれるパートナーを特定し、彼らと協働する必要があります。  このように、政府やCSRネットワーク、顧客、学術機関、メディア、ローカルコミュニティなどのステークホルダーと深く関わることはとても大事です。彼らが、我々が向かうべき方向についての理解を深めてくれるのです。また、ローカルの課題は常に変化していますから、常にステークホルダーの声に耳を傾け続け、毎年レビューを行いながら変化に対応していくことも重要です。 CSRプロジェクトを主導するのはローカルオフィス ―例えばマレーシアのプロジェクトについて決める際、深圳の本社にいるHoly氏はどのように情報を得て、どのように意思決定をしているのか?  日本と同様にマレーシアにもCSRチームがあり、責任者がいます。前提として大事なことは、まずグローバル全体で企業戦略に関する共通理解を醸成しておくことです。そのために我々は定期的にトレーニングを実施しています。その上で、マレーシアのチームは何がローカルのコミュニティにとって重要な課題なのか、マレーシアにおける優先順位についても理解する必要があります。  ローカルの状況を理解し、優先順位を定め、それが企業全体としての戦略やCSR上の優先順位とマッチしているかを見極め、それが正しいプロジェクトなのかを判断する意思決定は各ローカルオフィスに委ねられています。そのために、ローカルオフィスはステークホルダーの声を何度も聞きながら地域社会にとってもファーウェイにとっても重要な課題を特定していきます。  このように、マレーシアのプロジェクトについて決めるときは基本的にマレーシアのチームが主導するのですが、そこには私も関わります。なぜなら、その中でグローバル全体に適用できる素晴らしいアイデアを発見する可能性があるからです。例えばマレーシアでは6年間にわたり教育プロジェクトを展開していますが、それはアジアやアフリカ、南米や欧州でも適用できるかもしれません。マレーシアのプロジェクトが我々に新たなアイデアを与えてくれて、グローバルのプログラムに発展する可能性もあるのです。 重要なのはガバナンスとストラクチャー ―マレーシアの場合、ローカルの戦略担当者、CSR担当者、コーポレート全体の戦略担当者、CSR担当者はどのようにコミュニケーションを図っているのか?  ガバナンスと組織構造に関するとても重要な問題ですね。まず、マレーシアのCSRチームとは私が直接コンタクトをとっています。私が彼らにファーウェイ全体としての経営目標とCSR戦略を共有し、マレーシアのチームはファーウェイ・マレーシアとしての目標を共有します。コンタクトポイントを一つにしたほうが簡単ですしガバナンスも明確になりますので、ローカルとのやり取りはこのようにしています。  また、コーポレートレベルで言えば、当社にはCSD委員会があります。この委員会は全ての事業部門から構成されており、その中には戦略部門や人事部門や広報部門、調達部門など全ての間接部門も含まれます。私は、戦略の意思決定にあたってコーポレートレベルでの情報や協力が必要な場合、その中で一人のキーパーソンにコンタクトするようにしています。特定の国や課題について最新の情報を持っているキーパーソンを特定しておくことは非常に重要です。関わる人が多すぎると意思決定が難しくなり、上手く機能しなくなります。だからこそ、コーポレートレベル、ローカルレベルにおいても組織のストラクチャーはとても重要です。 パートナー選定のポイントは「戦略との整合性」「活動記録」「モニタリング」 ―ローカル・パートナーを選定する際の判断基準やスクリーニングプロセスは?  我々はパートナー選定における基準を持っており、パートナーシップを締結する前にデュー・デリジェンスを実施します。その際の最初のポイントは、我々の事業戦略との整合性です。当社の掲げるCSR戦略の4つの柱と全く関わりがないパートナーと協働することはできません。また、相手の過去の活動記録も確認します。パートナーシップの締結は結婚のようなものですから、提携先が過去に社会からの信頼を損ねるような大きな問題を起こしていないかなどを確かめる必要があります。  そして、提携時には互いの責任と役割を明確にすることも重要です。我々が望むのはパートナーシップであり、スポンサーシップではありません。ただお金を提供するのではなく、実際に自社が貢献することを望んでいますので、互いの責任と役割についての共通理解が得られるかは重要です。例えば、当社は技術的なサポートを提供し、相手はコンテンツを提供する、といった形で、お互いがそれぞれ何を期待されているのかを明確にすることが大事です。  その上で、明確なモニタリングプロセスを用意します。例えば3年間のパートナーシップを締結するとして、その間にどのように資金が使われたのかを何もチェックしなかったとしたらそれはお互いにとって時間とお金の無駄になってしまいます。もちろんローカルのプロジェクトを主導するのはローカルオフィスであり、パートナーなのですが、我々が常に現場にいられるわけではない以上、明確なガバナンス、モニタリング、トラッキングができるかという点は重要になってきます。 ステークホルダーからフィードバックを得る仕組みづくり ―プロジェクトの成果(アウトカム)はどのように測定しているのか?  具体的な成果の測り方は、担当するステークホルダーによってそれぞれ異なります。当社にはCSD委員会があり、そのメンバーはフルタイムでCSRに従事しています。責任は一人一人に移譲されており、例えばサプライチェーン担当のメンバーは、何社のサプライヤーに対してトレーニングを実施したか、サプライチェーンの安全衛生環境がどの程度改善されたかなどの指標に責任を負っており、その進捗を管理しています。  また、我々は毎年マテリアリティ・イシュー・アセスメントというサーベイを実施しており、政府やメディア、顧客、サプライヤー、地域社会、学術機関など、200以上のステークホルダーに対して調査を実施しています。それによりステークホルダーが重要だと考えている課題を把握し、毎年情報をアップデートします。  我々はその結果を共有し、ステークホルダーの関心の高さと、自社にもたらすインパクトという2つの観点からそれらをマッピングすることで、我々が目を向けるべき最も重要な課題を特定します。  さらに、我々は当社だけではなく、我々のパートナーも有益なフィードバックを得られる機会も設けています。具体的には自社が主催でカンファレンスを開催し、ステークホルダーから影響力のある人々を集めて相互理解を深めるための会議を行います。これは当社にとっても大きな利益をもたらしますが、出席した全員が多くのフィードバックを得られます。  2014年には深圳で初めてサステナビリティカンファレンスを実施しました。そのときは参加者の多くがテクノロジー業界でしたので、テクノロジーの話題が中心となりました。2015年には少しアプローチを変えて、夏にヨーロッパのブリュッセルで会議を開催しました。  その際はテクノロジー業界から対象を広げ、小売業界など他業界からも参加者を招きました。もしかしたら彼らと協働できることはないかもしれませんが、異なる業界の話には驚くべきことが多くありますので、その中から素晴らしいアイデアが見つかるかもしれません。  そして昨年12月には、日本オフィスの協力も得て、SDGsに関するテーマでステークホルダーを集め、25名という小規模のサステナビリティサロンを開催しました。これは当社について話す場ではなくSDGsについて話す場です。国連からゲストを招いてSDGsについて話してもらい、コカ・コーラやVISAなど異業界の担当者、アカデミアの人々も招きました。  このように、当社ではサーベイ以外にも他者から学び、フィードバックを得られる新たなプラットフォームづくりに取り組んでいます。 ローカルの仲間が共有するローカルのストーリーが、グローバルに共感を呼ぶ ―サステナビリティレポートの中で、ケニアから日本にいたるまで非常に多くの国々の課題を網羅しているが、どのようにそれを実現しているのか?  我々も以前は年次のサステナリティレポートと各地域に特化したローカルレポートとを別々に作成していました。今でもいくつかの地域ではローカルレポートがあります。我々は170ヶ国で事業を展開していますから、全ての国の課題についてレポートの中で触れることはできません。  しかし、我々はできる限り多くの地域の異なる課題に対する異なる事例を紹介しようと努めています。なぜなら、そうすることで国を超えてパートナーや他企業に対し、我々の取り組みに加わるように鼓舞することができるからです。実際、ほとんどのケースにおいて我々が取り組んでいる課題はグローバルイシューですから、例えばウガンダで起こっている問題は、他の多くのアフリカ諸国の人々の共感を呼ぶかもしれませんし、南米諸国の人々に響くかもしれません。また、我々は先進諸国が高い関心を持つ課題についても取り上げており、バランスをとろうと試みています。これを実現する上で重要なことは、我々にはローカルのステークホルダーにアプローチすることができ、ローカルのストーリーを共有してくれる仲間がいるということです。 CSRにおいては、全ての国が等しく重要 ―事業機会が多い国のCSRプロジェクトを重視するなど、国ごとの優先順位づけはしているのか?  全ての国が等しく重要だと考えています。当社はほぼ全ての国々でCSRプログラムを展開しており、その規模や内容は国によって異なりますが、それは国としての優先順位があるからではなく、各地域のローカルな課題やニーズに基づいているからです。  例えば日本では環境問題に積極的に取り組んでおり、植林活動もその典型例の一つですが、他の国では環境よりも教育のほうが重要かもしれません。解決すべき課題はローカライズされるべきであり、そのために我々はローカルのステークホルダーと協働する必要があります。そうしない限り、インパクトを生み出すことはできません。  より多くの人々が関心を持ち、より多くのステークホルダーがいる課題という意味での優先順位付けは大事ですが、ポイントは、あくまでそれらがローカルの人々にとって本当に重要な課題なのかどうかという点なのです。  もちろん、我々も完璧ではありません。大事なことは、限られた資源の中でいかに大きなインパクトを生み出せるかという点です。我々の場合、専門はテクノロジーですから、いかにテクノロジーを活用して貢献できるかを考えます。我々にはテクノロジーに精通した人的リソースがあり、ナレッジが共有できる。そしてそれは時にお金に代えがたいほどの価値を生み出します。ただお金を寄付するよりもはるかに大きなインパクトを生み出せるのです。 きっかけは海外進出。外部からの支援がCSRレベルを高めてくれた ―ファーウェイは一般的な中国企業と比較してはるかに先進的なCSRを展開しているが、何かきっかけがあったのか?  きっかけは、2000年から本格化した海外進出です。そのとき経営陣は、環境や社会といった側面に配慮をしなければ事業を継続することはできないことを悟りました。今から16年前のことですから、とても早い時期ですね。しかし、本当の意味でCSRやサステナビリティの重要性を理解し、それを戦略レベルで実行するまでにはそこからさらに数年がかかりました。  当時から経営陣からの多大なるサポートはあったのですが、実際に戦略を実行するミドルマネジメント層が、具体的に何をすべきかが分からなったのです。我々にはコアとなる事業がありますが、サステナビリティがそれらの事業にとってどんな意味を持つのかを理解するのに時間がかかりました。サステナビリティ報告書を発行し始めたのも2008年のことです。当社はプライベートカンパニー(非公開企業)ですので報告する義務はないのですが、我々はそれが改善の手助けとなることを知っていますので、現在もレポートを発行し続けています。  また、2004年に国連グローバルコンパクト(UNGC)に加盟したのですが、これはとても良い経験となりました。なぜなら、UNGCは我々にフレームワークを与えてくれたからです。UNGCの提示する10原則は戦略を形作るうえで非常に役立ちました。我々は今もなおUNGCと密接に協働しています。彼らは中国ネットワークも持っていますし、ニューヨークを拠点とするグローバルネットワークも持っています。UNGCはサステナビリティ課題の優先順位を決める上でも役立っています。  そして、UNGCと同様に大きかったことは、パートナー、とりわけ我々の顧客企業が、当社のサステナビリティの取り組みを手助けしてくれたという点です。特にヨーロッパの顧客企業は様々な要求を通じて我々のCSRの水準を高めてくれました。これこそが、我々が現在サプライヤーを支援している理由でもあります。我々が彼らにしてもらったことを、今度は我々がサプライヤーに対してお返しする番なのです。 ブリティッシュテレコムのサプライヤーフォーラムでゴールドを受賞 ―具体的にどのような企業が後押ししてくれたのか?  多くはヨーロッパの通信キャリア企業でした。彼らは非常に先進的なサステナビリティ戦略を持っており、我々にそのやり方を示してくれました。例えばブリティッシュテレコムは"Better Future Supplier Forum"(BFSF)という非常にユニークなイニシアチブを展開しています。  昨年、我々はBFSFでゴールドサプライヤーとして表彰されました。2年前はシルバーでしたので、我々の取り組みは改善されたということです。常に自らの課題に挑戦し続け、改善を継続する上でこうしたイニシアチブの存在はとても重要です。 ミドルマネジメント層への働きかけ、経営陣の理解 ―経営陣からのサポートには満足しているか?現状の課題は?  経営陣はとても協力的で、これは素晴らしいことです。現在の我々の課題は、いかにミドルマネジメント層を巻き込むかという点です。戦略もあり、経営陣からのサポートもある。あとはその戦略を実行するだけです。我々は部門を超えてミドルマネジメント層に対して戦略の実行を促しており、新しいCSRプログラムを開始するときは彼らからのサポートを得ようと努めています。  これは簡単なことではありませんが、我々にはCSD委員会があり、四半期ごとに全事業部門が集まり進捗を確認する機会があります。これはとても良い仕組みです。なぜなら、目標の達成に向けた障壁があれば、経営陣がそれをサポートすることができるからです。  一方で、経営陣は協力的ですが、この機運を失わないことも重要です。彼らのサポートを受け続けるためには、常に彼ら自身に関与してもらい、常に状況は変化しているということ、例えば彼らが数年前に決定したことはもう機能しないかもしれないといったことを理解してもらう必要があります。そのためには、彼らに対してCSRが進展していることを示す必要があります。  これはとても重要なことで、もしも彼らがCSRと事業戦略との関連性や実行したプログラムの結果を見ることができなければ、彼らのサポートや推進力を失ってしまう可能性があります。だからこそ我々は社内のコミュニケーションを強化しており、経営陣に対してもCSRのトレーニングを実施し、最新の課題やトレンドを伝えながら、我々は変化し、適応する必要があり、ときには優先順位を変える必要があるということを理解してもらおうと取り組んでいるのです。 オフライン、オンライン双方を活用したCSRトレーニング ―世界中にオフィスを展開しており、多くのミドルマネジメント層を抱えていると思うが、どのようにトレーニングに取り組んでいるのか?  いくつかの方法があります。幸運なことに、本社では外部のトレーナーがいます。我々はBSRと協働しており、彼らは専門家としてサプライチェーンや環境など様々な課題に関するトレーニングをCSD委員会に対して定期的に実施してくれています。  しかし、その場には海外拠点のスタッフは参加できませんので、我々はオンラインプラットフォームを活用して研修資料を共有したり、ビデオカンファレンスを行ったりしています。私自身も年に一度はローカルオフィスから責任者を集め、半日かけてCSRトレーニングを実施しています。  このようにオンライン、オフライン、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを通じてトレーニングを行っていますが、全ての情報はオンラインプラットフォーム上で更新されています。全ての国を網羅するためには、テクノロジーを活用する必要があります。 SDGs達成の鍵を握るのはテクノロジー。業界を超えた協働も必要 ―MDGsとSDGsの一番の違いとして「テクノロジーによる解決」を挙げていたが、テクノロジーとサステナビリティの関係についてはどう考えるか? [caption id="attachment_21038" align="alignright" width="350"] UNHCRとの協働により、ケニアの難民キャンプでタブレットを使った教育を展開[/caption]  テクノロジーとSDGsとの間には非常に高い関連性があると考えています。SDGsで掲げられた17の目標のうちいくつかは我々がこれまで取り組んできたことと非常に関わりが深く、テクノロジーの活用により確実に目標の実現を後押しできる分野だと言えます。  例えば教育は非常に重要なテーマですが、これには単なる能力開発といった観点だけではなく、遠隔地における教育課題の解決に向けていかにコミュニケーションテクノロジーを活用するかといった点も含まれます。ビデオカンファレンス、スマートフォン、アプリ、タブレットなどをどう活用するかも重要です。こうした活動は既に我々が行っていることでもあり、例えばケニアの難民キャンプでは、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と協働し、彼らにタブレットを提供することで難民の子供たちの学習支援を行っています。 ※参考記事:Innovation: Instant Network Schools open up a new world for Somali refugees ※参考記事:Huawei supports Vodafone Foundation Instant Network Schools Programme with tablet donation  ヘルスケアの分野も同様です。健康のモニタリング用デバイスやデータ収集、リモート手術など、テクノロジーが解決できることは数多くあります。  そして最大のグローバルイシューの一つでもある気候変動について言えば、スマートシティの推進もテクノロジーの活用分野です。COP21では各国に向けてCO2削減に向けた更なる努力を求める合意が実現しましたが、その手段の一つとして不可欠なのがスマートシティです。全ての交通や住宅をスマート化するというのはとても野心的な目標ですが、一歩ずつ着実に取り組んでいくことが重要です。  これらの課題は確実にテクノロジーが解決できるものです。MDGsの時期を振り返ってみると、我々は現在のようなテクノロジーを持っていませんでした。テクノロジーは我々により多くの機会をもたらしているのです。  将来的には、より業界横断型の協働も必要となるでしょう。例えばCO2排出を削減し、低炭素経済への移行を推進するためには、我々ICT業界が自動車業界やインフラ業界といかに協働するかが鍵を握っています。 プログラムに参加した学生とは常にコンタクトを取り続ける ―コミュニティ投資についての話があった。コミュニティ投資のメリットとして人材プールを作ることができる点を挙げていたが、人材が実際に育つまでには時間がかかる。そうした中・長期的な投資について、どのようなマネジメントをしているのか?  それはとても重要なテーマで、フォローアップについての話です。我々は学生を対象とするSeed for the Futureというプログラムを展開しています。プログラム参加者の中には修士や博士に進む学生もいれば卒業してすぐに働き始める学生もいますが、我々はプログラムの終了後も参加者全員とコンタクトを取り続けています。(※参考PDF:Seed for the Future) [caption id="attachment_21036" align="alignleft" width="350"]Seeds for the Futureの様子(2015年8月)[/caption]  我々のプロジェクトへの参加機会を提供することもありますし、単にイベントへ招待するだけのこともありますが、我々はプログラムの終了後も彼らのキャリアパスをフォローできるように努めています。  例えば、企業レベルでの取り組みとしては、我々はオンラインプラットフォームのリンクトインにコミュニティを作っており、プログラムに参加した全ての学生がそのコミュニティに参加しています。我々はそこで彼らの進路を確認することができますし、ICT業界の最新ニュースなども共有しつつ、もし当社に空きポジションがあれば彼らに最初にその機会を伝えるようにしています。例えば日本のプログラムに参加した学生が日本ではなくスペインでの就業を希望する場合、彼らはそれに応募することもできるのです。  このように我々は彼らとコンタクトを取り続けるためのプラットフォームを持っていますが、さらにローカルレベルでもローカルチームが大学と協力して彼らをフォローしています。もちろん彼らの全員を当社が採用できるわけではありません。一部は我々の顧客企業で働くかもしれませんし、競合企業に入社するかもしれません。しかし、我々はそれでいいと思っています。彼らは依然としてICT業界に関わっているわけですから。  そしてさらに面白いことに、彼らの一部は起業家となります。プログラムに参加し、ファーウェイのストーリーに鼓舞されたのかもしれません。我々も最初はスタートアップでしたから。彼らは会社を作るという決断をしましたが、我々はいつでも彼らに対してアドバイスをすることができますし、将来はファーウェイファミリーになる可能性もあるのです。 CSR部門とHR部門との協働が生んだプログラムが、学生の人生を変えるきっかけに ―サステナビリティ部門とHR部門が協力的な体制を築けている印象を受けるが。  我々CSR部門は、HR部門と多くの面で協働しています。Seeds for the Futureはインターンシッププログラムであり、HRに関わるものです。しかし、このプログラムにはそれ以上の意味があり、採用活動を超えたリーダーシップ育成プログラムなのです。 [caption id="attachment_21035" align="alignright" width="350"]Seeds for the futureの様子(2015年8月)[/caption]  プログラムに参加する学生は中国に来ると、トレーニングの内容を学ぶと同時に中国のカルチャーについても理解を深めます。また、彼らは世界中の仲間とコネクションを作ることができます。我々は現在このプログラムを60ヶ国で展開していますが、参加した学生はたったの数週間で、世界に対してはるかにオープンな視点とマインドを手にします。  例えば日本人の学生はパキスタンとポーランドの学生とチームを組み、そこから多くを学びました。これには採用活動以上の意味があります。我々は彼らに対してグローバルな視点を持つことを望んでおり、将来ビジネスを行う際に、より大きく、よりグローバルに考えられる人材に育って欲しいのです。たった数週間で世界を変えられるわけではありませんが、彼らにとってはその数週間がスタート地点となるのです。  実際に彼らは中国にやってきたときと帰るときでは大きく見違えたようになります。スキルトレーニングとリーダーシップ育成を統合したこれほどユニークなプログラムを私はこれまでに聞いたことがありません。彼らはとても優秀ですが、エンジニアにはテクニカルなスキルだけではなく、人と関わり、物事をより早く前に進めるためのリーダーシップも必要なのです。 「スキル」「カルチャー」「グローバルネットワーク」のバランス ―同様のプログラムをIT各社が提供しているが、他社と比較した際の貴社プログラムの特徴は?  我々のプログラムのユニークな点としては、社内の異なる事業部からエキスパートのエンジニアを呼んで、学生に対して最新のテクノロジーに関するトレーニングを実施します。レクチャーもありますが、それに加えてハンズオン型のプラクティスもあり、展示ホールや工場など社内のキャンパスビジットも多く含まれています。製品がどのように作られているのかを実際に目で見て手で触って確かめることは、我々がグローバルに展開しているビジネスを理解する上でとても良い経験となります。 [caption id="attachment_21037" align="alignleft" width="350"]Seeds for the Futureの様子(2015年8月)[/caption]  また、もう一つのポイントは、彼らに対して中国に対する新たな見方を提供できるという点だと思います。これはプログラムの文化的なパートですが、参加学生は北京に行き、中国語のクラスなども体験しながら、中国の文化に肌で触れます。  さらに、先ほどお伝えした異文化交流も重要な要素です。中国の文化だけではなく、グローバルなメンバー構成によるプラクティスに参加することで彼らは将来的にファーウェイに入社する、しないにかかわらず、グローバルコミュニティの一員になることができます。  このようなプロフェッショナルスキルの育成、中国の文化理解、そしてグローバルネットワークの構築というバランスが、我々のプログラムをとてもユニークなものにしています。 CSRの柱は災害復興 ―日本におけるサステナビリティプログラムの特徴や課題は?  日本チームは素晴らしい働きをしています。あえて海外と日本を比較するとすれば、日本のCSRには災害復興というとても重要な柱があります。これは日本特有の取り組みで、地震の多いフィリピンなどでも同様の取り組みはありますが、日本ほど強いエンゲージメントは実現できていません。  これは我々がグローバル全体で推進しているローカリゼーションの観点からも重要です。ローカルにとって重要な課題に取り組むことが最優先であり、日本の場合、それは災害復興というテーマです。  また、日本はCSRに対する理解という点でも進んでいると思います。これまでは国内にどのようなベストプラクティスがあるかを聞く機会にあまり恵まれませんでしたが、CSRネットワークやプラットフォームなども数年前と比較して増えてきているのは素晴らしいことです。それにより、アジアで何が起こっており、何が重要なのかを理解することができます。災害復興以外に目を向けるべき問題がないか、中国や韓国などと協働できることはないか、など、我々が考えるべきことは多くあり、そのために我々は日本チームとも密接に協働しています。また、我々はアジアについてより大局的な理解を得るために、日本のアカデミアとも協働しています。  さらに、昨年の夏には先ほどご紹介したSeeds for the Futureプログラムに20人の日本人学生が参加し、深圳の本社にやってきましたが、彼らは中国企業がテクノロジー面でいかに進んでいるかを知り、とても驚いていました。  日本人は中国から歴史的に文化面の影響を強く受けているためか、中国といえば「文化」に関するイメージを強く持つ日本人学生も多いようですが、アフリカの学生は中国のイメージについて聞かれると「テクノロジー」だと回答します。このように、中国に対する認識も国によって異なります。実際に今や中国はテクノロジー分野において世界で最も先進的な国の一つです。我々は学生に対してこうしたグローバルに対するニュートラルな視点を持って欲しいと考えています。欧米だけを見るのではなく、もう一つの視点を持って欲しいのです。 あきらめず、社内へ働きかけ続ける。 ―日本のCSR担当者に向けたメッセージをお願いします。  Don’t Give Up!(あきらめるな!)。これが一番大事です。CSRの仕事は、とても長い道のりです。私は既にこの仕事に10年近く取り組んでいますが、残りの人生全てを費やすこともできるでしょう。常に状況は変化しており、常に多くの課題が存在しています。我々は幸運にも経営陣からのサポートを受けていますが、それでもなお我々は取り組みを強化し、継続的に改善を重ねながら彼らに結果を示していかなければいけません。  決してあきらめず、社内に働きかけましょう。「CSRを事業に統合する」というのは言葉で言うのは簡単ですが、1日でできるようなことではありません。マインドセット、プロセス、ガバナンスなど、注意を払うべきポイントは数多くあります。パートナーとの協働やコミュニティ投資よりも前に、まずは社内において共通のビジョンを持つことがとても大事なのです。  そしてそのためには、コミュニケーションが重要です。社内の人々は、あなたが偉大な仕事に取り組んでいるということを知らないかもしれません。もし彼らがあなたの仕事を理解していなければ、彼らはあなたに協力しようとは思わないでしょう。でもお互いをよく知り合っていれば、お互いにより多くの貢献をすることができるのです。だからこそ、社内を歩き回って、話に行くのです。  「戦略を持ち、実行し、コミュニケーションをとり、改善する。」これら全てには多くの努力が求められますし、忍耐も必要となるでしょう。常に創造的で、批判に対してオープンであるべきです。そして、変化に適応できるようにしておくことも大事です。これら全てが、将来大きなインパクトを生み出す上で重要なのです。 インタビュー後記 [caption id="attachment_21024" align="alignright" width="350"]中央右はファーウェイ・ジャパン CSR担当シニア・マネジャー 柳原 なほ子氏)[/caption]  Holy氏が講演の中でもインタビューの中でも繰り返し強調していたのが、「ステークホルダーにとって何が重要なのかを理解すること」、そしてそのためには「ステークホルダーエンゲージメント」が非常に重要だということだ。  社外のパートナーとの協働によるプロジェクト推進やフィードバックの仕組みづくりはもちろん、社内における部門を超えた協働、経営陣やミドルマネジメントへの働きかけ、トレーニングの実施など、あらゆるステークホルダーに対する強力なエンゲージメントがファーウェイのCSR推進力を支えていることが良く分かる。  これらのエッセンスを全て自社に取り入れることは難しいかもしれないが、Holy氏が語るように、まずはステークホルダーと密なコミュニケーションをとり、相手のニーズや課題をしっかり理解するというところからCSRの仕事は始まるということを改めて強く認識させられた。  2015年はSDGsやCOP21におけるパリ合意など歴史的転換点となるイベントが目白押しの年だったが、2016年は各企業がそれらの実現に向けて具体的にアクションを起こす最初の年となる。ぜひHoly氏のインタビューを参考にしつつ、最高のスタートダッシュを切りたいところだ。 参考サイト Huawei Huawei Sustainability CSRアジア東京フォーラム2016 CSRアジア

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【イギリス】HSBC、185億円規模のコミュニティファンドを設立。世界中でコミュニティ投資へ

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 英銀行大手のHSBCは7月16日、同社の創立150周年を記念して新たに1.5億米ドル(約185億円)規模のコミュニティファンドを創設すると発表した。同ファンドの資金は2015年~2017年までの3年間で世界中のコミュニティ活動や慈善活動に充てられる。  2014年、HSBCでは5万人以上の従業員が慈善活動テーマに関する投票を行い、結果として「若年層支援と教育」「医療福祉と研究」「環境と野生動物」の3分野が同社の重点的な社会貢献活動領域として選定された。HSBCの各地域のマネジメントチームらは従業員らの投票に基づき140以上の慈善団体を慎重に選定した。  HSBC グループの会長を務めるDouglas Flint氏は「我々は、今回の1.5億米ドルのコミュニティファンドとともに150周年を迎えられることを嬉しく思う。企業として、我々は教育や、医療福祉、安全な水や衛生といった資源がレジリエントな地域社会には必要不可欠であり、それは同時に、経済や事業の繁栄にも繋がるものであると信じている」と語る。  同社は毎年世界全体で約1.1億米ドル(約140億円)をコミュニティ投資プログラムに投じているが、今回の1.5億米ドルはその予算に追加される形となる。HSBCはこれまで大小様々なNGOと提携し、教育、環境分野において社会貢献活動を展開してきた実績を持ち、世界中の従業員がプロボノとしてボランティア活動に参加している。  また、同社は2002年からはWWFとの提携により長江の保全活動を展開しているほか、国際NGOのSOS Children’s Village.との提携により世界62ヶ国で700以上のプロジェクトに取り組み、90万人以上の若年層を支援している。 【参照リリース】HSBC’s USD150 million community fund 【企業サイト】HSBC (※写真提供:Northfoto / Shutterstock.com)

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【国際】大手企業らの56%が過去3年間で寄付金額を増加。CECP調査

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 企業による社会貢献を推進するCEOらのグローバルネットワーク、CECP(Committee Encouraging Corporate Philanthropy)は6月2日、The Conference Boardと共同で企業の慈善活動トレンドに関する年次報告書、"Giving in Numbers"を公表した。同調査によると、2012年から2014年にかけて企業の56%が寄付金額を増加させていることが分かった。  同報告書は、売上が総計8.3兆米ドルに相当する大手企業271社に対する調査に基づくものだ。CECPは、多くの企業にとって寄付金額を伸びは個人ベースによるものだが、伸び率は業界に関わらず概して安定しており、企業はますますコミュニティ投資を事業運営上必要不可欠だとみなすようになってきているとしている。  CECPによると、今回の調査結果では2012年から2014年にかけて特に下記5つの指標について顕著な伸びが見られたという。 社内スキルの活用: 従業員を活用して企業の専門スキルを寄付する企業が増えている。プロボノ(企業の40%→50%)やNPOのマネジメント(企業の43%→53%)が最も早く拡大しているボランティアプログラムで、業務時間内としての活動が最も一般的となっている(企業の60%)。 社会貢献による成長:社会貢献活動を通じて、企業間連携、新製品開発、インパクト投資などのイノベーションが生まれるケースが増加した。 効果の測定: 企業の85%が社会貢献プログラムのインパクトを測定しており、結果を測定している企業は寄付額を18%増加させた。これらの企業は売上に占める寄付金額の割合を0.11%から0.13%まで増やしている。 社会貢献を通じた業績向上:寄付を10%以上増加させた企業は、税引前利益において中央値で14%の成長が見られた。最も業績が良かった企業らはもっとも寄付増加率が高い。 役割の地位向上: コミュニティ投資に関わる従業員の数はレジリエントで、社員規模を縮小した企業の65%が社会貢献活動チームの規模を維持もしくは増やしていた。  今回の調査結果を受けて、CECPのCEOを務めるDaryl Brewster氏は「これらの5つの指標は、企業が従来の社会投資プログラムを更に戦略的・革新的に展開し、会社全体に目的を浸透させようとしていることを示している。これらの企業の目的とは社会の改善をビジネス業績の重要な測定基準にすることであり、我々は、その追求に向けてさらなる投資を呼びかけている」と語った。  コミュニティへの投資は単なる慈善活動ではなく、企業の長期的な事業価値創造につながるという考え方がより一般的になってきている。ボランティア活動を通じた従業員のスキル開発やモチベーション向上、コミュニティとの関係構築によるブランドエンゲージメントの強化など、積極的な社会貢献プログラムが企業にもたらす価値は大きい。レポートの詳細は下記からダウンロード可能。 【レポートダウンロード】Giving in Numbers 【参照リリース】Five Indicators Show Growth in Purpose at World's Largest Companies 【団体サイト】Committee Encouraging Corporate Philanthropy 【団体サイト】The Conference Board

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【ランキング】BrandZ「最も価値のあるグローバルブランド トップ100」に学ぶ業界別の代表的サステナビリティ

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 市場において競争に勝ち抜いていくための競争。マーケティングの権威と言われるマイケル・ポーター・ハーバードビジネススクール教授は、競争戦略の基本として、コストリーダーシップと差別化を提唱し、その概念は今や広くビジネス界に浸透しています。差別化とは、提供する財・サービスを他社のそれとにはない「付加価値」をつけるということ。企業が多種多様な「付加価値」を提供することで競争力を獲得しようとしています。この「付加価値」のあり方は様々です。価格や製品・サービス特性という付加価値もあれば、温室効果ガス排出量が少ないなどといった環境配慮型の経営方針も、一つの付加価値と言えます。  サステナビリティと付加価値。植林活動などがサステナビリティの代表事例だと思われていた時代には、両者は無関係だと思われていましたが、今やこの二つは密接に結びついてきています。事実、サステナビリティ戦略の目的を「付加価値の獲得」としている企業は多く、その戦略の策定に「クライアント・消費者」が最も影響を及ぼしていると認識されていることが、EY新日本サステナビリティ社とGreenzbiz社の合同調査によって明らかにされています。  「消費者」からの視点から、世界のブランドをランキングした代表的なものに、Millward Brown社が発表している“BrandZ Top100 Most Valuable Global Brands (最も価値のあるグローバルブランド トップ100)”があります。世界中の企業のブランド力を定量化しランキングにしたものであるため、マーケティング専門家の間では広く認知されています。今回はこのランキングで上位に入った企業がどのようにサステナビリティ戦略と「付加価値」を結びつけようとしているのか、その実態に迫ります。 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成) BrandZ 業界別上位企業とその対応 アパレル 自動車 ラグジュアリー トイレタリー 小売 ビール ファストフード ソフトドリンク 金融(銀行・保険) 石油・ガス テクノロジー 通信 アパレル (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者にとって情報を得るチャネルは、店舗だけでなくオンライン検索にまで拡大しました。消費者は、かつてないほどの膨大な情報を収集し、数ある商品の中から自分が最も価値を感じるものを選ぶようになってきています。上位を獲得した企業は、自らが選ばれるための付加価値のひとつとして、サステナビリティの分野でも凌ぎを削っています。  アパレル業界の主なサステナビリティ戦略は大きく分けて2つです。 サプライチェーンの改善 衣服に使われる資源のサステナビリティ向上  例えば、サプライチェーン改善のために、ナイキはサステナビリティの分野への関心が高く、長期的良好関係を築けるサプライヤーに調達先を限定しています。また、H&MはILO(国際労働機関)の定める国際労働基準および国連児童権利条約に基づいてCode of Conductを作成し、日々サプライヤー工場を訪問し、親密な関係を構築しています。(※1)さらに、これら2社だけでなくユニクロブランドを持つファーストリテイリングも2020年までに自社製品の製造工程すべてにおいて有害化科学物質を全廃することを約束しており、サプライチェーン改善に取り組んでいます。(※2)  資源のサステナビリティ向上の分野では、H&MはBetter Cotton Initiative(コットンのサステナビリティ向上に取り組む国際NPO)の活動に積極的に取り組んでいます。同社は2010年時点でオーガニックコットンを世界で最も多く利用した企業となり、2020年までに持続可能なコットンの調達を100%にするという目標を掲げています。2013年時点での進捗は15.8%で、毎年着実に比率を高めています。  ナイキのCSO(最高サステナビリティ責任者)・H&M担当社へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】ナイキが語る「サステナビリティ」と「イノベーション」 【スウェーデン】H&Mの考えるサステナビリティとファッション 自動車 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  自動車の売上高は、米国や中国では好調なものの、ヨーロッパの経済低迷が尾を引き、不況前の水準には戻っていません。また、各自動車の製品クオリティは全体的に向上している一方、ブランドとしての差別化は徐々に難しくなってきています。  自動車業界の主なサステナビリティ活動は大きく分けて2つです。 製品性能の改善 サプライチェーンの改善  現在、自動車メーカー各社は、エンジンの性能の向上に努めており、稼働効率や温室効果ガス排出量ともに以前と比べ改善されてきています。しかしながら、排ガス規制や燃費向上に関する規制は年々厳しくなっており、製造工程も含めたサプライチェーン全体での取組が求められるなど、社会からの要求レベルは上がっています。実際、気候変動対策の情報開示を求める機関投資家らによる国際イニシアチブのCDPが発表している報告書では、(1)自動車の走行中の温室効果ガス排出量、(2)次世代車両技術への取り組み、(3)製造時の温室効果ガス排出量 の3つの基準で各社が評価付けされています。(※3)  また、自動車メーカーにおけるサプライチェーン改善には、製造工程で発生する温室効果ガスの削減だけでなく、サプライチェーン上の人権問題も関わります。例えば、トヨタやフォードはガイドライン(The Automotive Industry Guiding Principles to Enhance Sustainability in the Supply Chain)を策定しています。同ガイドラインはサプライチェーン全体を通じて、社会、環境面の改善に取り組み、持続可能な形で成長を実現していくという高い基準のコミットメントを明確に示しており、特に倫理・環境・人権・労働に焦点が当てられています。(※4)  自動車業界各社が上記のような活動を行う中、特にBMWはBrandZの自動車業界で2位にランクインするだけでなく、ダボス会議で発表されている「世界で最も持続可能性のある企業100」でも総合6位を獲得するなど、サステナビリティの分野においても先進的企業だといえます。活動内容としては前述のものに加えて、ドイツのハンブルグ市の交通インフラに関するサステナビリティ向上プロジェクト(※5)や、アルミニウムのバリューチェーン全体におけるサステナビリティ向上を目的とする国際イニシアチブなどに参画しており(※6)、自社の事業に関わるサステナビリティ分野で広くリーダーシップを発揮していることが伺えます。 ラグジュアリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  ラグジュアリー業界は中国やブラジル、ロシアなどの景気停滞を受けて、ほとんどのブランドがブランド価値を下げる結果となりました。特に中国の影響は大きく、売上の1/3をアジア・パシフィック地域が占めているプラダなどは前年比で大きく収益やブランド価値を下げています。  さらに、ミレニアル世代はラグジュアリーブランドを「高い」と感じており、謙虚でサステナブルな生活を望む彼らのニーズに合致しづらくもなっています。MSL Groupの調査結果によると、ミレニアル世代の多くは、企業に対し消費者が社会的な課題に関われるようにしてくれることを望んでいることがわかっています。  ラグジュアリーブランドが全ての客層をターゲットにしているわけではないとはいえ、ミレニアル世代の経済圏は決して無視できるものではなく、サステナビリティ活動が新たな活路になることも考えられます。  そのようなラグジュアリー業界において、中心となっているサステナビリティ活動はサプライチェーンの改善です。例えば、グッチを抱えるファッション・コングロマリットのケリングは、自社およびグループ全体のサプライチェーンにおける環境への影響を計測し、金銭的な価値に置き換える自然資本会計を導入しています。(※7)それにより事業活動に対する理解を深め、環境負荷を減らすだけでなく原材料の調達リスクを含めたサプライチェーンの変化に対応することを可能にしています。  他にもジュエリーを取り扱うティファニーは、CSO(最高サステナビリティ責任者)を設置するだけでなく(※8)、ダイヤモンド産出国への積極的な投資によりサプライチェーンの健全性を維持する傍らで現地雇用の創出、スキルトレーニングなどを通じて地域経済にも貢献しています。同社はジュエリー業界の中でも珍しくダイヤモンドや貴金属を供給する鉱山の多くと直接取引を行っており、2013年には100%のダイヤモンド原石の調達を自社の目が行き届く採掘場所から行うことを実現しました。(※9)  一方で、ルイヴィトンをはじめ数多くのラグジュアリーブランドを抱えるLVMHグループやエルメスは、大手アパレル企業がサプライチェーン上で講じている有害物質除去・水質汚染対策の取り組み状況を評価した、グリーンピース・イースト・アジア公表のオンラインプラットフォーム「Detox Catwalk」で、コミットメント不足という評価をされてしまっています。(※10) トイレタリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  トイレタリー業界のグローバル大手は、製品性能そのものだけでなく、消費者および従業員の幸福といったサステナビリティ活動に本格的に取り組み始めています。  この理由は消費者の目が成熟してきていること、ミレニアル世代の存在、ソーシャルメディアの影響力の高まり等様々ですが、より崇高なビジョンを掲げることが製品の差別化に繋がっていると言えるでしょう。  そのためブランド各社、これまで理想像とされてきた美ではなく、健康やナチュラルさ、内なる美などを強調するようにもなってきています。消費者の選択性が強くなっていることや中国・ブラジルの成長鈍化などを受け、業界全体のブランド価値は昨年比2%しか伸びていませんが、消費者の目が成熟していることはサステナビリティ展開の追い風となると言えるでしょう。  トイレタリー業界は市場ニーズも相まってサステナビリティ活動が多岐にわたっています。 サプライチェーン改善 ダイバーシティの尊重 再生可能な原料の利用 再生可能エネルギーの利用 温室効果ガス削減 サーキュラーエコノミーの推進(廃棄物ゼロ&リサイクル) コミュニティ支援  例えば、ロレアルはSharing beauty with allというプロジェクトを実施し、全サプライヤーを社会・環境面での実績で評価することを宣言。結果として2014年末には2004年比で57%ものCO2削減に成功しています。また同プロジェクトでは再生可能エネルギーにも取り組んでおり、2020年の目標達成に向けて邁進しています。(※11)また、障がい者採用も積極的に行っており、社会に対して新たな機会を創出しています。(※12)CSR担当者向けITツールも積極導入しサステナビリティレポート作成に取り組んでいます。(※13)  「ダブ」ブランドの商品を持つユニリーバは、サステナビリティ戦略を積極展開していることで世界的に有名です。2010年にUnilever Sustainable Living Planというプロジェクトを開始、2020年までにビジネス規模を2倍にしながら環境負荷を減らし、社会にポジティブインパクトをもたらすことを目指しています。その達成に向けて同社は、サプライヤーやコミュニティの支援、貧困の撲滅に取り組むべくNGOと協力し気候変動への対応を呼びかけるキャンペーンや、リサイクル促進のために消費者家族に向けたキャンペーンを展開しています。  2015年現在、ユニリーバが調達する農作物原材料の55%以上は持続可能な形で調達されており、2020年までに100%持続可能な調達を実現するという目標を半分以上到達しています。さらに、同社は工場ネットワーク全体で非有害廃棄物の埋め立てをゼロにするという目標を達成したほか、2008年と比較して製造時にエネルギーから生まれるCO2排出量と水消費量をそれぞれ1トンあたり37%、32%削減することにも成功しています。(※14)  こうした試みもあって、サステナビリティ分野のアドボカシーNPOのセリーズが5月に発表した大手食品会社らの水リスク対応力を評価したランキングでユニリーバは1位を獲得したほか(※15)、国際NGOのオックスファムが3月に公表した大手食品・飲料企業10社の食糧課題・サステナビリティへの取り組み状況を評価したランキングにおいても1位、サステナビリティ分野のコンサルティング企業のSustainly社に公表した「ソーシャルメディア・サステナビリティ・インデックス」でも1位を獲得しています。(※16)  ユニリーバが全業界的に先進的であるために、同業者でサステナビリティ活動に遅れをとっている企業は何から始めればいいかを戸惑うかもしれません。そういった場合、まずはサプライチェーンの改善から取り組むべきだと言えます。サプライチェーンの見直しは、リスク管理になるだけでなく業務効率の向上も期待できるため、部門を超えて理解が得やすく、また数値的な効果も比較的見えやすいからです。  ユニリーバCEO、副社長そして、「ニベア」ブランドを持つバイヤスドルフ社のCorporate Communications & Sustainabilityを統括する副社長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【イギリス】ユニリーバのCEOが語るサステナビリティへのコミットメント 【イギリス】サステナビリティ目標の達成に向けてユニリーバが導入した新たな仕組みとは? 【ドイツ】世界を代表するスキンケアブランド「NIVEA(ニベア)」を支えるサステナビリティ戦略 小売 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  Alibabaの登場により、業界全体のブランド価値が急成長しているのが小売業界です。興味深いことに業界トップを走る二社はどちらもeコマースであり、実店舗を持っている企業ではありません。以前は価格、選択の幅、利便性のそれぞれがトレードオフであったものの、現在はこれらのeコマースを通し全ての便益を享受できるようになりました。来る高齢社会に向けてeコマースの存在は必要不可欠なものとなっていくでしょう。  小売業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 再生可能エネルギーの利用 再生可能な材料の利用 サプライチェーン改善  たとえば、アマゾンは国際NGOのGreenpeaceによる抗議活動を受けて、昨年11月にクラウドサービス部門、AWS(Amazon Web Service:アマゾン・ウェブ・サービス)に使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達するという誓約を発表し、大きな一歩を踏み出しました。(※17)しかし、その透明性については疑問視されており、風力発電によって生み出された100メガワットの電力を購入する計画を発表したものの、AWSがいまだ再生可能エネルギー比率が2%しかなく、これからの取組みに期待が寄せられます。(※18)  他にも、サステナビリティ先進企業として知られるIKEAは、自社および自社製品のサステナビリティ向上を通じて消費者の毎日の生活をより持続可能なものにするというビジョンの下、再生可能エネルギー投資を加速しており、その具現化が進んでいます。(※19) また同社は、LED技術を活用した省エネの追求やリサイクル可能な材料を利用することで、自社製品のサステナビリティを担保しつつ、手頃な価格を維持しています。(※20)  同じく実店舗を保有するウォルマートも、サプライヤーと協働によりサステナブル素材でできた商品の開発をしています。(※21)それだけにとどまらず、3月にサステナブルな商品だけを集めたオンラインショップを開設し、より一層の意気込みを見せています。(※22) ウォルマート会長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】「消費者はサステナビリティのためにより多くを支払うか?」に対するウォルマート会長の答え ビール (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国と南米の消費量の増大により、消費者からのブランド価値が向上しています。ミレニアル世代はビールの味において、間違いのないものよりも新感覚を欲しており、ビールメーカー各社はブランド内の商品ラインナップの拡充や、他社買収・ブランド開発による新ブランドの確立などの対応を迫られています。  それぞれのビールブランドには固有のアイデンティティーがありますが、時折クラフトビールの方がメジャーブランド以上に巧みなストーリーテリングでアイデンティティーの確立に成功しています。  そういったストーリーテリングとしての役割をも果たすのがサステナビリティ活動です。ビール業界が主に展開しているのは次の2つです。 サプライチェーンの改善 水の利用効率の改善  例えばハイネケンはストーリーテリングを通して同社のサステナビリティに対する取り組みをより多くの消費者に知ってもらおうと、ソーシャルメディアなどを活用したユニークなデジタルキャンペーンを展開しています。同社は2020年までに主要な原材料の50%を持続可能な調達にすることを宣言しているほか、新興国の水のサステナビリティに向けてUNIDO(国連工業開発機関)と協働で解決に取り組んでいます。(※23) 実際にハイネケンが行っているストーリーテリングの詳細は以下をご覧ください 【オランダ】ハイネケンが仕掛けるユニークなデジタル・サステナビリティ・ストーリーテリング ファストフード (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  マクドナルドの事件を受け、食の安全への関心が一層の高まりを見せています。ヘルシーかどうか、サプライチェーンは倫理的か、環境への責任を考えているか、そういった関心ある消費者にとってファストフードは不充分だと感じられてきています。  消費者の期待に応えるため、ファストフード企業各社も材料の調達からメニュー、店舗での経験価値を検討し直しています。ファストフード業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 サプライチェーンの改善 コミュニティ支援 ダイバーシティ  例えば、食の安全性に関する事件に揺れたマクドナルドは、今年3月に抗生物質を使用していない鶏肉のみの調達、rbSTと呼ばれる人工成長ホルモンが投与されていない牛の低脂肪ホワイトミルクと無脂肪チョコレートミルクを提供など、原材調達に関する新たな方針を発表しています。(※24)  他にもスターバックスは、CSRを単独の行動ではなく企業のDNAそのものとしており、水不足に対処するため水の供給源をカリフォルニア州からペンシルヴァニア州に変更するなど節水に取り組んでいます。(※25)また恵まれない若者を対象に就業プログラムを提供するなど地域コミュニティにも貢献しています。  ダイバーシティに関しても退役軍人を採用するだけでなく、アメリカ国内で白人警官による黒人射殺事件が発生した際には、顧客に手渡すカップに “Race Together”というメッセージを書き、消費者間における人種問題についての会話を促すキャンペーンも実施しています。(※26)  さらに、対内的には従業員の学位取得プログラムの学費の全額をスターバックス社が負担するなど従業員にも細やかな対応が見られます。(※27) ソフトドリンク (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者が人工甘味料を避けるようになり、ダイエットコークやエナジードリンクの消費量はあまり増えていません。長きにわたりコーラが人気であった中国やインド、メキシコ市場にも健康や肥満への問題認識が高まってきています。市場ニーズに応え、メジャーブランドは商品ラインナップの拡充や製品工場の見直し、生産工程におけるカーボンニュートラルなどに取り組み始めています。  ソフトドリンク業界が主に行っているサステナビリティ活動は次の2つです。 水の利用効率の改善 コミュニティ支援  たとえば最大手のコカ・コーラは2020年までの水資源保護目標を掲げ、進捗状況を公開しています。(※28)同社は世界自然保護基金(WWF)とパートナーシップを締結し、この水資源保護にグローバルに取り組んでいます。(※29)  また同社の持つロジスティクスを活かし、「100万人の就学児童に安全な飲料水を届ける」というプロジェクトも展開。(※30)それだけでなく医療インフラが整っていない地域に住む人々に対して、自社の物流やサプライチェーンを活用して医薬品や医療用品を届ける「ラストマイル・プロジェクト」をも展開し地域コミュニティの支援にも貢献しています。  さらに技術革新により世界初の100%植物性由来のペットボトルを開発することにも成功し、環境・社会面への正の影響の向上、食品の安全性に対する悪影響の回避というコカ・コーラの基本原則の下、強固なブランドを築き上げています。(※31)  コカ・コーラの地域コミュニティ支援の詳細は以下をご覧ください 【アフリカ】コカ・コーラ、アフリカで医薬品を供給する「ラストマイル・プロジェクト」を10ヶ国へ拡大 【アラブ首長国連邦】1ヶ月で200万人が視聴。コカコーラが始めた新キャンペーン”Hello Happiness” 金融(銀行・保険) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  グローバルに展開する銀行は、世界を不況に陥れたことが明らかになり、依然として社会から厳しい目で見られています。他方、ローカルに展開する銀行は、世界的な金融危機の際に、悪事に加担していないとみられたことからグローバルバンクと比べて社会的信用力が高いとされており、現在業界全体での成長性はローカル銀行の方が高くなっています。  また、保険業界は、提供するサービスのコモディティ化を避ける取り組みを展開しています。また、中国では生命保険は急成長している業態で、中国の保険会社らが牽引し業界全体での成長率は高くなっています。  金融業界が長期的な視点に基づく投資として主に取り組んでいるサステナビリティ活動は以下の3つです。 ESG投資 グリーンボンド リスク管理  ESG投資としてはUNPRI(国連投資原則)に署名し、今まで特殊な資産運形態とみなされていたESGを、通常のアセット運用でもリスク管理のひとつに加えていく動きが加速しています。また、気候変動の原因となる温室効果ガスの主たる排出元セクターに対する投資を長期的な観点からリスクと認識し、再生可能エネルギーファンドへの出資も大きなトレンドです。  グリーンボンドの発行分野では、例えば、モルガン・スタンレーは昨年10億円規模のグリーンボンド案件に関わるなどで貢献しています。(※32)  またリスク管理としては、ERP(統合リスク管理)やバーゼルⅢで検討されている銀行の資産健全性の強化などが挙げられます。  ESG投資に関する詳細は以下をご覧ください。 【金融】世界と日本のSRI・ESG投資最前線 石油・ガス (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  アメリカのシェールガス革命や中国の景気の減速を受けて原油価格が低下したため、上流ビジネスである石油の採掘は控えられるようになっています。このような事態を受けて業界各社は、比較的利益率の低い下流ビジネスの製油所やガソリンスタンドの見直しに注力する結果となりました。  資源が直接収益に繋がる石油・ガス業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動は温室効果ガス排出量の削減です。  たとえば英国エネルギー大手のBPは4月の年次総会で低炭素経済の実現に向けた事業の変革を促すための株主提案であるResolution 25を可決しました。この決議案の中には、温室効果ガス排出削減マネジメントによりCDPのパフォーマンスバンドでA評価を獲得することや、ポスト2035シナリオに向けたアセットポートフォリオのレジリエンス強化、低炭素エネルギーのR&Dや投資戦略策定などが含まれています。(※33) テクノロジー(消費者・法人向け) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  テクノロジー業界は、競争と移り変わりが激しく、それぞれのブランドにとって消費者を安心させロイヤリティを高めることがより重要となってきます。BrandZ総合ランキングのトップ4は全てテクノロジー企業が占めており、その影響力の高さが伺えます。  テクノロジー業界はそれぞれの企業の提供しているサービスが多岐にわたりそれぞれの企業が強みを活かしたサステナビリティ活動を展開していますが、主なものは次の3つです。 サプライチェーン改善 再生可能エネルギー ビッグデータを活用したサステナビリティ活動のサポート  例えば、アップルはサプライヤー19カ国633施設での監査及び3万人の従業員に電話インタビューを実施し、サプライヤー規範に則したサプライヤーのみと契約を継続しています。実際2014年時点で規範に違反する18社との契約を解除しています。(※34)それだけでなく、同社は初めて有害物質のポリ塩化ビニル(PVC)と臭素化難燃剤(BFRs)を外部ケーブルも含む全製品から取り除いた企業でもあります。(※35)  また、同社は国際NGOのGreenpeaceの抗議活動を受けて再生可能エネルギーへの投資も行っており、太陽光発電所や再生可能エネルギー100%のデータセンターの建設などが進められています。(※36)アップルに並び業界を代表するグーグルも風力発電ファンドを組成し、再生可能エネルギーへの投資を進めており、グリーンインターネット化が推進されています。(※37)  SAPはToyota Info Technology Center USA、VeriFoneと共同でドライバーのガソリンスタンド探しをシンプルにするプロジェクトを推進し、無駄なエネルギー消費の削減に取り組んでいます。これら3社はそれぞれの技術を活かし、車両の位置やルート、燃料レベルなどの情報収集、POSソリューション、テレマティックスデータを統合しソリューションを提供しています。(※38)  IBMは食品大手のMarsと提携しグローバルサプライチェーンにおける食の安全の確保に取り組んでいます。(※39)同じく食に関わるものとしては農業のサステナビリティ向上のためにビッグデータ解析ソリューションを提供もしています。(※40)さらには、市民一人一人から寄付されたコンピュータの空き容量を集め、仮想スーパーコンピュータを創りだし、科学者に気候変動関連オープンデータ分析のために無料で提供するといったプロジェクトのコーディネートも行っており、自社の強みをサステナビリティに活かす好事例といえるでしょう。(※41)  これらテクノロジー企業を代表するアップルの環境イニシアチブ担当副社長、SAPのサステナビリティ責任者へのインタビューおよびオラクルのサステナビリティ戦略に興味のある方は以下をご覧ください。 【アメリカ】アップルはどのようにサステナビリティ先進企業になったのか? 【アメリカ】SAPのサステナビリティ責任者が語る、統合報告とサステナビリティ戦略 【アメリカ】オラクルのサステナビリティ戦略 通信 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国やインドでのスマートフォン利用者の拡大を受けて、通信業界では巨大市場を押さえるためのM&A等が進んでいます。またIoTへのインフラ投資といった将来への投資機会にも恵まれています。一方でインターネット・プロバイダーがネット回線での通話を可能にするなど新たな競合の参入という事態にも直面しています。  そのような通信業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動はエネルギー利用効率の改善です。  たとえばAT&Tはエネルギー効率化や省エネを目指しIoTを推進しています。しかし一方でIoTの進展は、電子廃棄物の増加という新たな問題を生むことを危惧されてもいるのも事実です。(※42)また同社は、ダイバーシティの促進に積極的なことでも知られ、ダイバーシティがビジネスにもたらす利益について周知することを目的とする組織DiversityIncからも、ダイバーシティへの取り組みに積極的な上位50社に選ばれ、見事トップ10入りを果たしています。(※43)  他にもVerizonはアメリカ国内において教育水準の低い24の地域の教師に対し、モバイル通信記述を活用した教育メソッドを提供し、地域コミュニティに貢献しています。(※44) 総論  今回のBrandZのランキングは中国の景気減速を示しつつも、中国企業の台頭を明確に示すものとなりました。市場のグローバル化に伴い、新興国企業がグローバル市場での新たなプレーヤーとして登場するなど、今後製品性能や価格戦略による差別化はますます厳しさを増していきます。  その中、BrandZに選定されている企業の投資パフォーマンスは2006年からの10年間で102.6%上昇しています。これはS&P 500の63%、MSCIの30.3%よりはるかに高く、消費者視点でのブランドがいかに企業にとって重要なものかを物語っています。  そのBrandZにランクインする各業界トップ企業のサステナビリティ戦略を参考にすることで、より現実的な路線でそれぞれの企業が自社の事業領域の中でどのように責任を負い、またその責任を全うするためにどのような行動をしていくべきかが見えてくるでしょう。

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2015/06/18 体系的に学ぶ

【イギリス】グローバル・サステナビリティ・フィルム・アワード2014が開催!

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最近はコーポレートブランディングの一環として自社のサステナビリティ活動を映像作品として発信する企業が増えてきている。そうした企業らの映像作品を表彰するイベントがロンドンで開催された。 環境・社会問題に関する映像制作を手がける英国のチャリティ団体tveは12月9日、ロンドンのBAFTA(英国映画テレビ芸術アカデミー)でGlobal Sustainability Film Awards 2014を開催した。同イベントは、サステナビリティ活動に積極的に取り組んでいる企業や団体が制作した映像作品の中でも特に優れた作品を表彰するもので、言わばサステナビリティ業界のアカデミー賞だ。今年で3度目の開催となる。 革新的な方法でサステナビリティ戦略を実践している企業らのグッドプラクティスを世界に広め、環境・社会問題の解決に向けた変革を促すのが狙いだ。 イベントを主催するtveは、Central TV、国連環境プログラム、WWFらによって1984年に設立された英国のチャリティ団体で、過去30年間以上に渡り映像を通じて社会変革に取り組んできた。 Global Sustainability Film Awards 2014では、Environment(環境)、Community Investment(コミュニティ投資)、Inspiring Good Governance(優れたガバナンスの啓発)の3部門があり、合計33の作品がエントリーした。各部門のエントリー作品および最優秀作品、そして総合最優秀作品は下記の通りだ。 Environment(環境) Environment(環境)部門は、エネルギー効率化や再生可能エネルギー、水資源の取り組み、交通、農業などの分野で環境への負荷を削減する取り組みに焦点をあてた作品を対象としている。今年は化学大手のBASF、航空のCathay Pacific Airways Limited、銀行大手のHSBCなどをはじめあらゆる業界から様々な映像作品がノミネートされ、とても競争の激しいカテゴリとなった。 最優秀作品 Thames Tideway Tunnel Limited(英国):"You Poo Too" 同部門の最優秀作品に選ばれたのは、英国テムズ川の下水トンネル工事を手がけるThames Tideway Tunnel Limitedの作品だ。ロンドンを代表するテムズ川に昨年だけで5,500トンもの汚水が直接流されたという衝撃の事実とともに、ロンドン市民に対してテムズ川をトイレのように扱うのをやめ、綺麗にしていこうと訴えかける。 ノミネート作品一覧: Bam Nuttall(英国):"Bringing engineering to life" BASF(ドイツ):"Sustainability at Crop Protection Europe" BASF(ドイツ):"The new source -desalination in Cyprus" Cathay Pacific Airways Limited(香港):"Working towards a sustainable future" Chepu Adventure(チリ):"Where nature is our main supplier" Global Generation(英国):"Constructing Environmental Sustainability" HSBC NOW(LAM)(英国):"Cutting the commute -Bus Rapid Transport(BRT) Mexico City" HSBC GLOBAL(英国):"Investing in lives and livelihoods" Snowcarbon Ltd(英国):"How children make the journey part of the holiday" Sontay Limited(英国):"Taking control of sustainability" Thames Tideway Tunnel Limited(英国):"You Poo Too" Community Investment(コミュニティ投資) Community Investment(コミュニティ投資)部門は、従業員ボランティアプログラムなどを通じてコミュニティの発展に貢献する取り組みを実施した企業らの作品を対象としている。なぜその地域でそのプログラムに取り組むのか、その結果としてコミュニティにどのような利益をもたらしたのか、などがポイントとなる。製薬のAstraZeneca 、宝飾のCred Jewellery、アカウンティングファームのErnst & Young LLPなどあらゆる業種の企業、団体からノミネートがあり、3部門の中でもっとも多くの作品が集まる人気のカテゴリとなった。 最優秀作品 Global Generation(英国):"Big Bang Project" 同部門の最優秀作品に選ばれたのは、次世代の若者に対するサステナビリティ教育プログラムを展開している英国のNGO、Global Generationの作品。建設会社のKierやCarillion、BAM、鉄道のEurostar、新聞社のThe Guardianなど企業と共に実施している、子供向けプロジェクトBig Bang summer schoolの様子を紹介している。このプロジェクトを通じ、子供たちは最先端の宇宙科学の知見を学びながら、あらゆる人々、万物は全てつながっていることを理解していく。 ノミネート作品一覧: AstraZeneca(英国):"Young Health Programme three years on" AstarZeneca(英国):"Young Health Programme Portugal youth consultation" BASF SE(ドイツ):"Water education project, Mangalore, India" Cred Jewellery(英国):"The story of a wedding ring" DLA Piper UL LLP(英国):"Child justice in Bangladesh" Energy Futures Laboratory, Imperial College London(英国):"Powering the top of the world -empowering communities" Ernst & Young LLP(英国):"The EY Vantage Program" Global Generation(英国):"Big Bang Project" Golder Associates(インド):"Golder Trust for Orphans" HSBC NOW(米国):"Backpack, best start to the year" HSBC NOW(英国):"Volunteering for the HSBC Water Programme" M&C Saatchi London(英国):"Share the road" Rainforest Expeditions(ペルー):"About us" So You Wanna Be in TV?(英国):"Changing lives, Changing TV" The [...]

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【国際】2015年のサステナビリティ投資、6つの最新トレンド

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タイヤメーカー大手のPirelli Tire North America(ピレリタイヤ・ノースアメリカ)で広報・サステナビリティ担当役員を務めるMaureen Kline氏が、米国Inc.誌に”6 Sustainability Investing Trends for 2015”と称して2015年のサステナビリティ投資に関する6つの最新トレンドを紹介している。 今やサステナビリティ投資は世界中で大きなトレンドとなりつつある。例えば、US SIF(The Forum for Sustainable and Responsible Investment)の調査によれば、2012年から2014年にかけて米国におけるSRI投資・インパクト投資の運用額が76%増加したとのことだ。ESGを投資基準に組み込んだ投資会社は3倍以上に増え、年金ファンドを含む米国の機関投資家によるSRI資産は77%拡大し、ESGに配慮したプライベート・エクイティやその他のオルタナティブ投資の運用額も70%増加したという。 また、責任投資を推進している国連PRI(Principles for Responsible Investment:責任投資原則)に署名している機関投資家・団体の数は既に1,260を超えており、署名機関の運用資産総額は45兆ドル以上に膨らんでいるという。 こうした現状を踏まえ、Maureen Kline氏は記事の中で2015年のサステナビリティ投資における最新トレンドとして下記6つを挙げている。 機関投資家は顧客の要望に応える形でSRI投資をますます加速させていく 投資家の関心はネガティブ・スクリーニングからポジティブ・スクリーニングへと進化する SRIを重視する機関投資家の数はさらに増え、企業に対する影響力を強めていく ESG情報の透明性向上について投資家から企業への要求が高まる 気候変動リスクのような外部性に対する投資家から企業への圧力が高まる 地域へのコミュニティ投資やインパクト投資の流れが加速する いずれのポイントもサステナビリティを重視した経営を実践している企業にとっては歓迎するべき流れだ。投資家がサステナビリティをより重視するようになれば、企業経営者も短期的な財務パフォーマンスだけに囚われることなく、より長期的な視点で事業運営、事業投資を行うことができるようになる。2015年もグローバル全体でSRIの流れは加速していく。6つのトレンドのより詳細について知りたい方は下記から。 【参考サイト】6 Sustainability Investing Trends for 2015 【関連サイト】US SIF

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【アメリカ】最もコミュニティ志向のある企業ランキング、Civic50が公表

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米国のボランティアNGO、Points of Lightは12月8日、Bloomberg L.P.と共同で2014年度のCivic 50ランキングを公表した。同ランキングは優れたコミュニティ・エンゲージメントを展開している米国企業を表彰するもので、コミュニティ活動に対する資金や人材の投資状況、コミュニティ・エンゲージメントプログラムの企業戦略への統合状況、プログラムの成果などに基づき優れた実践を展開した企業トップ50を毎年公表している。 ランキングは今年で3度目となり、最初の2年間はS&P500社のみを対象としていたが、今年からは売上高10億ドル以上の全ての米国企業が調査対象に加えられた。 今回の調査結果では、企業は自社の事業を展開するコミュニティの発展に向けて従業員のスキルや時間といったリソースをコミュニティ活動に投資することで、結果として従業員エンゲージメントの強化、スキル開発、ダイバーシティ強化、インクルージョンなど本業に対して様々なポジティブインパクトを生み出していることが分かった。 Points of Lightの会長を務めるNeil Bush氏は「Civic 50を構成する企業は、善意をどのように事業慣行や事業方針に転換していくべきか、その道筋を示してくれている」と語った。また、Bloomberg L.P.の会長を務めるPeter Grauer氏は「我々は、慈善活動・エンゲージメント・サステナビリティとビジネスとの間に垣根はないと考えている。良いことをすることはすなわち良いビジネスだと考えているからだ。我々は今回の2014年受賞企業を祝福するとともに、彼らが共有してくれたノウハウが他企業の事業成長やコミュニティ施策の手助けとなり、コミュニティに暮らす人々の生活が向上することを期待している」と述べた。 2014年度Civic 50受賞企業は以下の通りだ。 AbbVie Adobe Systems Incorporated Aetna Inc. Alcoa Altria Group, Inc. Apollo Education Group AT&T Bank of America Baxter International Inc. Caesars Entertainment, Consumer Discretionary Sector Leader Capital One CenterPoint Energy, Utilities Sector Leader Citi Comcast Corporation, Communications Sector Leader ConAgra Foods, Consumer Staples Sector Leader CSAA Insurance Group ? a AAA insurer DIRECTV Dr Pepper Snapple Group Eli Lilly and Company FedEx Corporation Freeport-McMoRan Copper & Gold Gap Inc. GE General Mills Hasbro, Inc. Health Care Service Corporation Hewlett-Packard, Technology Sector Leader Intel Corporation Intuit KeyBank, Financials Sector Leader Motorola Solutions, Inc. Pacific Gas and Electric Company Prudential Financial, Inc. PwC Raytheon Company SAP Sigma-Aldrich, Materials Sector Leader Southwest Airlines Sprint Corporation State Street Corporation Symantec Corporation The Hershey Company Toyota Financial Services TSYS UnitedHealth Group, Health Care Sector Leader UPS, Industrials Sector Leader Valero Energy Corporation, Energy Sector Leader Verizon Viacom Western Union また、今回の調査結果の代表的なトレンドとしては下記が挙げられている。 コミュニティへの参画は従業員エンゲージメントを高める 82%の企業が従業員に対してボランティア活動のための有給休暇を与えており、84%の企業は従業員とボランティアとのマッチング機会も提供している。半数以上の企業がコミュニティへの参画を従業員のパフォーマンス評価の一部に取り入れている。 企業、コミュニティはスキル・ベースド・ボランティアに価値を見出している スキル・ベースド・ボランティアの取り組みはCivic50選出企業らの中で広がり続けており、平均して5分の1の時間がスキル・ベースド・ボランティアとなっている。Ture ImpactおよびBureau of Labor Statisticsによれば、スキル・ベースド・ボランティアは従来のボランティアに対して5倍以上の価値をもたらすとされている。 企業が社会変革に向けて声を挙げている Civic50選出企業の82%が、飢餓の根絶やSTEM教育の拡大といった社会課題に向けてリーダーシップを発揮しており、多くの企業が自社の事業に関連する社会課題に投資を行っている。 今回のランキングのサマリー、各産業別のTOP3ランキングなど詳細は下記から参照可能。 【ランキング】Civic50 2014 【レポートダウンロード】Civic50 2014 Summary Report 【団体サイト】Civic50

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【コートジボワール】ハーシー、カカオ農家支援プログラムをコートジボワールへ拡大

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The Hershey Company(以下、ハーシー)は9月9日、同社が西アフリカで展開しているカカオ農家向けのトレーニングプログラムを、世界最大のカカオ生産国であるコートジボワールに拡大すると発表した。新たに始まる3年間のプログラム”Hershey Learn to Grow Ivory Coast”では、ハーシーのカカオサプライヤーであるカーギル社との協力により教育インフラや教師向け住宅への投資が行われる予定だ。 Hershey Learn to Grow Ivory Coastは、主に下記3つの分野に焦点をあてている。 優れた農業慣行:刈り込みや肥料の安全な散布、効率的な使用など 農業組合:カカオ貯蔵庫、カカオの植木、診療所などのインフラ整備 教育支援:教師向け住宅、学校施設改善、児童労働や児童の人権に関する意識向上 Hershey Learn to Grow Ivory Coastを通じて1万のカカオ農家がUTZ Certifiedによる監査・認証に向けた農業・社会慣行のトレーニングを受ける予定となっている。そうすることでカカオ農家は生産したカカオをより高い価格で販売することができるようになるだけではなく、農業慣行を改善することは長期的な収穫量拡大につながることを認識できるようになる。 また、カカオ農家を再生させるには生産者や農業組合、カカオ企業らによる長期的な投資が必要になるため、Hershey Learn to Grow Ivory Coastは彼らが農園を改善している間、認証済みカカオの販売チャネルを提供することで長期的な農業慣行改善を支援する。 ハーシーが展開するこのカカオ農家トレーニングプログラム”Learn to Grow”はもともとガーナとナイジェリアで始まったモデルだ。今回のコートジボワールのプロジェクトでは、ハーシーのカカオサプライヤーであり、既に同国の農業組合とネットワークを持っているカーギル社と共に実行される予定だ。 両社は以前にCocoaLinkというモバイル技術を利用したガーナのカカオ農家に優れた農業慣行、安全労働、収穫物のマーケティングに関する情報を提供するためのプログラムでも協働した実績がある。 ハーシーの副社長・最高サプライチェーン責任者を務めるTerry O’Day氏は「ハーシーとカーギルは、コミュニティへの責任についての共有価値をコートジボワールのカカオ農家に対して優れた農業慣行と市場への機会をもたらすという喫緊のテーマに結びつけている。 Learn to Growのエッセンスは、カカオ生産地域のコミュニティサービスやクリニック、学校の拡大に向けて協働しながら、カカオ農業を個々の農家にとってより収益性の高いものにし、世界の消費者に向けて高品質なカカオの長期的な供給を実現することだ」と語った。 同プログラムの実施により、ハーシーは持続可能なカカオ調達を更に加速する。同社は2020年までに世界中の全ての製品を100%認証済みカカオ由来にするとコミットしており、同社の認証済みカカオの調達割合は2013年に18%を超えたが、2015年までには40?50%に増加することが予想される。 【企業サイト】The Hershey Company 【企業サイト】Cargill

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【戦略】アジアCSRの最新事情 〜CSRアジアサミット2014参加レポート〜

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2014年9月16日、17日、アジア地域で大きなネットワークを持つCSRコンサルティング会社・CSRアジアが香港で年次イベント「CSRアジアサミット2014」を開催、10周年となる今回のイベントには、アジア各国から事業会社、投資銀行、コンサルティング会社、NGOなど600人を超える参加者がアジアの20以上の国から集まりました。イベントでは、基調講演のほか24のテーマセッションが開催、会場となった香港のシャングリラ・ホテルにはところ狭しと人が往来する姿がありました。Sustainable Japanも今回のイベントに参加してきましたので、そこで議論されていた内容や、参加者の関心事などを踏まえ、アジア地域におけるCSRの「今」をお届けしたいと思います。 イベントの主催者であるCSRアジア、香港にグローバル拠点を置くCSRのリサーチ・コンサルティング会社で、10年前に3人のオーストラリア人によって設立されました。10年前と言えば日本でもCSRという言葉が環境経営という側面から始まった時とほぼ同時期です。その後、CSRアジアは、アジア地域のローカル企業や欧米資本企業のCSR戦略の構築を手がけ、今では中国、マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア、イギリス、日本に拠点を拡大しています。 今回のイベントで、参加者の関心を大きく集めていたように見えたのは、「サプライチェーン対応」「CSVと測定」「統合報告・GRI」「ESG投資」です。 サプライチェーン対応 サプライチェーンや生産現場改善というテーマには、ローカル事業会社、特にグローバルソーシングと英語では呼ばれている製造受託企業の参加者が大きな関心を持っている感じでした。中国、東南アジア、南アジアの地域は、グローバルサプライチェーンの中に組み込まれているところが多く、欧米企業が課す環境・労働規制の現状や対応方法についての関心が高いのかもしれません。サプライチェーンのセッションでは、H&Mやリーバイス、そして日本からも富士ゼロックスがアジア地域における労働環境の改善を共有していました。興味深かったのは、参加者の年齢層です。サプライチェーンの参加者には、欧米やオーストラリアなどからのNGO関係者の参加も多かったのですが、アジアのローカル事業会社からは若手の参加も目立ちました。従業員3,000人を誇る香港のグローバルソーシング企業の20代後半の女性参加者がいたので話を聞いてみると、「最近は社内でのCSRに関する関心が高まってる。ここで学んだものを社内に持ち帰って、すぐに業務に活かしたい。」と話してくれました。「こんなに若いのに自分たちだけで参加してるんですか?返ったら報告書とか書くんですか?」日本人的なこんな質問をしてみると、「別に若いのに会社を代表してるなんて変なことじゃないですよ(笑)。報告書って何ですか?そんなものはありません。自分たちの業務でしっかり活かしていいけばいいんじゃないですか?」との回答。ちなみに、このイベントの参加費用は一人8万円以上と決して安くはないのですが、香港の会社が若手に大きな権限と責任を与えている様子を垣間見ることもできました。 CSVと測定 このテーマも、コミュニティ投資が進むアジア地域ならではの関心事かもしれません。イベントの基調講演の中で、コカコーラ財団の理事長はコカコーラグループが"Me, We, the World"というコンセプトを作成し、水、女性支援、教育機会への投資の3つを事業活動に影響を与える重要テーマとして定め、この分野に特化したコミュニティ投資と測定を行っていることを紹介していました。測定のセッションには、事業会社だけでなく、NGOからの参加者も多く、NGOの活動においても「アウトカム(活動がもたらした効果)」を重視していこうという姿勢を伺うことができました。NGOの参加者側においても、アジア地域で活動をしている欧米・オーストラリア人と、アジア人の間にはまだ状況や関心の違いがあるようで、欧米・オーストラリア人がCSV・測定・SROIという概念をかなりキャッチアップしているのに比べ、ローカルNGOを運営する中国人参加者からは「最貧層や災害援助など最前線で活動をしている私たちからしたら、実際に必要なのは資金だ。企業の事業活動には影響の少ない分野なのかもしれないこの最前線に対し、企業はもっと理解を示し、資金提供をして欲しい」と切羽詰まった意見も出ていました。 NGO絡みの話以外では、スタンダード・チャータード銀行が自社の事業活動そのものをSROIで評価しレポーティングしているというプレゼンテーションもありました。彼はもともとCSRやサステナビリティ畑ではなく、資本市場部門の出身者であり、最初は何を測定していくべきか悩んだといいますが、リーマンショックで銀行が社会から大きな非難を浴びたのを機に、「バンカーとして自分の仕事に誇りが持てなくなっていた。銀行が社会に産みだしているプラスの効果とマイナスの効果を純粋に知りたいという欲求が自然と生まれてきたし、社内からも声が高まってきた。」と、SROI測定に大きな拍車がかかったことを吐露してくれました。同社にとってSROIの測定は、すでに一過性のものから毎年の事業戦略構築の中に組み込まれており、グループ経営においてすでに無くてはならない存在になっていると言います。 統合報告・GRI 日本でも徐々に関心が高まっている統合報告やGRIのG4についても、アジア企業は同様に、もしくは日本企業以上に関心を寄せています。アジア企業のCSR部門にとって、目下一番の悩みどころは「マテリアリティ特定」と言っても過言ではないかもしれません。レポーティングのワークショップでは、コンサルタントからマテリアリティ特定の業務フローが紹介されましたが、会場からは「ステークホルダーのうち、重要なものと、重要でないものを分けることは、考えとしてはわかるが、現実にはそんなことはできない」「株主のうち、少数株主の意見は重要でないと位置づけるということなのか?」と現場の難しさも率直に飛び出していました。講師役を担当したオーストラリアのコンサルティング会社Helikonia社からは、「実際にはマテリアリティ特定はサイエンスというよりアートな世界。機械的にマテリアルな(重要な)ステークホルダーやイシューを特定する方程式は存在しない。エンゲージメントで声を集めても、経営陣の判断で優先順位が変わることもあるし、そのような政治的な要素も大きく働く。様々なコミュニケーションを通じて柔軟に対応していくしかないし、今年はこのテーマ、来年はこのテーマというように、順番に対象のステークホルダーを変えていくことも可能だ」と回答していました。一般的にマテリアリティは年々変わるものではないとも言われていますが、他社との関係を重んじるアジア地域特有の環境では、柔軟なマテリアリティ特定が模索されているようです。 ESG投資 資本市場でのESG考慮をテーマとしたセッションも多くの参加者を集めていました。セッションには、クレディ・スイス、HSBC、BNPパリバ、Robecoといった世界有数の投資銀行や投資顧問企業がプレゼンターを務め、経済的リターンを追求する上でも非財務情報(ESG)の果たす役割の大きさが認識されてきており、投資先選定の上でESGがスクリーニング要素として取り入れられてきたという説明が各社からありました。一方で、会場から「アジアのローカルの金融機関はとてもとてもそんなことを考えている様子はないと感じる。」というアジア人参加者からの意見に対し、主催者であるCSRアジアからも「今回のセッションにも本当はアジアの金融機関に参加してほしくて参加依頼に尽力した。だが結果的にはどこも受けてくれず、欧米の金融機関だけが揃う形となってしまったのは残念だった。欧米とアジアの金融機関の間にはまだまだ考え方の開きが大きい。」と嘆きの声がありました。 ------------------------------------------------ イベントに参加してみた総評として、アジアのローカル企業は、もちろん実行レベルには大きな差がありますが、CSRやサステナビリティに関する欧米の情報を熱心にキャッチアップしようとしていると感じました。実際に参加者は、主に英語メディアで欧米から流れてくる業界の専門用語を次々と口にしていました。Sustainable Japanでは、情報量の豊富な欧米のニュースを多く扱うことが従来どうしても多くなってしまっていたのですが、これからはアジア企業の取組も出来る限り取り上げていこうと考えています。

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2014/09/28 体系的に学ぶ

【アメリカ】Freeport-McMoRan社のコミュニティ投資戦略

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銅・金の生産量ともに世界最大級を誇る米国の非鉄金属大手、Freeport-McMoRan社は7月22日、最新版サステナビリティ・レポート”2013 Working Toward Sustainable Development Report”と共に、同社のコミュニティ投資戦略の概要を発表した。同社のコミュニティ投資戦略は、鉱山の閉鎖後もコミュニティを維持するための地域におけるキャパシティ・ビルディングを中心に据えており、インフラ開発や教育プロジェクト、女性起業家の支援など様々なプロジェクトを展開している。同社が発表した主な取り組みは下記の通りだ。 インドネシアにおけるインフラ開発支援 PT Freeport Indonesia (以下PTFI社)は、インドネシアの高原地帯にある Amungme(先住民族)の居住地域におけるコミュニティのインフラ開発プロジェクト“Tiga Desa Project”を継続し、2013年は420万ドルを投資した。2000年のプロジェクト開始以降、PTFI社は住宅や橋、滑走路、道路など様々な公共インフラを建設され、2013年には建設中のものも含めてマイクロ水力発電、学校、寮、その他のコミュニティ支援施設が整備された。PTFI社はプロジェクトの開始以来、合計4,060万ドルを投資している。 コンゴ民主共和国における教育支援 コンゴ民主共和国の教育環境改善に対する投資の一部として、Tenke Fungurume Mining社(以下、TFM社)は6つの小学校、合計約3,000人の生徒の教育を支援している。2年目にはTFM社がFungurumeとTenkeに住む4,200人以上の子ども達向けに屋内・屋外活動や教育映画、コンピューターの授業など夏の活動を企画した。また、同社はBunkeyaにあるInstitut Technique de Garenganze の本館や4教室、多目的ワークショップ、トイレなどを建設した。この施設の完成により、当地域でさらに高度な教育を受けられるようになり、地域労働者のスキル向上が見込まれる。 ペルーにおける女性起業家支援 ペルー・アレキパ付近にあるFreeport-McMoRan社のCerro Verde事業は多数のインフラ基盤やサービスの改善に継続投資している。2013年には、21人の女性起業家達が、米国アリゾナにあるThunderbird School of Global Managementとの提携による女性向け事業創出プログラム、DreamBuilderを修了し、Arequipa地域での起業に必要な知識とスキルを学んだ。このプログラムを修了した起業家たちは収入や家庭の生活の質が向上したと報告されている。 世界的な人口増加や都市化の進行により天然資源への需要が高まる一方で、同社のような資源メジャーは常にコミュニティの環境破壊や先住民問題に対する批判リスクにさらされている。需要増とサステナビリティをバランスさせ、どのように持続可能な資源開発を実現していくのか、資源メジャーにとって優れたコミュニティ投資戦略の重要性はますます高まってきている。 下記ページおよびレポートにもFreeport-McMoRan社のコミュニティ投資における取り組みがグラフなどを用いて分かりやすくまとめられているので、興味がある方は見て頂きたい。 【企業サイト】Freeport-McMoRan Community Investment 【参考サイト】2013 Working Toward Sustainable Development Report

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