【国際】ムーディーズ、2019年の世界のグリーンボンド発行額を22兆円と予想

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 信用格付世界大手米ムーディーズは1月31日、2019年の世界のグリーンボンド発行額について、前年比20%増の2,000億米ドル(約22兆円)となると予想した。一方、気候債券イニシアチブ(CBI)も2,500億米ドルと予想している。  グリーンボンド発行は2018年は伸び悩んだが、米電力業界の既発債のリファイナンス目的でグリーンボンドは30%伸びると予想した。また、中央政府や地方政府が、気候変動緩和及び気候変動適応のためにグリーンボンドを発行する年になると見通した。  また、今年は、グリーンボンド以外にも、国連持続可能な開発目標(SDGs)関連を資金使途とするソーシャルボンドやサステナビリティボンドの発行が増加するとも述べた。 【参照ページ】Research Announcement: Moody's: Green bond market poised to hit $200 billion in 2019

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private 【金融】2018年 世界グリーンボンド市場の概況 〜発行額首位は米国、2位中国〜

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 グリーンボンド・ガイドライン策定の国際NGOの英CBI(気候債券イニシアチブ)は1月18日、2017年の世界のグリーンボンド発行統計レポート「2018 Green Bond Market Summary」を発行しました。CBI基準に適合するグリーンボンド発行額は世界全体で1,673億米ドル(約18.3兆円)。ソーシャルボンドやサステナビリティボンドも加えると2,025億米ドル(22.2兆円)でした。 【参考】【金融】2017年 世界グリーンボンド市場の概況 〜発行額首位は米国、2位中国〜 【参考】【金融】2016年 世界グリーンボンド市場の概況 〜世界のトレンドと発行首位中国の状況〜(2017年2月24日)  CBIのグリーンボンド基準では、調達資金使途の95%以上をCBIが定める環境関連用途に用いる必要があります。また発行時にセカンドオピニオンと呼ばれる第三者評価を受けなければなりません。CBIには「CBIグリーンボンド認定」制度がありますが、同認定を受けていないグリーンボンドもCBIが情報収集しているため、CBIがCBI基準に適合すると判断すれば統計に加えられています。  2018年の発行額は1,673億米ドルで、2016年の1,555億米ドルから3%増加しました。発行体ベースでは (more…)

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【ヨーロッパ】北欧投資銀行、初のブルーボンド240億円発行。廃水処理や気候変動による洪水対策

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 北欧投資銀行(NIB)は1月24日、北欧・バルト海地域初となるブルーボンドを発行した。ブルーボンドは海洋保護や水問題対策に資金使途を限定する債券。発行額は20億スウェーデンクローナ(約240億円)。年限は5年。利率は0.375%。ナスダック・ストックホルムに上場した。  NIBは、北欧5ヶ国及びバルト3国の計8ヶ国政府が出資している国際金融機関。今回のブルーボンド発行では、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)に準拠したNIB環境ボンドフレームワークに沿って発行される。資金使途は、廃水処理、水質汚染防止、水関連の気候変動適応の3つに関連するプロジェクトへの融資。廃水処理では、特に問題が大きくなっている窒素やリンによる富栄養化に取り組む。  融資先の一つは、スウェーデン・ストックホルムのスルッセン地区再開発プロジェクト。同プロジェクトは、市中心部間を結ぶ橋を再構築し交通網を再整理するものだが、同時に排水ゲートも拡大し洪水対策を行う。 【参照ページ】NIB issues first Nordic–Baltic Blue Bond 【フレームワーク】NIB Environmental Bond Framework

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【インタビュー】小田急電鉄が国内鉄道会社初のグリーンボンド発行 〜事業地域密着型のIRと広報〜

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 関東の大手私鉄の一つ、小田急電鉄が2019年1月、国内鉄道会社初のグリーンボンド発行を決定した。発行額は100億円。年限は3年、利率は0.10%。愛称は「小田急ゆけむりグリーンボンド」で、個人投資家向け。主幹事は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券とみずほ証券。  グリーンボンドは、環境関連プロジェクトを資金使途とする債券なのだが、小田急電鉄は今回の調達資金を、車両の新造・リニューアル、複々線化事業、ホーム延伸・ホームドアの設置などの駅改修に使うという。これらのプロジェクトが、鉄道会社にとってどのような環境との関連性があるのか。CSR・広報部の須永文雄課長、財務部の石渡智也課長、財務部の阿部俊介氏に話を伺った。 (右)須永文雄 CSR・広報部課長 (中)石渡智也 財務部課長 (左)阿部俊介 財務部資金担当 今回のグリーンボンドの概要は? 石渡智也氏  当社グループは、運輸業をはじめとして、流通業・不動産業など、さまざまな分野で事業を展開しています。航空機や自動車に比べ二酸化炭素排出量や大気汚染物質の少ない鉄道は、気候変動対応として脚光を浴びるようになってきており、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)でも、鉄道事業は「クリーン輸送(Clean Transportation)」としてグリーンボンド使途としての適格事業に位置付けられています。海外では鉄道事業に関するグリーンボンドの発行事例は多くあります。  さらに当社では、鉄道事業を運営する上でも、電力消費量を削減するため、消費電力削減効果のある車両の新造及び既存車両のリニューアルを以前から継続的に実施しています。今回のグリーンボンドについても、それらに調達資金の多くを充当する予定です。 車両の新造やリニューアルでどのような環境インパクトが見込めますか? 須永文雄氏  やや細かい話になりますが、今回資金使途とする車両の新造・リニューアルでは、通勤車両用の「1000形」、特急ロマンスカーとして使っている「EXE(30000形)」と「GSE(70000形)」の3タイプを対象とします。一般的に、鉄道車両は40年程度使用しますが、当社では、15年から20年経過を目途にリニューアルを実施し車両を長く使っています。リニューアルを行うのは、その間の技術進化により省エネルギー性能が向上することも理由の一つです。  例えば1000形通勤車両は、もともとは1988年に就役しました。その車両を2014年から順次リニューアルを実施し、従来型に比べ体積・重量ともに約80%小型軽量化された新型の「VVVFインバータ制御装置」に切り替えています。それにより消費電力を約40%も削減でき、二酸化炭素排出量も約40%削減できます。2018年9月時点で、196両ある1000形車両のうち、すでに50両がリニューアル済みで、残りの車両のリニューアルも進めています。  VVVFインバータ制御装置のVVVFとは、可変電圧可変周波数の英語の略でして、交流モーターの電圧と周波数を変化させ、電車の加速度をコントロールする装置です。新型のVVVFインバータでは、熱に強く、スイッチング損失の少ないフルSiC素子を採用したことで、車両のブレーキ時に発電する「回生ブレーキ」の効率が大きく向上し、消費電力を削減することが可能となりました。  同様に、特急ロマンスカーでも、2018年に就役したGSE(70000形)は、2005年就役のVSE(50000形)に比べ消費電力を約30%削減でき、1980年に就役したLSE(7000形)と比較すると、一編成あたり約80%も削減できます。今回、LSEの2編成をGSEに切り替えました。また、1996年就役の特急ロマンスカーのEXE(30000形)も、リニューアル後のEXEα(30000形)では消費電力と二酸化炭素排出量が約20%減ります。2018年9月時点で、リニューアル前のEXE(30000形)が50両、リニューアル後のEXEα(30000形)が20両という構成です。  他にも、全密閉式主電動機や低騒音コンプレッサー等を採用することで、走行時の騒音や振動を抑制することができます。  さらに今回の使途とは直接関係はありませんが、当社では車両の廃車・解体によって発生する廃棄物の金属は、可能な限りリサイクルしています。 残りの使途は? 石渡氏  輸送需要に対する改善策として以前から取り組んできた線路の複々線化工事が終わり、代々木上原~登戸間約11.7kmの複々線化が完成しました。これに伴い、2018年3月から新しいダイヤによる運行を開始し、輸送力の増強や所要時間の短縮、速達性の向上など抜本的な輸送サービスの改善を実現しました。鉄道輸送の効率化による消費電力の削減や、自動車から鉄道へのシフト効果などにより、二酸化炭素の排出量削減に貢献できるものと考えています。  また、さらなる輸送サービスの改善に向けて、代々木八幡駅と開成駅ではホーム延伸工事を、代々木八幡駅から梅ヶ丘駅までの6駅ではホームドア設置工事を実施します。ホーム延伸やホームドア設置は、乗客の安全性を向上できるとともに定常運行にも寄与するため、鉄道輸送の魅力を高めることにもつながります。 環境へのインパクトをどのように測定しますか? 石渡氏  調達資金は、グリーンボンド発行から約2年以内に支出することにしています。また、調達資金の全額が充当されるまで、当社ウェブサイトで毎年、資金充当状況と環境インパクトを報告します。  資金使途の中で、最も二酸化炭素排出量削減効果を可視化しやすい車両の新造及びリニューアルについては、輸送1km当たりの二酸化炭素排出削減量を中心に、騒音・振動の低減度合いを測定します。線路の複々線化やホーム延伸・ホームドア設置については、平均遅延時間や回数の改善効果、平均混雑率の改善効果や所要時間の短縮効果を公表する予定です。  これらの環境インパクトを勘案したセカンドオピニオンでは、Sustainalytics(サステイナリティクス)からは、グリーンボンド原則に対し「適合」との評価を、日本格付研究所(JCR)からもグリーン性評価で最も高い「g1」の評価を得ました。 資金使途の中にはすでに実施済のプロジェクトもありますね 石渡氏  はい。例えば、特急ロマンスカーGSE(70000形)の就役は2018年です。線路の複々線化も2018年3月に完了し、朝のラッシュピーク時における主要駅から新宿までの所要時間が最大10分程度短縮されました。  ICMAのグリーンボンド原則では、既存のプロジェクトのリファイナンスを使途とすることが認められています。またグリーンボンド原則では、リファイナンスについてはルックバック期間を明確にすることを求めていますが、今回のグリーンボンドでは、ルックバック期間を過去2年間と設定しました。今回、当社のグリーンプロジェクトのうち、すでに資金支出が完了している案件については、その一部を手元資金にて支払ってきました。そのため、当該案件によって減少した手元資金への充当についても、資金使途としております。 調達資金の分別管理の方法は? 石渡氏  調達資金の充当と管理は財務部が担当し、エクセル等のシステムによってプロジェクトへの充当状況を管理します。未充当資金については、充当までの間、現金または現金同等物として管理します。もし今後充当予定のプロジェクトが中止となった場合には、適格クライテリアに適合する新たなプロジェクトに充当します。 阿部俊介氏  JCRのグリーンボンド評価は、私が直接担当しましたが、調達資金管理の妥当性や透明性について、厳密なチェックがありました。当社の資金調達や設備投資の状況についてきちんとお伝えしたところ、資金管理面でも最も高い「m1」の評価を、グリーンボンド全体としても最上位である「Green 1」の評価をいただけました。   今回のグリーンボンドを個人投資家向けにした背景は? 石渡氏  今回のグリーンボンドは、当社としては82回目の無担保社債発行となりますが、個人投資家向けの社債発行には以前から力を入れており、今回債で37回目の発行となります。個人向け社債の発行を続けているのは、当社が小田急線沿線の社会や人々との一体感を大切にしているためです。そのため、社債だけでなく株式についても、証券会社にもご協力いただき、沿線を中心とした個人投資家の方々に、幅広くご購入いただきたいと考えております。  当社の個人の株主や社債購入者の方々には、心理面でも当社のファンになっていただきたいと考えております。ですので、より一層、当社の状況や取組内容を深く知っていただけるよう、駅貼りポスターやパンフレット等で積極的な広報を行っています。今回のグリーンボンド発行でも、当社の環境への取組を知っていただくだけでなく、ご自身の資金が当社のグリーンプロジェクトに充当されることで、当社の環境に配慮した事業の推進及び環境改善に寄与しているという点をご理解・ご実感いただければ幸いです。 小田急電鉄として環境面での次の行き先は? 須永氏  小田急電鉄本体の車両の省エネへの取組は、技術革新が進めば進むだけ改善の余地があると思いますし、小田急グループの他の鉄道会社やバス会社などでも、二酸化炭素排出量の抑制を図れる余地があるかもしれません。また、運輸業以外でも、不動産業でのグリーンビルディング推進は、今後の大きなテーマになってくると思います。  電力の電源面でも、2014年から世田谷区の喜多見電車基地内と周辺施設に太陽光発電パネル(発電容量590kW)を設置し、固定価格買取制度(FIT)を活用した売電事業を開始しました。さらに、12ヶ所の駅にも太陽光発電パネルを設置し、鉄道施設での自家消費をしています。 石渡氏  今回のグリーンボンド発行は、当初こそ財務部から話を切り出しましたが、CSR・広報部との深い連携のもとで進めることができました。正直申し上げて、以前の財務部は環境プロジェクトに対する理解が不足していた面は否めません。ですが、今回のプロジェクトを機にCSR・広報部との距離感が一気に近くなりました。 須永氏  CSR・広報部でも、これまでステークホルダーに向けたESG情報の発信には課題を感じていました。今回、グリーンボンドの発行を通じて、当社の考えやアクションを多くのステークホルダーに知っていただく良い機会になったと感じています。

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private 【ASEAN】CBI、ASEAN地域のグリーンボンド・ローン報告書発表。過去累計は50億米ドル

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 グリーンボンド・ガイドライン策定の国際NGOの英CBI(気候債券イニシアチブ)は1月22日、ASEAN地域のグリーンファイナンス市場をまとめた2つのレポートを発表した。ASEANは世界で第6位の経済力を誇るが、経済成長の裏には、大気汚染、水質汚染、森林破壊等の環境コストの代償が高くついている。現在ASEAN地域では2016年から2030年までに合計3兆米ドル(約330兆円)が必要と試算されており、グリーンファイナンスの重要性が高まっている。  今回発表のレポートの1つ目は、「ASEAN Green Finance State of the market」。グリーンボンドとグリーンローンの双方を含め、広く「グリーンボンド」と定義し、発行額や発行体の状況を分析した。ASEAN10カ国の過去累計発行額は50億米ドル(約550億円)。国別最高は (more…)

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【中国】FTSE Russell、中国グリーンボンド対象のインデックス新設。オフショア人民元建て

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 インデックス開発世界大手英FTSE Russellは1月17日、中国のグリーンボンドを対象とした新たなインデックス・シリーズ「FTSE Chinese(Onshore CNY)Green Bond Index」を発表した。オフショア中国人民元建てのグリーンボンドラベルの付いた国債、公債、社債を対象とし、現在の構成銘柄は発行銘柄の約75%をカバーしている。  FTSE Russellは、中国債券を対象としてはインデックスを2011年に初めて設定。その後、中国でグリーンボンド市場が急成長し、世界第2位の発行額となったこと等を背景に、今回グリーンボンド・インデックスの設定を実施した。同社は、中国インデックス開発に近年力を入れている。  債券のバリュエーションは、トムソン・ロイターのファイナンシャル&リスク部門「Refinitiv」のデータを用いる。 【参照ページ】FTSE Russell launches Chinese Green Bond Index Series

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private 【国際】サステナブルボンド・ローンの2018年発行額は27兆円。BNEF発表

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 英エネルギーデータ大手ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は1月9日、2018年の世界全体でのサステナブル負債性商品の発行額分析結果を発表。2017年の1,960億米ドル(約21.3兆円)から2018年は2,470億米ドル(約26.8兆円)に伸長した。  今回集計対象の「サステナブル負債性商品(Sustainable Debt)」には、使途を環境目的に限定するグリーンボンド、使途を社会課題解決目的に限定するソーシャルボンド、グリーンボンドとソーシャルボンドの両方の性質を持つサステナビリティボンド、使途を (more…)

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【インタビュー】MUFGが国内初の外貨建て公募型グリーンボンド発行 〜欧州基準を意識したフレームワーク設計〜

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 グリーンボンド市場で、また新たな日本初が登場した。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は11月27日、日本初の国内外貨建て公募グリーンボンド発行を発表。12月7日には、発行条件を決定し、発行額は1億2,000万米ドル(約136億円)、年限10年、利率4.127% と発表した。今回のグリーンボンドは、邦銀がグリーンボンドを国内発行するという点でも初。また同社としても国内での外貨建て公募社債発行は今回が初となる。事務主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券。  MUFGが国内でグリーンボンド発行は初だが、すでに海外では3回発行実績がある。初回発行は、2016年9月の米国での5億米ドル発行。2回目が2018年1月の欧州での5億ユーロ発行。3回目が同10月の欧州での5億ユーロ発行。そして4回目が今回だが、今年だけでも3回発行したことになる。日本の銀行としての史上初は、2014年10月に日本政策投資銀行(DBJ)が2.5億ユーロを欧州市場で発行だが、最近はメガバンクによる発行が増えてきている。三井住友フィナンシャルグループは、三井住友銀行発行のものも含めて過去2回、みずほフィナンシャルグループと三井住友信託銀行は過去1回ずつ発行しており、MUFGは邦銀の中で発行回数及び発行額でも最多。累積発行回数ではDBJの4回に追いついた。  MUFGが今回、国内で、しかも外貨建てでグリーンボンドを発行した背景には何があったのか。MUFG財務企画部CFO室資本政策グループの山田潤世氏と小林亮祐氏に話を伺った。  今回のグリーンボンドの概要は? 小林亮祐氏  当社はこれまでアメリカやヨーロッパでグリーンボンドを過去3回発行してきましたが、今回のグリーンボンドは、当社にとって国内での初めての発行となり、また当社が国内で外貨建て公募債を発行する第1号案件となります。  調達資金の使途は、三菱UFJ銀行を通じてのグリーンビルディング及び再生可能エネルギー案件への融資です。過去3回のグリーンボンド発行のうち、最初の2回は使途を再生可能エネルギーとしていましたが、前回の3回目からグリーンビルディングも対象に加えました。  当社のグリーンボンド発行に際しては、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)及び環境省のグリーンボンド・ガイドラインに準拠した「MUFGグリーンボンド・フレームワーク」を策定しており、これに準ずる形で発行しています。  セカンドオピニオンは、Sustainalytics(サステイナリティクス)から取得し、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)及び環境省のグリーンボンド・ガイドラインに適合しているとの評価を獲得しています。 MUFGグリーンボンド・フレームワークの内容は? 小林氏  資金使途については、グリーンビルディングと再生可能エネルギーのそれぞれで適格要件の基準を設定しています。グリーンビルディングでは、LEED、BREEAM、CASBEE、DBJグリーンビルディング認証のそれぞれで上位2ランクまで取得している物件のみが対象となります。さらに、適格不動産の中でも、当社のグループ企業である三菱UFJリサーチ&コンサティングが、JCR(日本格付研究所)の協力を受け開発した独自のJ-REITのESG評価制度で上位3ランクである「S」から「B+」までの高い評価を得たものに優先的に資金を充当します。  再生可能エネルギーでは、セクター観点では、太陽光、太陽熱、風力のみを適格案件とし、地熱、水力、バイオマス等は対象としません。また、再生可能エネルギープロジェクトには赤道原則(エクエーター原則)に基づくカテゴリー分類を実施し、カテゴリーC(リスクがない)またはカテゴリーB(リスクが小さい)に分類されたもののみを対象とします。カテゴリーA(リスクが大きい)は対象としません。  これらの適格要件のチェックと使途選定は、グリーンビルディングでは融資主体となる三菱UFJ銀行のソリューションプロダクツ部不動産ファイナンスグループのREITチームが、再生可能エネルギーでは同じくソリューションプロダクツ部のプロジェクト環境室が実施し、最終的にMUFGが判断します。  発行後の毎年のレポーティングでは、資金充当状況レポーティングと、グリーンボンドによるインパクトレポーティングの双方を実施します。資金充当状況レポーティングでは、不動産タイプ別及びグリーンビルディング認証プログラム別での資金充当状況を報告します。再生可能エネルギーでは、再生可能エネルギー・セクター別と、アジア・オセアニア、北米・中南米等の地域別での報告を行います。  インパクトレポーティングでは、グリーンビルディングと再生可能エネルギー双方で、二酸化炭素排出量削減効果を測定し開示。加えて、再生可能エネルギーでは発電量も測定し、開示します。 欧州の機関投資家に耐えられるよう工夫した点は? 小林氏  当社が過去に欧州でグリーンボンドを発行した際に、私自身も欧州の投資家に説明に行きました。やはり細かい内容にまで関心を持っているという印象を受けました。例えば、グリーンボンドの使途。日本のグリーンビルディング認証であるCASBEEやDBJグリーンビルディング認証は、欧米の機関投資家にはあまり知られていません。ですので、まず認証そのものの内容や基準等を説明し、グリーンボンドの使途として適切であることを丁寧に伝えました。レポーティングについても、二酸化炭素排出量削減効果の算出方法に関する計算式一つ一つにまで説明が求められることもありました。幸い、当社はフレームワーク策定時にかなり拘りましたので、欧州の投資家からも理解が得られましたが、そうでないと質問に窮する発行体もあると思います。  そうしたこともあり、MUFGグリーンボンド・フレームワークは非常に高い基準を設定しています。例えば、グリーンビルディングでは、他の発行体では各認証基準の上位3ランクまでを対象としているところもありますが、当社では上位2ランクまでと、非常に高い基準を課しています。  またレポーティングでも、資金充当状況レポーティングでは、CFOによるマネジメント・アサーションを表明するとともに、サステイナリティクスによるコンプライアンスレビューも取得します。さらに、インパクトレポーティングも毎年開示しています。 今回、外貨建て国内債のグリーンボンドを発行するに至った背景は? 小林氏  まず当社は、金融庁から、国際的な大手金融機関に課す健全性基準「総損失吸収力(TLAC)」の適応企業に指定されています。同規制基準を満たすべくTLAC適格のシニア債の発行を2016年より行っており、その全てが外貨建てとなっています。その背景は、当社グループの外貨建てバランスシートの強化にあります。2018年9月末時点で、当社グループの外貨貸出金は3,620億米ドル。一方、外貨顧客性預金はその6~7割に止まります。残る不足分を通貨スワップや社債・借入金、有担保調達等で支えております。外貨建てシニア債はTLAC規制を満たすと同時に、外貨のバランスシートを支える安定性の高い外貨調達手段でもあることから、これまで発行の強化を進めてきました。そして更なる調達手段の拡充を目的とし、今回の外貨建て国内債の発行に至ったというわけです。  また、当社初の国内発行を実施した背景は別のところにもあります。現在、米中貿易摩擦の悪化懸念等によりグローバルに金融市場が不安定な動きをする中で、欧米の社債市場でも、社債発行を見送るケースも散見されています。このような難しい局面でも起債を成功させるため、当社のクレジットをより高く評価して頂ける日本国内での発行は安定的に保有頂ける投資化層を増やす重要なオプションとなります。また、更に同社債をグリーンボンドとすることで、そうした安定的な投資家層をより多様化させることを狙いました。 山田潤世氏  海外発行との違いという点では、国内発行のほうが柔軟性が高いという観点もあります。例えば、発行手続きは全て日本語で可能ですし、各業務・事務についても時差を気にする必要もありません。金融市場が不安定で起債に厳しい局面では、国内発行による高い機動性が活きてきます。今回、当社が無事に起債できたことは、その点でとても大きいと思います。 国内外貨建て発行の特徴は? 小林氏  国内での円建て発行と外貨建て発行の大きな違いは、外貨建て決済では、ほふり(証券保管振替機構)でのDVP決済(証券の引渡しと代金の支払いを同時に行うことを条件づけた決済)がシステム化されていないため、購入者となる投資家に通常とは異なる決済フローをお願いしなければならない点です。そのため、国内での外貨建て発行ではこれまで私募債が中心でした。  今回当社としても初の国内外貨建て公募債の発行となりましたが、国内の投資家からも外貨建て債に対する高い需要が確認できました。また、市場全体でも、国内外貨建て公募債の発行は、野村総合研究所が2018年に史上初の発行をして以降、静岡県、そして当社が3番目の発行となります。今後は、当社としても国内での外貨建て公募債や国内での外貨建てグリーンボンド発行をリードしていきたいと思っています。 資金使途の一つである再生可能エネルギー市場をどのように見ていますか? 小林氏  当社では以前から再生可能エネルギー向け融資を積極的に実施しており、プロジェクトファイナンス等のアレンジ額でも世界トップです(図1)。リーマン・ショック後等に海外の大手銀行が再生可能エネルギーへの融資を少し控えた際に、その需要をうまく取り込む形で当社の融資額も伸びてきました。融資残高でも、過去4年間で年率平均9.1%で伸びています。  地域別では、北米・中南米が56%と多く、欧州・中近東が23%、アジア・オセアニアが21%。アジア・オセアニアのうち10%〜13%程度が日本国内のものです。セクター別では、風力が64%と多く、太陽光・太陽熱が31%。尚、バイオマス・水力・地熱の融資実績はありますが、グリーンボンドの資金使途とはしていません。  今後も特に海外では再生可能エネルギー市場は大きく成長していくと見ています。 図1 (出所)MUFG MUFGが石炭火力発電へのファイナンスを続けていることに否定的な見方もあります 小林氏  気候変動に対する関心の高まりの中、石炭火力発電についても厳しい見方が出てきていることは非常に理解しています。そのため、今年7月から適用を開始したMUFG環境・社会ポリシーフレームワークでは、石炭火力発電セクターはファイナンスに際して特に留意する事業と位置づけました。特に高効率ではない石炭火力発電方式については、原則ファイナンスしない方針としています。また高効率の案件でも、事業理由を確認しています。  海外の金融機関では石炭火力発電セクターへのファイナンスを一律禁止する「Flattery No」 の方針を定めているとこもありますが、総合的な判断のもと、当社では「Flattery No」とはしていません。  過去欧州でグリーンボンドを発行した際、石炭火力発電へのファイナンスについて欧米の投資家から指摘を受けたことも確かにありましたし、それを理由に当社のグリーンボンドを購入できないと言われた投資家も僅かにいました。ただ、だいたいの欧州の投資家には購入いただけましたので、ある程度はご理解をいただけたと思っています。 グリーンボンド発行の追加コストをどのように受け止めていますか? 小林氏  グリーンボンド発行では、セカンドオピニオンの取得コストだけでなく、当社のみならず主幹事証券会社のリソースも相応に必要となりますので、確かに追加コストはあります。しかし、それ以上のメリットを感じています。 山田氏  まず、足許の金融市場のように社債発行が厳しい環境下でも、グリーンボンドには旺盛な需要がありますので、社債の発行のそのものに大きなサポート材料となります。また、欧州にはグリーンボンドを専門とする“グリーン投資家”と言われる投資家も多く、彼らの旺盛な需要に対し、発行が追いついていない状況です。この様な環境下、グリーン投資家需要を取り込むことで発行価格を抑制出来るグリーニアム(greenium)の享受が可能と言われています。例えば数百億円規模の起債を行う際、利率を0.01%抑えられただけでも数千万の発行コスト削減効果があります。これだけでもグリーンボンドに関わる追加コストを十分回収できます。今回の発行時にも、実際に利率をタイトに抑えることができたと感じています。日本のグリーンボンドはまだまだ発展途上ですが、今後は欧州と同じような状態になっていくと見ています。 小林氏  さらに、グリーンボンド発行を機に、当社グループでも新たな事業領域が生まれてきています。三菱UFJ銀行では、グリーンビルディングや再生可能エネルギーへの融資という事業が成長してきましたし、さきほど紹介したように、三菱UFJリサーチ&コンサティングでは、J-REITのESG評価サービスも誕生しました。  初回発行時のコストと、2回目以降のコストでは、初回のフレームワーク作りをどこまできっちりやるかで、2回目以降のコストが変わってくると思います。当社では、初回発行時にフレームワーク作りハードル高く行い、IRも非常に丁寧に実施いましたので、2回目以降は非常にスムーズにいきました。

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【中国】米州開銀とCBI、グリーンパンダ債発行ハンドブック発行。中国でのグリーンボンド発行を推進

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 米州開発銀行(IDB)と気候債券イニシアチブ(CBI)は11月30日、中国人民銀行と共同で上海で開催したイベントの中で、「グリーンパンダ債・ハンドブック」を発表した。中国国外の発行体が中国でのグリーンボンドを発行することを促進するため、市場現況や現地規制等を整理した。  パンダ債は、中国国外の発行体が中国で人民元建てで発行する債券の通称。パンダ債型のグリーンボンドを指して、グリーンパンダ債と呼称している。中国ではグリーンボンド発行が活発化しており、過去の累計発行額は609億米ドル(約7兆円)で米国に次ぎ、世界第2位。しかし中国でのグリーンボンド発行は、中国国内の発行体がほぼ全体を占めており、パンダ債型のグリーンボンド発行は非常に少ない。そこで今回、発行ハンドブックを作成した。  同ハンドブックは、社債発行、債券上場、債券の約定や受け渡し等に関する中国の規制を整理。またグリーンパンダ債発行における要求事項等もまとめた。後半では、発行ステップのフロー図も掲載している。 【参照ページ】Shanghai Launch – Green Panda Bond Handbook: IDB & CBI event with People’s Bank of China (PBoC) 【ハンドブック】Green Panda Bond Handbook

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【国際】CBI、グリーンボンド分野の気候変動適応原則策定でハイレベル諮問委員会発足

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 グリーンボンド・ガイドライン策定の国際NGOの英CBI(気候債券イニシアチブ)は11月22日、気候変動適応に関する新たなハイレベル諮問委員会「Adaptation and Resilience Expert Group(AREG)」を発足した。国際機関や環境等から33人が任命。気候変動に強靭なアセットや債券に関する原則を策定する。  気候変動による影響が強まる中、気候変動緩和だけでなく、気候変動適用にも大きな関心が集まってきている。今回の諮問委員会は、科学的根拠に基づき気候変動に適応できるグリーンボンドや債券型投資に関する検討を進める。CBIはすでに各グリーンボンド資金使途に関する基準を作る専門委員会を設けているが、今回の諮問委員会は、各使途基準に横断的に適応する適応原則を策定する。Climate Resilience ConsultingのJoyce Coffee CEOが委員長を務める。 AREGメンバー Joyce Coffee(Climate Resilience Consulting) Puja Sawhney(EU Switch: Asia SCP Facility) Alfredo Redondo(C40 Cities Climate) Neuni Farhad(C40 Cities Climate) Karoline Hallmeyer(Climate Policy Initiative) Federico Mazza(Climate Policy Initiative) Craig Davies(欧州復興開発銀行:EBRD) Carel Cronenberg(欧州復興開発銀行:EBRD) Cinzia Losenno(欧州投資銀行:EIB) Emilie Mazzacurati(Four Twenty Seven) (Josh Sawislak(Four Twenty Seven) Carmen L. Lacambra(Grupo Laera) Nathaniel Matthews(Global Resilience Partnership) Swenja Surminski(Grantham Research Institute) Celeste Connors(Hawaii Green Growth) Vladimir Stenek(国際金融公社:IFC) Jane McDonald(IISD) Jo-Ellen Perry(IISD) Reinhard Mechler(IIASA) Jay Koh(Lightsmith Group) Patrick Regan(ND-GAIN) Aris Papadopoulos(Resilence Action Fund) Kevin Bush(米コロンビア特別区) Miroslav Petkov(S&Pグローバル) Richard J.T. Klein(Stockholm Environment Institute) Peter Wheeler(TNC:The Nature Conservancy) Jenty Kirsch-Wood(国連開発計画:UNDP) Michael Cote(Winrock International) Carlos Sanchez(ウイリス・タワーズワトソン) Stephane Hallegatte(世界銀行:WB) Moushumi Chaudhury(世界資源研究所:WRI) Niranjali Amerasinghe(世界資源研究所:WRI) Karl Mellon(XDI) 【参照ページ】Climate Bonds Launches Adaptation and Resilience Expert Group (AREG) – New Stage in Standards Development

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