【エネルギー】日本の発電力の供給量割合[2018年版](火力・水力・原子力・風力・地熱・太陽光等)

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 ここ数年、世界のエネルギーや発電に関する状況は様変わりしました。まず、東日本大震災を機に、日本でも世界でも原子力発電に関する否定的な考え方が強くなりました。また、アメリカでのシェール革命により天然ガスや石油の価格が急落。化石燃料の輸出入ルートも大きく変化しました。その中で、日本のエネルギー・電力の供給量割合がどのように変化したのか、紹介していきます。 日本のエネルギー・発電の供給量割合 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  こちらは経済産業省エネルギー庁が発表している「2018年度エネルギー白書」のデータです。この表は、日本の発電事業者全体での、石油、石炭、天然ガス、原子力、水力、再生可能エネルギー(風力、地熱、太陽光など)別の電源割合を示したものです。統計対象については、昨年度のエネルギー白書までは、旧一般電気事業者、すなわち「電力会社」10社(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)のみが集計対象(「電源開発の概要」「電力供給計画の概要」)でしたが、今年度からは、製鉄や重工業メーカーや再生可能エネルギー発電事業者が主な主体となる独立系発電事業者(IPP)を含む発電事業者全体を集計対象(「総合エネルギー統計」)とする大きな変更がありました。それに伴い、2010年移行のデータも新手法により再計算されました。  この推移から、日本の発電の歴史が垣間見られます。発電の主要電源は、1965年頃までは水力、1973年の第一次オイルショックまでは石油、そしてその後は石油に変わって石炭とLNG、そして原子力が担っていきます。2011年の東日本大震災以降は、原子力発電の割合がほぼゼロにまで減り、その減少分の大半をLNGがカバーしています。  2016年時点で、割合が最も大きなものがLNGで42.1%、その他、石炭と石油を合わせた火力発電で、実に83.8%を占めています。火力発電の割合は2009年当時は61.7%でした。この急速な火力発電依存の背景には、ご存知の通り原子力発電所の稼働停止があります。  歴史の長い水力発電は一般水力と揚水発電を合わせて7.6%。揚水発電とは何かは後ほど説明します。一方、期待されている再生可能エネルギーは6.9%。こちらも2009年当時は1.1%でしが、電力固定価格買取(FIT)制度の導入により5.8%伸びました。  発電総量が2010年以降減少していることも、興味深いポイントです。東日本大震災から約4年経ち、市民の生活にはほぼ節電の印象はなくなりましたが、実際には電力会社の発電総量は当時には戻っていません。日本が発電量を減らしながら持ちこたえている背景には、企業による節電努力があると言えそうです。また、2015年末の気候変動枠組み条約パリ条約で化石燃料、とりわけ石炭火力発電からの脱却が世界的なトレンドとなる中、日本では石炭火力発電の割合が2012年の31.0%から2016年の32.3%へと増加したことにも注目です。 各電力源の状況 水力発電(一般水力・揚水水力)  上記のグラフからの分かるように、1960年代まで水力発電が日本の主要電源でしたが、1975年に落差日本最大の黒部ダムが完成した頃からほぼ変化していません。水力発電は、維持コストが低く、CO2排出のない自然エネルギーである反面、ダム建設時の莫大なコストと水没による社会・環境コストが大きく、世界的な統計でも水力発電は、再生可能エネルギーとして扱われるケースと扱われないケースがあり、意見が分かれています。日本で水力発電が伸長しなかった背景には、1990年代以降の公共事業の見直し、2001年に当時の田中康夫・長野県知事が掲げた「脱ダム宣言」があり、大規模工事となるダム建設に社会全体が慎重になっていくという状況の変化がありました。  また、2015年には揚水式水力発電が0.7%を担っています。こちらも水力発電ですが、少し特殊な発電方式です。揚水式発電とは、電力需要の少ない夜間に電気を使ってポンプを動かし水を高地に引揚げ、電力需要の多い昼間に、その水を使って水力発電を行うというものです。電力を使って発電をするという方式のため発電総量を増やすことには寄与しませんが、昼間の最大電力量を増やす需給バランス調整機能として活用されています。  昨今では、再生可能エネルギー型の水力として「中小水力発電」にも注目が集まっています。こちらは巨大なダム施設を建設するのではなく、河川の自然の急流を利用して発電を行う中型・小型のタイプです。中小水力発電は、一般的な水力発電が持つ巨大な初期投資や水没というデメリットがないのですが、規模が小さいため、発電量そのものが小さくなってしまったり、河川の生態系へも悪影響を与えるという懸念もあり、日本ではほとんど建設されていません。 石油等  日本の火力発電は当初は石油が主要燃料でした。その背景には、中東からの石油販路の確保がありました。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  こちらは1960年から2016年まで長期に渡る日本の原油輸入量の推移です。1960年から1973年にかけて、急速に原油の輸入量が増加していったことがわかります。当時の日本は高度経済成長期。日本の電力及びガソリン需要の増加していました。そしてその電力需要を賄うために、発電所建設コストの低い火力発電所の建設ラッシュが起き、その燃料として原油が用いられていました。  しかし、1973年から原油の輸入量は減少に転じます。第一次石油ショックです。発電を原油だけに依存することのリスク認識が高まっていきます。また、同時にマイカー時代の到来を支えるため、原油をガソリンに回す必要も出てきました。そんな環境下で、1975年、第3回国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会が開催され、「石炭利用拡大に関するIEA宣言」が採択、石油火力発電所の新設禁止が盛りこまれました。その後も日本では、既存の石油火力発電所を石炭またはLNG火力発電へ転換することが促進されていきました。結果、火力発電の主役は、石炭やLNGに変わっていきました。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  東日本大震災まで石油での火力発電は減少の一途を辿ります。2012年からは増加に転じましたが、それ以上に石炭・LNGでの発電量は増えています。今でも火力発電と石油を結びつけて考えられることが多いですが、発電における石油の割合は大きくはありません。もちろん、原油はガソリンという貴重なエネルギー源でもありますので、エネルギー全体にとって重要性が低いわけでは決してありません。原油の輸入元も、過去しばらくは中東依存度を下げるためインドネシアからの輸入が増加していましたが、インドネシアの経済発展に伴い原油が輸出に回せなくなった結果、中東依存度は90%近くにまで戻っています。最近はイランからの原油輸入も減る一方、ロシアからの輸入が増えています。 (出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会「エネルギー基本計画の要点とエネルギーを巡る情勢について」  原油価格のトレンドはこの数年で急速に変化しています。リーマンショックの2009年頃から原油価格は急速に高騰していきましたが、2014年秋から反落、今は2005年頃の水準に回帰しています。背景には、シェールガスやシェールオイルにより米国を始め世界中で化石燃料供給量が一気に増え、それに対し従来は価格調整機能を果たしていたOPECが対抗するために原油産出量を減らさない方針を発表したことがありました。その結果、石油火力発電のコストは減少していますし、この価格トレンドはこれからお話する、天然ガスや石炭の価格にも大きな影響を与えています。 石炭 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  こちらのグラフは日本の石炭の国内生産量と輸入量の推移を示しています。今ではほぼ100%が輸入石炭となりましたが、かつて日本は石炭大国でした。明治時代から日本では機関車や工場の燃料、製鉄業の原料として石炭を大量に生産していました。中学校の教科書に出てきた福岡県の筑豊炭田、三井三池炭鉱、映画「フラガール」の舞台となった福島県の常磐炭田、世界遺産となった長崎県の軍艦島を始め、日本には北海道・福島県・山口県・九州北部を中心に800近くの生産量の豊富の炭鉱がありました。ところが戦後、液体で輸送利便性が高くさらに熱変換効率も高い石油と、安価な海外石炭に押され、国内石炭は競争力を失いました。その後、炭鉱の閉山が相次ぎ、現在、釧路炭田が国内唯一の坑内掘り炭鉱です。  一方、第一次石油ショック以降、火力発電の主役となった石炭は輸入量を急速に増やしていきます。石炭は石油に比べて地理的分布が偏在していないのが特長で、日本の一般炭の輸入元は、オーストラリアが76.5%、インドネシアが10.8%で、二カ国合計で全体の87.3%を占めています。日本は数年前まで世界一の石炭輸入国として君臨し続けていましたが、ついに中国が日本を抜き、現在世界一の石炭輸入国となりました。中国は少し前では世界有数の石炭輸出国だったのですが、国内の石炭需要が急増し、輸入国となったのです。同様にインドも近年石炭輸入を大幅に増やしており、2014年に日本を抜き世界第二位の石炭輸入国となりました。世界最大の石炭輸出国であるインドネシアにも変化の兆しが見られます。2014年6月に、ロイター通信が、「世界最大の一般炭輸出国インドネシアが生産抑制と輸出管理強化に向けた新たな規制を検討していることが6日、政府関係者の話で分かった」と報じました。インドネシアも国内の石炭需要が増えていることで、石炭輸出を控えようと言うのです。このように、石炭の需給は逼迫してきています。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  輸入石炭の価格は、石油や天然ガスと比べ遥かに安いですが、それでも近年じわじわと上昇してきており、昨今の石油・天然ガスの価格下落に比して、石炭価格はそこまで下落していません。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  石炭の今後を見ていく上で、やはり注目は中国の動向です。 (出所)IEA "Key World Energy Statistics 2017"  実は中国は世界でダントツナンバーワンの石炭生産国です。その生産量32.4億トンで、2位インドの7億トンの約4.5倍です。その旺盛な石炭需要は国内の石炭だけでは賄い切れず、2010年には輸出国から純輸入国に転じました。2013年には世界最大の石炭輸入国となり、2014年の中国の石炭輸入量は3位日本の1.5倍の量まで増えましたが、2015年には大気汚染や気候変動の問題から中央政府が石炭への依存度を低減する政策に乗り出し、輸入量は日本と同等まで減少。しかしその後輸入は増え2016年には再び日本の1.3倍ほどに上がりました。 (出所)IEA  中国が膨大な石炭を必要としている背景には、石炭を用いた火力発電の伸長があります。中国は現在、再生可能エネルギーや原子力発電の建設を推し進めていますが、火力発電、特に石炭火力にかなり依存しています。石炭は石油や天然ガスと比しても世界での埋蔵量が多く、今後も安定的なエネルギー源として用いられていく見込みですが、需給が逼迫すれば当然価格は高騰します。また、石炭は他のエネルギー源に比べ、燃焼による窒素加工物含有量や硫黄加工物含有量が多く、後処理をしなければ深刻な大気汚染を引き起こします。環境対策も今後の大きな課題です。大気汚染問題を重く見た中国は、エネルギー消費量全体は伸ばしつつも、石炭の消費量は2014年以降は減少に転じています。 天然ガス (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  ガスと言うと、お風呂やガスコンロで用いられるガスのことを想像するかもしれません。確かにガスという燃料はそのまま家庭用や産業用に「ガス」という状態のままで使用されています。ところが、実際の日本での消費量を見てみると、都市ガスとして使われているのは全体の30%弱にすぎず、ほとんどのガス燃料は、火力発電のための燃料して使われています。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  天然ガスには、ガス採掘所から気体のままパイプラインを通して流通させるものと、一度冷却し液体状態にしたLNG(液化天然ガス)の2種類があります。ヨーロッパや米国では一般的に天然ガスはパイプラインで輸送されています。日本でも国内で採掘させる天然ガスはパイプラインで輸送されています。しかし国内天然ガスの採掘量は非常に少なく、日本は海外からの輸入天然ガスに頼っています。日本が輸入している多くの天然ガス産地は日本から離れており、LNGの形でタンカーに載って国内に入ってきています。  冒頭で紹介したように、日本は現在電力の44.0%を天然ガスで調達しています。では、その天然ガスはどこから輸入しているのでしょうか。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  過去の推移を眺めると、日本の電力会社や商社は、天然ガス調達のために次々と輸入元を開拓してきたことがわかります。特に、2000年代に入ってから依存度の高かったインドネシアからの輸入量が減少したこと、そして東日本大震災以後の原子力発電所の稼働停止に伴い、マレーシア、オーストラリア、カタール、赤道ギニアからの輸入量が増えています。また、近年、「サハリンⅡプロジェクト」等の進展によりロシアからのLNG輸入も始まっています。一方、米国からの天然ガス輸入が少ないことに疑問を持つ方もいるかもしれません。確かに米国では昨今シェールガス開発が急伸しています。米国から日本へのシェールガス輸入は2017年1月から始まりました。 (出所)CSIS  さて、ガスの価格はどうでしょうか。こちらは世界の主要市場である米国、ドイツ、英国、日本を比較したものです。この3本の線はそれぞれ違う動きを見せています。まず日本。東日本大震災後価格が急騰しているのがわかります。通常天然ガスは安定的な輸入供給を実現するため長期契約で価格を取り決めています。そして長期調達で融通しきれない場合は、スポットで取引されているものを買うことになります。日本は震災後、一気に購入量を増やしたためスポット市場でも取引を行い、需給バランスが売り手優位に動いた結果、価格が高騰しました。  一方、米国ではシェールガス革命が始まったおかげでリーマンショックからの経済回復後も価格は低位へと推移しました。また、欧州では安全保障リスクの観点からロシアからの天然ガス購入を控え、中東からの石油・天然ガス輸入を強化した結果、価格は下がってきています。日本でも2014年以降は、世界的なガス価格の低下の流れや、ガス供給者との価格交渉等により価格が下がってきています。 (出所)EIA  今後の注目はやはり米国でのシェールガス採掘の動きです。2015年時点での予測では、今後米国でのガスは大半がシェールガスとなっていく見込みで、全体のガス生産量も急増していくと言います。2014年後半のガス価格の下落以降、シェールガス開発の動きも少し緩慢になってきているといいますが、米国の潜在的なシェールガス産出規模は巨大です。膨大なガスが市場に出てきますし、2017年からは日本にも米国からのガス輸入が開始され、日本のガス輸入価格も下落していきています。また、日本政府やエネルギー各社、商社は協力して新たな天然ガスの調達先を開拓しています。米国では、中部電力・大阪ガスがフリーポートLNGプロジェクトに、住友商事がコーヴポイントLNGプロジェクトに、東芝がフリーポート(拡張)LNGプロジェクトに、三菱商事・三井物産がキャメロンLNGプロジェクトに関与しています。カナダでは、三菱商事がLNGカナダプロジェクトに、石油資源開発がパシフィック・ノースウエストLNGプロジェクトに、出光興産がトリトンLNGプロジェクトに、国際石油開発帝石がオーロラLNGプロジェクトに関与しています。オーストラリアでは北部準州のイクシスLNGプロジェクトに、国際石油開発帝石が関与しています。インドネシアでは、東部のアラフラ海海上のガス田開発プロジェクトに国際石油開発帝石が関与しています。 原子力発電  東日本大震災後に原子力発電所が全て稼働停止となりましたが、その後も2013年まで少量ながら原子力発電量が存在している理由は、関西電力の福井県大飯発電所の原子力発電所が一時的に再稼働されていたためです。もともと原子力発電は、日本の高度経済成長期に膨れ上がる電力需要を賄うため政府主導で進められてきました。1955年12月原子力基本法が成立し原子力利用の大枠が決定、1957年には原子力発電を行う事業者として日本原子力発電が発足します。1963年に日本初の原子力発電に成功し、1966年には日本初の原子力発電所・東海発電所が完成し、商用の営業運転を開始しました。「省資源・二酸化炭素排出量ゼロ・エネルギー安全保障の確立」という夢の技術として期待された原子力発電は、2011年の東日本大震災で社会の捉え方が大きく変化しました。その後全ての原子力発電所は全て活動を停止しましたが、2015年8月に九州電力の川内原子力発電所が運転を再開、2016年2月に関西電力の高浜原子力発電所が運転を再開しました。しかし同3月大津地方裁判所の仮処分を決定、高浜原子力発電所は運転を再び停止しました。 (出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会「参考資料(事務局提出資料)」  原子力発電の魅力的な点は発電コストの低さです。現在日本政府の検討会議で使われている比較データでも、原子力発電は最も発電コストの低い手法の一つとして扱われています。しかしこの発電コストの低さを強調する議論に対し、「原発事故が起こった場合の対策費用や社会的損失費用などがしっかり考慮されていない」という、原子力の発電コストの計算方法に異議を唱える人々も少なくありません。日本政府は2015年1月30日、経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の下に「発電コスト検証ワーキンググループ」を設置し、最新のエネルギー市場を踏まえて再度エネルギーコストを試算することとしています。 (出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会「参考資料(事務局提出資料)」  また、日本政府が原子力発電を推進したいもう一つの要因は、日本の原子力発電産業の振興です。かつて原子力発電の将来の国内の主要電源として位置づけてきた日本は、原子力技術は言わば長期にわたって官民で投資してきた分野。これを海外に輸出することを産業振興の一つの柱としてきました。世界の主要原子力プラントメーカーは再編が進み、現在は3つのグループに分かれています。1つが三菱・アレバグループ、2つ目が東芝・ウエスチングハウスグループ、そして日立・GEグループで、いずれにも日の丸電機メーカーが入っています。しかしながら、東日本大震災以後、日本国内での原子力に対する期待が大きく下がる中、韓国・中国・ロシアの新興原子力プラントメーカーが台頭してきており、日本の産業界からは危機感が募っています。 (出所)日本原燃  原子力発電にはメルトダウンなどのリスク以外にも、放射性廃棄物の再処理・中間貯蔵・最終処分の問題があります。そのためもあり、日本政府が2014年4月に閣議決定した新しい「エネルギー計画」では、「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。」という方針が決まりました。しかしながら、全面廃止するという意味合いではなく、発電コストを下げるためにも、目下のところ経済産業省は原子力発電の再稼働に躍起になっています。 再生可能エネルギー(新エネルギー)  最後に、「未来のエネルギー」と呼ばれてきた再生可能エネルギーの状況を見ていきましょう。再生可能エネルギーと一言で言っても実は定義は曖昧です。経済産業省は、再生可能エネルギーと新エネルギーの用語を使い分けており、再生可能エネルギーは広義で、太陽光発電(PV)、太陽熱発電(CSP)、風力発電、地熱発電、潮力発電、バイオマス発電、水力発電などを全て含みます。一方で新エネルギーは、再生可能エネルギーから大規模水力発電、フラッシュ方式地熱発電、空気熱発電、地中熱発電を除いたものを指します。ですが、実態としては専門家の間でも定義は今でも揺り動いていますし、外国にいけばなおさら定義は異なります。  日本の2014年の電力事業者が行っている発電のうち、新エネルギーが占める割合は3.2%。震災前の2009年には1.1%でしたので多少は増えましたが、それでも微々たる数値です。期待されても期待されてもなかなか日本で導入が進んでこなかった理由はコスト面です。原子力発電所のコーナーでご紹介したように、再生可能エネルギーのコストは比較的高いと計算されているのです。しかしながら、近年諸外国では再生可能エネルギーは積極的に導入されてきており、技術革新が進展。結果として、コストはどんどん下がってきています。 (出所)IRENA  こちらは国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が発表したデータです。再生可能エネルギーの発電コストについて、2010年と2017年を比べたものですが、特に太陽光(PV)、太陽熱(CSP)でコストが大きく下がり、風力もコストが低減していることが見て取れます。背景には、太陽光発電パネルメーカーも風力発電機メーカーもグローバル規模で熾烈な企業競争があります。とりわけ、中国やインドなどの新興国メーカーの台頭が目覚ましく、それらが発電コストをどんどん押し下げてくれています。日本政府も、固定価格買取制度を2012年に本格開始しました。その後、電力事業者各社から送電網の不安定さを理由に電力買取を拒否する動きも出てきましたが、経済産業省は送電網強化指導に乗り出しています。  再生可能エネルギーのシェア目標については、低く設定されたままです。2010年6月に改訂された日本政府の「第3次エネルギー基本計画」では、原子力発電と再生可能エネルギー(水力含む)の比率を、2020年までに50%、2030年までに70%とする計画を打ち上げました。さらに、その中で、再生可能エネルギーが占める割合を、2020年までに全体の10%に達するという計画も含まれました。しかし、東日本大震災によって計画は方向性を失い、2018年7月の「第5次エネルギー計画」では、2030年目標として水力と再生可能エネルギーで22%から24%、原子力を20%から22%としています。  では、再生可能エネルギーはやはり期待できない電力源なのでしょうか。世界に目を向けるとそうとも言えません。世界各国の電力統計をまとめている国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2015年時点で世界主要国は再生可能エネルギーを重点的に強化しています。定義が異なるため、こちらの統計では日本の発電における再生可能エネルギー割合は8.2%(バイオマス発電が3.3%で牽引)です。この数値で比較していきましょう。ドイツはそれぞれ27.1%、同じ島国英国は23.8%、デンマークはなんと68.0%です。また、各国では2018年までの間にさらに再生可能エネルギー投資を活発化させており、年々この差は開いていきそうです。 電力の行方  電力問題の課題には基本的に2つの大きなテーマがあります。 ピーク電力需要の削減(ピークシフト・ピークカット) 電力コストの削減(再生可能エネルギーの技術革新)  ピーク電力需要の削減とは、1年や1日の中で最も電気を必要とする時間帯の電気使用量を減らすということです。電気は1日中満遍なく使われているわけではありません。基本的には夏の昼間が最も電力需要が大きく、春秋の夜は電力需要が著しく低下します。すなわち1日をかけて電力消費量を減らす必要はなく、ピーク時の電力需要を削減できれば発電容量を大きくする必要がなくなるというわけです。そこでピークシフトとピークカットという考え方が出てきます。ピークシフトとはピーク時に節電しピーク時でないとき電気を使うという電力需要の差を平準化する試みです。その方策としては、ピークでないときに蓄電してピーク時に使用するという供給側の対策と、電気料金を時間帯ごとに変えピーク時に高くそれ以外に安くすることで利用者のピーク時以外利用を促すという需要側の対策の2つが大きく検討されています。ピークカットとは節電技術を開発・導入して常時電力を下げるという方法と、ピーク時に活用できる太陽光発電などを利用してピーク時の商用発電量を減らすという方法があります。  一方で、電力コスト削減の突破口は技術革新です。特に上述したように再生可能エネルギーのコストは年々大きく低下しており、これは全て開発している研究者やエンジニア、企業や研究機関の努力によるものです。当サイトでも、太陽光、洋上風力、バイオマスの技術革新の様子をご紹介しています。この分野の技術革新には海外ではESG投資として年々多くの資金が投じられており、ますますテクノロジーの進化は進んでいきそうです。従事する企業にとっては国際競争がより激化していくことも意味しています。事業会社にとってもエネルギーの安定供給を実現していくことは企業のサステナビリティを高めることにも繋がり、アメリカのIT業界では再生可能エネルギーでの発電を自社で推進しています(参考:【IT】Greenpeaceの巨大な影響力 〜Amazon, Appleがクリーンエネルギー推進へ転換〜)。エネルギーの分野はこれからますます多くの企業の関心と協力を必要としていきます。

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【エネルギー】世界の風力発電導入量と市場環境 〜2017年の概況〜

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風力発電は再生可能エネルギーの中で最大規模  大きな風車が象徴的な風力発電。風力発電は気象現象として気圧差から発する風力を、風車で捉えてタービンを回し、その動力エネルギーを電力エネルギーに変える発電手法です。従来の化石燃料エネルギー型発電と比べ、二酸化炭素の排出量が著しく小さく、気候変動を抑制する効果が大きいと言われていまう。 (出所)IEAのデータをもとに、ニューラル作成  一般的に再生可能エネルギーには、太陽光発電、太陽熱発電、風力発電、地熱発電、潮力発電、バイオマス発電、廃棄物発電の7種類がありますが、過去の導入量実績は大きく異なります。再生可能エネルギーの中で最大規模の発電量を誇るのは風力発電。2015年の世界全体での風力発電電力量は年間84万GWh、世界の年間総発電量の3.4%を占めています。また、再生可能エネルギー発電量全体を分母とすると、約半数の49%を占めています。風力発電の特徴のひとつに海上での発電が可能だというものがあります。そのため、洋上風力発電は、世界の広大な海を発電所に変えることができるため、候補地となる面積が広大。風力発電は、今後、再生可能エネルギーの中で最も伸びる分野だとも言われています。 風力発電の増加率は過去20%以上を超え、今後も増加傾向は続く (出所)GWECのデータをもとに、ニューラル作成  世界の風力発電に関する統計は、世界風力エネルギー会議(GWEC)がデータを集めています。GWECの報告書によると、風力発電の設備容量は、2001年から平均20%以上の年間成長率で増加してきました。また今後も2020年まで約13%の成長率で伸びるという予測も立てています。風力発電設備が20%成長を続けているということは、産業としても20%伸びているということです。つまり、風力発電の設備メーカー、建設事業者も同様に業績が拡大し、雇用も創出されています。 中国が世界を牽引 (出所)GWECのデータをもとに、ニューラル作成  世界の風力発電を牽引しているのは中国です。風力発電の歴史を辿ると、2000年前後から米国、ドイツ、スペイン、デンマークの4カ国がリードしてきました。特にドイツ、スペイン、デンマークは環境政策の一環として再生可能エネルギーに注力、風力発電の建設が急速に進みました。2005年からはそれに加え、英国、イタリア、フランス、ポルトガル、スウェーデン、オランダといった他のEU諸国も追随。またこの頃から経済発展に応じて急速に電力需要が増加した中国とインドでも導入量が増えていきます。  日本は2004年時はイギリスに次ぐ世界8位の風力発電国でした。しかし、その後は新規導入量が停滞。2017年時点では世界19位に転落しています。現状の速度だと、急速に追い上げているアイルランド、ルーマニアにすぐに抜かれそうです。  今日、風力発電はEU諸国と北米、そして世界の人口大国である中国、インドが牽引しています。また、ブラジル、トルコ、ポーランド、南アフリカ等の新興国も積極的に風力発電を伸ばしています。 欧州では風力発電が広く浸透 (出所:GWEC、IEAのデータをもとに、ニューラル作成)  これまで風力発電の中心地域は欧州でしたが、2015年に中国がEU28カ国全体の風力発電設備容量を超え、世界のリーダーとなりました。2017年では、中国は、世界の全ての風力発電容量の3分の1以上を有しています。IEAによる2015年の風力発電割合は中国は3.2%。EUの9.3%には及びませんが、日本の0.5%より遥かに高い水準です。同じく風力発電導入量が増えているインドは、2015年にスペインを抜き世界第4位となりました。  洋上風力の分野では、世界の9割以上の設備はEU諸国に偏在しています。特に英国が牽引しており、英国だけで世界の4割弱を占めています。また、英国の風力発電設備容量に占める洋上風力の割合も36%と高く、洋上風力に注力している様子が見て取れます。初期に風力発電を牽引したデンマークでは、昨今は伸びが低下しているように思えますが、すでに風力発電だけで国の発電総量の48.8%を占めていると言われれば納得がいきます。デンマークの洋上風力割合も23.2%と高く、洋上風力を推進しています。英国とデンマークにドイツを足した3ヶ国の洋上風力世界シェアは約70%、洋上風力は北海・バルト海に集中しています。米国でも洋上風力発電所第1号が誕生し、今後の動向が期待されています。 世界の風力発電メーカーの顔ぶれ  風力発電と太陽光発電の違いは、機器の構造にもあります。太陽光発電は太陽光パネルとバッテリー、それを支えるフレームという非常にシンプルな構造をしているのに対し、大型化が進む風車設備は、電気機器、制御装置、駆動部、ブレードなどが凝縮された電気工学・機械工学の結晶。大型風車一基あたりの部品は1万点近くにものぼり、自動車産業にも匹敵すると言われています。そのため、風力発電産業は産業としても大規模となり、多数の雇用を生むと言われています。 (出所)Wind Power Monthly、2016年の数値 (出所)Wind Europe、2017年の数値  世界の風力発電メーカーの競争は激化しています。上位を占めるのは欧州勢で、1位は老舗デンマークのヴェスタス。1945年に農機具メーカーとして誕生し、1979年に風力発電機を製造開始。2016年時点で累積で82.9GWの風力発電機を設置。2014年には世界最大8MWの風力タービンV164の試験発電を開始し、歴史・技術力ともに高い実績を誇っています。2位は独シーメンス。洋上風力で特に強い存在感を示しており、欧州の洋上風力の約3分の2はシーメンス製です。シーメンスの風力事業部門は、スペイン大手ガメサを吸収合併し、シーメンス・ガメサ(SGRE)となっています。  3位は、世界的な総合電機メーカーのGE。2002年のエンロン事件を機にEnron Windを買収し風力発電分野に参入しました。4位は中国Goldwind、高まる中国内需を後ろ盾にしつつ、低コスト戦略で海外市場でも力を伸ばしています。5位には独エネルコン、7位独Senvion、8位中国United Power(聯合動力)と風力発電の導入量が多い国の企業が並びます。最近ではドイツのNordexも伸びてきました。新興国からは、9位中国のEnvison Energy(遠景能源)、10位のインドSuzlonの姿もあります。  風力発電ビジネスは、より効率的に発電ができる大型化の時代に突入しています。日本で大型風力発電基を手がけているのは、三菱重工業、日本製鋼所、日立製作所の3社。三菱重工業はかつて10位以内にランクインしていましたが、三菱重工業と日本製鋼所はすでに新規販売を停止しています。近年は欧米勢に引き離されるとともに、中国勢にもおされ、残念ながらマーケットシェア上位企業から姿を消してしまいました。日本国内の風力発電にも海外製のものが多数採用される状況が続いていましたが、2011年以降は日本製の採用割合が半数を超えています。日本企業が生き残るためには、海外での販売力の強化や、海外M&Aが必要となります。実際に、三菱重工業は世界トップのヴェスタスと洋上風力発電事業に特化した合弁会社「MHI Vestas Offshore Wind A/S」を2014年4月にデンマーク・オーフス市に設立。両社の洋上風力発電設備事業を分割集約しました。最近では戸田建設も浮体式洋上風力発電の分野に参入しています。  それとは別に、小型風力発電に市場もあります。こちらは、非常に多くの企業が参入しています。 風力発電と証券化ビジネス  繰り返しになりますが、風力発電は太陽光発電と異なり、大規模投資事業となります。そのため、風力発電の建設は、従来は国家予算がサポートして実現していました。しかし欧米ではすでに新たな時代に突入しています。民間資金の活用です。世界には国家予算の何倍もの投資資金が運用されています。投資家にとって、魅力的な投資先とは、長期にわたって安定的にキャッシュを生み、リターンをもたらしてくれる事業。人間社会にとって今後数十年は電気が必要であることは確実で、電気料金が大きく減少するリスクも少なく、売電事業は投資家にとって魅力的に映る事業です。さらに、近年、投資家たちは社会にとって価値のある事業を投資先に選定する傾向があり(証券化の仕組み)、売電事業は投資先としてますます魅力的になっています。 (出所:環境省)  大規模な風力発電事業の資金調達には、証券化という金融手法が活用されています。証券化とは、プロジェクト単位で資金調達を行う手法のことです。発電事業を運営する企業(例えばソフトバンク)とは切り離された特別目的会社(SPV)を設立して倒産リスクを隔離し、SPVが発電事業を行います。こうすることで、今後発電事業を運営する企業がどうなろうとも、投資家は安心して発電事業からの収益を期待できます。SPVには、事業を運営する企業の他、投資銀行や商社、ファンドが出資し、さらに銀行がシンジケートローンを組んでレバレッジドファイナンスを実施します。こうして、年間キャッシュフローの何倍もの大規模な資金調達が可能となっています。近い将来、国内でも再生可能エネルギーを対象とした上場ファンドが誕生するとも予想されます。

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【エネルギー】世界各国の発電供給量割合[2017年版](火力・水力・原子力・再生可能エネルギー)

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世界の発電供給量割合  こちらの図は、国際エネルギー機関(IEA)が公表している最新データベース「Key World Energy Statistics 2017」をもとに、2015年のデータをまとめたものです。こちらのデータにより各国の状況を横並びで比較することができます。 (出所)IEA "Key World Energy Statistics 2017"をもとにニューラル作成 世界全体の発電手法(2015年) 石炭   :39.2% 石油   : 4.1% 天然ガス :22.8% 原子力  :10.6% 水力   :16.3% 地熱   : 0.3% 太陽光  : 1.0% 太陽熱  : 0.0% 風力   : 3.4% 潮力   : 0.0% バイオマス: 1.8% 廃棄物  : 0.4% その他  : 0.1%  世界の発電総量割合の全体傾向は、石炭が1.4ポイント減少し、天然ガスが1.2ポイント増加。太陽光と風力もそれぞれ0.2ポイント、0.4ポイント伸びました。それ以外はほぼ横ばいです。 北米:資源が豊富で選択肢が幅広い  経済大国米国、そしてカナダ。両国は電力消費量が「一流」なだけではなく、電力生産量も「一流」です。世界の電力生産量のうち、米国だけで約18%、カナダを合わせて約21%を占めています。北米は化石燃料が豊富な地域です。2015年時点で、石炭生産量は米国が世界第3位。石油生産量は米国が3位で、カナダが4位。天然ガス生産量は米国が1位で、カナダが4位です。北米では、シェールガスやシェールオイルの採掘が大規模に始まっており、資源生産量はまだまだ増加します。化石燃料以外も「一流」です。広大な大地を要する両国は、水力発電用地にも恵まれ、水力発電量は米国が世界第4位、カナダが2位です。また科学技術力の高い両国は原子力発電にも積極的で原子力発電量も米国が世界1位、カナダが6位です。 (出所)IEA "Key World Energy Statistics 2017"  このように資源が豊富な米国ですが、一方で再生可能エネルギーの導入も進んできています。2015年度は水力を除く再生可能エネルギーで7.6%、水力を含めると13.9%となります。米国は連邦政府レベルでは依然再生可能エネルギーのシェア目標(英語でRenewable Portfolio Standard。RPSが略称)は設定していませんが、州政府は自主的にRPSを設定を行っており、今日までにすでに30を超える州政府が公式に目標数値を発表しています。その中で特に有名なのはカリフォルニア州が掲げた2020年までに33%(水力発電含む・原子力は含まない)という目標です。2015年時点では、当時のオバマ政権の政策もあり、石炭火力発電が5.4ポイントと大幅に減少。天然ガスへのシフトも進みました。トランプ政権は、石炭への回帰を目指す政策を掲げていますが、州政府レベルではオバマ政権時代と変わらない、もしくはそれ以上の低炭素の動きを見せています。 西欧:原子力か、ロシア産天然ガスか、それとも再生可能エネルギーか  西欧諸国は国毎に原子力発電に対する考え方が大きく分かれています。イタリアは従来から原子力発電所を使用しない方針を堅持しており、現在も原子力発電所での発電はゼロ、フランスからの電力輸入で電力消費量の十数%を調達する道を選んできました。東日本大震災後には、ドイツ、ベルギー、スイスが原子力発電所を期限を決めて全廃する方針を決定。スペインもその流れに追随し、原発の新設中止を決めています。世界有数の原子力大国であったフランスでも原子力発電に対する考え方が大きく後退し、現在のマクロン政権は原子力依存度を大幅に下げる政策を展開しています。原子力を放棄しても西欧諸国が発電量を確保できるのは、ロシア産天然ガスがあるからです。ヨーロッパにはロシア産天然ガスを輸送するためパイプラインが縦横無尽に張り巡らされています。この天然ガスによる火力発電がヨーロッパにとっての安定的なエネルギー供給源となってきました。 (出所)一般財団法人高度情報科学技術研究機構  ところが、そのロシア産天然ガスにも依存できない状況が到来しました。それは政治的リスクです。ウクライナ情勢が不安定化する2000年代から、政治的に対立しやすいロシアに対しエネルギー源を大きく依存することは得策ではないという政治的な判断が生まれ、いくつかの国は原子力でもない、ロシア産天然ガスでもない道を選択しなければならなくなりました。そして登場するのが再生可能エネルギーです。  西欧諸国は世界の中で再生可能エネルギーを最も推進している地域だと言えます。政府は再生可能エネルギーの導入を推進する制度整備を行い、メガソーラーや大規模洋上風力発電所等への積極投資を呼び込みました。結果、スペインは太陽光・太陽熱・風力を合わせて23%、イタリアも太陽光・太陽熱・風力を合わせて13%、工業国ドイツも太陽光・風力合わせて18%、英国も太陽光・風力で14%を発電しています。この流れは2015年以降も続いておりIEAの次回データ発表の際には、各国の再生可能エネルギーによる発電のの割合はさらに高まっていると予想されます。  また特殊事情にあるのは資源保有国であるドイツと英国です。ドイツは世界第8位の石炭生産国、英国には北海油田・ガス田があります。その結果ドイツは石炭での発電割合が高く、英国は天然ガス(ロシア産ではなく自国産)の割合が高くなっています。ところが、その英国も北海油田には依存できない状態が到来しています。 (出所)JOGMEC「在来型・非在来型を共に追い求めるイギリスの石油・ガス動向」  英国の石油・天然ガス生産量は、2000年頃を境に急落しています。北海油田が成熟化し採掘コストが増加しているためです。英国は2004年に石油・天然ガスの純輸入国になり、2013年には石油製品も含めた純輸入国へ転換しました。それでも天然ガスはロシア産は購入せず、90%以上をカタールからの輸入LNGで賄っています。この状況下で、英国は自前のエネルギー源を確保するため、北海地域で天然ガスやシェールガスの開発を積極化していますが、一方で大規模洋上風力発電にも活路を見出そうとしています。 北欧:水力シェアが高い (出所)IEA "Key World Energy Statistics"  デンマークを除く北欧地域は一人当りの電力消費量が高い地域です。北極圏に近い寒冷地域のため、暖房での電力消費量が多いのです。同様のことは同じ北緯にあるカナダや、アルプス山脈地帯であるスイスにも言えます。このように燃費の悪い地域にはもう一つの特長があります。自然に恵まれた環境であるため、水力発電が盛んなのです。水力発電の割合は、アイスランド(73.3%)、ノルウェー(95.9%)、スウェーデン(46.6%)、フィンランド(24.4%)です。同じく地理的環境が似ているカナダ(56.8%)、スイス(58.%)です。  原子力発電所については北欧でも対応が分かれています。水力発電だけで電力をほぼ100%賄っているノルウェーや、アイスランド、デンマークは当初から原子力発電はゼロ。スウェーデンは現在34.8%を原子力発電に依存しており、一度は原発全廃の方針を掲げたものの、その後方針を撤回し、今後も原子力を継続することとなっています。フィンランドは原子力発電を今後も継続していく予定です。  北欧は西欧と並んで再生可能エネルギー意欲の高い地域です。地理的制約により水力発電が適さないデンマークは従来ロシアから輸入した石炭で火力発電を行ってきました。しかし、ロシア依存度の引き下げと気候変動への対応のため2025年までに石炭での発電をゼロにする検討を行っています。そこで目をつけたのが洋上風力。今では風力発電だけで48.8%を賄っており、世界の風力発電大国です。スウェーデンとフィンランドも同様に風力とバイオマスに力を入れており、2つを足したシェアはスウェーデンで15.6%、フィンランドで19.4%に達します。また、ホットプルームという特殊な地理的環境に恵まれたアイスランドは地熱発電で26.6%の発電を行っており、水力と地熱だけで100%の発電シェアを誇ります。  興味深いのはノルウェーです。ノルウェーは英国と同様に北海地区に油田・ガス田を有する資源大国です。天然ガスの生産量は世界第7位。しかしながら、水力発電が強く、石炭・石油・天然ガスを合わせた火力発電合計の割合はわずか1.3%です。ノルウェーは石油・天然ガスの多くを輸出しており、その半分は英国に輸出されています。 アジア・太平洋:火力発電への依存度が極めて高い  アジアは非常に火力発電割合の高い地域です。まずは資源保有国の状況。石炭生産量世界第1位の中国、同第2位のインド、同5位のインドネシアは石炭での火力発電が主力です。天然ガス生産量世界第3位のイラン、同9位のサウジアラビア、そして同じく産油国であるエジプトやマレーシアでは、天然ガスと石油が主力です。一方、日本、韓国、台湾、タイといった資源非保有国は輸入石炭や輸入天然ガスによる火力発電が主流です。特に、地理的環境や経済構造が日本と近い韓国や台湾では、かつての日本と同様、原子力発電によって自前のエネルギー源を確保する政策を採ってきています。しかし台湾は2016年に2025年までに原子力発電を全廃し、風力と太陽光をで補うことを決定しました。  経済成長著しい中国とインドは今後、大気汚染に苦しむ石炭火力発電の割合を大きく引下げ、太陽光発電と風力発電を大規模に展開していく計画をすでに立てています。  ここで特筆すべきは、インドネシアとフィリピンの地熱発電です。インドネシアは世界第2位の地熱資源保有国、フィリピンは同4位。両国は環太平洋造山帯に立地するという地の利を活かし、地熱発電の割合はインドネシア(4.3%)、フィリピン(13.4%)となっています。両国が地熱発電に踏み切った背景には、原子力発電計画の廃止がありました。フィリピンでは、もともと1976年に原子力発電所が着工し、1985年工事がほぼ終了したものの、1986年に発足したアキノ政権によって同発電所の安全性および経済性が疑問視され、運転認可が見送られた経緯がありました。その後、地熱発電に舵を切っています。また、インドネシアでも、一時検討されていた原子力発電所計画が、福島第一原子力発電所事故を契機に頓挫し、大規模な地熱発電の拡大計画を政府が打ち出すに至りました。今、両国では、海外の金融機関や商社が地熱発電プロジェクトに大規模に出資し、開発を展開しています。 (出所)JOGMEC  オセアニアの大国、オーストラリアも資源大国です。石炭生産量は世界第4位、石油・天然ガスも生産しています。そのため、化石燃料からの火力発電割合が86%(そのうち石炭が63%)と圧倒しています。人口当たりの二酸化炭素排出量が世界一とも言われるオーストラリアがその排出量を減らすため連邦政府は2006年に原子力発電の導入に踏み切ろうとしましたが、国民からの支持を得られず計画は頓挫しています。気候変動対策も迫られるオーストラリア政府は、脱石炭、太陽光・風力発電へと徐々にシフトしようとしています。 その他新興国  ロシア、南アフリカ、メキシコは、自国の資源を活用した火力発電に大きく依存しています。ロシアは天然ガス生産量世界第2位、石炭生産量6位。南アフリカは石炭生産量第7位、メキシコは天然ガス産出国。また、メキシコは地熱発電量世界第4位も誇り、今後は地熱発電プロジェクトへの投資も増えていく見込みです。一方ブラジルも国内で石炭や石油を生産している国ですが、火力発電の割合は高くはなく、電力の62%を水力発電で調達しています。世界最大の砂糖の生産・輸出国であるブラジルは、バイオエタノールによるバイオマス発電の割合が8.4%と高いのも特徴で、バイオマスでの再生可能エネルギー導入が進んでいます。

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2018/02/14 体系的に学ぶ

【国際】国際エネルギー機関IEA「世界エネルギー展望(Energy Outlook)2017」発行

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 国際エネルギー機関(IEA)は11月14日、「世界エネルギー展望(World Energy Outlook)2017」を発行した。過去1年間の大きなトレンドとして、再生可能エネルギーの急速な伸長と発電コストの低下、米国でのシェールガス・シェールオイルの急増、中国でのエネルギー政策の大転換を挙げ、内容を解説している。 (出所)IEA  今年の報告書では、2040年には今よりもエネルギー需要が30%伸びると予測。伸び率は今よりも下がるが、今より遥かにエネルギーが必要となる。世界経済は毎年3.4%成長し、人口も2040年には今よりも16億人多い90億人となる見込みで、4ヶ月毎に上海人口に相当する都市人口が増加していくことなる。とりわけ増加量が多いのがインド。1国だけで世界の増加量の30%を占める。中国も引き続き増加量が790Mtoe多く、他にも東南アジア、中東、アフリカでは400Mtoeを上回る増加を経験していく。 (出所)IEA  今後大きく成長するのは再生可能エネルギーで、2040年には世界の1次エネルギー需要増加量うち40%を再生可能エネルギーが占めることになる。とくに中国とインドの太陽光発電が牽引する。EUでも新規発電設備容量の80%は風力を中心とした再生可能エネルギーが占める。IEAはこれにより石炭の時代は終わるだろうと見通している。2000年以降、石炭火力発電は約900GWの設備容量を誇っているが、2040年までの新規増加は400GWに留まり、そのうちの大半はすでに建設が着工している。インドではすでに発電に占める石炭火力発電の割合は2016年に4分の3に下がっており、2040年には半分まで下がる見通しだという。炭素回収・貯蔵(CCS)技術が普及しなければ、石炭消費量は横ばいになるだろうとした。  一方、石油需要は2040年まで緩やかに増加を継続。天然ガスは2040年までに45%も増加するが、電源としてよりも産業利用の分野で伸びる。原子力発電の将来は昨年よりも暗雲が立ち込めているが、中国が世界をリードし2030年までに米国を上回り世界最大の原子力発電国となる見通し。 (出所)IEA  米国では、シェールガスとシェールオイルにより、石油・ガス生産量が増加に転じる。2025年までは年々増加し、それ以降も2040年まではほぼ横ばい。一方、米国のエネルギー消費量は2040年までに30Mtoe減少するため、大幅な生産増は輸出に回る。2020年台中頃には米国は世界最大の天然ガス輸出国になる見込み。 (出所)IEA  石油需要は2040年まで減少するもののさほどは減らない。背景には、電気自動車(EV)等の普及により自家用車のガソリン・ディーゼル需要は減少しつつも、航空機、輸送トラック、石油化学分野での需要は大きく伸びていくため。そのあめ石油エネルギー消費を抑えるためには、航空機、輸送トラックでの代替燃料や石油化学製品のリサイクルや使用量削減がカギを握る。 (出所)IEA  世界最大のエネルギー消費大国となっている中国の動向が世界の帰趨を左右すると言っても過言ではない。すでに中国は石炭依存度を削減する政策の大転換を行っており、今後も石炭火力発電所の増設は続くものの既存の発電所の建替えも多く、石炭消費量はすでに減少し始めている。また、太陽光、風力、水力の合計新規設備容量は石炭火力を上回り、再生可能エネルギーが急増していく。 (出所)IEA  大気汚染物質排出量では、現在深刻化している中国は今後大幅に減少していき、エネルギー消費量は伸びつつも、2040年までには半減する見込み。同様に石炭依存度が比較的高いドイツやポーランド等でも大気は清浄化していき、EUでも大きな削減が見込まれている。一方、今後大気汚染が深刻になっていくのはインドと東南アジア。  気候変動を1.5℃から2℃に抑えるためには、2040年には電源に占める再生可能エネルギー割合を60%、原子力を15%、炭素回収・貯蔵(CCS)技術で6%を回収しなければならない。そのため石炭火力発電を一刻も早く止めなければならない。また、自動車だけでなくトラックのEV化も進めなければならない。  日本では、再生可能エネルギーか、原子力発電か、CCS付石炭火力発電か等の議論が盛んだが、IEAの予測を見ると、CCSや原子力発電をやれば再生可能エネルギーはそこそこで良いというような結論にはなりえない。そもそも再生可能エネルギーを軽視した未来は到底描けない。 【参照ページ】World Energy Outlook 2017

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【アイルランド】運用KBIGI、新たなESGインフラストラクチャー投資戦略発表

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 アイルランド資産運用KBI Global Investors(KBIGI)は11月8日、インフラストラクチャー・アセットクラスのESG投資戦略「Global Sustainable Infrastructure Strategy」を発表した。水、エネルギー、食品分野のインフラストラクチャー上場企業に投資する。目標配当利回り3.5%から4.5%。投資先地域、市場、セクターを分散しボラティリティを抑制する。  同戦略は長期投資型。今後、人口成長や経済成長、老朽化設備の更新等でインフラ分野の投資需要が旺盛になると見ており、その中でも品質と持続可能性の高いインフラストラクチャー所有企業や運営企業を抽出して投資する。投資先企業のESGも重視する。  KBI Global Investorsは昨年、仏運用大手アムンディ・アセット・マネジメントの傘下に入った。 【参照ページ】 New KBI Global Investors 'Global Sustainable Infrastructure Strategy' offers access to an array of listed infrastructure investment opportunities

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【シンガポール】テオ副首相、同国の太陽光発電割合を2025年までに25%に引き上げ可能

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 シンガポールのテオ・チーヒン副首相は10月23日、同国の電力消費量に占める太陽光発電の割合を2025%までに25%にまで引き上げることは可能と発言した。現在のシンガポールの年間電力需要を賄うために必要な設備容量は約8GW。テオ首相は、同国には補助金等なしで太陽光発電設備容量を2025年前に2GWまで増やすポテンシャルがあると話した。  国土が小さく水力発電や風力発電が困難なシンガポールは、現在電力の95%以上を天然ガス火力発電で賄っている。現在の太陽光発電設備容量は最大出力140MWで、2008年から0.4MWしか増えていない。シンガポール政府はすでに、2020年までに350MW、2020年以降には1GWとする公式目標を宣言していたが、テオ副首相の今回の発言はそれを大きく上回るもの。  テオ副首相は、狭い国土で太陽光発電を急速に拡大するには、貯水池への浮体式太陽光発電パネルの敷設や、未利用地の太陽光発電所化等が有力との見方を示した。シンガポール政府はすでに浮体式太陽光発電の実証テストも行っている。専門家からは、高層ビルの側面を利用した太陽光発電も可能だとの意見も出ている。 【参照ページ】DPM Teo Chee Hean gave the Singapore Energy Lecture at the 10th Singapore International Energy Week 2017 on Monday, 23 October 2017 at the Marina Bay Sands Convention Centre

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【中国】北京環境取引所と欧州エネルギー取引所、中国の全国排出権取引制度発展で提携

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 欧州エネルギー取引所(EEX)と北京環境取引所(CBEEX)は10月23日、戦略的パートナーシップを締結したと発表した。両社は中国の二酸化炭素排出権取引制度発展で協力する。  EEXはドイツ・ライプチヒに本社を置く電力先物取引所。ライプチヒエネルギー取引所とフランクフルトに本社を置く旧EEXが合併し誕生。2011年にドイツ取引所グループがEEX株式の約4分の3を買収し同社の傘下に入った。EEXは、EUの二酸化炭素排出権取引制度(EU-ETS)の主要取引所の一つでもあり、排出権はEEXの主力商品。排出権先物商品も売買されている。EU-ETS取引価格の参照価格インデックス「European Carbon Index(ECarbix)」も発表している。  一方、北京環境取引所は、二酸化炭素排出権取引市場として2008年に設立。2013年から排出権売買を開始した。中国では北京市の他、天津市、上海市、重慶市、深圳市、湖北省、広東省の5市2省が、中央政府の許可の下で排出権取引市場実証実験を2013年から2015年まで実施。7取引所の取引総量は8,000万tを超え、排出権価格も1t当たり平均30元(約500円)で推移。大半の企業が削減義務を達成した模様。これを受け、国家発展改革委員会は2016年4月、2017年中に全国統一の排出権取引市場制度(ETS)を開始すると表明。第一段として、化学、建材、鉄鋼、非鉄金属、製紙、電力、航空等重点業種の大企業に対し排出権取引義務化を行う意向を発表した。また、国家発展改革委員会は、全国統一取引市場の開始時点では、参加対象企業は約1万社、排出権割当枠は30億から40億tと予測した。  しかし、全国統一排出権取引制度(ETS)の立ち上がりは遅れており、は2017年中には立ち上がらないかもしれないとの観測も出ている。また、中央政府は対象企業の選定のため、直轄市・省・自治区政府に対象候補企業リストの提出を指示したが、中央政府直轄企業提出分と合わせても約4,000社に留まった。そのため2016年5月に対象業種に化学と鉄鋼のサブセクターも追加し、最終的には7,000から8,000社になる見込み。  今回の戦略的パートナーシップは、この世界最大の取引市場を国際的に機能させていくためのもの。両社は、グローバル企業が中国の全国統一排出権取引制度を活用しやすくなるようにしていく。 【参照ページ】EEX and CBEEX enter into strategic partnership for carbon market development in China

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【イギリス】保険ロイズ、オランダ太陽光発電Autarcoに発電量補償保険提供。設置事業者のリスク解消

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 英保険大手ロイズは、オランダ太陽光発電Autarcoに対し、太陽光発電からの収益を保証する保険サービスを提供する。これによりAutracoは、法人、個人双方の顧客に対し、発電量を保証する太陽光発電サービスを提供していく。太陽光発電に対する保険サービスは、従来は災害による太陽光発電パネルの損害を補償するものが一般的。不足発電量を補償する保険は非常にユニークで、Autarcoによると発電量を保証する太陽光発電サービスは世界初。  Autarcoは2011年にオランダで創業。太陽光発電パネルや関連部品の設計・製造、管理ソフトウェアの設計、発電モニタリングを一括して自社で行っている非常に珍しい太陽光発電ビジネスを展開している。同社のソフトウェアには、設備容量や設置環境を基に発電量を予測できる自社開発のアルゴリズムが搭載されている。また機器の状況も全て同社のデータベースに送られ、管理ができるようになっている。太陽光発電パネルを設置するエンドユーザーに対し 信頼性の高い管理体制を提供できることが同社の強み。  この徹底した管理体制に、今回ロイズの保証が追加されることになる。この保険は、Autarcoが設備容量や設置環境を基に事前に設定する発電量が達成されない場合に、ロイズが不足分の発電量を補償するというもの。エンドユーザーは、Autarcoが設立する独立の基金を通してkWh当たりの補償金額を同社に請求することができる。ロイズは、Autarcoが装置設計からメンテナンスまでを一括して提供していることを高く評価。技術面での厳密な審査を行った結果、保険提供が可能だと判断した。  Autarcoは、太陽光発電に関するリスクが、パネル製造企業から機器の設置業者に、さらにエンドユーザーに移転することによって、業界の成長が妨げられてきたと述べている。しかし、今回適用される保険により、エンドユーザーは、実際の発電量とそれによる投資リターンを危惧することから解放される。関係者は、今後太陽光発電市場はますます伸びていくと予測している。 【参照ページ】Solar firm backs its guarantee of quality with Lloyd's of London 【機関サイト】An insured performance guarantee for rooftop solar

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【日本】経産省と米エネルギー庁、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)分野で案件組成を促進

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 経済産業省は10月17日、米エネルギー省との間で「二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)分野に係る協力文書(MOC)」に署名した。両者は同分野での共同研究、案件組成を推進していく。また、アジアの新興国を含む第三国におけるCCUS案件形成に向けて協力を進める。  二酸化炭素回収し貯留する技術は、大気中の二酸化炭素を固定化し地下に埋蔵してしまうというもの。大気中の二酸化炭素濃度の上昇は世界的な気候変動の原因と言われており、大気中の二酸化炭素濃度を下げることで、緩和効果が期待できる。これまでは、二酸化炭素を回収し、地下に埋蔵する「二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術」と称されることが多かったが、最近では、回収した二酸化炭素を油田に圧入して産油量を向上させる(EOR)等の利用を含め「二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)」とも呼ばれるようになった。 【参考】【アメリカ】JX石油開発とNRGエネルギー、世界最大級のCO2回収プラントが稼働開始。三菱重工が建設に参加(2017年1月26日)  経済産業省と米エネルギー省は2015年に二国間でのMOCを締結し、苫小牧の実証サイトでのテキサス大学とのデータ解析、ローレンスバークレー国立研究所との光ファイバーを用いたモニタリング検証等に取り組んできた。今回、日米企業の案件組成を促進するため、MOCを改訂した。今後、両国政府からプロジェクトコーディネーターを選任し、企業を入れた官民対話を設置。両国政府で案件形成のフォローアップを行う。 【参照ページ】米国エネルギー省との間でCCUS分野に係る協力文書に署名しました

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【イギリス・オランダ】シェル、欧州最大EV充電ステーション企業NewMotion買収

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 石油ガス世界大手英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは10月12日、欧州最大の電気自動車(EV)充電ステーション・ネットワーク蘭NewMotionの買収で合意した。ガソリンスタンド大手の同社が、電気自動車市場の高まりを見越し、EV充電ステーション事業を強化する。  NewMotionは2009年に設立。自社保有のEV充電ステーションを欧州で約10万台所有しており、さらにパートナー企業と連携し5万台の運営も行っている。現在も西欧で数千台のステーションを設置中。一方、シェル自身も急速充電ステーションを英国、オランダ、ノルウェー、フィリピンに設置しており、今回の買収により、自社の急速EV充電ステーションと、NewMotionの通常EV充電ステーションの双方を事業ポートフォリオに持つことになる。NewMotionの2016年売上は1,290万ユーロ(約17億円)、純損失が390万ユーロ(約5億円)。  現在、西欧のEV充電ステーションは10万台以下で、そのうち3万台がNewMotion管理。しかし、電気自動車市場は欧州で急激に拡大しており、2030年までに西欧だけで100万から300万台のEV充電ステーションが必要になるとも言われている。シェルは、2040年までに世界の自動車の約25%が電気自動車になると見立てている。 【参照ページ】NewMotion welcomes acquisition by Shell, one of the world's leading energy providers

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