【国際】APEC貿易・投資委員会、インフラ開発・投資ガイドブック改定。開発国の重債務に憂慮

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 アジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易・投資委員会は11月12日、インフラ開発案件のガイダンス「APECインフラ開発・投資の質に関するガイドブック」を改定した。今回の改定では、インフラ開発・投資において重要な「透明性」「開放性」「経済性」「対象国の財政健全性」等の要素を新たに導入した。  今回の改定提案は日本政府が主導した。同ガイドブックは2014年に発行され、インフラプロジェクトのライフサイクル・コスト、環境インパクト、安全性、設備保守等の観点での考慮ポイントをまとめていた。今回の改定では、インフラプロジェクトが、ファイナンス観点でも合理的なものにするための考慮内容が盛り込まれた。背景には、中国が「一帯一路」戦略のもとで実施している海外投資が、投資先国の債務を悪化させていることへの懸念があるとみられるが、経済産業省は「特定の投資国や対象国を念頭に置いたものでありません」と説明している。 【参照ページ】「APEC インフラ開発・投資の質に関するガイドブック」の改定について 【ガイダンス】APEC Guidebook on Quality of Infrastructure Development and Investment 2018

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【アメリカ】政府、開発金融機関OPICとUSAIDの一部機関を統合。中国の海外インフラ投融資に対抗

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 米トランプ大統領は10月5日、政府系開発金融機関「海外民間投資公社(OPIC)」や米国務省傘下の国際開発庁(USAID)が実施してきた「開発信用保証メカニズム(DCA)」を統合し、新たな開発金融機関(DFI)を設立することを規定した法案「BUILD(Better Utilization of Investments Leading to Development)Act of 2018」に署名。同法が成立した。同法案は、「FAA Reauthorization Act of 2018」法案の一部として、9月26日に連邦下院を398対23で可決、10月3日に連邦乗員を93対6で可決していた。  今回の法案は、米政府の国際開発金融機関を再編し、海外への投融資を拡大することにある。背景には、中国政府が「一帯一路」構想を通じて、アフリカやアジアでの投融資を積極化させており、中国の国際的な影響力向上を懸念したことが背景にある。OPIC廃止については、反対する上院議員もいたが、FAA Reauthorization Act of 2018の一部に組み込んで採決することで、反対票を交わすことに成功し、上院での選挙結果は賛成圧勝だった。  新組織には、USAIDの「Office of Private Capital and Microenterprise」と同室が管理する「Enterprise Funds」も移管する予定。新組織の詳細はまだ未定で、法案成立後120日以内に米政府は連邦議会に詳細計画を提出することとなっている。トランプ政権はすでに、新組織のインフラ投融資枠を現状の倍となる600億米ドル(約7兆円)にする方針を掲げている。 【法律】H.R.302 - FAA Reauthorization Act of 2018

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【国際】AIIB、持続可能な都市づくりに向けた戦略案を公表。パブコメ募集

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 アジアインフラ投資銀行(AIIB)は8月27日、アジアの都市を環境、社会、経済の面で持続可能にしていくための新たな戦略案「Sustainable Cities Strategy」を発表した。10月21日までパブリックコメントを受け付ける。同戦略案の背景となっている研究報告書「Study on Sustainable Cities」も同時に公表された。  AIIBは、今後アジアでの人口は増加し、天然資源へのストレスも高まる中、さらに気候変動により生活は脆弱になると指摘。持続可能なインフラの整備は急務だと主張した。戦略案では、「グリーン」「レジリエント」「効率の良い」「アクセス可能な」「繁栄(Thriving)」の頭文字をとり「GREAT」と名付けた戦略が、今後の都市づくりには不可欠になるという。  戦略案は、序文、ビジョン、優先度や実行アプローチ等、全23項目で構成。AIIBの今後の戦略の柱が掲げられている。 【参照ページ】AIIB Opens Public Consultation on Draft Sustainable Cities Strategy 【戦略案】Public Consultation: Draft Sustainable Cities Strategy 【報告書】Study on Sustainable Cities

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【国際】PRI、インフラ投資分野のESG投資について初のデューデリジェンス質問票を公表

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 国連責任投資原則(PRI)は9月4日、アセットオーナー向けに、インフラ投資分野でのESG投資を実践するためのデューデリジェンス質問票(DDQ)を発表した。ESG投資は株式や債券の分野で議論が先行しているが、プライベートエクイティ、ヘッジファンド、インフラ投資等のオルタナティブの分野では議論が成熟していない。PRIはすでにプライベートエクイティやヘッジファンド分野でガイダンスや質問表を発表しており、今回インフラ投資分野の質問表が整備された。  今回の質問表は、アセットオーナーがインフラ投資運用会社を評価する際に任意で活用するもの。インフラ投資のESG要素をチェックできる。プライベートエクイティ分野での質問表がベースとなっている。 【参照ページ】PRI launches infrastructure due diligence questionnaire

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【日本】三菱商事、スコットランド沖の大規模洋上風力発電運営MOWELの株式獲得

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 三菱商事は3月26日、英完全子会社Diamond Generating Europe(DGE)を通じ、英スコットランドのモーレイ(Moray)湾沖の洋上風力発電所「Moray East」の事業管理会社英Moray Offshore Windfarm -East(MOWEL)の株式33.4%を、スペイン再生可能エネルギー大手EDP Renewables(EDPR)から取得すると発表した。これによりMOWELの株主は、三菱商事、EDPR、仏エンジーの3社となる。  MOWELは、設備容量950MWで英国最大級。2022年に稼働開始予定。売電価格は1MWh当たり57.5ポンドの固定価格。入札により15年間の売電契約締結済。  欧州では洋上風力発電事業が大きく盛り上がっており、とりわけスコットランド沖は一大産地。洋上風力や太陽光発電所は、インフラ投資として投資家間で売買が活発になされている。三菱商事はすでにオランダ・ルフタダウネン洋上風力発電所(設備容量130MW)、ベルギー・ノーザー洋上風力発電所(設備容量370MW)の権益を取得済。スコットランド沖は今回が初めての模様。 【参照ページ】英国における新規洋上風力発電事業への参画

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【国際】PRI、インフラ分野でのESG投資ガイドライン策定。投資検討からエグジットまでのあり方示す

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 国連責任投資原則(PRI)は1月18日、インフラストラクチャー分野でのESG投資推進ガイドライン「Primer on responsible investment in infrastructure」を発行した。株式や債券の形態でのインフラ投資の基本コンセプトを定めた。また、未開発用地(グリーンフィールド)と環境汚染用地(ブラウンフィールド)でのPRI6原則のあり方についても整理した。  同ガイドラインでは、インフラストラクチャー分野におけるESG投資実施にあたり、投資検討からエグジットまでの一連のフェーズで、インフラの資産価値をどのように守り、高めていくかという観点に立脚。重要となるESGリスクの特定、評価、査定、管理、監督の考えを体系的に解説している。  インフラ投資分野でのESG投資ガイドライン策定は今回が初。今後、インフラ分野でのESG投資が活性化することが期待される。PRIは2017年2月、インフラ分野でのESG投資検討のための委員会を設置。委員会の議長には、アリアンツ・グローバル・インベスターズとHESTA Super Fundが共同で就任。インフラ投資ファンド運用会社やアセットオーナーが委員に加わり、今回のガイドラインを策定した。 【参考サイト】PRI launches primer on responsible investment in infrastructure

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【イギリス】アリアンツ、HICL、DIFの3社、英国水道事業会社大手を買収

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 英国水道会社Affinity Waterは5月2日、ドイツ保険大手アリアンツの投資会社アリアンツ・キャピタル・パートナーズ、英インフラ投資会社HICL Infrastructure Company、オランダのインフラ投資会社DIFの3社で構成するグループに買収されることになったと発表した。同社は、ロンドン大都市圏北西部など英国内3地域で水道事業を運営する企業。  Affinity Waterは、水道事業世界大手フランスのヴェオリア・ウォーターの英国法人が運営した水道事業を前身とする企業。ヴェオリア・ウォーター英国の水道事業は、2012年に米投資銀行大手モルガン・スタンレーと英運用会社M&Gのインフラ投資会社Infracapitalが買収し、両社が管理する事業管理会社が株式の90%を、ヴェオリア・ウォーター英国が引き続き10%を保有している。今回のM&Aにより、現株主は株式を全て売却し、新株主が100%を保有する。売却手続きは2017年5月中に完了する予定。 【参照ページ】Affinity Water - Agreed Sale

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【中国】政府、約2兆元規模のPPP(公民連携)インフラ投資案件を発表

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 中国政府の中で経済政策を管轄する国家発展改革委員会は5月25日、総額1.97兆元(約40兆円)規模のPPP(公民連携)インフラ投資プロジェクトをホームページ上で発表した。プログラムは水利施設、都市行政施設、交通施設、公共サービスと資源環境等の領域で合計1,043件にのぼり、PPPの参加形態は、特許経営、公共購買、株式資金協力など多岐にわたる。今回のプロジェクト選定においては、各省、自治区、直轄市が国家発展改革委員会に推薦し、国家発展改革委員会の審議を経て公開に至った。  今回の発表の数日前からPPPに関する政府発表が目白押しだ。まず5月11日に財政部、中国人民銀行、中国銀行業監督管理委員会は連名で行政通知を出し、地方政府に対して公共事業の追加融資を受ける際にPPP融資モデルを活用するよう指示した。5月22日には、財政部、国家発展改革委員会、中国人民銀行は連名で、エネルギー、交通運輸、水利など13分野についてはPPPモデルを推奨する行政通知を出した。同時に地方政府も積極的にPPPを活用してきている。河北省は5月12日、PPPプロジェクトの推進説明会を開催し、道路、空港、ゴミ処理と汚水処理などの分野で32のPPPプロジェクトを発表。総額は1,330億元(約2.7兆円)だ。  中国政府は、経済成長率が低下する中、目下金融政策に対して規律を強める一方、財政政策を通じた景気刺激策を打ち出している。今回のPPPプロジェクトの大量発表は、長期的に不可欠な社会インフラ投資と資金需要創出をPPPを活用して実現しようとしていると言える。プロジェクトの組成・開始までには行政手続きや契約等で半年ほど要する見込み。経済、社会、環境のトリプルボトムラインをどのように実現していくか、中国政府の手腕に注目が集まる。 【政府サイト】国家発展改革委員会

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【金融】アジア開発銀行 (ADB)とアジアインフラ投資銀行(AIIB)の論点 〜サステナビリティの観点から〜

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サステナビリティから見るADBとAIIBの論点  4月15日に中国財政部が創設メンバー国の顔ぶれを発表したアジアインフラ投資銀行(AIIB)。5月22日に創設メンバー国の代表が集って開催された会合では、年内にAIIBを正式に発足させるという目標が設定されました。日本はこの状況に対し、6月3日、安倍首相の指示を受けて発足した自民党の外交部会・財務金融部会・外交経済連携本部は合同会議を開き、AIIBに対する政府方針について、参加に関する明確な判断を避けつつも、参加に対して慎重な対応を求めることを決定、6月4日にその報告書を安倍首相に提出することとしました。  一方、AIIBと対比されるアジア開発銀行(ADB)は、1966年に設立された地域開発金融機関。フィリピンのマニラに本部を置き、日本が最大の出資者。歴代の総裁も全て日本の財務官僚か日本銀行幹部から選ばれてきました。ADBの現総裁、中尾武彦氏は、3月25日、「ADBがAIIBに敵対するというオプションはあり得ない。条件を満たす形でAIIBが始動するならば、協調融資などで協力していく。それは日本の利益にもつながる」と発話し、アジア地域の膨大なインフラニーズのためAIIBと協力する姿勢を示しました。また同時に、「ただ、AIIBと協力する場合も、ADBの融資基準を堅持し、環境対策などに配慮しない支援は避けていきたい。ADBが歴史のなかで築いてきた信頼と条件には、重要視すべき点があると思う。環境や人権に配慮した融資基準を下げることは考えていない」と延べ、サステナビリティに配慮した現行の投融資方針を変更するつもりはないことを明確にしました。  ADBとAIIBについては、「ブレトンウッズ体制の見直し」「日中の主導権争い」など国際政治の観点からの報道が多くありますが、双方の本来のミッションから鑑みるに、そもそも現在アジア市場と持続可能な発展において何が課題であるかというサステナビリティの観点からの報道はあまりないように感じています。そこで、今回は、ADB、AIIB、世界銀行が寄与するサステナビリティの視点から、時事の論点を整理していきたいと思います。 ADBとは何か?そもそもなぜ誕生したのか?  ADBの参加国数は現在67。その内、日本、中国、韓国、インド、オーストラリアなど、アジア太平洋地域の域内国が48ヶ国、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツなど欧米の域外国が19ヶ国です。議決権は出資比率に応じて決まっており、日本が最大の15.67%、次いでアメリカ15.56%、3位中国6.47%、4位インド6.357%、5位オーストラリア5.81%、ちなみにEU諸国の合計は14.427%となっています。請求払い資本(出資金)は現在1,530億米ドル(約18.3兆円)です。ADBが実施している事業の主なものは、中央政府への融資(ソブリン貸付)、地方政府・企業への融資、政府や企業への協調融資、企業へのエクイティ投資で、2014年の投融資総額は約230億米ドル(約2.8兆円)、そのうち融資がで約130億米ドル(約1.6兆円)、投融資残高は2014年6月末時点で785億米ドル(約9.8兆円)です。  ADBの最高政策決定機関は、各加盟国が一人ずつ総務として参加する総務会(Board of Governors)で、総裁は総務会で選出されます。全ての投融資の承認など日常業務の意志決定は理事会(Board of Directors)でなされ、12人の理事のうち域内国から8名、域外国から4名が隔年選出されます。総裁は理事会の議長を努めますが、理事会での議決権はありません。理事会での日常業務の意思決定は多数決でなされますが、議決権は理事一人ひとりが一票を持つ形式ではなく、各理事には担当参加国が決められており、各国が持つ議決権の合算がその理事の議決権行使力となります。各国に与えられている議決権は出資比率と同一ではなく多少補正されており、現在日本の議決権は、全加盟国総投票権数の12.84%となっています。  では、ADBはなぜ発足したのでしょうか。発足した1966年の様子を、当時の日本銀行の調査「ADB設立の意義と問題点」から窺い知ることができます。ADB設立検討の舞台となったのは、国際連合の経済社会理事会でアジア太平洋地域を担当する当時の「国連アジア極東経済委員会」。その中で必要性が叫ばれていたのは、アジアの発展途上国が他国と開発計画を相互調整していくため中核的な役割を演ずる地域開発銀行の重要性と、先進国の経済成長のためにも南北問題を解決し世界的な貿易拡大が欠かせないという議論でした。そこで、欧米先進国などの域外資金を投入して、総合調整的にアジア発展途上国の経済成長を促そうという構想が生まれていきました。  しかしながら、発展途上国の経済成長を支援する国際開発金融機関として、すでに世界銀行グループがありました。ADB設立にあたり、なぜ世界銀行グループがあるにもかかわらず、ADBが必要なのかという点も議論されていました。その理由として位置づけられたのは、旺盛な開発資金需要を満たすための追加的な資金供給、アジア地域の特殊性を考慮した上での独自の融資条件や手続きの整備、そしてアジア地域の連帯意識を高めるための域内の中核的機関の創設です。また課題点として、域内途上国が財政不安定な状況下で融資先選定などを健全に実施できるか、域内の政治的対立から独立した存在になれるかなども挙げられていました。こうして、ADBは、すでに先進国の仲間入りをしていた日本を中心に、欧米の資金をアジアのインフラ需要に効率的に投入する仕組みとして今日まで49年間その役割を果たしてきました。 開発金融機関とサステナビリティ  1990年前後には、世界銀行やADBなど開発金融機関が投融資を通じて途上国の開発を支援する中で、開発が環境・社会面に与える悪影響が課題視され始めました。すなわち資金供給先である開発金融機関にも環境社会被害への責任があるという考え方の普及です。そこで、開発金融機関は、環境社会被害の未然防止を図るとともに、融資実施後のモニタリングを通じた適正管理を行うため、投融資における環境社会配慮ポリシーやガイドラインの策定を始めます。世界銀行が採用したのは「セーフガード政策」と呼ばれる予防策です。投融資候補先の事前審査において、(1)環境評価、(2)自然生息地、(3)林業、(4)害虫管理、(5)文化財の保護、(6)非自発的住民移転、(7)先住民族、(8)ダムの安全管理、(9)紛争地域における事業、(10)国際水路における事業の10分野を十分に考慮しようという内容です。このセーフガードはその後幾度か改訂され、今日では、世界銀行グループの中で途上国の民間セクター支援を行う国際金融公社(IFC)は、「社会・環境の持続可能性に関するIFC政策(International Finance Corporation’s Policy on Social and Environmental Sustainability)」と「環境と社会の持続可能性に関するパフォーマンス基準(IFC Performance Standards on Environmental and Social Sustainability)」という2つの文書を、サステナビリティのための柱と位置づけています。  ADBも同様の道を歩みます。1991年に「業務手続きに関するガイドライン~ADB 業務における環境配慮」を導入、資金を供与するすべての貸付に対して環境評価手続きの実施を求め、その結果を踏まえて、環境レビューを行う運用を開始しました。今日では、(1)環境、(2)非自発的住民移転、(3)先住民族の3つの分野に整理されたセーフガード政策が機能しています。ADB以外の地域開発金融機関も同様のガイドラインを整備しており、今や世界銀行の社会環境配慮ポリシーは、業界のデファクト・スタンダードとなっています。 アジアインフラ資金需要の状況  それでは、開発金融機関が対象マーケットとするインフラ資金市場の状況はどうでしょうか。新興国の経済発展が急速に進む中、インフラ資金需要は大きく膨れ上がっています。ADBがまとめた報告書では、アジアで2010〜2020年にかけて必要なインフラ投資額は約8兆米ドル(約996兆円)に上ると算出されています。世界銀行グループのジム・ヨン・キム総裁もまた、「(途上国がインフラに費やす資金は年間約1兆ドルに上るが、現在の成長率を維持し、将来の需要を満たすためには)我々の試算では、道路、橋、鉄道、空港、発電所といったインフラへの投資には世界全体で年間1~1.5兆ドル(約124〜187兆円)が追加で必要である。」という見通しも示しています。この額はとてつもない規模です。上述したADBの昨年の投融資額が約230億米ドル(約2.8兆円)であることと対比するとその膨大さが見とれるでしょう。もちろん、全てのインフラ投資を開発金融機関だけで担う必要はなく、民間の金融機関や事業会社も巨額な投資をしていますし、むしろ民間投資のほうがインフラ投資のメインプレーヤーと言えます。だとしても、民間投資の呼び水効果を果たす開発金融機関の信用マネーが果たす役割は非常大きく、まだまだ開発金融機関の資金供給が需要に追いつかないというのが現状です。 AIIBとは何か?  冒頭でも紹介しましたが、アジアインフラ銀行は、4月15日に創設メンバー57ヶ国が決まり、年内の正式発足へ向けて動き出しています。この57ヶ国のうち41ヶ国はADBの参加メンバーでもあります。ADBに参加していて、AIIBに参加していないのは、日本、アメリカ、そしてAIIBでは投資対象地域から外れた太平洋諸国のクック諸島、フィジー、キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、ナウル、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツ、東ティモールの14ヶ国、及びアフガニスタン、アルメニア、ブータン、トルクメニスタン、トルコ、アイルランドという国々です。台湾、香港、ベルギー、カナダもAIIBには未参加ですが、台湾は一般参加国として参加申請済、香港も参加申請しつつも銀行事務局側から参加保留、ベルギーとカナダは参加を検討中です。他方、ADBには参加せずAIIBのみに参加している国は15ヶ国あり、まずはAIIBでは投資対象地域に含まれた中東地域のオマーン、カタール、クウェート、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、ヨルダン、イラン、イスラエルの8ヶ国、残りはロシア、ブラジル、南アフリカ、エジプト、ポーランド、アイスランド、マルタです。  では、AIIBが生まれた背景は何でしょうか。AIIBのホームページには、その設立趣旨についてこのような記載があります。 "現在、アジア地域のインフラ資金需要と利用可能な国際開発金融機関や二国間の資金財源の間には大きな開きがある。ADBは2020年までに毎年7,300億米ドル(約91兆円)のインフラ投資需要があると予測しているが、その数値は現在の国や既存の国際開発金融の能力を大きく超えている。"  すなわち同行の設立背景には国際政治的な思惑以外にも、前述したようにインフラ資金需要に対して供給量を増やしていかなければならないという危機感があります。また、現在のアジア市場環境を捉え手続きを簡素化する必要性も指摘されており、この「追加資金」「地域特性」というキーワードは、ADBの設立背景とほぼ同一だと言えます。それらがAIIB設立への正当性を与えている根拠にもなっています。また、世界銀行グループのキム総裁も当初よりAIIBの設立に対して歓迎の意を示しており、ADBの中尾武彦総裁も、AIIBとは補完的関係にあり敵対はありえないとし、アジアには「インフラ関連だけでも膨大な資金需要がある」として、複数の国際機関が並立することに何ら問題ない点を強調しています。 AIIBとガバナンス  AIIBに対して懸念されているのが、ガバナンスと環境・社会条件への対応、いわゆるESGに関わる問題です。このESGについては、現在、設立国が参加するミーティングでまさに検討が進んでいるところです。  まずはガバナンスから見ていきましょう。詳細は現在も検討中ですが、日常業務の意思決定機関となる理事会は、12人の理事で構成され、その内アジア地域から9人、域外から3人を迎え、1カ国から2人以上の参加は認めない方針となっています。この点においては、ADBは域内8人、域外4人の構成であり、AIIBは域内重視の構成と言えますが、それ以外はADBとさほど変わりません。但し、中国が提出した初期案では、理事会の位置づけが異なり、ADBでは常設で合議制の意思決定機関でありますが、AIIBでは非常設で個別の投融資案件は各担当理事への電子メール承認等で済むよう手続きが簡素化されようとしているのが特徴で、この点を日米の専門家は問題視しています。  理事会での議決権の基礎となる出資比率においては、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によると、設立当初の資本金が1,000億米ドル(約12.4兆円)なのに対し各国の拠出額比率は、中国が297.8億米ドル(29.8%)、インドが83.6億米ドル(8.4%)、ロシアが65.3億米ドル(6.5%)、ドイツ44.8億米ドル(4.9%)、韓国37.4億米ドル(3.7%)、オーストラリア37億米ドル(3.7%)、インドネシア34億米ドル(3.4%)、フランス33.7億米ドル(3.4%)、ブラジル31.8億米ドル(3.2%)、イギリス31億米ドル(3.1%)が暫定合意案となっており[注1]、BRICs+韓国で50%を超えます、そして、その他の要素を加味した議決権においては中国が25-30%、次いでインドが10-15%を獲得する見通しです。また、アジア諸国全体の出資比率は75%、残りは欧州各国などの域外国が出資する方向性で、アジアの小国の発言権が強く設定される予定です。この場合、日常業務については中国が理事会で拒否権を行使できる状態ではありませんが、報道によると組織構造、加盟国、出資金の増資等の重要法案には中国が拒否権を発動できるよう賛成に必要な議決権割合を75%以上に設定することで創設メンバー国は合意に達した模様です。  その他、本部は北京に置かれ、共通言語は英語とすることも確定し、初代総裁には同行臨時事務局の金立群事務局長(元・世界銀行副執行理事、元ADB副総裁)が事実上内定しています。このようにガバナンスとしては理事一人ひとりに大きな権限が与えられる構想が練られており、うまく機能すれば行政手続きの簡素化・スピード経営が実現できますが、悪く作用すると汚職の温床、投融資基準の不統一などがもたらされることが考えられ、運営ルールや業務監査制度などの整備がカギを握りそうです。 AIIBと環境・社会条件  一方で投融資における社会環境配慮については、同行のホームページで、「事務局はすでに開発がもたらす環境社会懸念への対応を活動に織り込むための環境社会ポリシーフレームワーク作りをスタートさせた」とあり、内容は未だ未知数ですが、今後の創設メンバー国の間での議論結果に注目が集まります。必ずしも世界銀行グループやADBの現行ガイドラインと全くの同等である必要はないと考えますが、ガイドラインで何の優先順位を上げ下げしようとしているかはサステナビリティの観点からはとても重要です。  例えば、ADBはエネルギーセクター政策として、原子力発電への不関与、炭鉱・油井開発への不関与という原則を決定しており、エネルギー需要が拡大するアジア地域の経済・エネルギー政策との不整合が生じています。化石燃料や原子力発電依存を下げることは長期的には重要ですが、いかにして再生可能エネルギーという理想に向かったロードマップを描けるか、この視点はAIIBだけでなく、ADBにも向けられていると言えるでしょう。その他、ADBとの違いでは、ADBでは投融資対象国の事案については当事国の企業は参加できませんが、AIIBではそのような制限は設けない開かれた入札制度が検討されており、このような経済合理性重視の考え方は新興国企業から支持を集めそうです。   結語 〜AIIBの行方〜  AIIBの発足するしないにかかわらず、アジア地域の社会発展のためのインフラ投資資金需要が膨大にある事実は変わりません。インフラの整備の遅れから、交通渋滞や大気汚染、水資源不足など大きな都市化問題はすでにいくつかの都市で発生しているのも同様に事実です。そして、そのインフラ需要は企業にとっての大きなビジネス機会でもあります。日本がAIIBに参加するかどうかという問題もさることながら、このインフラ投資資金需要をいかに満たし、さらにその投資に社会環境視点を取り込んでいけるかのほうがより重要ではないかと考えています。足元では、アジア地域のインフラ投資の担い手は、かつて中心であったは欧米資本から、現在は現地の金融機関へと移ってきています。ADBはこれまで投融資や協調融資において高い社会環境基準をかけてきましたが、ADBが関与しないローカル金融機関においては現地の法律以外には強いプレッシャーは存在してこなかったとも言えます。今後、AIIBが新たな資金供給者となることで、ローカルの投融資においても社会環境基準を高めていくことができるか、私としてはその点に一番注目しています。 [注1]6月16日、日経新聞の報道によると、設立協定最終案が確定。出資金額は以下のとおり。

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2015/06/09 体系的に学ぶ

【中南米】米州開発銀行、2014年はサステナビリティ事業に44億米ドルを投資

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 米州開発銀行(以下、IDB)は2014年、気候変動緩和・適応策の推進、再生可能エネルギー、環境サステナビリティ関連事業への投資額が前年比15億増となる44億ドルに到達したと発表した。  IDBが4月2日に公表した年次サステナビリティ報告書によると、IDBの上記投資額は同行の年間貸出金額の3分の1に相当し、同行が掲げていた25%という目標を上回ったとのことだ。同報告書は2014年の同行のサステナビリティ目標の進捗状況や、IDB加盟国で進行中のサステナビリティ事業についての概況が記載されており、ペルーにおける新たな水力発電事業、ブラジルにおける都市緑化事業の事例などが掲載されている。  また、同報告書はIDBの新たな持続可能なインフラ戦略およびビジョンについての詳細についても触れている。IDBは、インフラを単なる固定資産から人々のために計画、開発、整備されたサービスへと移行するという戦略を掲げており、実際に2014年はIDBの貸出の約38%を占めており、持続可能なインフラ投資がIDBの主要テーマとなっている。  IDBの総裁を務めるLuis Alberto Moreno氏は、「サステナビリティは我々の業務の中核を成すものだ。なぜなら、我々は中南米地域の未来に対する責任があり、我々の携わっている事業はサステナビリティによってよりよくなるからだ。サステナビリティは人々の生活を向上させ地域の競争優位性を確かなものにしてくれる」と語った。  IDBはこれまで様々なサステナビリティ事業の拡大に注力してきた。2014年には14都市がIDBのEmerging and Sustainable Citiesプログラムに加入した。同プログラムは、都市部のサステナビリティ向上に向けて各都市の資金調達と行動計画の構築を支援するものだ。また、2年目に入ったIDBのBiodiversity and Ecosystem Servicesプログラムは、生物多様性や生態系サービスを観光、エネルギー、農業に統合する10つの新事業に対して融資を提供している。  気候変動や都市化など、多くのサステナビリティ課題を抱える新興国が多い中南米地域において、IDBが果たしている役割は大きい。今後も融資を通じて多くの資金がサステナビリティ関連事業に投資されることを期待したい。 【参照リリース】IDB Invests $4.4 billion in Environmental Sustainability and Climate Change 【企業サイト】Inter-American Development Bank

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