【インド】大気汚染での死亡者数、中国を抜き世界最多に。対策が急務

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 最新の統計調査によると、大気汚染を原因とする国別死亡者数で、インドがついに中国を上回り、世界最悪の大気汚染国家となったことがわかった。中国では、政府の大規模規制強化により、大気汚染問題での改善が見られてきいるが、インドでは大気汚染がますます深刻化している。中国が2013年に調査したデータでは、大気汚染の一因であるPM2.5の主要排出源について多い順に、原料炭(製鉄等)、交通、家庭等での木材などの燃焼、非石炭鉱物、一般炭(石炭火力発電)が挙げられており、インドでも同様の対策が急務となってきている。  今回の報告は、ボストンの健康影響研究所(HEI)とシアトルの医療統計評価機関(IHME)が共同で行い、2月14日発表した。両機関は、政府等の公共機関が実施している各国の大気汚染や健康被害統計を収集しつつ、統計未実施国については衛生データを活用し、世界的な統計分析を行っている。健康被害については、PM2.5を原因とする疾患による死亡者数と、排気ガス等から生成されるオゾンを原因とする慢性閉塞性肺疾患(COPD)による死亡者数が対象となっている。 (出所)State Of Global Air 2017  PM2.5被害からの死亡者数は、中国は2000年からほぼ横ばいで推移しているものの、インドは1990年から年々急増しており、2015年数値では中国と近接してきてしまっている。これに対し、EU加盟国全体での死亡者数は中国やインドの4分の1、日本は15分の1程度。先進国では非常に数が減少または低レベルに留まっているのに対し、インドや中国では著しい健康被害をもたらしていることがわかる。世界の主な死因統計においても、PMは、高血圧、喫煙、糖尿病など空腹時高血糖、高コレステロールに次いで第5位となっている。   (出所)State Of Global Air 2017  慢性閉塞性肺疾患による死亡者数では、インドは2010年に中国を抜いてしまった。上記のPM2.5系疾患と慢性閉塞性肺疾患による死亡者数を足すと、これまで世界ワーストであった中国の118万人に対し、インドは119.8万人。インドが中国を超え、世界最悪となった。  同報告書では、同様に南アジアの人口大国であるバングラデシュやパキスタンでも大気汚染が深刻化してきている事実を伝えている。サウジアラビアやエジプトなど中東諸国でも大気汚染はひどくなってきている。  これまで日本では大気汚染については中国の状況ばかりが伝わってきているが、事態は南アジアや中東で、より悪化してきている。 【報告書】State Of Global Air 2017 【プロジェクト】State Of Global Air

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【インド】国家グリーン裁判所、デリー首都圏でのビニール袋等の使用を全面禁止。執行では混乱も

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 インドで環境関連事件を管轄する裁判所「国家グリーン審判所(National Green Tribunal)」が出した使い捨てビニール袋やプラスチック製容器の全面使用禁止判決が、2017年1月1日から首都デリー市とデリー首都圏(National Capital Region)で発効した。インドではプラスチックゴミ問題が海洋汚染や廃棄物放置、焼却による大気汚染などの大きな問題となっており、裁判所によってプラスチック容器やビニール袋の使用が禁止されるという新しい動きとなった。  国家グリーン審判所は、インドに置かれている特別な裁判所で、2010年に制定された「国家グリーン裁判法」に基づき設置された。国家グリーン審判所は、環境問題を広く管轄することができ、同裁判所が出す判決は民事裁判所と同等の法的拘束力を持つ。さらに、国家グリーン審判所は、民法を法源とせず、「自然的正義(Natural Justice)」に基づき判決を下すが定められた一種の超法規的権限を有している。同裁判所は、デリーに本部、他主要都市4ヶ所に支部を置き、さらに農村部からのアプローチしやすくするため巡回裁判所が4部置かれている。インドでは、プラスチック製品の使用を禁止する法令は存在しないが、国家グリーン審判所は、プラスチック容器等の使用禁止を求める訴訟に対し、デリー周辺3ヶ所にある廃棄物火力発電所での焼却による大気汚染が深刻であるとして超法規的にプラスチック容器等の全面禁止を定める判決を2016年12月2日に下していた。国家グリーン裁判法は、国家グリーン審判所の判決に不服の場合は、最高裁判所に控訴できるとしている。  判決では同時に、デリー市政府に対して、積み上げられている廃棄物の削減を命じた。一方、問題となっている廃棄物火力発電所に対しては、国家グリーン審判所の判決に従う形での運転続行を容認した。  国家グリーン審判所が下した判決は、超法規的なものだが、インド中央政府の意向にはある程度沿うものとなっている。インド中央政府は2012年10月に、環境破壊の原因となっているビニール袋の製造、輸入、輸送、保管、販売を全て禁止する方針を発表したが、ビニール袋製造企業は高等裁判所に違法だと提訴し、その後裁判が膠着して進展しない状態が続いていた。中央政府は2015年に高裁に対し裁判を進めるよう声明を出したが、今もまだ裁判が進行しない状態となっている。  一方、今回の判決を機に、社会の混乱も見られる。国家グリーン審判所は、超法規的に使用全面禁止を命じたが、行政当局内でそれを執行するための手法や手続きがまだ確立できていない。また、科学者や製造メーカーからは、プラスチック容器等の一部使用継続を求める声が上がっている。 【参照ページ】NGT bans use of ‘disposable plastic’ in Delhi-NCR from January 1 【参照ページ】Plea against plastic bags with NGT 【機関サイト】NGT

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【インド】GRI、インド証取委の企業責任報告書義務化ルールとGRIスタンダードとの対応表を発表

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 サステナビリティ報告国際ガイドライン世界大手GRIは2月14日、2015年にインド証券取引委員会(SEBI)が制定した企業責任報告書(BRR)の提出義務化ルールに関連し、同ルールとGRIスタンダードの対応を明確化するガイダンスを発表した。GRIスタンダードが国際的な報告ガイドラインとして確立される一方、新たに導入された「SEBI BRRフレームワーク」との整合性について明確化を求める声が企業側から上がっていた。  インドでの企業責任報告書提出義務化は、2012年8月にインド証券取引委員会が発した通達が元になっている。この通達は、インドの証券取引所に上場している企業の内、時間総額トップ100社に対して、社会や環境に対する取組を示した企業責任報告書を、ホームページに掲載するか、冊子として発行するか、アニュアルレポートの中にリンクを付けて記載するかのいずれかのを実施することを義務化した。また、報告書は、2011年にインド法人業務省が制定した「企業の社会・環境・経済責任に関する自主的国家ガイドライン(NVGs)」に準拠することも義務化された。さらに、2015年11月には新たな通達が発せられ、義務化の対象企業が毎年3月31日時点での時価総額トップ500社に拡大されることが決まった。  GRIとインドの主要証券取引所の一つ、ムンバイ証券取引所(BSE)は2016年に、義務化対象のトップ500社がSEBI BRRフレームワークに適合するサステナビリティ報告書を作成できるよう協力することで覚書を交わしており、今回発表されたガイダンスはその成果物の一つだ。ガイダンスでは、SEBI BRRフレームワークの必須事項が、GRIスタンダードと同対応しているかを明確にした。これにより、義務化対象企業は、GRIスタンダードに基づく従来までの報告書からの変更必須箇所が容易に特定できるようになった。 【参照ページ】Harmonizing sustainability reporting practices in India 【ガイダンス】LINKING THE GRI STANDARDS AND THE SEBI BRR FRAMEWORK

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【インド】企業のCSR活動予算が大きく増加。背景に2013年CSR法令義務化と大企業の対応加速

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 インドで企業のCSR活動予算が増加している。インド格付会社Crisil社の集計によると、2016年決算期の企業のCSR活動予算は前年比22%、金額にして約250億インドルピー(約410億円)増加し、約830億インドルピー(約1,370億円)に達した。インドの主要経済紙Times of Indiaが報じた。  インドでは、2013年に改正された「会社法」により、企業は過去3年の平均純利益の2%相当の資金をCSR活動に費やすことが義務化されている。2016年決算期はその取組の2年目。ボンベイ証券取引所の上場企業4,887社のうち、30%の1,505社が法令基準を満たすCSR活動を実施、昨年の1,300社から大きく増えた。また1,505社のうち、77%の1,158社はCSR報告書も発行しており、前年度の1,024社と比べ報告分野でも大きく社数が増えた。  また、純利益に対するCSR活動予算の割合も、会社法が定める2%にはまだ達しないものの、昨年の1.35%から1.64%に上昇。とりわけ、CSR活動を実施している企業に対象を絞ると、すでに2%基準を達成している。全体として2%に達するためには、さらに183.5億インドルピー(約300億円)の活動予算が必要。CSRの活動内容は、政府が優先事項と掲げる教育、スキル開発、医療、衛生分野などが多く、580億インドルピー(約870億円)が費やされた。  一方で、133社はCSR活動に予算を一切割いていながい、その数も昨年の200社からは大きく減った。全体でも約3分の2はCSR活動予算を増やしているものの、3分の1は減少。法令義務の2%を上回っている企業割合も昨年の50%から56%に伸長した。  その他の傾向としては、CSR活動の成果が重視されるようになったこと、中小企業だけでなく大企業の取組が増えたことが挙がる。大企業の取組が増えた理由としては、1年目にあたる2015年度は大企業内の諸手続き等で迅速な活動ができていなかったことや、主にNGO等の社外実行部隊の協力を仰いだことが背景にある。  世界的にはCSVという形式の活動が重要性を増しているが、インド政府は2013年の会社法をもとにいわゆる「社会貢献活動」としてのCSRを推進している。そのため、社会貢献活動以外の事業にとってのサステナビリティ活動を含めると、金額はもっと大きくなりそうだ。 【参考】India Inc’s CSR spending rises 22% in FY16

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【インド】政府、今後10年間の国家電力計画案を公表。石炭火力発電の新設をゼロに

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 インド電力省中央電力庁(Central Electricity Authority)は12月中旬、第12次5ヵ年計画期(2012年4月~2017年3月)の同国の電力状況を振り返るとともに、第13次5ヵ年計画期(2017年4月~2022年3月)および第14次5ヵ年計画期(2022年4月~2027年3月)のこの先10年の電力政策案を示した文書「Draft National Electricity Plan(Volume 1)Generation」を公表した。今後10年間の間に石炭火力発電の新設をゼロとする内容が含まれており、大きな注目を呼んでいる。  インドでは2003年の電力法(Electricity Act)に基づき、中央電力庁が5年単位で「国家電力計画」を策定している。今回公表された「国家電力計画案」はパブリックコメントを一定期間受け付け、その後中央政府による承認審議に移る。承認後は、公式の「国家電力計画」となり、これに基づき各電力事業者、送電事業者が事業を展開していくこととなる。今回は、2003年電力法制定後3回目となる「国家電力計画」だが、電力の長期需給を見通していくため、次期第13次5ヵ年計画期(2017年4月~2022年3月)の計画だけでなく、第14次5ヵ年計画期(2022年4月~2027年3月)の展望の内容が盛り込まれた。  インドの2015年時の発電電力構成は、石炭76%、天然ガス4%、原子力3%、水力12%、再生可能エネルギー6%。再生可能エネルギーではそのうち半分を風力発電が占めている。また、発電設備容量の構成比では、石炭61%、天然ガス8%、原子力2%、水力14%、再生可能エネルギー14%。このようにインドは現状石炭に大きく依存している。これを、今回発表の「国家電力計画案」では、非化石燃料(原子力、水力、再生可能エネルギー)設備容量の割合を現在の30%から、2022年までに46.8%、2027年までに56.5%に大幅に増加させる。  非化石燃料の中でも設備容量を大きく増強するのが再生可能エネルギーだ。「国家電力計画案」では、2022年までの設備容量増加計画として、再生可能エネルギー115.3GW、水力15.3GW、原子力2.8GWとしており、再生可能エネルギーの増加分は原子力の40倍以上。さらに石炭依存を下げるため天然ガス発電の設備容量も2022年までに4.3GW増やす。インドでは今後経済発展に伴い電力需要も大きく増加していくと予測されているが、これら設備容量の増強により需要増分は賄えるため、2022年までに石炭火力発電の新設は不要とした。  また2027年までの設備容量増加計画では、再生可能エネルギー100GW、水力12GW、原子力4.8GWとし、この時期でも再生可能エネルギーは原子力の20倍の増加となる。また同時期には電力需要の伸びにより、石炭火力設備容量44GWが不足し増強が必要となるが、すでに建設着工中の石炭火力設備容量50GWが2022年までに完成する見込みのため、やはり2027年までに石炭火力発電の新設は不要だとした。  しかし既存およびすでに建設着工中の石炭火力発電所は稼働させていく。現行の第12次5ヵ年計画期(2012年4月~2017年3月)には、石炭86.3GW、褐炭1.3GW、天然ガス6GW、水力5.5GW、原子力2.5GW、再生可能エネルギー17.9GWの設備容量を増加させており、石炭・褐炭の増加分が大半を占めた。この新規石炭・褐炭火力発電のうち39%が超臨界圧石炭火力発電、日本の政官財が推進しているいわゆる「高効率石炭火力発電」だった。インドは気候変動などにより今後モンスーンによる水力発電効率が30%低下すると見立てており、この低下分を既存の石炭火力発電の稼働率を上げ補う。  今後の設備容量増加分を大きく担う再生可能エネルギーの今後の資金需要は、2022年までで約10兆インド・ルピア(約18兆円)以上。2027年まででさらに約6兆インド・ルピア(約10兆円)以上が必要と見積もっている。この金額に含まれていない電力系統接続や2028年以降の設備容量増加に向けた設備投資なども加えると資金需要はさらに増えていくとみられている。一方、現時点での再生可能エネルギー、水力、原子力ともに投下資金不足もあり設備容量の伸びが思うように進んでいないことから、脱石炭に舵を切れるかに懐疑的な見方もある。  パリ協定以降、二酸化炭素排出量削減の動きが新興国にも広がりを見せている。新興国2大大国であり世界人口大国のうち、中国はすでに脱石炭の動きを鮮明にし、今回インドでも脱石炭の計画案が表明されたことで、さらに石炭火力は世界的に縮小していきそうだ。 【参考】【中国】国務院、温室効果ガス削減アクションプランを発令。石炭消費量を大幅抑制 【報告書】Draft National Electricity Plan(Volume 1)Generation

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【インド】企業のサステナビリティ報告のレベルが質・量ともに大きく向上。GRI調査

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 サステナビリティレポーティングガイドライン世界最大手のGRI(Global Reporting Initiative)の南アジア地域拠点、GRI Regional Hub South Asiaは11月2日、インドのサステナビリティ報告の現状をまとめた報告書「Sustainability Integration: Corporate Reporting Practices in India」を発表した。報告書の作成は、GRI South Asiaの他、インド経営大学院バンガロール校(Indian Institute of Management Bangalore)と、同拠点の共同設立者であるタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)と共同で行われた。  報告書によると、この10年間でインド企業のサステナビリティ報告書作成は質、量ともに大きな進展がみられる。量については、10年前には数社しかなかったサステナビリティ報告書の作成は、昨年は90社近くにまで増加。質の点でも、ステークホルダーによる期待の変化と規制上の要件に合致したものになってきている。背景には、サステナビリティ・アクションと業績、競合優位性の関係についての理解の深まりがあるという。 (出所)Sustainability Integration: Corporate Reporting Practices in India  今回の調査では、2013年5月から2015年12月までにインドで発行された174本のサステナビリティ報告書のうち、46社を抽出。報告書内容を、GRIのG4ガイドラインの標準開示項目である「戦略と分析」、「マテリアリティ」に関して評価を行った。さらに、売上高、業界、報告書作成経験年数(最低5年以上)の観点から選抜した6社の担当者に対しインタビューも実施した。  調査の中で見えてきたことは、G4の観点にもとづき、マクロ経済動向やマテリアリティに関する開示が増えてきたということ。また、サステナビリティの成果が徐々に役員会でも話し合われるようになってきとり、経営陣のコミットメントも増えてきているという。  一方の課題としては、サステナビリティ分野で経営幹部がリーダーシップを発揮している企業が依然非常に少ないこと、消費者や政府等情報開示の届け先の関心事を先取りしていこうという姿勢が少ないこと、企業独自のアプローチよりも規則に沿った開示が目立つこと、が挙げられている。  インド企業の現状の主な特徴としては、G4ガイドラインに沿い、マテリアリティを特定することの意義は浸透してきいると言え、93%以上の企業がマテリアリティ特定を実施している。しかしながら、サステナビリティ課題からくるリスクと機会の分析を包括的に情報開示している企業は39%と少なく、リスクや機会について情報開示することを躊躇する姿勢が伺える。また、リスクに関しても、貧困や格差の増大、水不足、異常気象の増加、変動の激しい相場、原材料コストの高騰等、マクロ経済や政治的なトレンドが長期的リスクに繋がることを認識している一方で、事故、災害、労働争議等の問題について開示するケースは少なかった。企業の中には、サステナビリティ報告の作成を通じて、サステナビリティ課題が事業に与える影響にあらためて気づき、サステナビリティと事業を統合させていくことにつながってきていると回答するところもあり、報告書作成が多くの気づきを与えていることもわかった。  欧米を中心に広がってきたサステナビリティ報告も、今では中国やインド企業も積極的に受け入れるようになってきている。もちろん、サステナビリティ報告書を作成することそのものに意味があるのではなく、作成の中で事業のリスクや機会を認識するという気づきや、情報開示を通じて外部ステークホルダーの視点を事業に組み入れていくことにこそ意味がある。この真の意味を掴み、企業価値と企業競争力をいかに上げていけるか。日本企業は、欧米企業だけでなく、実力をつけてきた新興国企業との競争にもさらされている。 【参照ページ】Materiality Disclosure is improving in India, according to a new study 【報告書】Sustainability Integration: Corporate Reporting Practices in India

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【インド】政府、風力発電のリパワーリング(建替)を支援。借入補助金や契約免除など

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 インドの新・再生可能エネルギー省(MNRE)が今年8月5日に発表した風力発電設備リパワーリング政策が、インドの風力発電に大きな拍車がかかると高く評価されている。リパワーリング(Repowering)とは、古くなった風力発電タービンの建替えを行い、風力発電力の増強や発電効率の向上させることを言う。  新・再生可能エネルギー省が発表した新政策は、発電設備容量1MW以下の風力タービンのリパワーリングを支援する。まず、リパワーリングのための設備投資にかかる利子に対し、インド再生可能エネルギー開発公社(IREDA)が0.25%分の補助金を支給する。従来は、新設の風力発電所のみ金利分を全額再生可能エネルギー開発庁が負担するという政策があったが、今回は金利支援の対象をリパワーリングにまで拡大した。また、リパワーリングに対しても前倒し減価償却を認め、発電量増加分に対しても補助金を支援する。リパワーリング後は、リパワーリングまでの3年間平均の発電量を当初の固定買取価格(FIT)で州電力公社(State Discoms)に売電できることが担保される。また、リパワーリングによって増加した発電分は、州電力公社にリパワーリング時の固定買取価格(FIT)で州電力公社に売電するか、オープンアクセスコンシューマ方式(1MW以上の発電所は電力事業者への売電以外に第三者の電力需要者に売電することが認められている)で第三者に売電するかを選択できる。  新政策はリパワーリング期間中の措置に対しても手当する。これまで風力発電のリパワーリングは、リパワーリングの期間に発電ができなくなることから、すでに電力事業者との間で締結している電力購入契約(PPA)が履行できなくなることが壁になっていた。今回の新政策では、リパワーリング期間は、風力発電事業者はPPAの契約義務が一時的に免除されることを制度化し、さらに自家用発電のために風力発電を行っている場合は、リパワーリング期間中、政府が定める優遇価格で電力事業者から電力を購入できるようにする。  インド風力タービン製造業協会(IWTMA)によると、2000年までにインドで建造された風力発電機の多くは、発電容量500kwという中型のものが大半。この中型風力発電機で約3GWの発電を、また1MW未満では約10GWの発電を、今日行っており、これらを1MW以上の大型風力発電機に建て替えれば大きな発電量の増加が見込める。インドでは、運用メンテナンス(O&M)費用が高くなるのを避ける傾向が強く、新規風力発電機の平均設備容量が1MWを超えたのは2011年から2012にかけて。一方、風力発電先進国のEUや米国では2003年までに、中国でも2007年に平均1MW超えをしている。インド政府は2022年までに風力発電容量を60GWにする目標を掲げており、今回の政策は大きな躍進に繋がるとIWTMAも高く評価している。 【参照ページ】IWTMA’s take on the new regulations on repowering policy 【参照ページ】Repowering India’s wind sector 【新政策】Policy for Repowering of the Wind Power Projects

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【インド】児童労働規制強化法が制定、家族経営企業労働を容認したことにユニセフは批判

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 インド連邦上院(ラージヤ・サバー)は7月19日、児童労働(禁止及び規制)修正法案を通過し、インド連邦下院(ローク・サバー)も7月26日に通過、同法案が成立した。この法律は、全ての産業において14歳以下の児童労働を禁止することを定めるもの。また14歳から18歳までは危険を伴う労働に従事させてはならない。違反雇用主に対しては懲役3年以下と5万ルピー以下の罰金が科される。但し、例外規定があり、家族経営企業での放課後や長期休暇中の労働は規制しない。今回の法律制定の背景には、インドで根強く残る児童労働を抑止する狙いがあるが、早速国際機関やNGOからは今回の法律に対する批判の声が上がっている。     国連児童基金のインド支部、ユニセフ・インディアは7月25日、児童労働修正法が、家族経営企業での児童労働を容認したことに対し、家族労働を合法化し、貧しい家庭の子供たちの不利益を助長しかねないとする声明を発表した。ユニセフ・インディアは、この修正法により、ILO条約が「危険を伴う職業」と定めている職種リストを実質的に無効化してしまい、不法な環境下での児童労働につながってしまう可能性があることについても懸念している。  インドではおよそ1,020万人の子供たちが働いているという。2011年の国勢調査によると、児童労働に従事する割合は、指定部族で6.7%、指定カースト(いわゆる「不可触民」階級を指す)で3.9%と最も高くなっている。どちらのグループにおいても、地方部に住む児童のほうが都市部にすむ児童よりも多く労働に従事している傾向にあり、労働している多くの少年少女が学校をやめざるをえなくなっている。また、全体として働く少年少女の数は減ってはいるものの、都市部での児童労働は増えつつある。背景には、上京あるいは人身売買の結果、危険を伴う産業や建設現場での労働を強いられている実態があるという。とりわけ、綿、腕輪、巻たばこ、織絨毯などの製造や金属加工業などに多い。ユニセフ・インディアは、「家族経営の手伝いをする子供たち」という条件を除くよう強く勧告している。  さらに、今回制定した法律には人身売買に関する言及一切ない。ユニセフ・インディアは、全ステークホルダーの責任を確証する健全な監視機構が必要だとの見解も示した。同時に、徹底的に危険を伴う職業を洗い出し、定期的なチェックを進めること、また、新たなものが出てくれば追加してくべきであるとも勧告した。 【参照ページ】UNICEF concerned about amendments to India’s Child Labour Bill

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【国際】Body Shop、森林と生物多様性保護プログラムを開始。まずはベトナム、インド

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 化粧品世界大手の英Body Shopは5月24日、熱帯雨林を保護するための取り組みである「バイオブリッジ」を新たにベトナムとインドで創設する計画を発表した。バイオブリッジとは、森林破壊により離散してしまった熱帯雨林を自然の通路で接続するという構想。生態系が繋がることで交配が進み、森林を再生し、絶滅危惧種または孤立している動植物を保護する効果がある。Body Shopは、このプログラムを通じて7,500万m2の森林を再生する考えだ。  Body Shopの製品には様々な天然資源が活用されており、生物多様性の保護は、同社のサステナビリティ戦略である「Enrich Not Exploit™ Commitment」の一つの柱と位置づけられている。森林破壊には密猟や農地の乱開発の問題も絡んでおり、森林を再生するためには、自然保護だけでなく、周辺地域コミュニティの適切な開発援助も不可欠。同社のバイオブリッジ計画ではその双方を対象とし取り組む。  最初の対象地は、北中部ベトナムにあるKhe Nuoc Trong森林。Khe Nuoc Trong森林はアカアシドゥクラングール、サオラ(アジアのユニコーンとして知られ地球上で最も希少な動物の一つ)、ベンガルスローロリスやビルマニシキヘビなどの絶滅危惧種の生息地として知られている。これらの絶滅危惧種は食用または医療用としての狩猟によって生存を脅かされている。また彼らの生息地もベトナム戦争の際に使用されたオレンジ剤による被害を依然受けているため、次々と伐採されている。同社が展開する「Help Reggie Find Love」キャンペーンでは、店頭やオンラインで同社製品を購入される度に、この森林1m2のバイオブリッジ創設のための資金提供をする仕組みで、消費者が直接森林保護に関与できる。バイオブリッジ創設では英国に拠点を置く国際環境NGOのWorld Land Trustと提携する。  インドでは、北東部のGaro Hillsを対象とし、2016年後半に開始する見込み。インドでは、World Land Trustと彼らの現地パートナーであるWildlife Trust of Indiaと組む。同社は今後65カ国でこのバイオブリッジ・プログラム展開する。 【参照ページ】Introducing the Body Shop's Bio-Bridges: a Dating Service for Endangered Species to Find Love 【企業サイト】 http://www.thebodyshop.com/Commitment/

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【インド】旭化成、SDGsを企業戦略に活用。インドでのキュプロ繊維ビジネスを支援

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 旭化成は5月24日、再生セルロース繊維(キュプラ繊維)「ベンベルグ」を持続可能なビジネスとするため、国連開発計画(UNDP)が2008年に設立し民間企業が参加する「ビジネス行動要請(BCtA)」に参加することを発表した。BCtAは、民間企業がコアビジネスを通じてミレニアム開発目標(MDGs)を推進していくことを目標としており、昨年からは持続可能な開発目標(SDGs)の推進をミッションとしている。旭化成は、2020年までにインドにおけるキュプラ繊維の染色・縫製現場を改善していく。  旭化成は1976年からインドへキュプラ繊維を輸出している。キュプラ繊維はインドの伝統的な女性服であるサリーの原料として適しており、インドはキュプラ繊維の巨大な市場だ。旭化成は2015年までにインドで染色工場3社、縫製工場60社と契約しており、4,300トンのキュプラ繊維を扱っている。2020年までに契約工場の数を、染色工場10社、縫製工場80社に増やし、扱うキュプラ繊維の量も6,000トンに伸ばす計画だ。  旭化成は今回BCtAへの加盟を行い、40万米ドル(約4,300万円)を投じ、2016年から2020年にかけて700人の若者にキュプラ繊維の染色・縫製の技術トレーニングを実施していく。700人のうち75%は女性を対象とする。さらに、キュプラ繊維の原料であるコットンリンターからの繊維抽出、染色、縫製を行う97の中小工場に対して生産性向上につながるプログラムを提供していく。  また、キュプラ繊維の原料となっているコットンリンターは、エコ素材でもある。コットンリンターとは、綿花から綿糸を摘みとったあとに残る種子に絡みついた産毛繊維で、従来は種子とともに廃棄されていた。しかしコットンリンターは吸水性にも優れ、肌触りも良く、今ではサリーの他にも高級スーツの裏地などにも使われている。旭化成は、綿花農家からコットンリンターを正当な価格で購入しており、零細な綿花農家にとっては新たな収入源となっている。旭化成のコットンリンターの購入の取り組みによって、2020年までに農家39万人が恩恵を受けられるという。 【参照ページ】国連開発計画が主導する「ビジネス行動要請(BCtA)」に参加 【参照ページ】Asahi Kasei: Investing in Inclusive Growth 【機関サイト】BCtA

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