G7は9月8日、「広島AIプロセス閣僚級会合」をテレビ会議形式で1時間開催。「G7広島AIプロセス G7デジタル・技術閣僚声明」を採択した。
日本政府は5月のG7広島サミットの中で、生成AIの活用や開発に関する国際ルール策定を推進するため、G7の関係閣僚が議論する場を設けることを提案し、「広島AIプロセス閣僚級会合」を開催していく構想を披露していた。
【参考】【日本】G7広島サミット、首脳コミュニケ発表、閣僚会合の内容をとりまとめ(2023年5月23日)
今回の閣僚級会合は、松本剛明総務相が議長となり、G7諸国からG7各国とEUの他、経済協力開発機構(OECD)と、OECDが事務局を務める「AIに関するグローバル・パートナーシップ(GPAI)」も出席した。
【参考】【国際】15ヶ国・地域、AIに関するグローバル・パートナーシップGPAI設立。OECD原則を基軸に(2020年6月21日)
同閣僚声明では、2019年5月に経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会で採択された「AIに関するOECD原則」を軸に議論することを再確認。また、OECDは、今回の閣僚級会合に向け、レポートを作成し、生成AIの開発と利用の双方での透明性、偽情報やフェイクニュース巧妙化、学習した資料の著作権を含む知的財産権の3つを重要な課題として取り上げた。
また同レポートは、各国規制の国際協調が必要な分野を示している。国際的な重大リスクとしては、サイバーセキュリティ、生物・化学兵器の開発容易化、外国からの政治干渉を含む偽情報流布の3つを提示し、他に、個人情報や知的財産権の取扱い、透明性、倫理、共通善のためのAI活用、デジタル格差の5つを重要テーマと認識した。
その上で、今回の閣僚級会合では、2023年中にAI開発者向けの国際指針を策定する方針を定めた。方針に盛り込む観点は10個。
- 高度AIシステムの適切な安全対策及び導入前の社会的リスクの考慮
- 高度AIシステム導入後の脆弱性の特定と低減に向けた努力
- モデルの能力、限界、適切・不適切な利用領域の公表
- AI開発者と政府、市民社会、学界との間での責任ある情報共有
- プライバシーポリシー及びAIガバナンスポリシー等のリスク管理計画及び低減手法の開発及び開示
- サイバーセキュリティ及びインサイダー脅威対策を含む強固なセキュリティ管理措置への投資
- 電子透かし技術等のAIが生成したコンテンツを利用者が識別できる仕組みの開発及び導入
- 社会、環境、安全のリスクを軽減するための研究・投資の優先的な実施
- 気候危機、グローバルヘルス、教育等の世界最大の課題に対処するための高度AIシステムの優先的な開発
- 国際的に認知された技術標準の開発及び整合性確保の推進
生成AIに関しては、OECD、GPAI、国連教育科学文化機関(UNESCO)が、認証機関VDE及びAI推進期間「AIコモンズ」と協働で、マルチステークホルダー型の指針を策定する作業「Global Challenge to Build Trust in the Age of Generative AI」を進めており、指針を2023年後半に発行する予定。今回の閣僚会議では、同作業による指針の策定を歓迎した。
【参照ページ】広島AIプロセス閣僚級会合の開催結果
【参照ページ】G7広島AIプロセス 閣僚級会合の概要
【参照ページ】G7 Hiroshima Process on Generative Artificial Intelligence (AI)
【参照ページ】Call for Partners: the Global Challenge to Build Trust in the Age of Generative AI
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