世界各国の報道・雑誌・出版社関連26業界団体は9月6日、「グローバルAI原則」を発表した。メディア情報の知的所有権保有者の観点から、特に生成AIの在り方を提示した。
世界AI原則に署名したのは、世界新聞・ニュース出版社協会(WAN-IFRA)、米新聞業界団体のニュース・メディア・アライアンス(NMA)、日本新聞協会、韓国新聞協会、欧州新聞出版者協会(ENPA)、欧州雑誌メディア協会(EMMA)、欧州出版社協議会(EPC)、ニュース・メディア・ヨーロッパ、英ニュース・メディア協会、英新聞出版社協会、英プロフェッショナル発行者協会、ニュース・メディア・カナダ、米州新聞協会、中南米のGrupo de Diarios América、学協会出版者協会、Digital Content Next等。
同原則は、「知的財産」「透明性」「説明責任」「品質とインテグリティ」「公平性」「安全性」「意志」「持続可能な発展」の8つの観点で構成されている。
知的財産に関しては、AIシステムの開発者、運営者、導入者は、オリジナルコンテンツに対する権利者の投資を保護する知的財産権を尊重しなければならないと言及。出版社の明示的な許可なく、独自の創作コンテンツをクロール、インジェスト、使用することを禁止すべきとした。特に、AIシステムによる知的財産の学習や合成のための使用は、権利者のオンライン利用規約で通常明示的に禁止されており、既存のライセンス契約ではカバーされていないとした。
透明性では、AIシステムの開発者に対し、出版者の著作物および関連するメタデータにアクセスした法的根拠とともに、詳細な記録を保持し、出版者のコンテンツが学習用データセットに含まれている場合には、出版者がその権利を行使するために必要な範囲でこの情報を利用できるようにすることを求める強力な規制を設けるよう要求した。詳細な記録を保存しなかった場合は、当該データの使用が推定されるべきとの考えも掲げた。
非営利団体、研究機関、教育機関等の第三者が開発したデータセットやアプリケーションを、商業的なAIシステムの情報源として使用される場合、出版社がその権利を行使できるよう、明確に開示されなければならないとした。情報と情報を結びつけて学習させ、文章を生成する場合にも、出典元のコンテンツの出版社の条件にしたがって情報の帰属を含む透明性が確保されるべきとした。
説明責任では、偽情報を生成した責任を出版社に帰すべきではなく、説明責任を確保するために、必要かつ関連するすべての情報を提供すべきとした。また、有限責任制度やセーフハーバー等による責任が免除される制度を設けるべきではないとした。
品質と安全性では、出版社が生み出す高品質な情報があって初めて生成AIが成立しているというエコシステムを、AIの開発者と導入者は認識すべきとの考えを披露。高エヒ性では、生成AIが競争法上の優越的地位の濫用に利用されることを防止すべきとの考えを掲げた。
安全性では、AIの開発者と運用者は、AIが生成したコンテンツが正確で完全であることを保証するために最善の努力を払わなければならず、特に、オリジナルの著作物が誤って表示されないようにしなければならないとした。加えて、プライバシーリスクに対処すべきとした。
【参照ページ】Global Principles on Artificial Intelligence (AI)
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