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【アフリカ】アフリカ気候サミット、国際炭素税や国際金融取引税を提唱。再エネ2030年300GW

 ケニア政府とアフリカ連合(AU)は9月4日から6日、ケニアのナイロビで第1回アフリカ気候サミットを開催。アフリカ地域の大統領等の首脳、主要国の政府高官、国連機関、企業、NGO等、数百人が参加し、最終日に「ナイロビ宣言」を採択した。

 ナイロビ宣言では、気候変動は人類と地球上の全ての声明にとって唯一最大の課題と認識。また、アフリカが歴史的に地球温暖化の原因となっているわけではないものの、アフリカは、未開発の再生可能エネルギーのポテンシャル、豊富な自然資産、アントレプレナーシップによって、クリーンテックのコスト競争力のある産業ハブになる基礎を備えているとした。

 さらに、アフリカには世界の再生可能エネルギー資源の40%があると推定されていながら、過去10年間の再生可能エネルギー投資額3兆米ドルのうち、2%に当たる600億米ドルしかアフリカに投資されていないことを憂慮。2030年までにアフリカの再生可能エネルギー部門に流入する金融資本を10倍に増やす必要があると伝えた。それらを踏まえ、アフリカの再生可能エネルギー発電設備容量を2022年の56GWから 2030年までに300GW以上まで増加させるとした。

 先進国に対しては、年間1,000億米ドルの気候変動資金を提供するというコミットメントを履行するよう要求。国際社会に対しては、石炭火力発電についても段階的に削減し、すべての化石燃料補助金を廃止するコミットメントを守ることや、2022年の気候変動枠組条約第27回シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)で合意されたロス&ダメージ資金を早く立ち上げるよう求めた。国際開発金融機関の資本増強や、「債務一時停止条項」の導入も要請した。

 アフリカ諸国自身では、グリーン成長とインクルーシブ経済への投資を、地方、地域、世界に呼び込む政策、規制、インセンティブを策定し、実施することを約束。特に、公正なエネルギー転換、再生可能エネルギー発電の拡大、持続可能な農業、自然と生物多様性の本質的な保全と強化など、気候ポジティブな成長に経済開発計画を集中させることを宣言した。自然を軸とした海洋ソリューションも重点分野に盛り込んだ。

 気候変動適応では、 気候レジリエントな都市や都市中心部を構築するため、インフォーマル地区やスラム地区の改善等、都市インフラへの投資を促進。早期警戒システムと気候情報サービスの強化、土着の知識と市民科学を取り入れることの重要性を強調した。

 アフリカ諸国への資金動員の手段としては、ブレンデッドファイナンスの他、国際的な化石燃料取引、海運、航空に対する炭素税の導入と、国際規模の金融取引税(FTT)を提唱。公的機関の歳入を強化する案を示した。さらに、国際租税協力を促進し、アフリカから域外への利益移転を現状の年間法人税収270億米ドルから、2030年までに50%以上、2050年までに75%削減することを目標として設定した。債務危機への予防策として、国債の償還期間延長と、10年間の猶予期間も提唱した。

 また同サミットでは、米ジョン・ケリー気候担当大統領特使は、バイデン政権が掲げる「PREPARE」イニシアチブの一環として、気候変動適応支援に毎年30億米ドル(約4,500億円)を拠出することをあらためて強調。さらに、アフリカ全域の気候スマート農業に追加で3,000万米ドルを拠出することも表明した。

【参考】【国際】米政府、アフリカへ7.5兆円以上の資金動員発表。米アフリカ首脳会議(2022年12月16日)

 EUのフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、国際開発金融機関の改革を全面的に支持しつつ、EU外交戦略「グローバル・ゲートウェイ」でアフリカ地域に1,500億ユーロ(約24兆円)を動員することをあらためて表明した。

 日本からは国際協力機構(JICA)が参加するにとどまった模様。

【参考】【EU】欧州委とEU外相、グローバル・ゲートウェイ外交戦略発表。中国の一帯一路に対抗か(2021年12月5日)

 国際エネルギー機関(IEA)とアフリカ開発銀行は9月6日、同サミットのサイドイベントの中で、報告書を発表。アフリカでの気候変動目標を達成するには、2030年までにエネルギー投資を2倍以上となる年間250億米ドル、その約3分の2を再生可能エネルギーに回す必要があると表明した。重要施策は、リスクマネーの供給と、民間資本を呼び込むための投資リスク軽減に向け、官民双方及び国内外の協調と支援が必要とした。

 また、2030年までに900億米ドルの民間資本を動員するには、現状の10倍以上となる年間約280億米ドルの譲許的資金が必要と指摘。この数値がナイロビ宣言でも言及されている。アフリカの地域金融機関の役割も極めて重要となるとした。

 さらに、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)も9月4日、ケニア、デンマーク、ドイツ、アラブ首長国連邦(UAE)と共同で、アフリカにおける再生可能エネルギー拡大のためパートナーシップ「Accelerated Partnership for Renewables in Africa(APRA)」を発足させている。

 IRENAの調査では、1.5℃シナリオが実現された場合、2050年までの平均で現在の計画よりもGDPは6.4%、雇用は3.5%、福祉指数は25.4%高くなると予測。豊富な再生可能エネルギーと鉱物資源を活用することの重要性を訴えた。

 同パートナーシップには、アフリカからは、エチオピア、ナミビア、ルワンダ、シエラレオネ、ジンバブエの5カ国が加盟。「資金の動員」「技術支援とキャパシティ・ビルディング」「民間セクターとの協業」の3つのテーマに焦点を当て支援が実施される。同時に、他の国々や公共セクターと民間セクターに対し、同パートナーシップへの加盟を呼びかけた。

【参照ページ】Africa Climate Summit: Nairobi Declaration makes strong push for accelerated climate action and financing mechanisms
【参照ページ】THE AFRICAN LEADERS NAIROBI DECLARATION ON CLIMATE CHANGE AND CALL TO ACTION
【参照ページ】United States Announces Key Investments During Africa Climate Summit
【参照ページ】Speech by President von der Leyen at the Africa Climate Summit
【参照ページ】Doubling energy investment in Africa requires urgent action to bring down financing costs and boost access to capital
【参照ページ】Kenya Spearheads Landmark Renewable Energy Initiative at Africa Climate Summit
【画像】UN

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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