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【国際】NGFS、中銀と金融当局向けに自然関連金融リスクで概念フレームワーク発行。リスク整理

 気候変動に関する金融リスクを検討するための中央銀行・金融当局ネットワーク「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(Network for Greening the Financial System;NGFS)」は9月7日、中央銀行と金融当局向けに「自然関連金融リスクに関する概念フレームワーク」のベータ版を発行した。

 NGFSは2021年4月、独立環境シンクタンクInternational Network for Sustainable Financial Policy Insights, Research, and Exchange(INSPIRE)と合同で、生物多様性と金融安定化に関する研究グループを発足。2022年3月に報告書を発表し、自然資本(生物多様性喪失)を金融リスクと認識していた。

【参考】【国際】NGFS、生物多様性喪失を金融リスクと認識。中央銀行・金融当局での対策必要(2022年4月9日)

 今回の概念フレームワークは、中央銀行と金融当局での科学的根拠に基づく共通理解と共通言語を創出することを目的に、主要な概念の意義と、自然資本リスクが金融リスクへと相互連関する在り方を整理したもの。リスクの連関では、フランス銀行のロマン・スヴァルツマン氏らが2021年に整理した図を採用した。


(出所)NGFS

 リスク評価の枠組みとしては、「物理的リスク及び移行リスクの発生源の特定」「経済リスクの評価」「金融システムへのリスク、金融システムからのリスク、金融システム内のリスク」の評価の3段階で実施する手法を提示した。この手法は、NGFSが気候変動の金融リスクシナリオを作成したものと同じと言える。経済リスクの評価では、セクター毎に重点を置くアプローチを採用し、特に農林水産業、金属・資源採掘、発電、アパレル、化学、医薬品、建設・インフラを重点的に扱うとした。

 将来のリスク波及を考えていく上で、複合効果やカスケード効果も考慮し、相互のリスクが加速度的に悪化していくことも想定すべきとした。さらに、気候変動と自然のネクサス(つながり)にも言及し、ネクサスの内容としては、「気候変動が自然リスクに与える影響」「自然破壊が気候変動リスクに与える影響」「気候変動緩和・適応対策が自然リスクに与える影響」「自然対策が気候変動リスクを減少させる影響」の4つを示した。

 NGFSは今後、継続的に概念フレームワークを向上していくとともに、リスク評価に必要となるデータ類の特定、重大な金融リスクとなりうる生態系や生態系サービスの特定、気候変動と自然のネクサスの分析、バリューチェーン全体の波及していく経済リスクの評価方法の開発の4つをタスクとして認識。これらをクリアにしつつ、気候変動と同様に、自然関連金融リスクシナリオを作成していく考えを表明した。

【参照ページ】NGFS publishes Conceptual Framework for Nature-related Financial Risks at launch event in Paris
【参照ページ】A “Silent Spring” for the Financial System? Exploring Biodiversity-Related Financial Risks in France

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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