国際的な気候変動情報開示推進NGOのCDPは9月5日、9月9日と10日に開催されるインド・ニューデリーでのG20サミットを前に、G20諸国で自然資本(生物多様性)観点での企業情報開示ルールの導入が遅れていると指摘する声明を発表した。
CDPは今回、国連生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)で採択された「昆明-モントリオール生物多様性枠組」の目標15で、2030年までに企業や金融機関が生物多様性に関するリスク、依存、インパクトを開示することを義務付けることにコミットしているが、制度化が遅れていることを突いた形。G20のうち、気候変動の情報開示ルールを導入している国は半数を超えるが、水関連では40%、生物多様性関連ではEU、ブラジル、インドネシアのみとした。
【参考】【国際】生物多様性条約COP15、昆明-モントリオール生物多様性枠組を採択。ポスト愛知目標も確定(2022年12月20日)
CDPは今回、高品質義務的情報開示(HQMD)のための10原則を策定し、G20に採用を提唱した。同原則は、CDPの他、Ceres、Business for Nature、ClientEarth、Climate & Company、China Water Risk、ftec、欧州環境財団、GRI、IFS Beijing、国際金融公社(IFC)、Minderoo Foundation、オックスフォード大学、ピュー慈善信託が策定プロセスに参加した。
- 総合的な環境アプローチにより、人と地球に対するリスク、機会、依存、インパクトに対処し、環境インテグリティを確保する。
- グローバルな情報開示基準を基礎とし、国・地域間の情報開示制度の一貫性と相互運用性を確保する。
- 各国・地域内の政策横断で、開示要件における政策の一貫性を確保する。
- 科学的根拠に基づく。
- すべての企業及び金融機関を対象とする・
- 気候変動、水、自然の移行計画の開示に関する期待を含める。
- 品質と信頼性を確保し、外部保証への期待を設定する。
- 実践メカニズムを提供する。
- コーポレートガバナンス機関の役割を強化する。
- イノベーションと開示の成熟度を高めるための環境を促進する。
また、気候変動開示ルールに関しても、G20全体で急速に標準化されつつあるものの、国・地域の中には、そのルール適用対象が限られていたり、スコープ3排出量や科学的根拠に沿った信頼できる移行計画(トランジション・プラン)等がルールに盛り込まれていないことも問題視した。
【参照ページ】Majority of G20 countries lack policies on nature-related disclosure, despite COP15 commitments
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