環境省は8月9日、使用済紙おむつの再生利用を促進するため、検討結果を発表した。
日本では現在、大人用紙おむつの消費量が、高齢化に伴い年々増加しており、推計によれば、一般廃棄物に占める割合は、2020年度時点では約5%だったが、2030年度頃には約7%にまで増加する見込み。廃棄される使用済紙おむつの多くは、市区町村等の廃棄物処理施設において焼却処分されている状況。
そこで環境省は2019年、「紙おむつリサイクルガイドライン策定に関する検討会」を設置。全国有料老人ホーム協会、日本環境衛生センター、日本衛生材料工業連合会、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会等も委員となり、2020年3月に「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」をまとめていた。
同ガイドラインでは、紙おむつは、素材としては上質パルプ、樹脂、高分子吸収材から構成されており、リサイクルによりパルプ等の有効利用が可能と説明。一般廃棄物処理を担当している市区町村等に対し、リサイクルを促していた。その際、おむつ大手ユニ・チャームも、鹿児島県志布志市で、おむつのクローズド・ループ・リサイクル・モデルを確立し、日本全国に展開する意気込みをみせていた。
今回の検討結果は、あらためて、地方自治体、使用済紙おむつ再生利用等事業者、保育施設従事者、保護者等への関係者へのヒアリングを実施の上で、メリットや課題を整理した。現状では使用済み紙おむつの再生利用を実施ている自治体は1%から2%にとどまり、ガイドラインの存在を知らなかった自治体も37.4%に達した。課題としては、処理コスト、リサイクル技術の確立、物流ネットワーク、家庭からの分別しやすい仕組みづくり等があがった。
環境省は現在、2030年度までに再生利用の実施や検討を行った自治体を100にまで持っていきたい考え。但し「検討」のみの自治体もカウントに加えているところが弱気に映る。今後、環境省の企画能力が問われる。
【参照ページ】使用済紙おむつの再生利用等の促進に関するプロジェクトの検討結果取りまとめについて
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