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【国際】森林破壊伴う事業は「座礁資産化」、CDP警鐘。2022年にはスイス国土分の熱帯雨林喪失

 国際的な気候変動情報開示推進NGOのCDPは7月6日、企業の森林破壊リスクを分析した「Global Forests Report 2023」を発表した。リスク軽減で十分なアクションをとっている企業は10%しかないと警鐘を鳴らした。

 世界資源研究所(WRI)によると、米メリーランド大学の新データに基づき算出すると、2022年に熱帯雨林原生林の減少量は4.1万km2でスイスの国土に相当。2021年の減少量と比べ10%も減少量が増加した。熱帯雨林消失による二酸化炭素排出量は、インドの年間の化石燃料からの排出量に匹敵する2.7GW。

 熱帯雨林消失面積の国別割合では、ブラジルが43.1%、コンゴ民主共和国が12.5%、ボリビアが9.4%、インドネシアが5.6%、ペルーが3.9%、コロンビアが3.1%、ラオスが2.3%、カメルーンが1.3%、パプアニューギニアが1.8%、マレーシアが1.7%。ガーナやボリビア等で急速に増加。ブラジルとコンゴ民主共和国でも一次林の減少が加速した。一方、インドネシアとマレーシアでは、原生林の減少率が記録的低水準となった。

 2022年にCDPフォレストに回答した企業は、過去最多の1,043社。60%以上の企業が、森林破壊によるリスクを何らか公表しており、企業は平均3億3,000万米ドルのリスクにさらされていることがわかった。全体のリスクとしては約800億米ドル(約11兆円)にも上る。

 対策の状況では、約90%の企業が、森林破壊ゼロへの移行準備ができておらず、EUや英国での法規制にも対応する用意が整っていない。CDPは、リスクの高い業種として、素材、食料・農林業、製造業、小売の4つを特定しているが、特に小売企業の対策が遅れているという。また、欧州に比べ、北米の対策状況が遅れている。

【参考】【EU】森林破壊・森林劣化規則が成立。7品目にデューデリ義務。猶予期間は18ヶ月。違反時は巨額罰金も(2023年5月18日)

 CDPは、1社当たり平均3億3,000万米ドルのリスクに対し、対策コストは1,740万米ドルと安価にとどまる。加えて、森林破壊のない未来から得られる年間経済利益は、2030年までに8,950億米ドルと推定され、年間4,400億米ドルの環境コスト削減が最大の要因。企業が行動を起こさないことは、CDPは、対策しないことに関しては、「経済的にも環境的にも理由がない」と述べた。

 CDPは今回、金融機関に対し、森林破壊を「新たな石炭」とみなすよう要請。森林破壊を伴う事業が、座礁資産化しつつあると示唆した。

【参照ページ】Companies acknowledge it’s cheaper to mitigate risk caused by deforestation but just 1 in every 10 report taking sufficient action to do so.
【参照ページ】Forest Pulse: The Latest on the World’s Forests

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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