世界気象機関(WMO)は7月10日、7月7日の世界平均気温は17.24℃に到達し、過去最高だった2016年8月26日の16.94℃を0.3℃も上回ったと発表した。日本の気象庁が解析データ「JRA-3Q」をWMOにを提出し、WMOが暫定発表した。
日毎の平均気温のデータは、人工衛星等からの観測とコンピューターモデルのシミュレーションを組み合わせた再解析と呼ばれるデータセットが用いられている。WMOは、再解析データセットと陸上観測所や船舶からの全球観測データを組み合わせて、年次報告書や世界気温の評価に使用。そのため今回の発表も暫定的なもので、今後陸上や船舶の観測データと組み合わせて最終判断する。すでに、EUのコペルニクス気候変動サービスの「ECMWF ERA5」データの予備データとは一致しているという。
WMOとEUコペルニクス気候変動サービスが発表した報告書によると、2023年6月は1991年から2020年の30年間の平均を0.5℃強上回り、過去最高の2019年6月の記録を更新。特に、北米、アジア、オーストラリア東部で記録的な暑さを観測した。一方、オーストラリア西部、米国西部、ロシア西部では平均より低く、地球全体でばらつきはある。
海氷の状況では、6月の南極海の海氷域面積は、人工衛星観測史上最小となり、平年を17%下回った。人工衛星観測開始以来の長期平均値と比較すると、約260万km2減少、2022年の前回記録と比較すると約120万km2減少した。一方、北極海では過去8年間の6月の海氷面積を大きく上回った。
WMOは7月4日には、太平洋熱帯域で7年ぶりにエルニーニョ現象が発生したことも宣言。90%の確立で、2023年後半にも継続していると予測した。その上で、今回、「私たちは未知の領域におり、エルニーニョがさらに発達し、これらの影響が2024年まで拡大するにつれて、より多くの記録が更新されることが予想される」とコメントしている。
WMOのペッテリ・タアラス事務局長は7月13日、「温暖化する気候の中でますます頻発する異常気象は、人間の健康、生態系、経済、農業、エネルギー、水の供給に大きな影響を与えている。このことは、温室効果ガスの排出を可能な限り迅速かつ深く削減することの緊急性が高まっていることを示している」と表明。同時に気候変動適応も進める必要性も強調した。
対策面では、WMOは6月、欧州を舞台に、気象の変化がエネルギー供給に及ぼす分析結果も発表している。近年、太陽光発電の表面日射量、風力発電の風速、水力発電の降水量と流出量が増加し、再生可能エネルギーのポテンシャルが拡大していることを伝えた。原子力発電に関しては、河川流量の低下、気温の上昇、極端な暑さが主な要因となり、稼働率が低下するリスクが長期的に高まることを伝えている。
【参照ページ】Preliminary data shows hottest week on record. Unprecedented sea surface temperatures and Antarctic sea ice loss
【参照ページ】Extreme heat, rainfall highlight need for more climate action
【参照ページ】World Meteorological Organization declares onset of El Niño conditions
【参照ページ】Climate change impacts scar Europe, but increase in renewables signals hope for future
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