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【EU】欧州委、気候変動以外のEU環境タクソノミー承認。6テーマ出揃う。ESG評価機関規制も

 欧州委員会は6月13日、サステナブルファイナンスを強化する新たな政策パッケージを採択した。気候変動以外のEU環境タクソノミーを承認した。

【参考】【EU】欧州委、気候変動以外4分野のEU環境タクソノミー案公表。パブコメ募集。農林水産業は先送り(2023年4月10日)

 新ルールでは、EUタクソノミー規則に基づく、EUタクソノミー気候委託法令の改正を決定。策定が完了していた「気候変動緩和」「気候変動適応」に加え、「持続可能な消費と水・海洋資源の保護」「サーキュラーエコノミーへの転換」「汚染防止と汚染管理」「生物多様性と生態系の保全及び再生」のタクソノミーが決まり、全6テーマが出揃った。

 改正委託法令は、今後4ヶ月間、欧州議会とEU理事会の異議申立て期間に入り、異議申立てがなければ、自動的に成立。2024年1月から発効、適用される。欧州議会とEU理事会の異議申立ては、2ヶ月間の延長要求が可能。異議申立てには、欧州議会では、全議員の過半数の353人以上の異議賛成が、EU理事会では、EU人口の65%以上を代表する20カ国以上・地域の国単位で72%以上の異議賛成が必要。

 今回のタクソノミー改定では、農林水産業の策定作業が間に合わず、先送りとなっている。先送り期限は未定。一方、航空業界のタクソノミーは初めて規定された。航空業界では、カーボンニュートラルは実現できないが、移行期間中のソリューションとなる新型機体導入により省エネ性能の向上や、持続可能な航空燃料(SAF)の導入等を適格対象とした。
 
 また、「トランジションファイナンス」に対する考え方も明確にした。今回、欧州委員会は、「トランジションファイナンス」を、「技術的・経済的に実現可能な低炭素の代替手段が現在存在しないが、それでも気候ニュートラル経済への移行に向けた大幅な改善が可能である事業へのファイナンス」と定義。期間としては、今後5年、場合によって例外的に今後10年とし、その間は、タクソノミー要件を満たすとの概念を整理。但し、その期間以降は、カーボンニュートラルを実現できるソリューションのみがタクソノミー適合となるとの考えをまとめた。欧州委員会は、トランジションファイナンスに適合する対象分野についても、EUタクソノミーに規定されているとの考えをとっており、「EUタクソノミーはグリーン分野。トランジションファイナンスはEUタクソノミーの外側」との立場を採っていない。

 タクソノミー適合の割合については、初期段階では、事業収益でレベルでは、整合する割合は低く、一方、設備投資に関しては比較的高くなるとの見通しを示した。欧州委員会としては、最初から100%を求めるよりも、まず設備投資で、次に事業収益で、タクソノミー適合割合が高まっていくかを注視してく計画。特に中小企業に関しては、低炭素措置から一歩を始める必要があるとの認識を示した。

 タクソノミーに関する企業報告では、制度が複雑化、企業側にも混乱を招いていることを問題視し、わかりやすく説明するガイド等の発行を続けていくことも決めた。

 さらに、今回の政策パッケージでは、新たにEU規則を制定し、EU域内の投資家や企業にサービス提供するESG評価機関への規制を強化することも掲げた。具体的には、欧州証券市場庁(ESMA)の認可が必要となり、監督を受けることになる。認可費用は、年間売上に基づいて決定。小規模評価機関には、経過措置が設けられる。ESG評価機関は、客観的で検証が可能な評価手法の導入が義務付けられ、評価手法は継続的に年1回以上レビューすることも義務化される。利益相反防止のガバナンス要件も求められる。

 さらに、透明性確保のため、ESG評価機関は、評価の方法論、評価モデル、主要な評価前提の公表が義務化。加えて、ESG評価の利用者及び評価対象企業に対し、評価手法、評価モデル、主要な評価前提に関する詳細な情報提供も求められる。

【参照ページ】Sustainable Finance: Commission takes further steps to boost investment for a sustainable future

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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