3Dプリンティングの環境サステナビリティ業界団体「積層造形事業者グリーン協会(AMGTA)」は4月11日、従来の製造法と比較で、ライフサイクル・アセスメント(LCA)を実施した結果を発表した。商業航空宇宙用の低圧タービンブラケットを評価対象とした。
今回のLCAでは、2つの分析を実施。まず、レーザー粉末床融合(LPBF)の積層造形(AM)と、従来のブラケット製造のエネルギー消費量の比較。もう一つが、航空機ライフサイクルでのブラケット重量の50%削減による二酸化炭素排出量の削減効果。調査・分析は、米ロチェスター工科大学のゴリサノ研究所に委託した。
結果、前者の比較に関しては、結論が出ず、中立的な結果となった。但し、LPBFについては、以前、従来の製造法よりエネルギー消費量が多いという過去分析があり、今回の調査で中立的な結果となったことは、3Dプリンティング陣営にとってはプラスとなった。また、どちらにとっても、使用するエネルギーの原単位排出量が重要となることがあらためて浮き彫りとなった。
一方、軽量化に関する比較では、明確に効果が確認された。積層造形設計による航空機部品の軽量化により、航空機の寿命が延びるにつれ、二酸化炭素排出量が劇的に減少し、1kg軽量化する毎に13,376kg削減できることが明らかとなった。
今回の分析は、2年間をかけて実施した。評価手法では、ReCiPe 2016のバージョン1.1中間点法、累積エネルギー需要v1.11、気候変動に関する政府間パネルのIPCC2021のGWP100法の3つのLCA手法を活用。複数の手法で検証した。結果、前者の比較分析では、3つの方法のうち2つは、従来のブラケットの方が製造に必要なエネルギーが少ないことがわかったが、1つの方法は、AM版の方が二酸化炭素の発生量が少ないという結果となった。結果の第三者検証は、ISO14040:2006に準拠し、EarthShift Globalが担当した。
【参照ページ】AMGTA Releases First Commissioned Research Paper
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