英環境・食糧・農村地域省は4月3日、新たな「水計画」を発表。水資源と水質の双方で新たな政策を掲げた。同省は1月に環境全般の政策大綱「環境改善計画2023」を発表しており、「水計画」は水分野を補完する5年実施計画を示している。
【参考】【イギリス】政府、自然資本の長期目標案発表。NGOは英年金基金の森林破壊リスクに警鐘(2022年3月26日)
水計画では、規制強化、取締、投資の3つで水資源と水質を長期的に変革していく方針を掲げている。
規制強化では、まず、プラスチックを含むウェットティッシュの販売禁止する方針を提示。今後パブリックコメントを募集し、法制化を目指す。ウェットティッシュのパッケージの「流せる」表示についても、関連する生産者と広告当局に注意通達を発出する。消火用フォームも含め、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)の使用制限も盛り込んだ。水道事業者が廃水処理での化学物質削減スケジュールも前倒しする。
水資源に関しては、貯水池や送水スキーム等の主要な水供給インフラを迅速に建設できるように制度改正を実施。水と洪水の計画を統合し、自然に対して最も大きな影響を与える場所に行動を向ける。水道事業者に、家庭用および非家庭用の水スマートメーターの設置を急速に増やす方法を検討するよう促進し、水需要を削減する。
取締強化では、環境破壊した水道事業者に対する罰金の対象拡大と罰金上限撤廃の法改正を実施。同日パブリックコメントの募集を開始した。それに関連し、同省の水道事業規制庁(Ofwat)は、水道事業者の役員報酬や配当支払基準に、環境サステナビリティを盛り込ませる。水質検査でも、水道事業者のライセンス料を増額し、検査目標を追加。また、環境庁(EA)とOfwatによる合同規制監督体制にシフトする。
投資では、豪雨での洪水対策で、水道事業社から11億ポンドの投資を見込む。水レジリエンス強化に4億ポンド、富栄養化対策に1.6億ポンドの予算も計上する。水道事業者への罰金資金を活用し、地域コミュニティや、蛇行河川の直線化、生物生息地の再生等のプロジェクトに資金を拠出する。水路や周辺の生態系を改善することを目的とした地域主導の計画を「長期的な流域アクションプラン」とし、同省が支援する。
畜産農家の家畜排泄物(スラリー)では、インフラ支援予算を3,400万ポンドにまで2倍以上に増額。農畜連携を進め、スラリーによる水質汚染を防ぐ。農地による貯水支援にも1,000万ポンドを追加で用意し、水消費対策を強化する。2023年には、660万ポンドの低地泥炭研究開発プログラムも発足し、低地泥炭地からの排出を削減する手法も検討する。
1月に発表した「環境改善計画2023」では、水分野では、不動産の新設や改修での節水行動を特定。漏水する水栓や紛らわしい二重水洗ボタンに対処するための建築規制等にも着手する。景観回復プロジェクトの第一ラウンドを通じて400マイルの河川を回復し、イングランドの河川沿いに3,000haの新たな森林を整備することも盛り込んだ。
同計画では、2030年までに農家の65%から80%が、各自の土地の10%から15%以上で持続可能な農法を採用することも掲げた。生垣では、2037年までに30,000マイル、2050年までに45,000マイルを造成もしくは復元するための支援も行う。また大気汚染防止の一環で、新規就農制度でのインセンティブで、アンモニア排出量削減要件を導入するとともに、環境許認可要件を酪農や集約型牛肉農場にも拡大することを検討する。
廃棄物では、プラスチック、ガラス、金属、紙、食品等、廃棄物を削減するための2028年までの新たな中間目標を定める。
また、2023年11月1日からは各省庁の各政策の中に環境サステナビリティを組み入れる「環境原則方針声明」も発表した。これにより、カーボンニュートラルとネイチャーポジティブを達成しにいく。
【参照ページ】New plan for cleaner and more plentiful water
【参照ページ】Ambitious roadmap for a cleaner, greener country
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