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【国際】任天堂、「Nintendo Switch」コントローラーの無償修理で欧州委と合意。米国でも集団訴訟

 任天堂は3月31日、ゲーム機「Nintendo Switch」と「Nintendo Switch Light」のコントローラーに対する修理権を全てのユーザーに無償で提供することで欧州委員会と合意した。ギリシャ開発投資省とドイツ環境庁が主導し、欧州委員会が調整を行っていた。

 同社は、2017年3月に「Nintendo Switch」を、2019年9月に「Nintendo Switch Lite」を発売。その直後から、専用コントローラー「Joy Con」が勝手に操作されてしまう技術的問題が発生し、一般的に「Joy Conドリフト」と呼ばれるようになった。

 同事案では、米法律事務所Chimicles Schwartz Kriner & Donaldson-Smith(CSK&D)が2019年7月、任天堂の米国法人に集団訴訟を米ワシントン州西部地区の連邦地方裁判所に提起。その3日後に、任天堂米国法人では、社内メモがで従業員にJoy Conの無償修理に応じるよう指示したことがわかっている。しかし、集団訴訟を起こした原告側は、修理の必要性を知りながらJoy Conを提供し続けたことそのものを問題視し、訴訟を取り下げなかった。

 欧州では、欧州消費者団体「欧州消費者機構(BEUC)」で同事案の問題提起がされてきた。2020年2月にはBEUCのベルギー加盟団体Test Achats/Test Ankoopが任天堂に是正の書簡を送付。同9月には、フランス加盟団体UFC Que Choisirが任天堂を提訴。2021年1月には英加盟団体Which?も消費者の声の収集を開始した。そして、2020年末、フランス、ベルギー、ギリシャ、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スロバキア、スロベニアの8ヶ国の加盟団体が、消費者に対する共通アンケートを実施し、約25,000件の苦情証言が集まった。それを受けBEUCは2021年1月、EU消費者保護協力規則に基づき、欧州委員会と、欧州当局団体の消費者保護協力ネットワーク(CPCネットワーク)に対し、事案に対処するよう求める書簡を提出していた。

 任天堂は当初、1年間の製品保証期間内の無償修理にのみ責任を負うと主張。期間外の修理は、消費者に45ユーロの修理費用を請求するとしていた。その後、フランスとベルギーでは、消費者団体からの批判を受け、製品保証を2年間に拡大していたが、恒久的な無償修理対応には否定的な立場だった。

 今回の欧州委員会の発表は、同事案の最終解決を伝えるもの。任天堂が無償修理で合意したことをBEUCも歓迎した。また、今回の欧州委員会の発表では、3月22日に欧州委員会が採択したばかりのEU指令案で、メーカーの修理義務を確立しにいくことにも言及。同時に消費者側に対しても、消費者権利指令を改正し、修理に関する情報提供が受けられるルールも確立しようとしている。

【参考】【EU】欧州委、消費者の修理権で新たなEU指令案発表。メーカーや修理事業者向けの新ルール(2023年3月26日)
【参考】【EU】欧州委、「サステナブル製品イニシアチブ」発表。消費者訴求や製品規格のルール刷新へ(2022年4月2日)

 米国での集団訴訟では、連邦地方裁判所は受理した上で、現在も個別仲裁の審理が続いている。また米国やカナダで他の集団訴訟も起こされている。

【参照ページ】Consumer protection: Nintendo agrees to offer free repairs of irresponsive Nintendo Switch controllers
【参照ページ】Nintendo commits to EU-wide remedy for consumers following a BEUC action
【参照ページ】Diaz v. NINTENDO OF AMERICA, INC.

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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