欧州委員会は1月24日、食料安全保障強化のため、送粉者減少を防止する新たな政策「送粉者のためのニューディール」を発表した。2030年までに送粉者の増加に転じさせにいく。今後、欧州議会とEU理事会との調整に入る。
今回の政策は、欧州委員会が2022年6月に発表した自然再生法制定に向けた動きの一環。「送粉者のためのニューディール」は、2018年に発表した「EU送粉者イニシアチブ」に置き換わるものとなる。EUでは、送粉者となるハチ、チョウ、ホバリングフライの3種に1種が消滅。欧州市民イニシアチブ「ミツバチと農家を救え」からも、送粉者の減少に断固とした政策を求める声が上がっていた。
【参考】【EU】欧州委、自然再生法と農薬50%減で政策発表。生物多様性戦略を具体化(2022年6月24日)
具体的に掲げた政策の方向性は、まず、EU生息地指令に基づき、欧州委員会が送粉者保護計画をまとめ、加盟国が保護すべき種を特定。加盟国と共同で送粉者のための生態的回廊ネットワーク「バズ・ライン」の青写真を作成する。また、共通農業政策(CAP)の下での送粉者を考慮した農業への転換を実現。特に、総合的病害虫管理(IPM)の法的要件や、送粉者に対する農薬の毒性を判定するための試験方法の改訂等も狙う。
さらに、気候変動、侵略的外来種、殺生物剤、光害等の脅威が送粉者に与える影響にも対処。都市部での送粉者の生態系保護も強化する。
また同政策では、知見の向上にも重点を置く。包括的なモニタリングシステムの確立、2025年までに主要な送粉者の生息地マッピング等の研究や評価手法開発の支援等も行う。さらに社会実装するための、社会動員として、市民や企業の意識向上と行動変容も支援する。
【参照ページ】Food security and ecosystem resilience: Commission boosts action on pollinators
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