半導体世界大手米インテルとカナダ人工知能(AI)研究機関Milaは9月14日、新素材の発見、気候変動、デジタル生物学等、地球規模の課題解決に資する高度な人工知能(AI)技術の開発で3年間の協働を発表した。
両者は、もともと2021年に協働を開始。今回は同プロジェクトを倍の規模に拡大したもの。両者から合計20名以上の研究者が参画する。
新素材の発見の分野では、グラフデータに深層学習の仕組みを取り入れたグラフニューラルネットワーク(GNN)技術を活用。人工知能(AI)を取り入れることで、複雑な素材特性の化学シミュレーションを安価で迅速に行うことができる。
両者は、原子論的シミュレーションでGNN性能を向上させるイノベーション開発で協働。素材設計アプリケーションでの効率的な検索を可能にする機械学習型フレームワークの作成を進める。同フレームワークでは、強化学習、探索アルゴリズム、生成モデル、Mila開発の生成フローネットワーク等、機械学習アルゴリズムを利用できる。
気候変動の分野では、因果的機械学習を活用し、気候変動による影響予測の精度を高める。通常の物理学に基づく気候モデルでは、予測の基盤となる論拠や因果関係を説明できず、モデルが複雑で計算コストも高い。因果的機械学習では、予測変数を特定することで、信頼性の高い予測を実現する。
デジタル生物学の分野では、病気の分子的要因の研究と創薬の加速で協働。ビッグデータを活用し、ゲノム中のすべての一塩基多型(SNP)が表現型に及ぼす因果関係の共同学習を行う。これにより、病気の背景にある分子的要因の理解と、SNPsの遺伝子型に基づく病気を含む複雑な表現型を予測。また最も有望な薬剤分子の特定を、迅速かつ従来比で大幅にコスト削減し、実現することを目指す。
【参照ページ】Intel and Mila Join Forces for Responsible AI
【画像】Intel
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