ドイツ連邦議会(下院)は7月7日、再生可能エネルギーの導入拡大を規定した再生可能エネルギー法改正案(EEG)を、賛成379、反対281の賛成多数で可決した。7月8日にはドイツ連邦参議院(上院)も通過し、同法が成立した。2000年の同法成立以来の大胆な改正となった。
同改正法では、2030年までに電力消費に占める再生可能エネルギー割合を80%に引き上げることを明記した。2045年までに同国を気候変動に左右されずない国へと発展させ、ロシアの化石燃料から脱却させることも掲げた。
但し、2030年までに電力をほぼカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にするという文言は最終的に削除された。ロシアのウクライナ戦争を受け、連立与党を構成する自由民主党(FDP)が難色を示したため。その替わり、石炭火力発電所の全面廃止後に、カーボンニュートラルを目指したいという言葉が入った。
再生可能エネルギーの拡大目標は、政府案のまま成立。2030年までに陸上風力発電の設備容量を115GWに倍増。洋上風力発電も30GW。太陽光発電でも、現状から3.5倍以上の215GWとした。
新設に向けては、ドイツ領土の2%を陸上風力発電に利用できるようにすることを義務化。そのため、各州政府は、2032年末までに、1.8%から2.2%の面積を陸上風力発電用に確保しなければならない。現在ドイツでは、国土面積の0.8%が風力発電用に指定されているが、実際に利用されているのは0.5%。同法では、州間の融通措置も認めており、目標を超過した州が、未達の州に有料で達成枠を販売することも可能。但し他州からの調達は、50%が上限。それでも政府原案の35%からは拡大された。
洋上風力では、今回成立した洋上風力発電法で、500MW以上のプロジェクトでは入札制度の対象とすることを決定。さらに、海洋保護区では、保護区以外で設置が困難となった場合にのみ洋上風力発電の検討が可能となる。また、EU域外の投資家の出資については厳格な調査が実施され、場合によっては入札から排除される可能性もある。将来的には、2035年までに40GW、2045年までに70GW以上の目標も設定した。
太陽光発電でも、高速道路の空きスペースでの設置や、湖沼での浮体式太陽光発電の導入、草地での太陽光発電導入の容認等を盛り込み、導入促進が図られた。
蓄電発電所に関しても、「イノベーション入札」と呼ばれるオークションの件数を増やす予定。グリーン水素の入札量も初めて増額が決まり、2023年には約800MWが入札、その後2026年まで毎年200MWが入札される予定。
入札に関しては、石炭火力発電全廃以降は、全て市場主導型に移行することも決めた。2024年3月末までに市場主導型での資金調達方法についての政策案を提示することを政府に求めた。また、同法では、差金決済取引(CFD)等の案も検討されたが、導入は見送られた。その代わり、電力消費量に多い企業に対し、十分な再生可能エネルギー電力を供給するための産業法人向け特別な電力価格制度の設定が盛り込まれた。
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