資源採掘業界モニタリングNGO「責任ある採掘財団(RMF)」は6月10日、資源採掘世界大手のESGパフォーマンスを向上させるため、業界への提言を示した報告書を発行した。
RMFは、隔年で資源採掘世界のESGパフォーマンスを独自に評価した結果を発表している。2022年2月に発表された「責任ある資源採掘インデックス」の2022年版では、資源採掘大手40社と250の鉱山現場が対象。94%の鉱山現場が、基本的なESG課題15項目の平均スコアが20%未満という低い結果だった。
また、RMIの2018年版、2020年版、2022年版の推移でも、2018年から2020年でスコアが平均17%上昇、2020年から2022年でも平均11%情報したものの、改善は遅い。
【参考】【国際】責任ある採掘財団の2022年報告書、94%の鉱山現場で低スコア。ESG課題多い(2022年3月18日)
そこで、今回の報告書は、常態化している低ESGのパフォーマンスを改善するため、構造的な課題に対処するための4つの提言を示した。
まず、ESG主導のビジネスモデルの実現。ESG課題に対する説明責任と主体性が全部門に浸透し、経営レベルでの統合ができて初めて、高パフォーマンスになれると指摘。一方、現状では、投資家向けの情報開示として、チェックボックス的な慣行にとどまっていることが多いと批判した。
2つ目は、情報の透明性の確保。鉱山データや、企業のアクション内容、パフォーマンス等、多くのデータをあらゆるステークホルダーに公開することで、情報の非対称性を埋められるとした。
3つ目は、企業が与える悪影響に対する権利的な対処アプローチ。Social License to Operateという次元ではなく、影響を及ぼすステークホルダーや環境に対しポジティブなインパクトをもたらす次元までマネジメントレベルを引き上げることが重要とした。そのため、成功事例だけでなく、救済措置、再発防止内容等の真摯な対応と情報の開示が重要とした。
4つ目は、資源採掘国と企業本社所在国の双方の政府の協調。主要な資源採掘国が全ての鉱山での労働安全衛生に関する条約を批准することも提言した。
【参照ページ】Closing the gaps
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