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【EU】EU理事会、再エネ割合40%への引上げで合意。データセンターも省エネ対象

 EU上院の役割を果たすEU加盟国閣僚級のEU理事会は6月27日、欧州委員会が提案した「Fit for 55」政策パッケージで協議中の再生可能エネルギー指令と、エネルギー効率指令に関する方向性で合意した。今後、欧州議会及び欧州委員会との政治的合意に向けた調整に入る。

【参考】【EU】欧州委、包括的気候産業規制「Fit for 55」採択。国境炭素税も盛り込む。大企業賛同(2021年7月15日)
【参考】【EU】欧州議会、欧州委のFit for 55で規制内容のさらなる強化要請。国境炭素税の前倒しも(2022年6月11日)

 今回のEU理事会は、再生可能エネルギー指令の改正に関し、2030年までにエネルギー全体にしめる再生可能エネルギー割合を現行の32%から40%へと引き上げる欧州委員会の提案を原案通り支持。また、再生可能エネルギーの導入が遅れている分野に関し、さらに野心的な分野別の目標と対策を設定することにも合意した。

 交通・輸送での分野別目標に関しては、2つのオプションをEU加盟国が選択できる案で合意した。オプションは、2030年までに交通・運輸部門の原単位排出量を13%削減することを義務化、もしくは2030年までに交通・運輸での最終エネルギー消費量のうち、29%以上を再生可能エネルギー源とすることを義務化。交通・運輸部門での再生可能エネルギーでは、先進バイオ燃料を、2022年に0.2%、2025年に1%、2030年に4.4%と設定することでも合意。また、非生物起源の再生可能燃料(主に再生可能水素と水素ベースの合成燃料)に関しては、2.6%を目標として設定することで合意した。海運セクター個別では、最終エネルギー最終消費量に上限を設け、特定輸送目標の計算に含めることで合意した。

 冷暖房では、再生可能エネルギー目標を段階的に引き上げることで合意。2026年までに国単位で年間0.8%、2026年から2030年は年間1.1%増加することの義務化で合意。全加盟国に適用される年平均の最低引上率は、各加盟国ごとに特別に算出される追加の指標的引上率で補完される。

 工業等の産業界では、再生可能エネルギー使用量を年平均1.1%増加する目標を設定。また、産業界で使用する水素に関しては、バイオ発電を除いたグリーン水素に限定した目標を設定し、2030年までに35%、2035年までに50%とすることで合意した。

 建物では、2030年までに再生可能エネルギーの割合を49%以上とする。

 バイオエネルギーに関しては、サステナビリティ基準を強化することで合意。また、バイオ燃料の耐久性に関する不正行為を規制する措置も設ける。

 エネルギー効率指令では、2030年までにEU全体で最終エネルギー消費で36%削減を義務化。一次エネルギー消費では39%削減を参照目標とする。加盟国単位では、2023年と2024年に更新される統合国家エネルギー・気候計画(NECPs)で、EU全体の目標に整合する目標を設定する。目標達成しない加盟国は、予算面での罰則を設ける。

 最終エネルギー消費の削減では、省エネ目標を段階的に引き上げることでも合意。各加盟国は、年間最終エネルギー消費を、2024年1月1日からは1.1%、2026年1月1日から1.3%、2028年1月1日から2030年12月31日までは1.5%を削減し、超過削減分の最大10%を次の期間に繰り越すことができるようルールも設ける。産業部門での化石燃料燃焼技術によるエネルギー削減は、第三者監査を受けたデータのみを算出することができる。

 公共部門の省エネでも、年間1.7%の削減、あるいは公共交通機関と軍隊を除外し1.9%の削減を義務化することで合意した。同義務は、規制発効から4年後に、大規模自治体から徐々に適用される。加えて、公共団体が所有する建物の総床面積の3%以上を毎年省エネ改修することも義務化する。

 データセンターのエネルギー消費の透明性に関する規定も新設する。データセンターは2024年から毎年、エネルギー消費に関する情報を公表することが義務化。欧州委員会は、データセンターのエネルギー消費に関する情報をまとめたEUの公的データベースを作成する。

 EU理事会は同日、別途、短期的なエネルギー危機への対策のため、EU域内のガス貯蔵を強化する規則でも合意。同規則は、すでに欧州議会で可決されているため、今回の合意で規則が決定した。各加盟国の領域内にある地下ガス貯蔵所を、2022年冬季までに80%以上、2023年冬期までに90%まで充填することを義務化。EU全体では、2022年中にEU内の地下ガス貯蔵容量の85%を満たすことを努力目標とする。義務期間は2025年12月31日までとした。

 同ルールでは、液化天然ガス(LNG)や代替燃料の備蓄を幅広くカウントできる。また、貯蔵能力が大きい加盟国に配慮し、義務化の上限は過去5年間の平均年間ガス消費量の35%とする。自国に貯蔵施設を持たない加盟国は、年間国内ガス消費量の15%を、他の加盟国に依頼して備蓄することが義務化された。地下ガス貯蔵施設の運営者には、安全保障上の認証の取得を義務化するルールも永続的に導入する。2020年と2021年にEU平均を下回るレベルで充填された3.5TWh以上の容量を持つ貯蔵施設が対象となる。但し、キプロス、マルタ、アイルランドに関しては、他の加盟国のガスシステムと直接相互接続されていない限り、備蓄義務が免除される。

【参照ページ】"Fit for 55": Council agrees on higher targets for renewables and energy efficiency
【参照ページ】Council adopts regulation on gas storage

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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