経済産業省の蓄電池産業戦略検討官民協議会は4月22日、バッテリー産業政策に関する中間とりまとめを発表。リチウムバッテリーの日本企業のグローバルでの生産能力を2030年までに600GWhを目指すとした。現状比で10倍の規模。日本企業の大規模投資が不可欠となる。
同省は、3月の第3回会議の中で、日本の官民が従来戦略として掲げてきた全固体電池集中戦略を失敗と判断。さらに、内向き志向の政策であり、グローバル市場の成長を十分に取り込めてこなかったとし、技術と市場の双方で失敗を認めた形となった。
【参考】【日本】経産省、全固体電池集中のバッテリー戦略を失敗と判断。日本企業は市場撤退のおそれ(2022年3月30日)
(出所)経済産業省
これに対し、今回打ち出した方向性は、リチウムバッテリーの生産能力を2030年までに国内で150GWh、グローバル全体で600GWh。国内の3倍を海外で生産する姿勢を示した。これまで海外生産には及び腰だった日本企業にとって大きな方向転換となり、実現できるかは未知数。また、600GWhの根拠を、2030年の世界市場が3000GWhまで拡大した場合のシェア20%とし、これを達成できなければ、標準化・国際的なルール形成での影響力を確保できなくなるとの見通しも示した。
経済産業省としては、令和3年度補正予算で1,000億円の予算を確保。海外での大型投資では、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、産業革新投資機構(JIC)等の政府系金融機関の支援も積極化するという。その数十倍もの民間投資が企業には必要となる。
原材料の確保では、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の出資を検討。化石燃料の確保も含めて、JOGMEC頼みの状況がバッテリー分野にも広がってくる。
リサイクル・リユースの促進と、サプライチェーンでのサステナビリティ確保も大きく打ち出した。リサイクル技術の開発、使用済み電池の性能評価の促進、リユース・リサイクルしやすい蓄電池の開発等を進め、2030年までに国内のリサイクルシステムを確立することを目指す。サステナビリティでは、カーボンフットプリントの算出、サプライチェーン上のリスク評価・低減、データ流通の仕組みについて検討。今年度から試行的な取組を開始するという。
【参照ページ】第4回蓄電池産業戦略検討官民協議会
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