国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)は8月16日、気候変動の物理的リスクを不動産市場が織り込んでいる程度を分析した調査レポートを発表した。調査には、英レディング大学ヘンリービジネススクール、カナダのヨーク大学シューリッヒ・ビジネススクールのブルックフィールド不動産・インフラセンターが協力した。
今回の調査では、異常気象や海面上昇等の物理的リスクと不動産価格や市場行動の変化に関する文献調査を実施。結果、物理的リスクがバリュエーションに影響を与える経路は見えてきたが、データや論文が不足しており、不動産投資での組み込み度合いは不明瞭という結論となった。既存の論文も、ハリケーンの影響が出ている米国に集中している状況で、それ以外の地域では論文も非常に少なかった。
バリュエーションに与える経路は、キャッシュフロー、キャップレート、資本コストの3つ。既存の割引キャッシュフロー(DCF)法のフレームワークで十分にバリュエーションに反映されうることがみえてきた。
同レポートは、物理的リスクがアセットアロケーションの決定に影響を及ぼす可能性があることを投資家たちは認識してきているが、現在および将来の気候変動リスクへのエクスポージャー、市場心理、資産価値および価格設定に影響を及ぼしているかを判定するための、実証研究やデータセットが乏しいと言及。同分野においては、データフローを確立することが、投資家、保険会社、不動産オーナー、規制当局、政府の行動に影響を与えるには重要と説いた。
【参照ページ】NEW REPORT EXAMINES HOW REAL ESTATE MARKETS RESPOND TO PHYSICAL IMPACTS OF CLIMATE RISK
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