スイス連邦経済省は10月16日、OECD多国籍企業行動指針に基づき設置された同国相談窓口「NCP」が、スイス金融大手クレディ・スイスを相手取り起こしたドイツ人権NGOのSociety for Threatened Peopleの通報について、双方が調停に達したと発表した。これに基づき、クレディ・スイスは、プロジェクファイナンスに関する内部ガイドラインの中に、先住民族の権利保護を盛り込んだ。
【参考】【人権】国際人権法と企業の人権問題 〜Jパワー・伊藤忠商事・パタン石炭火力発電所の事例〜(2016年8月17日)
今回の案件は、Society for Threatened Peopleが、米国ノースダコタ州バッケンのシェールオイル油田とイリノイ州パトカの石油タンク集積地を結ぶ総長1,886kmの地下埋設型石油パイプライン「ダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)」の建設において、先住民族の権利として国際的に確立している「自由で事前の、十分な情報に基づいた同意(FPIC)」違反があるとし、2017年4月に訴えたもの。同NGOは、クレディ・スイスが、DAPL建設に向けたファイナンスで主導的役割を果たしたと責任を追及していた。
【参考】【アメリカ】機関投資家100社以上、ダコタ・アクセス・パイプライン建設に懸念表明。関与銀行に対応を要求(2017年2月20日)
今回の調停では、合計5回のミーティングを実施。クレディ・スイスが、FPICを含む先住民族の権利の保護を事業ポリシーに加えることで妥結した。また、クレディ・スイスが事業ポリシーの履行状況を同NGOとスイス政府に報告することでも合意した。
【調停】Specific Instance regarding Credit Suisse submitted by the Society for Threatened Peoples Switzerland
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