国際NGOオックスファム・インターナショナルのインド支部、オックスファム・インドは11月15日、インドの砂糖産業が環境及び社会要素で多くの課題を抱えていることを明らかにしたレポートを発表した。
オックスファムは2013年に食品業界のESG課題を対象とした調査ランキングの発表を開始し、食品世界大手ではこれまでに大きな改善が進んできた。今回のレポートは、その中でも、砂糖生産2位という地位ながらも、社会・環境課題の大きいインドを取り上げ、ウッタル・プラデーシュ州のさとう原料農園から砂糖生産工場までの状況を調査した結果を報告している。バリューチェーンとしては、さとう原料農園農家、農園労働者、砂糖生産工場、仲介業者、砂糖業界団体の5つを取り上げた。
現地のさとう原料生産農家は、生活の多くをさとうきび栽培で支えている。しかし、インタビューした農家の70%から90%は、地元のヤシ砂糖生産団体から、納品遅延を理由に原料を買い叩かれていると回答。また90%は、納品先の施設で重量を不当に低く計算されていると語り、また70%は支払いが納品から1年以上も先になっていると回答した。
また、農家は農園労働者の給与記録をほぼつけていないこともわかり、支払実態調査からはインド政府が定める最低賃金を下回っていることも見えてきた。また、大農園農家の契約労働者は、借金漬けにされ返済するまで半ば監禁状態となってもいた。このような強制労働や児童労働も横行している模様。
環境面では、地下水が豊富な地域では過剰の地下水汲み上げが行われており、また廃水汚染も発生していた。
オックスファム・インドは、今回の調査を受け、インド労働省等や砂糖関連行政当局に対し、協働して農園労働者の改善に乗り出すよう提言。また、企業に対しても、サプライチェーン・マネジメントの視線が砂糖生産工場にまで及んでいないことを課題視。その先の農家や農園労働者の実態にまで目を向けるよう求めた。
【参照ページ】Human Cost of Sugar
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