金融指数世界大手S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは5月9日、同社が公表している主要株式インデックス構成銘柄の気候変動関与度を分析したレポート「The Carbon Scorecard(炭素スコアカード)」を、同社子会社Trucostと共同で発表した。同社は、今回の発表の背景として、パリ協定で国際合意となった2℃目標や、金融安定理事会(FSB)の気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が投資ポートフォリオの気候変動影響を報告するよう求めていることなどを挙げた。
今回発表のレポートでは、同社が公表している12の主要株式インデックスが対象となっている。
- S&Pグローバル1200指数(世界全体)
- S&P500指数(米国)
- S&Pグロース500指数(米国)
- S&Pバリュー500指数(米国)
- S&Pトロント60指数(カナダ)
- S&Pヨーロッパ350指数(欧州)
- S&Pイギリス指数(英国)
- S&P/TOPIX150指数(日本)
- S&Pアジア50指数(アジア)
- S&P/ASX50指数(オーストラリア)
- S&Pラテンアメリカ40指数(南米)
- S&P/IFCI指数(新興国)
この12インデックスについて、気候変動影響を5つの観点から分析した。5つの観点は、
- カーボンフットプリント(CFP):スコープ1、スコープ2、一部スコープ3(1次サプライヤーの排出量のみ)
- 埋蔵化石燃料排出量:埋蔵化石燃料からの潜在的二酸化炭素排出量
- 石炭売上エクスポージャー:石炭採掘と石炭火力発電が売上の10%以上を占める企業
- エネルギー転換:インデックスを構成する電力事業者の電源構成
- グリーン・ブラウン売上シェア:インデックスを構成する採掘事業者と電力事業者の気候変動対応割合
(出所)Carbon Scorecard
全体傾向としては、インデックス全体に占める石炭関連企業の割合が少ない米国の指数が比較的状況が良く、石炭関連企業の割合が多いオーストラリアの状態が悪かった。欧州は現状としてはカーボンフットプリントが多いものの、エネルギー転換が進んできていることも数字として明らかになった。
日本株を対象としたS&P/TOPIX150指数では、現状のカーボンフットプリントが先進国の中で最も悪く、ブリーン・ブラウン売上シェアでは、オーストラリアに次いで2番目に悪い状況だった。また、エネルギー転換でも、オーストラリア、米国に次いで悪かった。一方、資源保有量の少ない日本企業は、埋蔵化石燃料排出量と石炭売上エクスポージャーは状況が良かった。
【参照ページ】S&P Dow Jones Indices publishes barometer of financial markets’ carbon efficiency
【報告書】The Carbon Scorecard
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