アウトドア用品大手のThe North Faceは7月21日、最新版のCorporate Responsibility Reportを公表した。今回の報告書の主なポイントとしては、下記の4つが挙げられる。
- リサイクル素材の使用増加
- 衣類の回収プログラム”Cloths the Loop”を通じた製品ライフサイクルの延長
- 環境への影響の削減
- ダウン製品のサプライチェーンを通じた動物保護に関する基準 Responsible Down Standard(RDS)の開始
同社のサステナビリティ担当役員を務めるAdam Mott氏は「サステナビリティへの我々のアプローチの進化は製品のデザインの中に見ることができる。サステナビリティをデザインの主要な構成要素とすることで、我々は環境と社会に良い影響を与える革新的な製品を生み出すことができる」と語り、製品開発におけるサステナビリティの重要性を強調する。
今回の報告書で言及されている上記4つのポイントの概要は下記の通りだ。
リサイクル素材の使用増加
同社は2016年までに全てのポリエステル製品を100%リサイクル素材にすることを目指して取り組んでいる。現状では同社の織物製品の約80%はポリエステル製なので、この目標はとても大きな目標だ。また、同社は既存素材を再利用する際の化石燃料依存からの脱却も進めている。
Clothes-the-Loopによる製品ライフサイクルの延長
2013年にパイロット・プログラムとして開始されたThe Clothes the Loop programは、消費者は使用しなくなった衣服や靴(他ブランドも含む)を同社の店舗に持っていくと回収してもらえるというプログラムだ。回収された製品はリサイクルセンターに運ばれ、400以上のカテゴリーに分類され、再利用のため新たに加工される。2013年は10店舗でスタートし、3か月半で1,350ポンドの衣類などが集まった。現在は27店舗までプログラムが拡大されている。
環境への影響の削減
同社は製造過程における化学物質や水、エネルギーや廃棄物の削減に向けてサプライヤーと協力して取り組んでおり、2010年以降、タンカートラック100台分以上の化学物質、オリンピックの水泳プール230個分以上の水、自動車3,000台分以上のエネルギーの節約に成功している。
The Responsible Down Standard (RDS)
同社は動物保護および、ガチョウのダウンや羽毛のサプライチェーンにおけるトレーサビリティを向上させることにコミットメントしている。同社はResponsible Down Standard(RDS)を設立し、同社ブランドのダウンは動物に対して不当な手段を使って作られたものではないことを証明するとともに、トレーサビリティシステムを提供している。RDSはアパレル・繊維産業のサステナビリティに関するグローバルな業界団体のTextile Exchangeに引き継がれている。同社では2017年秋までにダウン製品の100%をRDS認証済とする予定だ。
The North Faceは言わずと知れた世界を代表するアウトドアブランドの一つだが、製品を通じて消費者に「アウトドアを楽しんでもらう」ことを提供価値としている同社にとって、環境問題をはじめとするサステナビリティ課題は自社の事業環境に直結する問題だ。自社の事業や製品を通じて環境を保全し、豊かなアウトドア環境を創出していくことは、社会のみならず同社のサステナビリティにもつながっている。
【企業サイト】The North Face
【レポートダウンロード】Corporate Responsibility Report
【参考ページ】Responsible Down Standard
(※写真提供:testing / Shutterstock.com)
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