米財務省とブラジル財務省は7月26日、気候パートナーシップの締結を発表した。ブラジルの自然資本を保護する大胆な計画と、気候変動及び環境破壊に対するブラジルのリーダーシップを共同で支援する。
今回、両省は、ブラジルの発電の90%以上がカーボンフリー電源となっており、国内には膨大な生態系資源を抱えると認識。さらに、ブラジル政府が、新興国と発展途上国にとって、社会開発、生産性向上、再工業化を促進しながら、気候変動の影響の緩和と適応、自然および生物多様性の保全に貢献する政策及び予算投下のモデルになるとみている。
今回締結した気候パートナーシップでは、クリーンエネルギーのサプライチェーン、インテグリティの高いカーボン市場、自然/生物多様性ファイナンス、多国間気候変動基金の4つを柱に据えた。
まず、クリーンエネルギーのサプライチェーンでは、グローバル・サプライチェーンの多様化の観点も踏まえ、ブラジルへの民間投資の呼び込みを促進。特に、再生可能エネルギー生産、低炭素水素、バイオ燃料等の分野に着目した。また、労働者の権利のための米国ブラジル・パートナーシップに基づき、両省は、環境、労働者、脆弱な立場にあるコミュニティ、先住民の権利を保護し、クリーンエネルギーのサプライチェーンのレジリエンスを促進することの重要性も確認した。
インテグリティの高いカーボン市場では、双方の国におけるベネフィットの配分方法や共有方法を含め、互いのアプローチを尊重。ベストプラクティスを共有していく。また、G20サステナブルファイナンス作業部会を含む多国間のイニシアチブを支持し、世界的な自主的カーボン市場の健全性原則の策定につなげる意欲も示した。
自然/生物多様性ファイナンスでは、国際開発銀行や環境基金を含め、自然や生物多様性を保全・再生するために資金を動員し、革新的な解決策を開発する努力を強く支持。特に、公的資金は、民間資本の呼び水として重要とした。米国務省は、ブラジルとその周辺地域の熱帯雨林の保護に貢献するアマゾン基金に最初の資金を拠出し、バイデン大統領が2023年に表明したアマゾン基金への5億米ドルの拠出コミットメントについても確認した。
また、熱帯林保護法(TFCA)に基づく2010年の米国とブラジル間の自然債務スワップにも言及。TFCAから学んだ教訓を生かし、両省は、2025年のCOP30/CMA7会議に向け、自然債務スワップのベストプラクティスを導き出し、世界的な政策に反映させるために協力していく。
多国間気候変動基金では、新興国及び発展途上国が、多国間気候変動基金への資金アクセスを容易にするための具体的な措置を促進していく。気候投資基金(CIF)、地球環境ファシリティ(GEF)、適応基金(AF)、緑の気候基金(GCF)等の公的枠組みの強化を図りしつつ、こちらでも民間資本の動員や、自然を軸としたソリューション(NbS)への資金提供を重視した。今年のCOP29/CMA6で、気候資金へのアクセスを改善するという発展途上国のニーズを実現する強固な最終行動計画が策定されることを期待した。
【参照ページ】Joint Statement on the Brazil Fazenda – U.S. Treasury Climate Partnership
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら