農林水産省は8月30日、国内のコメ流通状況に関し、「令和5年産米の産地別契約・販売状況(令和6年7月末)」「民間在庫の推移(令和6年7月末)」「米穀販売事業者における販売数量・販売価格の動向(令和6年7月末)」の3つを発表した。
同省は、2014年3月以降、米の流通に係る需給・価格情報、販売進捗・在庫情報等の細かい統計を公表している。さらに2018年産からは、生産者や集荷業者・団体の主体的な経営判断や販売戦略に基づき、需要に応じた米生産ができるよう環境整備を進めることを米政策の一環として掲げている。
2024年7月末時点での状況では、米の集荷と契約の数量が減少する一方、販売数は増加しており、需給が大きく逼迫してきていることが示された。集荷数量は、257.3万tで、対前年同月比14.3万t減、契約数量は253.6万tで、対前年同月比10.1万t減。一方、販売数量は208.2万tで、対前年同月比13.3万t増。
これにより、全国の民間在庫は、出荷・販売段階の合計で82万tで、対前年同月比で40万t減少している。同省は、「在庫率としては、令和6年7⽉末は12%であり、平成23年7⽉末(10%)、平成24年7⽉末(10%)などよりは⾼い⽔準」とコメントし、最悪期ではないことを強調した。
米の価格では、小売事業者向けが2022年11月から上昇しており、2024年3月以降は、対前年同月比で110%以上の上昇となっている。7月の上昇率は118.7%だった。中食・外食向けでは、2023年4月から上昇を続け、2024年3月以降は、小売事業者向けとほぼ同等の上昇率。
同日の農林水産相定例記者会見では、需給全体では必要な在庫水準が確保されているとの見方を示した。米流通は、民間流通が基本のため、政府備蓄米の主食用を放出に関しても、相場に悪影響を与えかねないとし、慎重な姿勢をみせた。政府備蓄米は、不作等の米穀の生産量の減少によって年間を通じて米の供給に不足が見込まれる場合に備えるものであり、また足元の需給ひっ迫に関しては、南海トラフ地震臨時情報等を踏まえた一時的な買い込み重要もあり、新米の流通が始まれば、需給は改善するとの見解も述べた。
また8月27日の記者会見では、猛暑により、米の生育が例年に比べ1週間程度早まっている産地も見られ、刈遅れの防止等の対策が重要になるとした。専門家の間では、猛暑による米の高温障害も発生しているとの見方もある。
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