世界保健機関(WHO)は8月9日、コンゴ民主共和国でエムポックス(旧称:サル痘)のアウトブレイクが発生している問題で、エムポックス・ワクチン・メーカーに対し、緊急時使用リスト(EUL)のための関心表明書を提出するよう呼びかけた。
2023年9月に初めて出現したエムポックスの新株は、すでにコンゴ民主共和国の国外でも感染が確認されている。WHO事務局長は8月7日、同疾患の拡大が懸念されることから、エムポックス・ワクチンのEUL手続きを開始している。
エムポックスは、エムポックスウイルスによって感染する疾患。コンゴ民主共和国では、致死率が1%程度の西アフリカ型(クレードⅡa及びⅡb)と、致死率が10%程度のコンゴ盆地型(クレードⅠ)の2つが流行している。感染経路は、男性間性行為が多い。これまでは西アフリカ型の国外感染が懸念され、2024年1月31日時点で、世界で93,000例以上の症例と179例の死亡例が報告されている。WHOは2022月7月23日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言したが、感染が収束に向かい、2023年5月11日にPHEICの終了を宣言していた。
【参考】【国際】WHO、サル痘の緊急事態宣言を終了。過去3ヶ月で感染者90%減(2023年5月13日)
しかし、東南アジアを始めた世界各国での感染は依存として続いており、さらに今回、致死率の高いクレードIのコンゴ民主共和国外への感染が確認されたことで一気に危機感が高まってきてた。
エムポックスの治療薬では、世界的に米ViroPharmaのテコビリマットが使用されており、日本国内でも臨床研究の枠組みでの投与が行われている。ワクチンでは、痘瘡ワクチンとして開発されたLC16ワクチンとMVA-BNワクチンが、WHOの予防接種専門家戦略諮問グループによって推奨され、複数の国で使用されている。LC16「KMB」は、明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクスが、MVA-BNはデンマークのBavarian Nordicが開発し、ライセンスを保有している。
EUL手続きは、PHEIC下で発動されるワクチン等の緊急使用承認手続き。発展途上国等では各国での薬事承認が下りていない医薬品が多く、リクス・ベネフィット・アプローチに基づき、緊急使用承認を発動することができるようになっている。EULでは、メーカーに対し、ワクチンの安全性、有効性、品質が保証され、対象集団に適していることを確認するためのデータを提出するよう求めている。EULに掲載されると、Gaviや国連児童基金(UNICEF)等のパートナー機関が配布用のワクチンを調達できるようになる。
【参照ページ】WHO invites mpox vaccine manufacturers to submit dossiers for emergency evaluation
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