国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連児童基金(UNICEF)、国連世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)は7月24日、「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」報告書の2024年版を発行した。G20議長国であるブラジルで開催された「飢餓と貧困に対する世界同盟タスクフォース」の閣僚会合で発表された。
【参考】【国際】2022年に世界の飢餓人口は7.3億人。コロナ収束でも横ばい。国連SOFIレポート2023(2023年7月14日)
2023年の世界飢餓人口は、7億1,300万人から7億5,700万人が栄養不足状態で、中間値は7億3,300万人。中間値の比較では、2022年から460万人増。新型コロナウイルス・パンデミック前の2019年と比べると、約1.5億人多い。世界人口全体に占める栄養不足人口割合では、2021年からほぼ横ばい。国連機関としては危機感を強めている。
(出所)UN
地域別では、アフリカは20.4%、アジアは8.1%で、依然として高い水準にある。中南米は6.2%となり改善したが、西アジア、カリブ海島嶼国、アフリカの多くで飢餓が増加。現状の傾向が続けば、2030年には急性的飢餓を除いた慢性的飢餓だけでも約5.8億人に上り、その半数はアフリカで発生するとした。
同報告書では、世界では目下、約23.3億人が中程度もしくは重度の食料不安に直面していると報告。新型コロナウイルス・パンデミックを受け急増して以降、大きな変化はなく、改善に至っていない。この中で約8.6億人が深刻な食料不安に直面しており、1日以上食料がない状況に陥っている。
食料のアフォーダビリティでは、2022年には28億人以上が健康的な食生活を送れていない。低所得国では人口の71.5%が健康的な食事を摂ることができていないのに対し、高所得国では6.3%と格差が大きい。アジア、北米、欧州では新型コロナウイルス・パンデミック以前の水準を下回ったが、アフリカでは大幅に増加した。
同報告書では、WHOが定めた2025年までの6つの世界栄養目標も評価。乳児の完全母乳育児率は48%まで上昇。低出生体重児の割合は15%で横ばい、5歳未満の子どもの発育阻害は22.3%に減少、15歳から49歳までの女性の貧血は増加、5歳未満の消耗症の割合は減少。子どもの肥満割合は5.6%で横ばい。全ての目標で達成の目処は立っていない。また、肥満成人は2012年の12.1%から2022年には15.8%に増加、2030年までに12億人を超える見込み。
食料不安と栄養不良は、食料価格のインフレを含む複合的な要素が原因だと分析。紛争、気候変動、景気後退等の要因が状況を悪化させているとした。すべての人が手頃な価格で健康的な食生活を確保するために、食料システムの変革や強化、不平等への取り組み等、多面的なアプローチが必要なことを強調。食料安全保障と栄養に関する資金調達の定義を明確化、標準化し、より費用対効果の高い資金調達が重要であるとした。
【参照ページ】Hunger numbers stubbornly high for three consecutive years as global crises deepen: UN report
【参照ページ】Global nutrition targets 2025: policy brief series
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