参議院本会議は4月17日、重要経済安保情報保護活用法案を賛成多数で可決。同法が成立した。企業にも影響が出る。同法が定める内容は「セキュリティ・クリアランス制度」とも称されている。
同法では、政府が、まず、重要経済安保情報を指定する。指定対象は、重要なインフラや物資のサプライチェーン等の重要経済基盤に関するもののうち、公になっておらず、その漏洩が日本の安全保障に支障を与えるおそれがり、特に秘匿する必要があるもの。具体例としては、サイバー脅威・対策等に関する情報や、サプライチェーン上の脆弱性関連情報が挙げられている。指定の有効期限は5年以内。延長は可能だが、原則として上限は30年。
重要経済安保情報の取扱いの業務は、適性評価において重要経済安保情報を漏洩するおそれがないと認められた者に制限される。適性評価は内閣府が実施。適性評価の有効期間は10年適性評価の項目は7つ。
- 重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項
- 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項
- 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項
- 薬物の濫用及び影響に関する事項
- 精神疾患に関する事項
- 飲酒についての節度に関する事項
- 信用状態その他の経済的な状況に関する事項
高市早苗経済安保担当相は参議院での審議の中で、性的関係を利用して情報漏洩を誘惑する「ハニートラップ」の疑いがある場合には、性的なことがらも身辺調査の対象になると説明している。但し、詳細は政府は今後有識者会議を設置し、運用基準の具体化を進める。
政府内での重要経済安保情報の取り扱いも制限される。まず、行政機関の長は、他の行政機関が利用する必要があると認めたときは提供が可能。一方、国会や刑事裁判所に対しては、安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められない限り、共有が禁止となる。だが、国会に対しては、国権の最高機関であることから、重要経済安保情報の提供を受ける国会における保護に関する方策については、国会で検討するという修正が国会審議の中で加えられた。民事裁判所と個人情報保護審査会に関しては、提供可能。また、リスク軽減目的で、別途政令で定める保全基準に適合する事業者(適合事業者)との契約に基づき、重要経済安保情報を提供することも可能となる。警察官に関しては恵達本部長が適性評価を実施する。
重要経済安保情報の漏洩には罰則を設けていく。5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金が科される見通し。
行政機関の長、国務大臣、内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、副大臣、大臣政務官に関しては適性評価の対象外。また、政令で対象外の人を別途定めることができる。
政府は、毎年、重要経済安保情報の指定及びその解除、適性評価の実施並びに適合事業者の認定の状況について国会に報告するとともに、公表することも規定された。
【参照ページ】閣法 第213回国会 24 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案
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