米大統領府(ホワイトハウス)は12月20日、第3回国家宇宙会議(NSpC)を開催。「米国新規宇宙活動の承認・監督フレームワーク」を発表した。民間による宇宙事業が活発化していることを受け、包括的な規制枠組みの制定に入る。
米国での商業宇宙活動の規制枠組みは、1967年の宇宙条約に基づき制定されてから大幅には変わっていない。バイデン政権は、宇宙規制枠組みの抜本改革を進めており、ハリス副大統領は2022ね9月、国家宇宙会議に対し、宇宙安全を考慮した上で、商業的な新規宇宙活動の明確かつ予測可能な認可と監督に関する提案を作成するよう指示。そこから国家宇宙会議での検討が進められてきた。
国家宇宙会議は11月、「新規民間宇宙活動の承認・監督法」案を発表。運輸省連邦航空局に、無人と有人の双方のロケット発射基地を監督する権限を与え、商務省に画像衛星や商業リモートセンシング事業の監督権限を与える政策を打ち出している。
今回発表された「米国新規宇宙活動の承認・監督フレームワーク」は、「新規民間宇宙活動の承認・監督法」を補完する形で、行政措置レベルでの規制の方向性をまとめたもの。主要な内容は、
- 各連邦政府機関によるフレームワーク実施の指針となる原則を定める
- 商務省と運輸省の規則制定スケジュールとパブリックオピニオン募集期間を整合させる
- 商務省と運輸省に対し、既存の連邦諮問委員会の拡大または新たな連邦諮問委員会の設立を検討し、フレームワークの実施を推進するよう要請する
- ベストプラクティス及び基準の開発・実施のための国際協力を強化し、宇宙に関する規則設定における米国のリーダーシップを維持する
- 追加の法律がない限り、民間部門の宇宙活動の指針となるベストプラクティスを推奨するため、既存の商務省と運輸省の内部プロセスを使用する
- 軌道上スペースデブリ軽減のための米国基準を改定するためのプロセスを整備する
- 米政府の認識を向上するため、米国の斬新な民間宇宙活動に関する知識リポジトリを構築する
- より長期的な政策やベストプラクティスを策定し、規制当局の業務に反映させるため、常設の民間宇宙活動省庁間運営グループを設置する
米大統領府は今回、宇宙探査、国家安全保障、気候変動対策、商業宇宙ステーション建設、宇宙空間での組立と製造、月での資源の抽出と利用、スペースデブリの危険への対処、軌道上のステーションへの燃料補給等を重要分野として掲げつつ、民間企業の役割を大きくなっていると認識。そのため、官民が協調していくことが重要とした。
また、ハリス副大統領は、同日の協議会で、宇宙空間の平和的探査と利用を米国がリードするため、米国が10年後までに国際宇宙飛行士を月面に着陸させると宣言。加えて、現在33ヶ国が署名しているアルテミス協定の署名国拡大と署名国間の連携強化、国務省による宇宙科学特使の任命等を指示した。アルテミス協定の現在の署名国は、米国、カナダ、英国、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダ、ルクセンブルク、チェコ、ポーランド、ルーマニア、ブルガリア、ウクライナ、アイスランド、イスラエル、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、インド、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、エクアドル、メキシコ、ナイジェリア、ルワンダ、アンゴラ。
【参考】【国際】日本含む8ヶ国政府、月面探査の原則掲げたアルテミス協定に署名。安全で持続可能な開発(2020年11月3日)
米大統領は、宇宙での国家安全保障強化も進めている。6月には、宇宙安全保障ガイダンスを機密扱いで承認。さらに今回、国防総省のミッションとして、米宇宙軍(USSF)の国際協力ガイダンスの策定、地域宇宙アドバイザー(RSA)の育成の他、「統合宇宙作戦(CSpO)イニシアチブ」の推進も発表。CSpOには、12月初旬にイタリア、日本、ノルウェーも参加を表明。他に、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、ニュージーランド、英国が加盟している。
【参照ページ】FACT SHEET: U.S. Novel Space Activities Authorization and Supervision Framework
【参照ページ】FACT SHEET: Strengthening U.S. International Space Partnerships
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