EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は11月15日、化石燃料セクターでのメタン排出量の追跡と削減に関するEU規則案で政治的合意に達した。今後、双方での立法手続きに入る。
同規制は、石油・ガス・石炭部門に対し、メタン排出量の測定・報告・検証(MRV)を義務化。また、メタン漏出の検知・補修、フレアリングの制限等、メタン排出を回避するための緩和策を講じる新たな義務も設定する。EU域内への石油、ガス、石炭の輸入によるメタン排出の透明性を確保するためのモニタリングの仕組みも構築していく。
MRVでは、各事業者は、排出源のメタン排出量の定量化を18ヶ月以内に、操業アセットに係る排出源単位のメタン排出量の直接測定による定量化を24ヶ月以内に、サイト単位の測定により補完された排出源単位のメタン排出量の直接測定による定量化を36ヶ月以内及び毎年5月31日までに、非稼働アセットに係る排出源単位のメタン排出量の直接測定による定量化を48ヶ月以内及び毎年5月31日までに実施し、報告書を所轄官庁に提出しなければならない。
鉱山操業者は、操業中の鉱山について、排出源単位のメタン排出データを含む報告書を12ヶ月以内に毎年管轄当局に提出し、また、未稼働坑井及び放棄坑井についてもモニタリングすることが義務化される。
所轄当局は、事業者が規則に定められた要件を遵守しているかどうかをチェックするために、定期的な検査を実施する。最初の検査は、規則発効日の21カ月後までに完了することを指示。検査間隔は、環境、人の安全、公衆衛生のリスクの評価に基づいて設定され、3年を超えてはならない。規制要件に対する重大な違反が検出された場合、その後の検査は1年以内に実施しなければならない。
メタン漏出検知・修理では、リスクベース・アプローチを採用。欧州委員会は12ヶ月以内に最低検出限界と最低漏出閾値を法定化し、それに基づき、タイプ1の漏出検知・補修調査(大きな漏洩を発見する精度が低い)と、タイプ2の調査(小さな漏洩 を発見する精度が高い)に区分。また、地上部品、地下部品、海面下及び海底下の部品を区別する。特定の条件を満たせば、事業者に先端技術システムの使用を認める。
補修は、漏出の検出後直ちに、または最初の調査によるものは5日以内の可能な限り速やかに、完全な補修については30日以内に実施することを義務化。所定の基準値以下の漏れは、厳重にモニタリングされる。
輸入管理では、3段階のステップを設ける。第1段階は、データ収集とメタン排出国グローバル・モニタリング・ツールおよび超排出国迅速反応メカニズムの構築に焦点を当てる。第2段階と第3段階では、2027年1月1日までにEUへの輸出事業者にも同等のMRV措置を適用し、2030年までに最大メタン原単位値を設定する。各加盟国の所轄当局は、これらの規定が遵守されない場合、行政処罰を科す権限を得る。
未稼働坑井や放棄坑井に関しては、加盟国はすべての坑井のインベントリーを作成し、定期的に更新することが義務付けられる。永久閉抗から30年を経過していない坑井については、メタン排出がないことの証明取得を義務化。放棄坑井では、放棄から70年を経過していない場合には、モニタリング、報告、緩和措置実施の義務対象となる。
【酸週ページ】Climate action: Council and Parliament reach deal on new rules to cut methane emissions in the energy sector
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