英気候変動シンクタンクInfluenceMapは11月14日、日本政府が2月に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針(GX基本方針)」を分析した報告書を発表。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の1.5℃シナリオとの整合性がないと伝えた。
【参考】【日本】政府、GX実現に向けた基本方針を閣議決定。国際的な理解が得られない場合、絵に描いた餅(2023年2月10日)
同分析では、IPCCガイダンスから導き出された世界の気温上昇を1.5℃目標に抑えるためのベンチマークを活用し、「科学的根拠に基づく政策」(SBP)との整合性を検証。GX基本方針のうち、特にカーボンプライシングと化石燃料政策に関連する要素は整合していないと結論づけた。
とりわけ、GX基本方針が掲げる不確実な炭素価格設定システムと、石炭、液化天然ガス(LNG)、水素・アンモニア混焼発電への依存は、IPCCの1.5℃シナリオと矛盾しており、世界の長期的な排出削減目標の達成のリスクになるとした。ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の継続的な販売を支持していることも、IPCCのガイダンスに反しているとした。
また、GX基本方針は、2030年と2050年の排出削減目標を明示しているが、GX基本方針に基づく政策が、目標にどの程度貢献するのかが示されていない点も突いた。
さらに同研究は、GX政策の政策意思決定プロセスの解明にまで及んだ。日本の産業界から政府へのアドボカシーでは、9業界団体と8企業からが全体の81%を占め、特に日本経済団体連合会(経団連)が15%を占めていた。セクター別には、電力、鉄鋼、化石燃料生産、自動車生産を代表する業界団体が中心となっており、日本の経済と雇用の70%を占める金融、小売、建設、消費財、医療等のセクターは、ほとんど沈黙している状態だった。
【参照ページ】New Study Finds Japan’s $1Tr GX (Green Transformation) Climate Plan Misaligned with IPCC Climate Science Pathways to 1.5°C
【画像】首相官邸
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