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【EU】EU理事会と欧州議会、重要原材料規則案で政治的合意。大企業にもリスク評価義務

 EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は11月13日、EUの重要原材料サプライチェーンの多様化とレジリエンスを強化する重要原材料規則案で政治的合意に達した。今後、双方での立法手続きに入る。

【参考】【EU】欧州委、ネットゼロ産業法と重要原材料規則を制定へ。域内生産やリサイクル強化(2023年3月17日)

 同規則案では、34物質の重要原材料に指定。そのうち戦略的原材料が17を占める。欧州委員会が提示した原案からアルミニウムが戦略的原材料に追加指定された。また、今回の合意では、欧州委員会がリストの最初の改訂を行うまでの3年間は、すでにリストに含まれている天然黒鉛に加え、人造黒鉛も戦略的原材料とすることも案として盛り込まれた。

 同規則案では、重要原材料に指定された34物質に関し、EU域内での目標を、抽出で10%、加工で40%、リサイクルで25%に設定。欧州委員会の原案との比較では、リサイクル目標が15%から25%に引き上げられた。そのため、廃棄物に含まれる原材料の回収を大幅に増やすことも盛り込まれた。

 目標達成に向け、関連プロジェクトに対する許可手続の迅速・簡素化と、単一国での窓口対応を掲げた。迅速・簡易化では、採掘プロジェクトでは27ヶ月以内、加工またはリサイクルのプロジェクトでは15ヶ月以内を目標として設定。環境影響評価(環境アセスメント)の第一段階となるプロジェクト推進者自身での報告書作成は、プロジェクト認可のタイムラインには含まれないが、環境影響評価に必要なパブリックコメント募集は、許可手続きの総期間の一部とみなされる。単一窓口制度では、各EU加盟国は、バリューチェーンの各採掘、加工、リサイクルの段階で、1つまたは複数の「窓口」を指定することができるようになる。

 また、依存関係のリスク分析、EU加盟国の探査計画、研究・イノベーション・スキルへの投資拡大、原材料のサーキュラーエコノミー性とサステナビリティの促進による環境保全も求めた。戦略的原材料の指定された17物質は、重要原材料の輸入を多様化するための措置を特定し、EU全体の消費量が単一の第三国に依存している割合を65%以下に抑えることも目標として設定する。

 同規則では、発効から18ヵ月後に、欧州委員会が今後30年間の各重要原材料の消費量推定に関する報告書を提出するよう指示。また、戦略的原材料に依存するセクターの大企業に対しては、戦略的原材料のサプライチェーンに関するリスクアセスメントを定期的に実施することを義務化。対象としては、バッテリーメーカー、水素製造会社、再生可能エネルギー発電会社、データ伝送・保存会社、航空機製造会社等が例示された。

【参照ページ】Council and Parliament strike provisional deal to reinforce the supply of critical raw materials

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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