米大統領府(ホワイトハウス)は10月23日、「北極圏国家戦略(NSAR)」の実行計画(NSARIP)を発表した。30以上の目標と200以上の具体的な行動を掲げた。
ホワイトハウスは2022年10月、「北極圏国家戦略(NSAR)」を策定。気候変動により北極圏の気候や生活が大きく変わる中、今後10年間の重要政策を設定している。その中で、「安全保障」「気候変動・環境保全」「持続可能な発展」「国際強力とガバナンス」の4つの柱を打ち出していた。NSARは2013年に初めて策定してからの初改訂で、気候変動・環境保全及び持続可能な発展を強調する形となった。
今回の発表したNAARIPでは、安全保障面では、ロシアや中国による北極圏での活動増加を警戒し、北極圏での防衛体制を強化。国防総省が中心となり、カナダ、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン等との軍事連携を促進する。海洋大気庁(NOAA)による北極海の海氷状況の監視体制も強化する。
気候変動では、旱魃や山火事等の気候変動影響を起因とした非自発的移住の脅威が高まっていることを念頭に、現地コミュニティの気候変動適応を高める分野を支援していく。バイデン大統領は2023年、北極海の全ての連邦政府管轄水域で将来の石油・ガス採掘用のリースを禁止する決定を下しており、その内容も盛り込んだ。また、米国、カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデンの北極圏8カ国が加盟する北極評議会で、海運も含めた北極圏でのパリ協定に即した二酸化炭素排出量削減の施策を協議していく。特にノルウェーが議長国を務める2025年5月までの期間を重要期間と位置づけた。各連邦政府機関が中心となって北極圏での気候データ収集体制も構築する。
持続可能な発展では、アラスカ州では社会的インフラ整備が遅れている状況に鑑み、5G、港湾、現地食料源、クリーンエネルギー、防犯等を支援。また、アラスカ州に賦存している重要鉱物に関しては、環境、労働、地域コミュニティ・エンゲージメント等のサステナビリティ基準を遵守した形で行うことも定めた。同様に、他の北極圏の経済圏とのコネクティビティをつなげることも視野に、民間投資も呼び込むが、こちらでもサステナビリティ基準を示していく。
【参照ページ】FACT SHEET: Implementation Plan for the United States’ National Strategy for the Arctic Region
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