全米自動車労働組合(UAW)のショーン・フェイン委員長は10月30日、フォードとの間で10月25日に達した暫定合意ことを踏まえ、声明動画を公表した。労働組合側が勝ち取った重要ポイントを紹介した。
【参考】【アメリカ】全米自動車労組、ビッグ3で段階的ストライキ突入。史上初。労使交渉決裂(2023年9月15日)
【参考】【アメリカ】ビッグ3、全米自動車労組との労使交渉で徐々に譲歩。ストライキ奏功と表明(2023年10月8日)
ベースアップでは、今回の労働協約締結時に11%、2024年10月に3%、2025年10月に3%、2026年10月に3%、2027年10月に5%引き上げることで合意。全体で25%幅引き上げることになる(但し、計算に複利は考慮されていない)。これにより、生産ラインの労働者は、現在の時給32.05米ドル程度が、2027年10月には42.60米ドルに、熟練工では現在36.96米ドルが、2027年10月には50.57米ドルとなる。
入社後の見習い期間に関しても、入社1年間は70%、入社1年後に75%、入社2年後に85%、入社3年後に100%とする条件で合意。現在の条件では、8年かけて100%の満額支給が得られるよう設計されており、ベースアップの引上げと併せると、新入社員は約4割から5割ほどの賃上げとなる。ローソンビル及びスターリングの部品工場の工員については、さらに賃上げが大きく、新入社員は約7割ほどの賃上げとなる。
さらに、一定の条件を満たしている従業員には、一人当たり5,000米ドルの一時金も支給される。インフレーションに伴う生活費調整(COLA)制度では、年間8,800米ドルの支給が得られる。401Kで支払われる年金についても大幅な増額を勝ち取った。
電気自動車(EV)転換に関しても、EV転換によって雇用条件が悪化していくことは容認できないとし、マーシャル・バッテリー工場とテネシーEV工場の工員に対しても労働協約を適用することで合意。また、フォードの他の内燃機関系の工場で余剰人員が発生した場合には、EV関連工場での勤務に移れるようにすることも勝ち取った。
今回の暫定合意に関しては、今後、UAWに加盟している各フォード労働組合の批准投票作業に入る。批准されると成立する。
フェイン委員長は、今回の勝利を踏まえ、他の業界の労働組合に対しても企業側と戦う姿勢を持つように提唱。4年後の次回の労働協約締結に向け、多くの労働組合が共闘していくべきと伝えた。
UAWは別途、10月28日にはステランティスとの間でも暫定合意に達している。同合意でも、2028年4月までベースアップを段階的に25%引き上げ、COLAと合わせて最高賃金を33%増、時給42ドル以上となる内容となっている。その他の内容も、フォードとの暫定合意と近しい内容になっている模様。また、GMとの間でも10月30日に暫定合意に達した。
今回の暫定合意により、3社を対象としたストライキは終了する。米バイデン大統領は、UAWを賛辞を述べた。
【参照ページ】UAW President Shawn Fain and Vice President Chuck Browning to Detail Highlights of Ford Tentative Agreement on Facebook Live at 7 p.m. ET
【参照ページ】UAW Reaches Tentative Agreement on Record Contract with Ford Motor Company
【参照ページ】UAW Reaches a Tentative Agreement with Stellantis
【参照ページ】Statement from President Joe Biden on Historic Tentative Agreement Between General Motors and UAW
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