化学世界大手独バイエルは10月16日、コメ生産で、移植栽培(田植え)から乾田直播に移行することで、米農家での二酸化炭素排出量を最大45%、水使用量を最大40%、手作業も最大50%削減できると発表した。
同社は、同社の零細農家支援プログラム「DirectAcres」を通じ、2030年までにインドの水田100万ヘクタールに直播栽培を導入し、零細農家200万人以上を支援する計画。2040年までには、同国の水田の75%が直播栽培に転換すると予測している。
DirectAcresでは、インド農家の99%が苗の定着に成功。投資収益率も従来比75%向上を実現している。これを受け同社では、2024年からフィリピンを始めとするアジア太平洋地域にも同プログラムを展開予定。
同社は現在、土壌に直接播種でき、気候変動に強く、様々な農場環境に適合する高収量のハイブリッド米の研究開発を進めている。乾田直播にすることで、手作業の多くを機械に代替でき、滞留水で繁殖するメタン生成バクテリアによる二酸化炭素排出量を削減可能。同社の調査によると、インドの零細農家の22%が人件費を経営上の最大の課題のひとつと考えているとし、同アクションの重要性を強調した。
一方同社は、雑草を防ぐ役割でもある水を削減することで、作物保護ソリューションへのアクセスがイノベーションの鍵とも指摘。新たな除草剤を含む作物保護ソリューションを開発し、直播への移行を支援していく。
同社はこれまで、国際稲研究所(IRRI)と協働し、直接種子作付米コンソーシアム(DSRC)に参加してきた。第27回国連気候変動枠組条約シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)では、IRRI、米国際開発庁(USAID)とともに、気候変動に対応した改良型イネ品種と農法の導入、農場での実証、規模拡大を通じ、零細農家の生活の質を向上させるパートナーシップを発表している。また、同社は2023年の国連水会議で、2030年までにDirectAcresに登録した零細農家が生産する米1kg当たり水使用量を25%削減することにもコミットしている。
【参照ページ】Bayer introduces agricultural system for direct-seeded rice with potential to reduce greenhouse gas emissions and water use by up to 40 percent
【画像】Bayer
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