欧州委員会は10月11日、EUの人口動態の変化と、国際競争力を含む社会・経済に及ぼす影響への対策として、EU加盟国向けの政策ガイダンス「コミュニケーション」を採択した。欧州理事会が6月に欧州委異界に対しガイダンスの発行を求めていた。
EUでは世論調査の中で、10人に一人が人口動態の動向がEUの長期的な経済繁栄と競争力を危険にさらすと考えている。特に人口の高齢化と生産年人口の減少及び人手不足に関する懸念が高い。また欧州委員会は、民主主義社会の前提となる社会的一体性を破壊し、全ての人に不利益をもたらす可能性があると認識している。
同コミュニケーションでは、包括的な政策アプローチとして4つの柱を提示した。
- 次世代育成のため、質の高い保育へのアクセスとワークライフバランスを確保することにより、家庭の希望と有給労働の調和を図り、親を支援する
- 若い世代が成長し、能力を伸ばし、労働市場や手頃な価格の住宅にアクセスしやすくなるよう支援し、エンパワーする
- 適切な労働市場及び職場方針と組み合わせた改革を通じ、高齢世代をエンパワーし、福祉を維持する
- 必要な場合には、EU域内人材の補完措置として、管理された合法的移民を通じ労働力不足に対処する
今回のコミュニケーションは、全てのEU加盟国に対し、人口動態に関する政策の優先順位を上げるよう促すためのもの。コミュニケーションは法的文書ではなく、法的拘束力はないが、各加盟国に対し指針を与えている。
対策では、次世代と高齢者の2つに重点をおき、また移民受け入れについても触れている。エンパワーの中身では、デジタル技術が欧州の経済競争力を高めるとしており、さらに人手不足を補うものとしてもとらえている。他にも、ジェンダー平等、差別禁止、世代間の公平も重要な観点とした。政策の実施では、政府だけでなく、NGO等も含めた全てのステークホルダーを巻き込むべきとした。
欧州委員会としても、人口動態に関する政策支援を強化する。まず、人口統計アトラスを発展させ、加盟国による人口・住宅統計の充実を支援。関連する分析活動や研究を支援することにより、データと証拠基盤を強化する。また、人口学に関する研究支援や、「才能の活用プラットフォーム」の発足により、人材育成の強化にも力を入れる。
【参照ページ】Commission sets out tools to manage demographic change in the EU
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