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【国際】We Mean Business等、移行計画策定でCTAPフレームワーク提示。Fossil to Cleanキャンペーンも

 気候変動対策推進の企業ネットワーク米We Mean Business Coalitionは、石油・ガスの段階的廃止に向けたキャンペーンを強化している。企業に対し、新たな関連コミットメントの署名も呼びかけており、気候先進企業にとって新たな試金石となる可能性がある。

 同団体は2022年10月、CDP、Ceres、環境防衛基金(EDF)と合同で、「気候移行アクションプラン(CTAP)」フレームワークを発表。企業や金融機関に対し、1.5℃目標と整合性のある長期目標の設定、CTAPを踏まえた移行計画(トランジション・プラン)の策定、さらに主要なステークホルダーとの対話及び進捗の報告までの一連の実践枠組みを提唱している。

 We Mean Business Coalition等がCTAPを発表した背景には、企業に対し、目標のお題目だけでなく、具体的な実践を求めるプレッシャーをかける思惑がある。移行計画に関しては、英移行計画タスクフォース(TPT)やグラスゴー金融同盟(GFANZ)も開示フレームワークを掲げているが、We Mean Business、CDP、Ceresは、TPTやGFANZの動きも視野に入れつつ、各フレームワークを集約した開示枠組みを確立しようとしている。

【参考】【イギリス】移行計画タスクフォース、「TPT開示フレームワーク」発行。法定義務化へ(2023年10月10日)

 CTAPに含めるべき項目には、1.5℃整合性に基づく二酸化炭素排出量削減戦略、ガバナンス及び事業戦略との統合、適切な政策アドボカシー、公正な移行(ジャスト・トランジション)の4つを規定している。また、We Mean Business Coalition等は、実践するためのチェックリスト、CTAPテンプレート、進捗報告テンプレートの3つのツールも公表している。
 
 さらに、We Mean Business Coalitionは9月19日、同団体を構成している持続可能な開発のための経済人会議(WBCSD)、CDP、Ceres、BSR、The Climate Group(TCG)、Bチーム、CLGヨーロッパと合同で、化石燃料消費企業を対象とした国際キャンペーン「Fossil To Clean」を開始。石油・ガスを含めた化石燃料全体を段階的に廃止するための原則も提唱した。

 原則は、化石燃料消費企業(発電含む)、化石燃料生産企業、金融機関、政府の4つに向けて定められている。

化石燃料消費企業(発電含む)

  • 事業全体で2040年までの削減努力のない(Unabated)一般炭、石油、ガスの段階的廃止にコミット
  • カーボンニュートラル目標とCTAPの公表:CTAPには、化石燃料消費に関する中間目標の設定と、クリーンエネルギー拡大目標の設定の2つを盛り込む
  • 2030年までに1次サプライヤーの過半数が信頼できるカーボンニュートラル目標にコミット

化石燃料生産企業

  • 新たな石油・ガス開発・採掘ゼロへのコミット
  • 2030年までにメタン排出量ゼロ
  • CTAPの公表:CTAPには、2030年と2040年までの生産量削減率目標と2050年の生産量ゼロ、2030年と2040年までのエネルギー用の石油・ガス生産削減率目標、2030年と2040年までの削減努力のない(Unabated)な事業からの排出量の2021年比削減率目標、5年毎のクリーンエネルギーソリューションへの設備投資(CAPEX)割合目標の4つを盛り込む
  • 科学的根拠に基づく削減目標(SBTi)の設定

金融機関

  • 石炭バリューチェーンと新規の石油・ガス採掘及び開発への新たな資金フローを直ちに中止
  • CTAPの公表
  • 既存ファイナンスでも、1.5℃目標と整合性のない石油企業と削減努力のない(Unabated)石油プロジェクトへのファイナンスを2030年までに、1.5℃目標と整合性のないガス企業と削減努力のない(Unabated)ガスプロジェクトへのファイナンスを2040年までにエクスポージャーをゼロ。石炭は、高所得国及び中高所得国は2030年までに、他の国でも2040年までにエクスポージャーをゼロ
  • 5年毎のクリーンエネルギーへのファイナンス率目標を全てのポートフォリオレベルで設定
  • 科学的根拠に基づく削減目標(SBTi)の設定(但し、金融機関向けのネットゼロ・スタンダードは2024年に完成見通し)

政府

  • 1.5℃目標と整合する削減努力のない(Unabated)化石燃料の段階的廃止に関する目標を期限を設けて設定するとともに、影響を受ける労働者や地域コミュニティのための公正な移行(ジャスト・トランジション)の行動計画や政策の策定。先進国は率先垂範
  • 電力のカーボンニュートラル化を先進国は2035年までに、他の国には2040年までに実現することにコミット
  • グローバル・サウスの国々の産業の多様化やネットゼロ・パスウェイの開発のために、資金及びキャパシティビルディングで支援
  • カーボンプライシング(炭素価格制度)や化石燃料補助金の転換も含め、官民の資金フローを化石燃料分野に向かわないようにするための行動

 We Mean Business Coalition等は、「Fossil To Clean」を、11月から開催される国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)に向けたアクションとして展開しており、今回掲げられた原則は、COP28で大きな動きになる可能性もある。

 また、We Mean Business Coalitionは10月10日、CDP気候変動の回答結果を踏まえ、ボランタリーカーボンクレジットを購入する企業は、それ以外の企業に比べ、排出量の削減そのものも積極的に進める傾向にあると発表した。

 環境活動家の間では、カーボンクレジットの購入は、削減努力を進めない「言い訳」措置として使われ、グリーンウォッシュにあたるとの見方もある。しかし、We Mean Business Coalitionは、削減を積極的に進めている企業が、それに加えてカーボンクレジットも購入する状況にあると伝えることで、ボランタリーカーボンクレジットの購入を促す立場と明確にしたといえる。

【参照ページ】WITH BOLD LEADERSHIP FROM BUSINESS AND GOVERNMENT, WE CAN MOVE FROM FOSSIL TO CLEAN
【参照ページ】Accelerating the shift from fossil fuels to clean energy
【参照ページ】NEW RESEARCH: CARBON CREDITS ARE ASSOCIATED WITH BUSINESSES DECARBONIZING FASTER

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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