カトリック教会のローマ教皇フランシスコは10月4日、使徒的勧告「Laudate Deum」を発出。2015年に発表した回勅「Laudato si' on the Care of Our Common Home」に続く地球環境に関する声明を出した。
今回の声明では、「私たちの住む世界は崩壊しつつあり、限界点に近づいているのかもしれない。この可能性に加え、気候変動の影響が多くの人々の生活や家族にますます悪影響を及ぼすことは明らかである。医療、雇用、資源へのアクセス、住居、強制移住などの分野で、その影響を感じることになるだろう」と言及。気候変動はすでに社会問題になっているとの認識を示した。その上で、2015年の回勅は不十分なものだったと反省し、あらためてメッセージを発出したことを明らかにした。
気候変動に関しては、カトリック教会内部にも気候変動懐疑派がいることを認めた上で、懐疑派によるあらゆる試みにもかかわらず、気候変動の兆候は現実に起きていると表明。また、すべての大災害が気候変動に起因するわけではないにしても、人類が引き起こした特定の気候変動が、頻度と激しさを増す極端な現象の確率を著しく高めていることは確かとした。気候変動の原因が人為的なものであることを疑うことは「もはや不可能」とも語った。
影響の不公平さについても語った。富裕国が二酸化炭素排出量を多く排出しつつ、被害が発展途上国に集中していることを危惧。教皇は、化石燃料の使用を減らし、よりクリーンなエネルギー源を開発することによって気候変動を緩和しようとする努力は、雇用の減少につながるという話もよく耳にするが、さまざまな分野で数え切れないほどの雇用を生み出す可能性があるとの考えを披露した。
自然環境と新型コロナウイルス・パンデミックの関係性についても、「人間の生命と他の生物および自然環境との密接な関係を浮き彫りにした」「世界の一部で起こったことが地球全体に影響を及ぼすことが確認された」とした。
また、資源や人間の能力は「無限である」と過信をすることに警鐘を鳴らした。徒な技術信奉をあらため、「健全なエコロジーは、人間と環境との相互作用の結果でもある」と強調した。また、国際政治の仕組みが弱くなっているとし、多国間主義を再構築・再創造することを支持した。
さらに、11月から始まる国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)が、実効性のあるコミットメントと、継続的な監視によって、エネルギー転換を劇的に加速させることを期待していると言及。COP28が、思い切った、激しい、全員の献身に依存する新しいプロセスを開始することを望んだ。そうでなければ、大きな失望となり、これまで達成されてきた成果を台無しになると語った。
【参照ページ】LAUDATE DEUM
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