国際再生可能エネルギー機関(IRENA)と国際労働機関(ILO)は9月28日、再生可能エネルギー関連の雇用を分析した報告書を発表した。同報告書は2011年の発表から今回で13回目。
同報告書は、再生可能エネルギー関連の雇用に関して分析したもの。再生可能エネルギーへの投資は増加し、雇用につながる国も増加しているとした。2021年から2022年にかけ1年間で100万人増加し、雇用全体で2012年の約2倍の1,370万人に達した。
一方、雇用の大部分は特定の国に集中していることを課題視。国別では、中国だけで世界の雇用の41%を占めており、ブラジル、アメリカ、インド、EUを合わせた5つの地域を合計すると世界の雇用の約76%を占める。
(出所)IRENA
エネルギー別では、太陽光発電が再生可能エネルギー部門全体の総労働量の3分の1以上を占める490万人の雇用を創出。水力発電、液体バイオ燃料が約250万人、風力発電が140万人と続く。
同報告書では、雇用の量だけではなく質についても言及。公正で包括的なエネルギー転換の実現に向けて、労働力の開発と多様性を追求するため、教育や訓練の拡大を通じ、若者やマイノリティ、社会的地位の低いグループへのキャリアの機会を増やす必要性を強調した。現時点では男女間でも格差があり、女性雇用の比率は最大で太陽光発電の40%だった。
また、各国政府が自然災害、地政学的リスク等への影響によるエネルギー供給のリスクを軽減するために、再生可能エネルギーに関するサプライチェーンのローカル化と雇用創出を高める政策を採用している。
資源国でも、原材料の供給だけではなく、製造企業を誘致し、自国で原材料から製品を製造できるようなアクションを開始。エネルギーアクセス向上の国際官民連携イニシアチブSustainable Energy for All(SEforALL)は2023年1月、アフリカ大陸での製造能力を拡張し、雇用創出のための「アフリカ再生可能エネルギー製造業イニシアチブ」を設立した。また、アフリカ開発銀行(AfDB)はこれらの取り組みを支援するためのイニシアチブ「Industrialise Africa」を立ち上げ、3億米ドル(約450億円)の資金提供を実施している。
【参照ページ】Renewables Jobs Nearly Doubled in Past Decade, Soared to 13.7 Million in 2022
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